止まっている車にぶつけた場合の過失割合は10対0|修正要素や事故直後の対応を紹介
止まっている車にぶつけてしまい、自分にどの程度の過失割合がつくのか気になっている方もいるでしょう。
止まっている車に自分の車やバイクをぶつけてしまった場合、基本的な過失割合は「加害者:被害者=10対0」になります。
しかし、ケースによっては相手に過失が認められるケースもあるので、具体的にどんな状況で相手に過失が認められるのかを知っておくとよいでしょう。
本記事では、止まっている車にぶつけた場合の基本過失割合を解説します。
過失割合が修正されるケースや、止まっている車にぶつけたあとの対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
止まっている車にぶつけた場合の基本過失割合は「10対0」
過失割合は、過去の判例や道路交通法に基づいて定められた「基本過失割合」を基準にして決まります。
基本過失割合は事故の類型ごとに示されており、止まっている車にぶつけた場合は「加害者:被害者=10対0」とされています。
それでは「止まっている車にぶつけたケース」とは具体的にどのような事故を指すのでしょうか。
まずは、具体的なケースを3つ紹介します。
1.赤信号で止まっている車にぶつけた場合
1つ目は、赤信号で停止していた車に後ろから追突したケースです。
止まっていた車が一方的にぶつけられたといえるので、ぶつけた側の過失割合が100%となります。
2.道路の路肩に止まっている車にぶつけた場合
道路の左端に駐停車していた車にぶつけたケースでも、基本過失割合は「加害者:被害者=10対0」です。
ただし、車が止まっていた場所が駐車禁止・駐停車禁止のエリアだった場合、過失割合が調整される可能性があります。
3.駐車スペースに止まっている車にぶつけた場合
駐車場に駐車しようとして、隣の駐車スペースに止まっている車にぶつけたケースの基本過失割合も10対0です。
「止まっていた車がクラクションを鳴らせばぶつからなかったのでは?」という点で争うこともありますが、ぶつけられた側に過失が認められることは基本的にないといえます。
止まっている車にぶつけた交通事故における過失割合の修正要素
基本過失割合は、個別の事故の状況を考慮して加算・減算されることがあります。
この、基本過失割合を調整する際に考慮される事情・状況のことを「修正要素」といいます。
では、止まっている車にぶつけた場合、具体的にどのような事情・状況が修正要素となるのでしょうか。
ここでは、具体的な修正要素の例を解説します。
1.雨や夜間などで視認不良の場合|10%加算
雨や霧などが降っていた場合や、夕方・夜間などの暗い時間帯だった場合、過失割合が「ぶつけた側:ぶつけられた側=90:10」となる可能性があります。
視界が悪いと、止まっている車に気づきづらいと考えられるため、加害者側の過失割合が少なくなることがあるのです。
2.被追突車が駐停車禁止場所に止めていた場合|10%加算
車が止まっていた場所が駐停車禁止場所だった場合も、過失割合が「ぶつけた側:ぶつけられた側=9:1」となります。
駐停車禁止場所とは、主に以下の場所を指します。
- 駐停車禁止の標識・標示がある場所
- 交差点・交差点の端から5m以内の場所
- 道路の曲がり角から5m以内の場所
- 踏切・踏切の端から前後10m以内
- トンネル
駐停車禁止場所に車を止めることは道路交通法違反に該当するため、被害者にも過失があったといえます。
3.被追突車がハザードランプをつけていない場合|10~20%加算
止まっていた車がハザードランプをつけていなかった場合、「ぶつけた側:ぶつけられた側=9:1」または「8:2」となる可能性があります。
道路交通法に基づき、夜間に幅5.5m以上の道路に駐停車するときはハザードランプや尾灯をつけなければなりません。
夜間に無灯火で駐停車していた場合は、ぶつけられた側に著しい過失があったと考えられます。
そのため、ぶつけられた側に過失割合が加算されることが多いのです。
4.被追突車の駐車方法が不適切と判断された場合|10%~20%加算
不適切な駐車をしている車にぶつけた場合、ぶつけられた側に10%〜20%の過失割合が加算されます。
不適切な駐車とは、車が道路の中心あたりに駐車していた場合や、ほかの車の進行を妨げるような止め方をしていた場合などが挙げられます。
駐車方法が不適切だった場合、交通事故の発生リスクが高まることから、ぶつけられた側に過失があったと考えられるでしょう。
