交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
ベンナビ弁護士保険は、弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険です。
交通事故だけでなく、自転車事故、労働問題、離婚、相続トラブルなど幅広い法的トラブルで利用することができます。
弁護士保険で法律トラブルに備える
過失割合10対0の交通事故に遭った被害者は本来、加害者から車の修理費用や身体の治療費、そのほかかかった費用を全て支払ってもらう権利があります。
ただし、代車費用については、どのような条件下でも加害者側が請求に応じてくれるとは限りません。
事故車両よりも明らかにグレードが高い代車を使った場合、必要性がないのに代車をレンタルした場合、修理期間を超過して代車を使用し続けた場合などでは、代車費用をめぐって加害者側の保険会社との争訟に発展する可能性が高いです。
そこで本記事では、過失割合10対0の交通事故における代車費用の扱い、交通事故に巻き込まれたときに弁護士へ相談するメリットなどについてわかりやすく解説します。
ベンナビ交通事故では、代車費用をめぐる問題など交通事故でのトラブル解決に長けた弁護士を多数紹介中です。
初回相談無料などのサービスを提供している法律事務所も数多く掲載しているので、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。
交通事故の被害に遭ったときには、自車両を修理工場に出したり、新しく車を購入したりする期間中、代車を使用せざるを得ないケースは少なくありません。
そして、過失割合10対0の交通事故では、発生した全ての損害について加害者側へ賠償請求できます。
ただし、これは「交通事故と法律上の因果関係が認められる限りの代車費用」に限られる点には注意が必要です。
そのため、「なかなか新車の購入手続きが進まないから何年も代車を使用したい」などの要望はとおりにくいでしょう。
以上を踏まえると、過失割合10対0の交通事故の代車費用については以下3点が重要だといえるでしょう。
過失割合10対0の交通事故といえど、代車費用を無制限に請求できるわけではありません。
ここでは、過失割合10対0の交通事故において加害者側に代車費用を請求するための条件を5つ紹介します。
過失割合10対0の交通事故において代車費用を加害者側に請求するには、「実際に代車を使用した事実」が必要です。
不法行為に基づく損害賠償請求では、「実際に発生した損害」を前提に賠償額を算出します。
そのため、「代車を使用していれば〇〇万円かかったはず」という架空の事実を前提に、加害者側に仮定的代車費用を請求することはできません。
ただし、非常にまれなケースではあるものの、修理をおこなう必要があるのはほぼ確実であり、かつ代車費用がかかることが確実であるようなケースでは、代車を利用していない段階で将来の代車費用が認められる可能性もあります。
過失割合10対0の交通事故で加害者側に代車費用を請求するには、「実際に代車費用を支出した事実」が要求されます。
というのも、代車を使用したにもかかわらず費用負担が発生していないのなら、不法行為責任における「損害」も存在しないと扱われるからです。
例えば、ディーラーから無償で代車を貸し出してもらえた場合、知人や親族に無料で代車を借りた場合には、被害者側は一切の費用負担なく代車を使用できているので、代車費用の請求は認められないでしょう。
過失割合10対0の交通事故に遭ったときの代車費用は、「適切な金額」の範囲でしか加害者側に請求できません。
具体的には、「事故に遭った車両と同種・同年式の代車を使用したときの費用」が上限とされます。
例えば、軽自動車を運転中に交通事故に遭ったとき、高級車を代車として使ったとしても、加害者側に請求できるのは「代車として軽自動車を使用したときに生じる費用」に限られます。
事故車両が軽自動車なら代車も軽自動車、事故車両が国産普通車なら代車も同じグレードの国産普通車、といった基準で算定されます。
ただし、高級外車を運転中に交通事故に遭ったときの代車費用については注意が必要です。
一概には言えないものの、もし高級外車が交通事故で損傷しても、国産高級車の代車費用程度の賠償しか認めないのが通常です。
そもそも代車費用は、「代替的な交通手段を確保するために緊急的に要した車両費用」という性質の項目であり、「自家用車を保有している状態」自体を補填するものではありません。
国産軽自動車・国産普通車程度なら標準的な国民が使用している常識的な範囲なので代車費用が認められますが、ブランド的価値のある嗜好品としての車両についてはそのまま代車費用は請求しにくいでしょう。
過失割合10対0の交通事故で代車費用を請求できるのは、「実際に代車を使用する必要性があるとき」に限られます(代車使用の必要性)。
例えば、通勤・通学・通院などに自動車を欠かせない場合、営業車として自動車を使用していた場合、普段の買い物などで日常的にマイカーを使用していた場合などでは、代車の必要性があると判断されやすいでしょう。
これに対して、普段はまったく自動車を使用する機会がなく、レジャーの際などに自動車を使っていた程度であれば、代車費用の請求は認められない可能性が高いでしょう。
過失割合10対0の交通事故で代車費用を加害者側に請求できるのは、「代車の必要性が認められる期間分」、つまり修理や買い替えに要する期間に限られます。
代車費用の請求が認められる目安となる期間は、修理の場合には約2週間、買い替えの場合には約1ヵ月間です。
