交通事故によって怪我をした場合、車の運転ができなくなり、バスやタクシーを利用することになるかもしれません。
事故がなければ必要のない出費だったのに、被害者自身で支出しなければならないのでしょうか? その答えはNOです。交通事故と法的な因果関係のある交通費は、加害者に請求することができます。
この記事では、『請求できる交通費・できない交通費』や『請求するタイミング』などについて説明していますので、気になる方は読んでみてください。
交通事故の交通費請求で悩んでいる方へ
交通事故の怪我の治療のために交通機関を使った場合、基本的には交通費請求が可能です。
ただし、なかには請求できるかどうか曖昧なケースや、相手が支払いに応じないケースなどもあります。
自分が支払った分をしっかり受け取りたい方は、弁護士への依頼をおすすめします。
弁護士に依頼するメリットは以下の3つです。
- 法的視点から請求可能かどうか判断してもらえる
- 交通費含めた損害賠償請求を代わってもらえる
- 慰謝料について増額する可能性が高い
弁護士のサポートを得ることで、被害状況に見合った額の金額を受け取れるでしょう。一人で悩まずに、まずはお近くの弁護士にご相談ください。
損害賠償金の中で、交通費は『積極損害』にあたる
交通事故が起きると、加害者から被害者に、『損害賠償金』が支払われます。損害賠償金は、以下のような内訳で構成されています。
①積極損害
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事故により、被害者が出費を余儀なくされたもの
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②休業損害
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事故により、仕事を休んでしまったことで、減った給料
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③慰謝料
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精神的苦痛に対するお金
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④逸失利益
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失われた将来の収入に対するお金
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交通費は、上記の①の『積極損害』にあたります。事故がなければ、通院のための交通費を払う必要はなかったからです。
交通事故で請求できる、通院にかかる交通費
事故に遭うことがなければ、病院に行く必要はなかったはず。したがって、通院にかかる交通費は加害者に請求できます。では、どのようなものが認められるのでしょうか。
ガソリン代
車を運転できる程度の怪我であれば、車で通院するかもしれません。その場合は、ガソリン代を請求できます。どの病院に通ったかわかる書類と、ガソリン代の領収書を保管しておきましょう。
駐車場代・有料道路代
通院の際、有料の駐車場や、高速道路を利用した場合には実費を請求できます。駐車場代についてはすんなり認められますが、高速道路に関しては、利用する必要が本当にあったかどうかで判断されます。
- 病院まで、高速道路を使用する必要のある距離かどうか
- 遠い距離にある病院に通うのはなぜなのか
上記2点にきちんとした理由がないと、負担してもらえない可能性もあります。事前に相手方と相談しておいた方がいいでしょう。
バス代・電車代
公共交通機関を使って通院する場合、その運賃が負担されます。
公共交通機関に関しては、毎回領収書を保管しておく必要はありません。運賃は毎回一定だからです。
通院したことがわかるもの(領収書など)があれば、通院回数に応じた運賃が負担されます。
タクシー代
車や公共交通機関での通院が難しいと、客観的に明らかであるような場合、タクシーによる通院費用を請求する余地はあります。
タクシー代は料金が一定ではないので、領収書をきちんと保管しておいてください。
付添人の交通費
通院対象者が子供の場合、付添人の交通費(親)も負担される場合があります。これに関しては、事前に相手方と相談しておきましょう。
付添人の交通費は、公共交通機関を利用した通院の場合のみ負担されます。なぜなら、車(タクシー含む)での通院の場合、人数によって交通費が変わるわけではないからです。
また、両親そろっての付添いは必ずしも必要なものではありません。そのため、交通費は1人分しか負担されない可能性が高いでしょう。
通勤にかかる交通費も負担してもらえる!
交通事故による怪我で、通勤方法が変わってしまうこともあるでしょう。それによって交通費が増加した場合には、差額を負担してもらえる可能性があります。
- 車通勤だったが、運転できないのでタクシー通勤に変わった
- 電車通勤だったか、電車に乗れないのでタクシー通勤に変わった
- 自転車通勤ができなくなったので、バス通勤に変わった
など、怪我をしたとしても、通勤方法が変わらないのであれば、交通費は負担されない可能性が高いです。事故に遭っていなかったとしても、交通費は発生していたからです。
通院費・通勤費以外の交通費は負担してもらえないの?
基本的に、『事故と相当因果関係がある範囲』で、加害者が交通費を負担することになっています。
では、『通院・通勤』以外での移動で、交通費は負担されるのでしょうか。ケースバイケースではありますが、一般的な考えをご紹介します。
親が運転できなくなったときの、子の交通費
親が運転不可能になってしまい、子の送迎にタクシーを利用する場合の交通費は、負担してもらえない可能性が高いようです。
父が運転できないなら、母が運転したり、バスや電車を利用したりするなど、他の手段が残されているからです。
幼児の送迎など、特別な事情がある場合は負担される可能性もありますので、相手方と相談してみてください。
生きていく上で必要な移動にかかる交通費
食料品の買い出しなど、生きていく上で必要な交通費も一般的には負担されにくいようです。これも、『必ずしも車を利用する必要はない』というのが理由です。
こちらに関しては、車以外の手段を検討した方がよいでしょう。
冠婚葬祭にかかる交通費
生きていく上で必ずしも必要ではないが、参加するのが社会通念上当たり前な行事のための交通費、これも負担してもらえる可能性は低いようです。
事故とは直接関係がないことと、他の手段で代替可能なことが主な理由のようです。
こちらに関しても、別の手段を検討しましょう。
交通費が請求できるのは示談のタイミング
交通費が請求できるのは、基本的に示談のタイミングです。
示談のタイミングとは、『怪我の治療が完了し、事故で発生した損害がすべて確定した後』になります。
金銭的に苦しく、示談より先に交通費を請求したい場合は、相手方に相談しましょう。
まとめ
この記事の中で、重要なポイントをまとめました。
事故により、負った怪我の治療にかかる交通費は、負担してもらえる可能性が高い
事故により、車が運転できなくなった場合、電車代やタクシー代が負担してもらえる可能性が高い
通院、通勤以外の交通費が負担されるかどうかは、ケースバイケース
加害者が交通費を負担すべき範囲は、『事故と関係がある部分まで』とあいまいになっています。高額な交通費がかかるにもかかわらず、相手方が負担してくれそうにない場合、弁護士に相談しましょう。
弁護士に依頼することで交通費を負担してもらえるかもしれないだけでなく、慰謝料などの損害賠償金まで増額する可能性があります。