止まっている車にぶつけてしまったあとの流れ|4ステップ
自分の車やバイクを止まっている車にぶつけてしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
ここからは、ぶつけたあとにとるべき対応を4つのステップに分けて解説します。
1.負傷者を救護する
まずは、けがをしている人の救護をおこないましょう。
ぶつかった相手だけでなく、歩行者やほかの車の運転者など、周囲にけが人がいないかを確認することも大切です。
負傷者がいる場合は、安全な場所に移動する・発煙筒を炊く・三角表示板を置くなどして、二次被害を防ぎましょう。
安全を確保できたら、けがの応急処置と救急車の要請をおこないます。
けが人の救護を怠ると、ひき逃げとみなされて処罰される可能性があるため注意しましょう。
2.交通事故を警察に通報する
負傷者の救護とあわせて、警察への連絡も忘れずにおこないましょう。
交通事故の当事者には、事故が起きたことを警察に報告する義務があります。
報告を怠ると懲役刑や罰金刑などの刑罰に処せられる可能性があるため、必ず報告してください。
当事者が自分で連絡できない場合は、同乗者や周囲の人に連絡してもらいましょう。
3.被害者と連絡先を交換する
交通事故の相手と連絡先を交換しておきましょう。
損害賠償の交渉をスムーズにおこなうために、相手の情報をしっかりと把握する必要があります。
以下の情報をお互いに共有しておくと安心です。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 保険会社(自賠責保険会社・任意保険会社)
交渉は基本的に相手の保険会社に対しておこなうため、どこの保険会社に加入しているかも重要な情報です。
可能であれば、相手の勤務先や仕事内容を把握するために名刺をもらっておくとよいでしょう。
4.加入している任意保険会社に連絡する
交通事故が発生したことを、自分が加入している任意保険会社に速やかに連絡しましょう。
早めに連絡しておかないと、保険金が減額されてしまう可能性があります。
保険会社に連絡するときは、以下の情報を伝えられるようにしておくとよいでしょう。
- 契約している自動車保険の証券番号
- 自賠責保険の証明書番号
- 運転者の情報(氏名・生年月日・電話番号・免許証番号・契約者との関係)
- 事故相手の情報(氏名・住所・電話番号)
- 事故にあった車のナンバープレート
- けがや車の状況
- 事故が発生した日時・場所などの状況
過失割合を含めて被害者との示談交渉は基本的に保険会社が担当する
過失割合は、基本過失割合を基準に事故の相手方との示談交渉で決まります。
示談交渉は相手の保険会社を相手におこなうことが一般的ですが、保険会社は交渉のプロです。
事故の当事者が自分で対応しようとすると、相手の言いなりになってしまったり、自分の主張を聞き入れてもらえなかったりする可能性があります。
「相手にも過失がある」と主張しても、過失割合を修正してもらえず示談金が高額になってしまうこともあるでしょう。
示談交渉をスムーズに進め、納得できる結果につなげるには、自分で対応するよりも弁護士に依頼したほうが安心です。
交通事故のトラブル解決を得意とする弁護士なら、示談交渉に慣れています。
相手の保険会社と対等に話し合ったり、こちら側の主張を論理的に伝えたりすることも可能です。
相手方を納得させ、望んだ結果を実現できる可能性が高くなるので、示談交渉をすることになったらまずは弁護士に相談しましょう。
さいごに|止まっている車にぶつけた場合の過失割合は10対0が多い
自分の車やバイクを止まっている車にぶつけた場合、基本過失割合は10対0です。
しかし、天候・時間帯などの影響で視認不良だった場合や、相手が駐停車禁止の場所に車を止めていた場合などは、過失割合が修正される可能性があります。
過失割合が修正されるべきと思う場合は、弁護士に示談交渉を依頼するとよいでしょう。
自分で交渉しようとすると、こちら側の意見を聞き入れてもらえず、不利な結果となってしまう可能性があります。
弁護士に依頼すれば、交渉がスムーズに進むだけでなく、こちら側の主張を聞いてもらえる可能性も高くなります。
納得できる結果につなげるためにも、まずは弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談するかお悩みの方へ
下のボタンからあなた当てはまるものを選んで悩みを解消しましょう。
弁護士費用特約があれば 実質0円で依頼できます!
