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日弁連交通事故相談センターとは?相談できることや利用方法を解説

アシロ 社内弁護士
監修記事
日弁連交通事故相談センターとは?相談できることや利用方法を解説

交通事故の被害者になると、賠償金はいくらが妥当なのか、提示された過失割合は正しいのか、どのように示談交渉したらいいかなど、さまざまなことに不安や疑問を感じることでしょう。

そのような交通事故の被害者を総合的にサポートしてくれる専門機関のひとつに日弁連交通事故相談センターがあります。

日弁連交通事故相談センターでは、交通事故直後の相談から保険会社との示談成立までをトータルでサポートしており、電話相談や面接相談などにも対応しています。

また、条件によっては示談あっ旋や審査も利用可能です。

この記事では、そんな日弁連交通事故相談センターの利用方法やメリット、デメリット、注意点などを紹介します。

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日弁連交通事故相談センターとは?

日弁連交通事故相談センターは、1967年に日本弁護士連合会によって設立された、交通事故に関する民事上の紛争解決をサポートしている公益財団法人です。

全国に150ヵ所以上の相談所、46ヵ所の示談あっ旋場所を設置しており(令和4年1月現在)、それぞれの相談所で交通事故発生から加害者側の保険会社との示談成立までの総合的なサポートを実施しています。

日弁連交通事故相談センターで受けられるサポートには大きく、「電話相談」「面接相談」「示談あっ旋・審査」の3種類があります。

電話相談や面接相談では、弁護士が交通事故に関するさまざまな疑問に無料で答えてくれます。

また、示談あっ旋・審査では、相手方保険会社と示談が成立するよう公平・中立な立場からサポートしてくれます。

【2020年度の日弁連交通事故相談センターの取扱件数など】

相談事業

31,407件

示談あっ旋の成立数

695件

審査の成立数

33件

参考: 弁護士白書(2021年版)

日弁連交通事故相談センターでは何が相談できる?

それでは、日弁連交通事故相談センターが具体的にどのようなトラブルに対応してもらえるのか紹介しましょう。

相談できること

日弁連交通事故相談センターで受け付けている相談は、自賠責保険・自賠責共済に加入することが義務付けられている車両による事故で、国内で発生した自動車・二輪車事故の民事関係の問題についてです。

交通事故の相談内容は多岐にわたり、以下のような相談が考えられます。

【対応してもらえる主な相談内容】

  • 自賠責保険・任意保険についての相談
  • 損害賠償額の算定方法についての相談
  • 損害賠償の請求内容・請求方法についての相談
  • 損害責任・過失割合についての相談
  • 示談時期や示談方法についての相談
  • 後遺障害認定・異議申し立てについての相談
  • そのほかの交通事故に関する民事上の相談

相談できないこと

日弁連交通事故相談センターでは、交通事故に関する民事上のトラブルに幅広く対応していますが、刑事処分や行政処分については対応していません。

交通事故による刑事処分や行政処分もさまざまありますが、たとえば、以下のようなものがあります。

【対応してもらえない主な相談内容】

  • 交通事故による逮捕や勾留についての相談
  • 交通事故による罰金や懲役についての相談
  • 交通事故による免許取消や免許停止についての相談

相談を拒絶されるケース

交通事故に関する民事上のトラブルであっても、以下のような日弁連交通事故相談センターが指定する条件に当てはまる場合も相談を受け付けてもらえません。

【相談を拒絶されるケース】

  • 弁護士法第72条違反の疑いがある人からの申し込みである場合
  • 相談者がすでに代理人として弁護士を選任している場合
  • 相談回数が原則である同一事案につき5回を超える場合
  • 事故当事者以外からの申し込みである場合(ただし、同居の親族、四親等内の親族などは可能)
  • そのほか、相談をおこなうのに適当ではないと認められる場合

交通事故紛争処理センターとの違いは?

