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過失割合についてゴネ得されそう!させないための対処法を解説

旭合同法律事務所
久保田 湧
監修記事
過失割合についてゴネ得されそう!させないための対処法を解説

交通事故後の話し合いのなかで、相手方が過失割合についてゴネていて困っている方も多いのではないでしょうか。

交通事故の過失割合とは、事故に対する責任の割合を指します。

当事者双方に過失がある場合、通常は各自の保険会社の担当者が話し合い、事故状況に応じて過失割合を決定します。

過失割合は客観的な視点から公平に決定されるべきですが、加害者によっては何かしらの理由をつけてゴネてくるケースもあります。

本記事では、加害者が過失割合でゴネ得を狙う理由やゴネ得を防ぐための対処法などを解説します。

相手が過失割合でゴネて困っているときに、弁護士へ依頼するメリットなども解説するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

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目次

加害者が過失割合でゴネ得を狙う4つの理由

加害者が過失割合でゴネ得を狙う理由は主に4つ挙げられます。

円滑な解決を目指すためにも、まずは相手の心理状況を把握することから始めましょう。

1.損害賠償額を低く抑えるため

加害者が過失割合でゴネ得を狙う理由のひとつは、損害賠償額を低く抑えるためです。

損害賠償額は、過失割合によって大きく変動します。

例えば、自身の車が破損して修理代に100万円かかる場合でも、自身に3割の過失があれば、100万円の3割にあたる30万円は自己負担になります。

そのため、加害者は相手の過失割合をできるだけ大きくし、自身の支払額を減らそうとすることがあります。

2.被害者が妥協するのを待つため

加害者は、被害者が妥協するのを待つために、過失割合でゴネていることがあります。

過失割合が決まらなければ、損害賠償額を算定することもできず、事件処理は一向に進みません。

そのため、時間だけが過ぎていく現状に被害者がしびれを切らし、妥協するケースは実際に多く見られます。

そして、被害者が妥協した分だけ、加害者が支払う賠償金の額は少なく済むわけです。

3.お金がなく、示談成立を先延ばしにしたいため

加害者が過失割合でゴネる理由のひとつには、お金がなく、示談の成立を遅らせたい場合があります。

示談交渉を遅滞させている間に、治療費や修理費などの支払いから逃れる方法を考えたり、支払いのための資金を準備したりしている可能性があります。

また、時間が経つことで証拠の信用性が薄れたり、証人の記憶が曖昧になったりすることを狙っている可能性もゼロではありません。

4.お互いに証拠がなく、納得できないため

事故時の状況に関するお互いの言い分が食い違うと、過失割合に納得できず、相手がゴネる可能性があります。

特にドライブレコーダーの映像がない場合などは、双方が自らが有利になるような主張をして、話し合いが平行線を>たどるケースも少なくありません。

また、相手側が過失割合を下げるために、嘘をついている可能性も十分考えられます。

この場合、事故現場近くにある防犯カメラの映像を確認したり、目撃者を探したりして、自ら主張を正当性できる証拠を集めなければなりません。

交通事故の過失割合で相手がゴネるのを許さないためのコツ

交通事故の過失割合について、相手方が執拗にゴネる場合には、しかるべき対応をとる必要があります。

ここでは、ゴネ得を許さないためのコツを解説するので参考にしてみてください。

相手が主張する過失割合の根拠を書面で提出するよう要求する

加害者が過失割合についてゴネている場合は、主張の根拠を文書で提出するよう求めましょう。

相手方の根拠を詳細に把握できれば、こちらも反論を考えやすくなるためです。

また、書面で提出してもらうことで、あとで「言った言ってない」の水掛け論になるリスクも回避できることがあります。

仮に根拠が提示されなければ、加害者の主張が正当でないことを証明できる場合があります。

相手の主張を裏付ける客観的な証拠を提出するよう求める

相手のゴネ得を防ぐためには、主張を裏付ける客観的な証拠の提出を求めることも大切です。

客観的な証拠があれば、お互いの感情的な意見を抜きにして、過失割合を判断できるようになります。

とはいえ、相手が頑なにゴネているような場合には、証拠を持ち合わせていないケースがほとんどでしょう。

相手が証拠もなく主張を押しつけていることがわかれば、こちらとしても被害者として強気な姿勢をとることができます。

こちらの主張を裏付ける客観的な証拠を用意する

相手が過失割合でゴネている場合には、こちらの主張を裏付ける証拠を用意して、提示しましょう。

決定的な証拠を突きつければ、相手もゴネ続けることは難しくなるはずです。

具体的には、以下のようなものが証拠として役立てられます。

  • ドライブレコーダーの映像
  • 現場付近にある防犯カメラの映像
  • 事故直後の会話を記録した音声データ

裁判に発展した場合でも上記の証拠は有力な証拠となるので、できるだけ多く集めておくことが大切です。

目撃者がいれば証言してもらうよう依頼する