多くの保険会社では、被害者1名につき最大300万円までの弁護士費用を負担してくれます。特約があるか分からない方でも、お気軽にご相談ください。弁護士と一緒にご確認した上で依頼の有無を決めて頂けます。
特約を利用して弁護士に相談する交通事故問題を依頼する弁護士の選び方にはポイントがあります。
- 過去の解決事例を確認する
- 料金体系が明確である弁護士を選ぶ
- 交通事故問題が得意な弁護士から選ぶ
等です。
詳しくは以下の記事を読んで、正しい弁護士の選び方を理解した上で弁護士に相談しましょう。
弁護士の選び方について詳しくみる【相談料・着手金無料】治療の打ち切りを迫られている/後遺障害認定に納得がいかない/示談交渉をしてほしい等◆交通事故に遭ったらすぐにご相談を◆経験豊富な弁護士が事故発生直後からあなたをサポート致します!
事務所詳細を見る【初回相談料・着手金0円】◆交通事故被害にお悩みのあなたへ◆慰謝料・示談金に納得していますか?◆事故直後から示談金獲得まで全てフォローします。お気軽にご相談ください!【各線「池袋」駅東口より徒歩8分】
事務所詳細を見る提示された賠償金に納得がいかない方は、アディーレへご相談を!適正な賠償金を受け取るためにサポートします◆自転車・バイク事故にも対応◆
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡
過失割合に関する新着コラム
-
車線変更してくる車に横から追突された場合、損害賠償額は過失割合に応じて決まります。過失割合は事故の原因により一定程度決まっているので、ケース別に解説します。また...
-
「別冊判例タイムズ」は過失割合を決める際の参考となる本ですが、具体的にどのような本なのか気になる方もいるでしょう。本記事では、別冊判例タイムズの概要や読むメリッ...
-
止まっている車にぶつけてしまい、過失割合がどの程度つくのか気になる方もいるでしょう。本記事では、止まっている車にぶつけた場合の基本過失割合や、過失割合が修正され...
-
交通事故の過失割合が7対3の場合、相手の車の修理代をいくら負担することになるのか気になる方もいるでしょう。本記事では、過失割合が7対3の場合の修理代の計算方法・...
-
本記事では、バイクのすり抜け事故による過失割合を状況別に詳しく解説します。また、バイクのすり抜けが違反になるケースについても説明するので、ぜひ参考にしてください...
-
交通事故に遭った場合、話し合いによって適切な過失割合を決めていく必要があります。しかし、相手が過失を認めようとせず、ゴネ続けるケースも少なくありません。本記事で...
-
交通事故の過失割合はどのタイミングで決まるのか気になっている方もいるでしょう。本記事では、過失割合が決まるタイミングや過失割合の決め方、過失割合に納得できない場...
-
交通事故トラブルに巻き込まれ、車の修理費や慰謝料はいくらくらいもらえるのか知りたいものの、詳細などがわからず、踏みとどまっている方も多いのではないでしょうか。本...
-
「追い抜き事故を起こしてしまった…過失割合はどうなるのだろう」と気になる方は、追い越し事故なのかを確認することをおすすめします。本記事では、追い越し事故のケース...
-
交通事故の過失割合が8対2の場合は、被害者が支出した修理代のうち、2割を被害者が自己負担しなければなりません。 本記事では、交通事故の過失割合が8対2の場合に...
過失割合に関する人気コラム
-
交通事故の損害賠償では過失割合も重要な要素です。そこで交通事故の被害者になってしまった人に向けて、過失割合の基本や決め方、注意点などを解説します。また、過失割合...
