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交通事故の過失割合に納得いかない!割合がおかしいと感じるときの対処法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
交通事故の過失割合に納得いかない!割合がおかしいと感じるときの対処法

保険会社から過失割合を提示されても、示談成立前であれば内容について交渉することは可能です。

過失割合に納得できない場合には、示談書にサインをせずに交渉を継続したほうがよいでしょう。

加害者や保険会社が主張する過失割合が、絶対に正しいものであるとは限りません。

自身の過失が必要以上に大きく認定されていると感じるのであれば、過失割合の見直しを要求するべきです。

本記事では、過失割合の決定方法や納得いかないときの対処法を紹介します。

過失割合でお悩みの場合は、参考にしてみてください。

【関連記事】交通事故の過失割合に納得いかない!対処法と相談先まとめ

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過失割合は判例を参考に判断される

過失割合は、事故当事者が加入する保険会社同士が判例(過去の裁判結果)を参考にして判断するケースが一般的です。

保険会社が参考にする判例は『判例タイムズ』に掲載されています。

別冊判例タイムズ38 過失相殺率の認定基準
引用元:民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版] 別冊判例タイムズ38号 別冊38号 (2014年07月04日発売)

保険会社が判断した過失割合に事故当事者が合意すれば、過失割合は確定します。

つまり、保険会社から提示された段階では、過失割合は確定したわけではありません

交渉次第では変更できる可能性があるでしょう。

保険会社が提示する過失割合は必ず正しいとは限らない

保険会社が提示する過失割合が必ず正しいという保証はありません。

過失割合の認定で保険会社が判断を誤ってしまうケースは多々あります。

ここでは、不適切な過失割合が認定されてしまう原因を2つ紹介します。

不適切な過失割合が認定される原因

  • 適切な判例が参考にされていない
  • 修正要素が反映されていない

適切な判例が参考にされていない

保険会社は『判例タイムズ』に掲載されている似た状況の事故を参考にして過失割合を判断しています。

しかし、保険会社が参考にした判例が適切でないケースもあります。

交通事故では、まったく同じ状況の事故は存在しません。

そのため、保険会社はどの判例を参考にするか判断することが必要ですが、そこで参考にする判例を間違ってしまう場合があるのです。

保険会社が参考にした判例よりも、もっと事故状況が似た別の判例が存在するかもしれません。

保険会社の提示する過失割合に納得いかない場合には、どの判例を参考に、過失割合を判断したのか確認したほうがよいでしょう。

修正要素が反映されていない

「スピード違反をしていた」「脇見運転をしていた」など、交通事故が起こったときに違反行為が見られる場合、違反者に過失割合の加算がおこなわれます。

このような過失割合が増減する要素を修正要素といいます。

たとえば、自動車同士の事故で以下の修正要素がある場合、過失割合が5%〜20%程度加算される可能性があります。

車同士の事故の修正要素

  • 脇見運転などの前方不注視
  • 15キロ〜30キロの速度違反
  • 30キロ以上の速度違反(重過失)
  • 直進車の至近距離での右折
  • 中央に寄らない右折
  • 大型車両の運転
  • 酒気帯び運転
  • 飲酒運転(重過失)
  • 居眠り運転
  • 無免許運転

しかし、保険会社が提示する過失割合では、この修正要素が見落とされている場合があります。

加害者に違反行為が見られる事故であれば、修正要素がきちんと反映されているか保険会社に確認してみてください。

過失割合の認定でよくある誤解

交通事故の過失割合認定でよくある誤解を3つ紹介します。

以下のような主張で納得いかない過失割合を提示されている場合には、安易に示談に応じないように注意してください。

過失割合でよくある誤解

  • 動く車同士では「0対10」はあり得ない
  • 駐車場事故の過失割合は「5対5」が基本
  • 事故直後に謝ったら不利になる

誤解1.動く自動車同士では「0対10」はあり得ない

理由のない急ブレーキ以外での後ろからの追突や、交差点での信号無視によるセンターラインオーバーなど、動いている自動車事故でも「0対10」の過失割合が判断される判例は存在します