交通事故の現場に目撃者がいる場合は、証言してもらえるように依頼してみてください。

目撃者の証言は、証拠として有効な場合があります。

事故当時に目撃者を見つけられていない場合は、現場での聞き込みやSNSを利用するなどの方法があります。

記憶は時間とともに曖昧になるため、できるだけ早く証言を集めることが重要です。

また、目撃者は自身と利害関係にない、中立的な立場の人物であるほうが望ましいです。

実況見分調書や供述調書といった刑事記録を提出する

実況見分調書や供述調書といった刑事記録を提出することも、相手が過失割合でゴネた場合の対処法といえます。

  • 実況見分調書:警察が事故現場の状況を調査し、書面にまとめたもの
  • 供述調書:警察が事故当事者や目撃者の供述を聞き取り、書面にまとめたもの

いずれも事故に関する重要な情報が記載された書類であり、過失割合を判断する際の証拠となるものです。

加害者の起訴・不起訴が決定したあとであれば、一定の場合に開示してもらえるので、検察庁に対する申請手続きをおこなってください。

弁護士に対応を相談・依頼する

相手が過失割合に納得しない場合、最も有効な対処法は弁護士に対応を依頼することです。

弁護士は過失割合の算定方法を熟知しており、警察や検察から必要な証拠を取得できます。

弁護士から法的根拠のある主張をされると、相手も反論が難しくなるでしょう。

また、弁護士は交渉のプロでもあるので、双方の利益を最大限考慮した解決策を見つけ出し、円滑な解決に導いてくれるはずです。

さらに当事者間での話し合いが難しいと判断した場合には裁判に持ち込めるため、相手方が理由もなくゴネ続ける事態を回避しやすくなります。

相手が過失割合でゴネて困っているときに弁護士へ依頼するメリット

相手が過失割合でゴネて困っているときは、自分で解決しようとせず、弁護士にサポートを求めるようにしましょう。

ここでは、弁護士に依頼する3つのメリットを解説します。

弁護士であれば正しい過失割合を算定し、相手へ適切に主張できる

弁護士に依頼するメリットのひとつは、正しい過失割合を算定し、相手へ適切に主張できることです。

過失割合は事故の具体的な状況によって異なるため、専門的な知識や経験がなければ正確に算定することはできません。

そもそも正しい過失割合がわからないなかでは、相手方の言い分を否定することも難しいでしょう。

その点、交通事故問題が得意な弁護士は、過失割合に関する法律や過去の判例に精通しています。

根拠をもって、相手の提示する過失割合の誤りを指摘しつつ、正しい過失割合を主張できるので、反論を防ぐことが可能です。

弁護士であれば有効な証拠を用意できる

過失割合の主張に役立つ証拠を用意できる可能性がある点も、弁護士に依頼するメリットといえるでしょう。

弁護士に依頼すれば、以下のような証拠を速やかに収集してもらうことができる場合があります。

  • 事故現場周辺の防犯カメラ映像
  • 実況見分調書・供述調書などの刑事記録
  • 車両の損傷状況がわかる資料
  • 目撃者の証言

収集すべき証拠の種類は、事故の状況によって異なります。

被害者自身が証拠収集に動いても、防犯カメラの所有者や目撃者が協力してくれるとは限りません。

そのため、個人で証拠を漏れなく集めることは難しいです。

弁護士は交渉を得意としている

過失割合の交渉では、適切な過失割合の把握や証拠の準備に加え、交渉力も重要です。

過失割合は損害賠償額に影響するため、被害者が正しい主張をしても、加害者側の保険会社が合意するとは限りません。

保険会社はあえて専門用語を多用したり、高圧的な態度を取ったりすることがあります。

そのため、素人が交渉に臨んでも、言い負かされることもあるでしょう。

しかし、弁護士が交渉に加わると状況が変わります。

弁護士は法律の専門知識を持ち、交渉に慣れているため、保険会社と対等に会話ができます。

また、相手に弁護士がついていることがわかった途端、裁判への発展をおそれた保険会社が態度を変えてくるケースも少なくありません。

あまりお金をかけず弁護士に相談・依頼する方法

費用を抑えつつ弁護士に依頼する方法は、以下のとおりです。

弁護士特約を利用する

弁護士特約を利用すれば、弁護士への依頼費用の負担を抑えられます。

弁護士特約とは、弁護士費用の支払いを保険会社が肩代わりしてくれる制度のことです。

一般的には、自動車保険や火災保険などに付帯しており、300万円程度が補償限度額とされています。

家族が弁護士特約に加入している場合も利用できる場合があるので、一度保険会社に確認してみるとよいでしょう。

日弁連交通事故相談センターを利用する

あまりお金をかけずに弁護士に相談したい場合には、日弁連交通事故相談センターを利用するのもよいでしょう。

日弁連交通事故相談センターは、弁護士が無料で公正・中立の立場で相談を受ける公益財団法人です。

自動車による交通事故の民事上の法律問題に関して、電話相談、面接相談、示談あっせん・審査を、基本的に無料でおこなっています。

電話相談は10分程度、面談相談は30分・5回まで対応してもらうことができます。

面談相談の結果、話し合いによる和解が見込まれる場合は、相手方の同意を得たうえで「示談あっせん」を実施することが可能です。

示談あっせんが不調となった場合、相手方が指定の共済に加入していれば「審査」へ移行できます。

