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骨折の慰謝料相場はいくら?計算方法・後遺障害・増額のコツも解説

藤垣 圭介
監修記事
骨折の慰謝料相場はいくら?計算方法・後遺障害・増額のコツも解説

交通事故で骨折した場合の慰謝料相場は、弁護士基準で計算すると、通院3ヵ月で73万円、通院6ヵ月で116万円、通院12ヵ月で154万円です(重傷・通院のみの場合)。

さらに後遺症が残って後遺障害等級が認定されると、等級に応じて110万円(14級)から2,800万円(1級)の後遺障害慰謝料を追加で請求できます。

ただし、保険会社が最初に提示してくる金額は、これより大幅に低いケースがほとんどです。

保険会社が自賠責基準や任意保険基準という低い基準で算定しているためで、弁護士基準で計算し直すと、後遺障害分では2〜3倍に増額することもあります。

本記事では、骨折の慰謝料相場を入通院期間別・部位別・後遺障害等級別に解説し、適正な金額を受け取るためのポイントや、実際に弁護士の介入で高額の賠償金を獲得した事例も紹介します。

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目次

【結論】交通事故の骨折慰謝料は弁護士基準で116万円が相場

交通事故で骨折した場合の慰謝料相場は、弁護士基準で計算すると通院3ヵ月で73万円・通院6ヵ月で116万円・通院12ヵ月で154万円です(重傷・通院のみの場合)。

入院を伴えば、さらに高額になります。

加えて、後遺症が残って後遺障害等級が認定されると、等級に応じて110万円(14級)から2,800万円(1級)の後遺障害慰謝料を上乗せして請求できます。

ただし、保険会社が最初に提示してくる金額は、弁護士基準より大幅に低いケースがほとんどです。

保険会社は一般的に、自賠責基準や任意保険基準をもとに示談案を提示することが多いためで、後遺障害分では弁護士基準が自賠責基準の約2〜3倍になることもあります。

適正な慰謝料を受け取るには、最も高額な弁護士基準での請求が欠かせません。

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「保険会社から提示された金額は妥当なのか」「本当はいくら受け取れるのか」こうした疑問は、ベンナビ交通事故の慰謝料計算ツールで確認できます。

年齢や通院期間などを入力すると、保険会社の想定提示額と弁護士基準での適正金額の両方が表示されます。

両者の差額が、交渉によって増額できる可能性のある金額の目安です。

骨折は入院を伴ったり治療が長引いたりするケースが多く、金額の幅も大きくなりがちです。

早見表はあくまで目安ですが、このツールなら入院期間や通院頻度をふまえた、あなたのケースに近い金額がわかります。

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交通事故における骨折の慰謝料は2種類ある

交通事故で骨折した場合に請求できる慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2種類です。

入通院慰謝料は治療のために入院・通院した精神的苦痛への補償で、後遺障害慰謝料は治療しても症状が残り、後遺障害等級が認定された場合に請求できる補償です。

2つは性質が異なり、後遺障害慰謝料は後遺症が残ったケースでのみ請求できます。

両者の違いを理解しておくと、自分が受け取れる金額の全体像をつかみやすくなります。

①入通院慰謝料|入院・通院による精神的苦痛への補償

入通院慰謝料とは、交通事故でけがを負い、治療のために入院・通院したことによる精神的苦痛への補償です。

骨折で1日でも入院や通院をすれば、請求の対象になります。

金額は入院期間・通院期間の長さをもとに計算されます。

骨折は客観的に症状がわかる「他覚所見のある重傷」として扱われ、弁護士基準では別表Ⅰ(重傷用の算定表)が適用されます。

打撲やむちうちなどの軽症(別表Ⅱ)と比べて、約1.5倍高額な慰謝料を請求できます。

たとえば通院6ヵ月の場合、自賠責基準では最大で77万4,000円ですが、弁護士基準(重傷)では116万円です。

どの基準で計算するかによって、金額が1.5倍近く変わるケースもあります。

②後遺障害慰謝料|後遺症が残った場合に請求できる

後遺障害慰謝料は、骨折の治療を続けても完治せず、後遺症が残った場合に、入通院慰謝料とは別枠で追加請求できる慰謝料です。

ただし、後遺症があるだけでは請求できません。

審査機関による後遺障害等級(1〜14級)の認定を受ける必要があります。

弁護士基準による相場は、最も軽い14級で110万円、最も重い1級で2,800万円と、等級によって大きく変わります。

骨折では14級・12級・11級・8級あたりが認定されやすい傾向です。

等級認定の申請は、事故から6ヵ月以上の治療を経て症状固定(これ以上治療しても改善が見込めない状態)と診断されたあとに行います。

専門知識を要するため、適切な等級認定を受けるには弁護士のサポートが有効です。

詳しくは後述の「【後遺障害】骨折で後遺症が残った場合の慰謝料相場」で解説します。

骨折の慰謝料の計算基準は3種類|弁護士基準が最も高額

交通事故の入通院慰謝料を大きく左右する3つの計算基準

交通事故の慰謝料には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの計算基準があり、どれを使うかで受け取れる金額が大きく変わります。