また、「1対9」や「2対8」の事故であれば、修正要素により「0対10」になる可能性も十分にあり得ます。

「動いている車同士では『0対10』はあり得ない」というのは誤解です。

「あなたも動いていたから」という理由だけで過失を問われている場合には、その過失割合は適切でない可能性が高いので注意してください。

誤解2.駐車場事故の過失割合は「5対5」が基本

駐車場(私有地)での事故は、道路交通法が適用されません。

そのため、駐車場事故では「5対5」の過失割合が基本になる、と主張する保険会社も存在するようです。

しかし、判例タイムズには駐車場事故の判例も記載されています

単に駐車場事故だからという理由で「5対5」の過失割合を主張されている場合には、示談に応じないほうがよいでしょう。

誤解3.事故直後に謝ったら不利になる

交通事故直後に相手に謝罪したとしても、それが理由で過失割合の認定が不利になることはありません。

過失割合はあくまで事故の状況を客観的に見て判断するものだからです。

ただし、事故直後に「私が全て悪いです。すみませんでした」などと謝罪をしてしまうと、相手が自分に過失があることに納得できず、示談が難航してしまう恐れがあります。

謝罪がいけないわけではありませんが、事故の責任を認めるような発言はできるだけ避けたほうがよいでしょう。

過失割合が不適切な状態で示談することのリスク

過失割合は、被害者が受け取れる示談金の額に影響する非常に重要な要素です。

たとえば、交通事故の被害が300万円の場合には、過失割合が「1」変わるだけで支払われる示談金の額が30万円も変わります。

このような過失割合による示談金の増減を過失相殺といいます。

不適切な過失割合で示談してしまうと、本来であれば相手に請求できたはずの賠償金の分を自己負担しなければいけません

保険会社から提示された過失割合が少しでもおかしいと感じる場合には、示談には決して応じないようにしてください。

過失割合に納得いかないときの対処法

保険会社から提示された過失割合に納得できないときの対処法を2つ紹介します。

過失割合に納得いかない時の対処法

  • 証拠を提示して割合の見直しを要求する
  • 弁護士に示談交渉を依頼する

1.過失割合の見直しを要求する

過失割合の見直しを要求する場合には、その根拠を提示する必要があります。

判例タイムズの判例、事故状況を示す実況見分調書、ドライブレコーダーの記録や目撃者の証言などを用意して、保険会社に交渉を持ちかけましょう。

明確な根拠を提示しての交渉であれば、保険会社が過失割合の見直しに応じてくれる可能性が高くなります。

まずは自分の状況で過失割合を修正する方法がないか、専門家に相談をして確認されることをおすすめします。

2.弁護士に示談交渉を依頼する

交通事故問題の解決経験が豊富な弁護士に依頼すれば、法的な根拠を提示しながら被害者が有利になるように主張や立証をしてくれるので、保険会社が過失割合の修正に応じてくれる可能性が高いです。

また、弁護士に示談交渉を依頼した場合、過失割合だけではなく示談金の額についても見直してもらえます

特に大きな怪我を負わされた事故では、慰謝料の大幅な増額が見込めるでしょう。

弁護士介入後過失割合修正による慰謝料増額例

自分だけで過失割合について交渉することが難しいと感じたり、事故による被害額が大きいと感じたりする場合には、弁護士への依頼を検討してみてください。

過失割合に相手側が納得しないときの対処法

交通事故の示談は、事故当事者同士の合意によって成立します。

そのため、適切な過失割合を主張したとしても、事故の相手が示談に応じない場合には、損害賠償を請求することができません

そのような状況では、訴訟を起こし裁判所で過失割合の認定を受けて、損害賠償請求をおこなう必要があります。

しかし、このような手続きは法律の知識がないと厳しいのが実情です。

訴訟を検討する場合には、弁護士に手続きを依頼することをおすすめします。

まとめ

交通事故の過失割合は、保険会社が判例(過去の裁判)の過失割合を参考に判断しています。

しかし、適切な判例が参考にされていなかったり、修正要素が考慮されていなかったりするなど、必ずしも適切な過失割合が判断されているとは限りません。

保険会社が提示する過失割合が不適切である可能性は十分にあり得ます。

保険会社から提示された過失割合に納得いかない場合には、交通事故を得意とする弁護士に相談して、有効な対処法を確認しましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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