交通事故紛争処理センターも、交通事故の紛争解決を専門としている公益財団法人です。

一番の違いは相談できるタイミングです。交通事故紛争処理センターは、自動車事故の示談をめぐる紛争解決を前提としているので、損害賠償額が確定できる段階になった紛争でないと相談を受け付けてくれません。

一方、日弁連交通事故相談センターでは、交通事故に遭った直後から相談を受け付けてくれます。

損害賠償額の確定前に起きた治療費の打ち切りや後遺障害の認定などのトラブルについても相談できます。

日弁連交通事故相談センターを利用するメリット・デメリット

日弁連交通事故相談センターには「無料で利用できる」「相談場所が多い」などメリットが多くあります。

しかし「必ずしも被害者が有利な結果にはならない」といったデメリットもあります。

そこで、日弁連交通事故相談センターを利用する際のメリットとデメリットについても紹介します。

メリット

日弁連交通事故相談センターを利用するメリットには以下のようなものがあります。

無料でサポートを受けられる

日弁連交通事故相談センターのサポート内容は多岐にわたりますが、弁護士との相談も示談あっ旋も全て無料で受けることができます。

一般的な弁護士事務所の場合、初回相談だけでも30分あたり5,000円程度の費用がかかります。

一方、日弁連交通事故相談センターの場合は無料であり、そのうえ、ひとつの事案につき原則5回まで面接相談を受け付けてくれます。

2022年4月からは通話料も無料で電話相談が可能となり、少ない経済的負担で、弁護士による専門的なサポートが受けられるのが魅力といえるでしょう。

相談所が全国に数多くある

日弁連交通事故相談センターは、面接相談に対応している相談所を全国に150ヵ所以上設けています。

また、46ヵ所の相談所では示談あっ旋にも対応しています。

そのため、遠方まで行かなくても、最寄りの相談所で交通事故に関する相談ができます。

日弁連交通事故相談センターの相談先・住所は「全国の相談窓口 」から確認することが可能です。

年間、数万件の相談実績がある

日弁連交通事故相談センターは50年以上の歴史がある専門機関です。

2020年の相談件数は31,407件であり、相談者の約88%が相談内容について「大変役に立った/役に立った」と回答しています。

また、相談担当弁護士の対応のよさや、わかりやすさの満足度も90%以上になっていて、親身になって対応してくれることが伺えます。

参考:利用者の声 - 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター

そのほかのメリット

このほかにも、日弁連交通事故相談センターを利用するメリットは数多くあります。

  • 人身事故だけでなく、物損事故に関するサポートも受けられる
  • 交通事故トラブルに精通している弁護士がサポートしてくれる
  • 示談あっ旋の平均開催回数は1.73回で短期解決が期待できる
  • 「審査」の結果は、共済組合は尊重する決まりになっている

デメリット

一方、日弁連交通事故相談センターを利用するデメリットには以下のようなものがあります。

必ずしも被害者に有利な結果にはならない

日弁連交通事故相談センターは、公平・中立な立場からの支援をモットーとしているため、必ずしも利用者の利益が最大になるように働いてくれるわけではありません。

そのため、もしかしたら満足のいかない結果になってしまうかもしれません。

なお、被害者側が示談内容に同意しない場合は、調停・訴訟へと移行することになります。

相談日は平日に限られている

日弁連交通事故相談センターは、以下のように相談日・相談時間が限られています。

そのため、電話がつながりにくかったり、スケジュールを合わせるのが難しかったりする可能性もあります。

また、電話相談は1回あたり10分程度まで、面接相談は1回あたり30分までと、時間制限が設けられている点にも注意が必要です。

  • 電話相談:祝日を除く月曜日~金曜日の10:00~16:30(毎月1回、19:00まで延長)       ※2022年4月から、水曜日のみ19:00まで相談時間が延長(祝日、第5週は除く)
  • 面接相談:祝日を除く月曜日~金曜日の10:00~16:00(12:00~13:00は昼休憩)