なかでも弁護士基準は自賠責基準の約2〜3倍になるケースが多く、最も高額で適正です。

たとえば通院6ヵ月の入通院慰謝料を比較すると、自賠責基準で最大77万4,000円、弁護士基準で116万円です。

任意保険基準は各保険会社で基準が異なり非公開のため一概にはいえませんが、一般的には自賠責基準より高く、弁護士基準より低い水準にとどまります。

各基準の特徴は、以下のとおりです。

基準 誰が使うか 金額水準
自賠責基準 加害者の自賠責保険会社 最も低額(最低限の補償)
任意保険基準 加害者の任意保険会社 自賠責と同等〜やや高い
弁護士基準 弁護士・裁判所 最も高額・適正

①自賠責基準|1日4,300円を基礎とする最低限の補償

自賠責基準は、全ての自動車に加入が義務付けられた自賠責保険が用いる計算基準で、被害者への最低限の補償を目的としています。

多くの場合、 3基準のなかで最も低額です。

自賠責基準では、入通院による慰謝料を日額4,300円として、以下の式で計算します。

入通院慰謝料の計算式
①、②のいずれか金額の少ないほうを適用する
①4,300円×治療期間(病院に通っていた期間)
②4,300円×実通院日数(実際に病院に通った日数)×2

※2020年3月31日以前に発生した事故では、1日あたりの金額を4,200円で計算する

通院6ヵ月なら最大77万4,000円です。

後遺障害慰謝料は等級に応じて定められ、最も軽い14級で32万円です。

注意したいのは、傷害部分(治療費・休業損害・慰謝料の合計)に120万円という上限がある点です。

骨折は治療が長期化しやすく上限に達するケースも多く、超過分は加害者の任意保険会社へ請求します。

②任意保険基準|各保険会社が独自に定める非公開の基準

保険会社の賠償金支払いに関する実態

任意保険基準は、加害者が加入している任意保険会社が独自に定めている計算基準です。

各社が独自に設定していて金額は非公開ですが、水準は自賠責基準と同等か、やや高い程度にとどまりやすいです。

注意したいのは、保険会社から最初に提示される示談金は、この任意保険基準で算定されることが少なくない点です。

提示書面に「弊社基準・当社規定」といった記載があれば、それが任意保険基準で出された金額です。

この金額のまま示談に応じてしまうと、弁護士基準で計算した適正額を大きく下回るケースも少なくありません。

たとえば後遺障害が残った場合、弁護士基準は自賠責基準の約2〜3倍になることもあります。

提示額をうのみにせず、弁護士基準での金額と照らし合わせて判断してください。

任意保険基準の入通院慰謝料の目安は、以下のとおりです。

任意保険基準による入通院慰謝料

③弁護士基準|弁護士・裁判所が使う最も高額な基準

弁護士基準は、弁護士が示談交渉で使い、裁判になれば裁判所も用いる基準で、「裁判基準」とも呼ばれます。

3基準のなかで最も高額です。

具体的な金額は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)に掲載され、毎年改訂されます。

ただし、弁護士基準は基本的に弁護士が介入した場合にはじめて参照されることが多いです。

被害者本人が弁護士基準で支払ってほしいと主張しても、保険会社はほとんど応じません

弁護士が代理人として交渉することで「応じなければ訴訟になる」と判断され、弁護士基準での支払いに進みやすくなります。

実際、後遺障害14級では自賠責基準32万円に対し弁護士基準は110万円と、約3.4倍の差が出ます。

この差を踏まえると、示談に応じる前に弁護士へ相談しておく価値は大きいといえます。

弁護士基準の入院通院慰謝料の相場は以下のとおりです。

<通常の弁護士基準による入通院慰謝料の表(単位:万円)>

通常の弁護士基準による入通院慰謝料

【入通院期間別】骨折の慰謝料相場早見表

骨折の治療期間は、一般的に6ヵ月前後が目安です。

ただし部位や程度によって幅があり、2ヵ月ほどで治癒するケースから、1年以上の長期治療を要するケースまでさまざまです。

ここでは、入通院期間別の慰謝料相場を弁護士基準で紹介します。

弁護士基準は3つの計算基準のなかで最も高額な基準です。

注意したい点として、保険会社が提示する自賠責基準では、これより低い金額になります(詳細は前述の「計算基準は3種類」の章をご覧ください)。

以下で通院のみの場合と入院+通院の場合に分けて相場を見ていきます。

通院のみの場合