-
先頭の車に非がないことはなんとなく想像がつきますが、2台目、3台目の車に乗っていた運転手にはどういった過失割合が定められるのか、また、損害賠償は誰に請求すればい...
-
交通事故のうち3割は駐車場で起こっているといわれています。駐車場は私有地になるため、事故が起こったあとの対処が一般道路とは異なる部分があります。本記事では、駐車...
-
過失相殺を決める際、警察が行う現場検証の実況見分調書が最重要資料となります。この過失相殺について、その意義や過失相殺後の補償金に納得がいかない時、弁護士に相談す...
-
自転車事故の過失割合(じてんしゃじこのかしつわりあい)とは、自転車事故の当事者間におけるお互いの不注意(過失)の程度を数値化したものです。
-
バック事故の過失割合の解説だけでなく、『過失割合』と『損害賠償金の関係』、『よくあるトラブルと対処法』などを紹介していきます。
-
巻き込み事故(まきこみじこ)とは、主に交差点を右左折する自動車が、交差点を直進しようとした二輪車(バイクや自転車)と接触した場合の交通事故のことを言います。
-
子供の飛び出し事故の過失(責任)を判断する基準は、明確には決められておらず、事故当時に状況によって考えていく必要があります。この記事では、状況別の過失割合や損害...
-
追突事故の過失割合は「被害者0:加害者100」と判断されるケースが一般的です。ただし、被害者の立場でも絶対に過失を問われないとは限りません。本記事では、追突事故...
-
横断歩道の横断中に交通事故に遭った場合、多くのケースでは歩行者より自動車の過失割合が高くなります。この記事では、歩行者と自動車の過失割合についてご紹介します。
過失割合の関連コラム
-
飛び出し事故によって死亡した場合、被害者にも一定の過失が認められる可能性があります。請求可能な賠償金としては死亡慰謝料や死亡逸失利益などがありますが、過失割合に...
-
交差点事故の代表例としては、直進車と右折車の事故が挙げられます。基本的には直進車の方が優先度は高いものの、道路状況によっては過失割合が変わることもあります。この...
-
本記事では、過失割合の決定方法や納得いかないときの対処法について紹介します。なぜ保険会社から不適切な過失割合が提示されてしまうのか、その原因についても解説してい...
-
自転車事故の過失割合(じてんしゃじこのかしつわりあい)とは、自転車事故の当事者間におけるお互いの不注意(過失)の程度を数値化したものです。
-
子供の飛び出し事故の過失(責任)を判断する基準は、明確には決められておらず、事故当時に状況によって考えていく必要があります。この記事では、状況別の過失割合や損害...
-
交通事故トラブルに巻き込まれ、車の修理費や慰謝料はいくらくらいもらえるのか知りたいものの、詳細などがわからず、踏みとどまっている方も多いのではないでしょうか。本...
-
サンキュー事故(さんきゅーじこ)とは、優先権のある車両が優先権のない車両に通行を優先させた際に起きる交通事故で、対向車が右折時に直進車と同方向の左側を通過する二...
-
本記事では、バイクのすり抜け事故による過失割合を状況別に詳しく解説します。また、バイクのすり抜けが違反になるケースについても説明するので、ぜひ参考にしてください...
-
交通事故の過失割合は、弁護士に交渉してもらうことで変わる可能性があります。自分の過失割合を下げることができれば、慰謝料増額につながります。本記事では、弁護士が交...
-
交通事故の過失割合は、実際の事故内容を参考に判断されます。交差点事故の場合、車両の種類・双方の位置関係・道路幅・信号機の色などが判断材料となり、過失の大きさによ...
-
バック事故の過失割合の解説だけでなく、『過失割合』と『損害賠償金の関係』、『よくあるトラブルと対処法』などを紹介していきます。
-
自転車の飛び出し事故では、自転車側の過失が加算されることになります。ただし「自転車と歩行者の事故」や「自転車同士の事故」など、過失割合は事故態様によって大きく異...
過失割合コラム一覧へ戻る