日弁連交通事故相談センターの利用方法

日弁連交通事故相談センターを利用したい場合は、専用窓口か各事務所に予約の電話をする必要があります。

そこで必要な資料と合わせて、日弁連交通事故相談センターの利用方法を紹介します。

相談申し込み方法

日弁連交通事故相談センターでは電話相談、面接相談、示談あっ旋などのサポートを受けられますが、利用者が最初に受けるサポートは電話相談か面接相談のどちらかです。

以下で電話相談と面接相談の利用方法を確認しましょう。

電話相談の利用方法

交通事故に関する簡単な質問であれば、電話で回答してもらうことが可能です。

10分程度のやり取りになるため、事前に質問したいことを整理し、必要書類を手元に用意してから電話をかけましょう。

なお、全国の相談所に転送されるナビダイヤルを使用しているため、面接相談を希望する場合は最寄りの相談所で電話予約する必要があります。

【電話相談の電話番号・相談時間など】

電話番号

0120-078325(ナビダイヤル)

相談受付時間

月曜日~金曜日(祝日を除く)10:00~16:30

※2022年4月から、水曜日のみ19:00まで相談時間が延長(祝日、第5週は除く)

参考:電話相談(無料)|日弁連交通事故相談センター

面接相談の利用方法

交通事故に関する詳しい相談をしたい場合は、面接相談で対応してもらうことが可能です。

1回あたり30分(原則5回まで)の面接となり、資料を確認してもらいながら相談できます。

面接相談を希望する場合は、まず最寄りの相談所に電話し、相談所の担当員に相談方法や相談日時などを確認しましょう。

【面接相談の電話番号・相談時間など】

電話番号

こちら 」から最寄りの相談所を探してください

相談受付時間

月曜日〜金曜日(祝日を除く)10:00~12:00、13:00~17:00

(※相談所によって異なる場合があります)

準備しておくと良いもの

日弁連交通事故相談センターの電話相談や面接相談は時間が限られています。

効率よく相談するためにも、あらかじめ以下のような資料を用意しておきましょう。

なお、資料は準備できるものだけで問題ありません。

  • 質問や相談したい内容をまとめたメモ
  • 交通事故証明書、事故状況がわかる図面、現場・物損などの証拠写真
  • 医療機関から受け取った診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書
  • 給与明細書や源泉所得票といった事故前の収入を証明できる資料
  • 賠償額の提示書・示談案などの相手方から受け取った書類・資料
  • そのほか、質問や相談したい内容と関係がある書類・資料

示談斡旋(あっせん)の手続きも可能?

日弁連交通事故相談センターは示談あっ旋にも対応していますが、示談あっ旋が適しているかどうかは相談担当弁護士が判断します。

弁護士が適していると判断した場合は、利用者は示談あっ旋の申し込みができます。

なお、申し込んでも相手方が不同意とした場合は、示談あっ旋はおこなわれません。

以下に詳しい条件をまとめておきます。

示談あっ旋が可能なケース

示談あっ旋が可能かどうかは、事故の種類や加害者が加入している保険会社・共済組合によって異なります。

そこで事故の種類ごとの示談あっ旋の可否についてまとめておきます。

事故の種類

示談あっ旋の可否

人損のみ

全て可能(自賠責保険のみ、自賠責共済のみ、無保険でも可能)

人損を伴う物損

全て可能(自賠責保険のみ、自賠責共済のみ、無保険でも可能)

物損のみ

損害保険会社の場合

以下の損害保険会社に加入している場合は「物損のみ」でも示談あっ旋が可能(令和3年4月現在)