もちろん、交換部品の調達に数週間を要する場合や、修理か買い替えの判断に迷うのが当然の場合には、代車の負担日数がさらに2週間前後増えてしまうことがあるようです。
代車を使用せざるを得ない事情が原因で使用期間が長期化しているにもかかわらず、加害者側の保険会社から代車費用の一部を認めない旨の主張がされたときには、速やかに弁護士へ相談・依頼をして加害者側の保険会社との間での協議を進めてもらいましょう。
ここでは、過失割合10対0の交通事故で代車を利用するときのポイント3つを紹介します。
実際に代車を使用したあとに、代車費用について加害者側とトラブルに発展するのは面倒なものです。
このようなトラブルを回避するためには、事前に加害者側の保険会社と代車の諸条件について話し合いを済ませておくとよいでしょう。
例えば、代車のグレード、代車の使用期間などについて事前に加害者側の保険会社から合意を得ておけば、代車費用の賠償について不安のない状態で代車を使用できるはずです。
特に、高級外車などのグレードの高い車両で事故に遭ったときには、どこまでの代車費用を任意で払ってくれるかについて加害者側の条件を確認しておきましょう。
代車費用についてあとから加害者側の保険会社とトラブルになったときに備えて、代車使用の必要性・代車種類の相当性・代車使用期間の相当性を根拠付ける証拠を確保しておくのがおすすめです。
証拠をあらかじめ確保しておけば、加害者側との示談交渉や民事訴訟でこちら側の主張を根拠付けるのに役立つでしょう。
例えば、通院のために代車を要したのなら治療費や薬代の明細、通勤のために代車を使用せざるを得ないなら自宅から会社に至るまでの経路を示す地図などを用意しておきましょう。
過失割合10対0の交通事故で被害を受けたときには、弁護士へまずは一度相談することをおすすめします。
というのも、交通事故トラブルを得意とする弁護士へ相談することで以下のメリットを得られるからです。
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被害者側が加入している車両保険に代車費用特約が付帯されている場合には、代車費用特約を活用するのも選択肢のひとつです。
代車費用特約(レンタカー費用特約/事故・故障時代車費用特約)とは、交通事故によって自分の車両が使えなくなったときに、修理期間や買い替え期間中、契約者が代車を借りる費用を補償してくれるものです。
保険会社によって特約プラン内容は異なりますが、「日額7,000円、補償期間30日間」などの条件が設定されていることが多いです。
加害者側に対して代車費用を請求できないケースでは、自分が加入している保険会社の特約を使えば自己負担なく代車費用の補償を受けることができるでしょう。
ただし、自分の代車費用特約を使用するときには、以下の点に注意しましょう。
加害者側の保険会社に対して代車費用を粘り強く請求するべきか、自分の契約する保険会社の特約を利用するべきかは、事案によって判断が分かれます。
ぜひ交通事故トラブルの経験豊富な弁護士のアドバイスを参考にしてください。
最後に、過失割合10対0の交通事故に遭った被害者側から寄せられる代車費用に関する質問を、Q&A形式で解説します。
代車費用は不法行為に基づく損害賠償における「損害」の項目のひとつです。
そして、交通事故で発生した損害については、当事者双方の過失割合を確定したうえでそれぞれの過失割合にしたがって損害額を分担するのが決まりです。
例えば、過失割合10対0の交通事故の場合には、被害者側の過失割合は0、加害者側の過失割合が100%なので、加害者側が代車費用を含む全ての損害額を支払わなければいけません。
また、過失割合1対9の交通事故の場合には、自分の過失割合が10%、相手方の過失割合が90%なので、この割合にしたがって賠償額が振り分けられます(実際には、過失相殺をして金銭を授受する運用がとられています)。
ただし、悪質な保険会社のなかには、「過失割合10対0の交通事故以外では代車費用を支払わない」などの運用をとっている会社も存在する点に注意が必要です。
加害者側の保険会社の言いなりになると、本来であれば一部でも請求できたはずの代車費用を全額こちら側で負担しなければいけなくなってしまいます。
保険会社は、少しでも自社の損失を減らそうとする傾向にあります。
万が一、加害者の加入する保険会社から代車費用の支払いを拒絶されたときには、念のために弁護士へ相談し、本当に代車費用を請求できない事案なのか、代車費用以外にも損をしているポイントの有無について確認してもらうべきでしょう。
実際に代車を使用した事実があり、代車種類の相当性・代車使用の必要性・代車使用期間の相当性の要件を満たす限りにおいて、代車費用を加害者側に請求できます。
「人身事故だから代車費用を請求できない」「代車費用を請求できるのは物損事故だけ」など、物損事故か人身事故かは、代車費用の請求可否には一切影響しません。
過失割合10対0の交通事故の場合、被害者側に生じた費用負担・損害額は全額加害者側に請求できるようにも思えます。
しかし、本記事で解説したように、「代車費用」というひとつの損害項目についても、代車使用の必要性などの要件を満たさない限り、加害者側に請求することはできません。
ほかにも、修理費用の範囲、過失割合の認定、後遺障害等級の問題など、交通事故に巻き込まれるとさまざまな事項について加害者側とのトラブルが生じかねません。
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