そして、弁護士によって構成される審査委員会の審査結果について、被害者が同意した場合には、示談成立書が作成されます。

気になる方は、公式サイトで詳細を確認してみてください。

交通事故紛争処理センターを利用する

交通事故紛争処理センターを利用すれば、あまりお金をかけずに弁護士に相談できます。

交通事故紛争処理センターは、中立の立場で交通事故トラブルの解決を図る公益財団法人です。

無料で法律相談、和解あっせん、審査手続きに対応してもらうことができます。

なお、交通事故紛争処理センターの和解あっせんを利用できるのは、損害賠償額が確定できる状態になってからです。

治療中や後遺障害等級認定の手続き中の場合には、利用できないので注意してください。

最寄りの交通事故紛争処理センターは公式サイトで確認できます。

ベンナビ交通事故で希望にあう弁護士を探す

交通事故などの法的トラブルに巻き込まれた場合、迅速かつ適切な対応が重要です。

しかし、弁護士への相談や依頼には高額な費用がかかることが多いため、経済的な負担が気になる方も多いでしょう。

あまりお金をかけずに弁護士に相談・依頼するための方法として、「ベンナビ交通事故」を活用するのがおすすめです。

ベンナビ交通事故には、交通事故トラブルを得意とする弁護士が多数登録されています。

検索結果の絞り込み機能があるため、初回無料相談に対応している法律事務所だけをピックアップすることも可能です。

交通事故トラブルに関しては、着手金を無料に設定している事務所も多いので、まずは一度、気軽に相談してみることをおすすめします。

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相手の主張する過失割合がおかしい?覚えておきたい過失割合の決め方

最後に、覚えておきたい過失割合の決め方について解説します。

過失割合を決める基準が存在する

過失割合には、過去の判例などをもとにした基準が存在します。

弁護士・保険会社・裁判所などが共通の基準を理解しておくことで、極端に非合理的な過失割合になってしまうことを防ぐことができるわけです。

一般的には、別冊判例タイムズの「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」にまとめられた基準を参考に、過失割合が判断されることが多いです。

なお、別冊判例タイムズは個人でも購入できますが、読解するには法的な知識が求められるうえ、実際の事故に応用するには高いハードルがあることを理解しておきましょう。

基準に基づく過失割合の例

以下は、車対車の事故における具体的な過失割合の例です。

事故の状況

基本的な過失割合の考え方

信号がない交差点で直進車Aと右折車Bが衝突

(右折が完了している場合はA:B=40:60)

T字路で直進車Aと左折・右折する車Bが衝突

A:B=30:70

直進車Aと道路に進入する車Bが衝突

A:B=20:80

前方車Aと追い越そうとした車Bが衝突

A:B=20:80

(追い越し禁止の場合はA:B=10:90)

前方車Aの理由のない急ブレーキで後続

車Bが衝突 A:B=30:70

上記の過失割合は、あくまでも目安を示したものです。

実際には信号機の点灯状況や道幅など、さまざまな要素が加味されることになります。

「修正要素」にもとづき過失割合を調整する

修正要素とは、過失割合を調整する際に考慮される事情のことです。

事故の状況によっては、基本過失割合をそのまま適用するのは不公平になるため、修正要素を用いて過失割合を調整します。

具体的には、以下のような修正要素を考慮しながら過失割合が加算・減算されます。

修正要素

事故の時間帯

夜間

事故の場所

幹線道路
住宅街・繁華街など人通りが多い場所
見通しが悪い道路
歩道・車道の区別がない道路

被害者の年齢など

幼児・児童
高齢者
身体障害者

著しい過失

速度違反(時速30km未満)
前方不注意
携帯電話を使用しながらの運転
酒気帯び運転
不適切なハンドル・ブレーキ操作

重過失

速度違反(時速30㎞超)
居眠り運転
無免許運転
酒酔い運転

事故の状況

歩行者の飛び出し・立ち止まり
直前直後横断
ふらつき運転・ふらつき歩行

車種

大型車

さいごに|過失割合でゴネ得されそうなら弁護士へ相談!

交通事故に遭った場合、相手方から過失割合を提示されたとしてもそれが正しいとは限りません。

損害賠償額を低く抑えるために、相手方の都合がいいように過失割合を算定している可能性もあります。

そのため、過失割合に納得できない場合は、根拠を持って粘り強く反論することが重要です。

もし、過失割合でゴネ得されそうな場合は弁護士に相談・依頼してください。

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この記事の監修者
旭合同法律事務所
久保田 湧 (愛知県弁護士会)
幅広い経験を持つ弁護士が多数在籍しており、それぞれの得意分野を活かした多角的な問題解決への取り組みが可能です。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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