1.あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

2.アクサ損害保険株式会社

3.イーデザイン損害保険株式会社

4.AIG損害保険株式会社

5.SBI損害保険株式会社

6.共栄火災海上保険株式会社

7.セコム損害保険株式会社

8.セゾン自動車火災保険株式会社

9.ソニー損害保険株式会社

10.損害保険ジャパン株式会社

11.大同火災海上保険株式会社

12.東京海上日動火災保険株式会社

13.日新火災海上保険株式会社

14.三井住友海上火災保険株式会社

15.三井ダイレクト損害保険株式会社

16.楽天損害保険株式会社

共済組合の場合

以下の共済組合に加入している場合は「物損のみ」でも示談あっ旋が可能

1.全労済の「マイカー共済」

2.教職員共済生協の「自動車共済」

3.JA共済連の「自動車共済」

4.自治協会・町村生協の「自動車共済」

5.都市生協の「自動車共済」

6.市有物件共済会の「自動車共済」

7.自治労共済生協の「自動車共済」

8.交協連の「自動車共済」

9.全自共の「自動車共済」

10.全自共と日火連の「自動車総合共済MAP(共同元受)」

参考: 示談あっ旋(無料)|日弁連交通事故相談センター

示談あっ旋が不可能なケース

示談あっ旋が不可能なケースには以下のような場合があります。

  • 相手方が示談あっ旋を拒否した場合
  • 調停か、訴訟手続に係属中である場合
  • ほかの機関にあっ旋を申し込んでいる場合
  • 不当な目的で申し込みをしたと認められる場合
  • 当事者が権利や権限を有しないと認められる場合
  • 弁護士法第72条違反の疑いがある人からの申し込みである場合
  • そのほか、示談あっ旋をおこなうのが適当ではないと認められる場合

交通事故の示談交渉なら弁護士への依頼がおすすめ

交通事故の示談交渉には、日弁連交通事故相談センターを利用する方法のほかに、一般的な弁護士に依頼する方法もあります。

弁護士に依頼した場合、日弁連交通事故相談センターに比べて、示談金が増える可能性がある、手間や負担を減らせるなどのメリットが期待できます。

そこで、弁護士に依頼するメリットについても紹介します。

示談金が増える可能性がある

示談金(損害賠償金)の支払基準には、自賠責基準、保険会社基準、弁護士基準(裁判所基準)の3つがあります。

日弁連交通事故相談センターでは最も支払基準が高い「弁護士基準」を基に示談金を算出しますが、公平・中立な立場からのあっ旋であるため、必ずしも被害者の利益が最大になるようには配慮してくれません。

弁護士に依頼すれば被害者の利益が最大になるよう交渉を進めてくれるため、受け取れる示談金が増える可能性が高くなることが期待できます。

保険会社との交渉を任せられる

日弁連交通事故相談センターを利用する場合は、原則として被害者自身が相談に出向く必要があります。

相談回数は最大で5回まで、示談あっ旋をおこなう場合はさらに通わなければなりません。

ほかにも、相談や交渉に必要な書類や資料を被害者自身が準備する手間もかかります。

弁護士に依頼した場合は、保険会社との交渉や資料の収集などの大部分を弁護士に任せることが可能です。

そのため、示談交渉の負担や手間を軽減できるでしょう。

弁護士特約を利用すれば費用も抑えられる

日弁連交通事故相談センターは全てのサポートを無料で受けられますが、一般的な弁護士事務所の場合は有料となっています。

しかし、弁護士特約付きの自動車保険に加入している場合は、法律相談料や、依頼した場合の弁護士費用を補償してもらうことが可能です。

保険金の限度額は「法律相談料が10万まで」「着手金・報酬金などが300万円まで」と設定されていることが多いですが、この補償内で済ませられるケースが多いでしょう。

最後に交通事故の示談交渉にお悩みの方は弁護士事務所に相談を

日弁連交通事故相談センターのサポートには電話相談・面接相談・示談あっ旋などがあり、いずれも無料で利用できることがメリットとなっています。

交通事故の民事上のトラブルで困っているときには、電話や面接などで日弁連交通事故相談センターの弁護士に相談してみるとよいでしょう。

一方で、センターで受け付けてもらえない示談交渉や手続きなどについては、弁護士に相談するのがおすすめです。

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この記事の監修者
アシロ 社内弁護士
この記事は、株式会社アシロの『ベンナビ交通事故編集部』が執筆、社内弁護士が監修しました。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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