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路面が凍結した道路や雨後の道路はすべりやすく、スリップ事故も起きやすくなっています。2019年の統計では、凍結・積雪により全国で39件の死亡事故が発生しています。
(参考:交通事故総合分析センター)
スリップ事故で争点となるのは、交通事故が起きたときの過失割合です。スリップ事故の場合、事故状況を踏まえて個別に検討する必要があります。
この記事では、状況別に見る過失割合や過失割合を左右する4つのポイントなどを紹介します。
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状況別の過失割合について紹介します。
スリップした車に追突されたという場合、基本的には追突車両に100%過失がありますが、「前方車両が急停止したような場合で後方車両が急ブレーキを踏まざるを得ず、結果、スリップしてコントロール不能となった」という場合、前方車両にも一定の過失が認められる可能性は否定できません。
玉突き事故の場合は、基本的には最初に追突した車両の責任が大きいとされています。この点はスリップ事故でも同じです。追突された前方車両にも急停止・スリップなどの異常が発生し、追突車両が衝突を避けることが容易ではなかったような場合には、前方車両にも一定の責任が生じる可能性があります。
また、追突車両に追突した後方車両は十分な車間を取っていなかった点に過失が認められるのが通常です。それぞれの過失割合がどの程度かはケースバイケースです。
例えばC車両が最初に追突したのであれば、基本はA、Bともに0、Cが100でしょうが、Bが最初に追突したのであればA0、B70、C30程度となるのが通常かと思われます。
この場合、バイクや自転車がスリップしてコントロール不能となり衝突したのであれば、基本的にはスリップした側の過失割合が大きいでしょう。ただ、当該スリップについて相手や第三者に原因がある場合は、それを踏まえて過失割合を検討する必要があります。
スリップ事故の過失割合については状況に応じて検討する必要があります。例えば以下のような点を検討するべきでしょう。
雪道やアイスバーン状態の道路で不用意にブレーキを踏めばスリップの原因となるのは常識です。そのため、スリップ事故の場合急ブレーキの有無については考慮要素の一つと言えそうです。
一般的に雪道を車で走行する場合、タイヤチェーンやスタッドレスタイヤなどのスリップ対策を行うべきは当然です。このような対策を講じているかどうかも考慮要素の一つでしょう。
前方車両が不用意に急停止したので追突したという場合でも、後方車両が十分な車間距離を取っていなかったり、走行速度が早すぎたりという場合は、前方車両の過失割合を主張するのは難しいかもしれません。
特に凍結路面や雪道では通常以上の車間距離を取るべきですし、走行速度も制限速度を下回る速度で走行するべき場合もあります。
例えば、スレッドタイヤであっても凍結路面では、時速40kmで走行した場合完全停止するまで78.7m必要です(参考:国土交通省 北陸地方整備局 長岡国道事務所)。このように、路面状態によっては通常以上に走行速度や車間距離に注意すべき場合もあります。
凍結した道路で急ブレーキをかけると、タイヤにロックがかかり、スリップを起こします。これが引き金となり、スリップ事故が起きることもあるのですが、減速するにはやはりブレーキをかけなければなりません。
まれに、急ブレーキをかけるのに迷いが出て、ブレーキの踏み込みが甘かったり、急ハンドルによってスリップを起こした車がスピンしたり、対向車線をはみ出したりして車道を塞いでしまうことがあります。
しかし、ブレーキをしっかりと踏み込み、ハンドル操作を誤らなければ、スピンすることはほぼありません。このような運転操作上の問題も過失割合の算定で考慮される可能性があります。
交通事故の態様によっては過失割合をシビアに争うことになる可能性もあります。過失割合が1割増減するだけで損害賠償の絶対額が大きく変動する可能性があります。過失割合に納得がいかない場合は、交通事故問題の得意な弁護士への相談を検討しても良いでしょう。
結局、スリップ事故に関わらず、交通事故の過失割合は事故の客観的状況を踏まえつつ、各当事者の予見可能性の有無・程度、結果回避可能性の有無・程度、結果への寄与の程度によって過失の有無・程度が定まります。
例えば、雪道の事故であれば、雪道で滑りやすくなっていることは運転手なら通常予見可能ですから、これを踏まえて適切な車間距離を取っていたかスピードを抑えていたか、スリップ対策を講じていたかなどが過失判断のポイントとなり得ます。
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