入院せず通院のみで治療した場合の、骨折(重傷)の慰謝料早見表は以下のとおりです。

3つの基準を横並びで比較できるようにしています。

通院期間 自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準(重傷) 差額
(弁護士−自賠責)
1ヵ月 12.9万円 12.6万円 28万円 +15.1万円
2ヵ月 25.8万円 25.2万円 52万円 +26.2万円
3ヵ月 38.7万円 37.8万円 73万円 +34.3万円
4ヵ月 51.6万円 47.8万円 90万円 +38.4万円
5ヵ月 64.5万円 56.8万円 105万円 +40.5万円
6ヵ月 77.4万円 64.2万円 116万円 +38.6万円
9ヵ月 116.1万円 139万円 +22.9万円
12ヵ月 上限適用 154万円

※自賠責基準は月15日以上通院した場合の金額です。
※自賠責基準は、治療費・休業損害・慰謝料を含めた傷害分の合計に120万円という上限があります。通院が長期になると、慰謝料単体の計算額にかかわらず、合計でこの上限が適用されます。表の「上限適用」は、この120万円の上限に達することを示しています(慰謝料単体で120万円を受け取れるという意味ではありません)。
※任意保険基準は各社非公開のため、旧任意保険支払基準をもとにした一般的な目安です。実際の金額は保険会社により異なります。9ヵ月以降は自賠責の限度額に近づくため記載を省略しています。

通院3ヵ月〜6ヵ月のケースで、弁護士基準と自賠責基準の差が最も大きくなり、約35〜40万円の開きが生じます

骨折は治療がこの期間に及ぶケースが多く、弁護士基準で請求できるかどうかが金額に直結します。

入院+通院の場合

手術などで入院し、退院後に通院を続けたケースの慰謝料早見表です(弁護士基準・重傷)。

入院が加わると、通院のみの場合より慰謝料は大きく増えます。

通院期間 入院なし 入院1ヵ月 入院2ヵ月 入院3ヵ月 入院6ヵ月
通院3ヵ月 73万円 115万円 154万円 188万円
通院6ヵ月 116万円 149万円 181万円 211万円 282万円
通院12ヵ月 154万円 188万円 218万円 244万円 314万円
通院15ヵ月 164万円 199万円 227万円 252万円 318万円

※この表は弁護士基準で算定した金額です。
※自賠責基準・任意保険基準では、多くの場合この表より低額になります。
※自賠責基準には傷害分120万円の上限があります。

たとえば入院1ヵ月+通院6ヵ月なら149万円、入院2ヵ月+通院6ヵ月なら181万円が目安です。

入院を伴う重傷ケースでは、自賠責基準の120万円という上限に早い段階で達してしまいます。

超過分を適正な金額で受け取るには、加害者側の任意保険会社との交渉、または弁護士基準での請求が必要になります。

【後遺障害】骨折で後遺症が残った場合の慰謝料相場

骨折の治療を続けても完治せず後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定を受けることで、入通院慰謝料とは別枠で後遺障害慰謝料を請求できます

骨折によって残る可能性のある代表的な後遺症は、次の5つです。

  • 神経障害:骨折部位の痛みやしびれが残る
  • 機能障害:関節の可動域制限(動かしにくさ)が生じる
  • 変形障害:骨が変形してくっつき、見た目や機能に影響が残る
  • 欠損障害:骨や組織の一部が失われる
  • 短縮障害:下肢の骨折で左右の足の長さに差が出る

どの後遺症が残るかによって認定される等級が異なり、受け取れる慰謝料も大きく変わります。

以下で3基準ごとの相場と、骨折で認定されやすい等級を見ていきます。

後遺障害慰謝料の相場を自賠責基準と弁護士基準で比較

後遺障害慰謝料の相場を、自賠責基準と弁護士基準で比較したのが以下の早見表です。

骨折で認定されうる主な等級と、どんな骨折で認定されやすいかの例もあわせて示します。

任意保険基準は非公開のため省略しています。

等級 自賠責基準 弁護士基準 骨折での主な認定例
1級 1,100〜1,650万円 2,800万円 両下肢の喪失、重度の脳障害など
2級 958〜1,203万円 2,370万円 両上肢の喪失など
3級 829万円 1,990万円 頭蓋骨骨折による重い神経障害など
4級 712万円 1,670万円 下肢の高度な機能障害など
5級 599万円 1,400万円 上肢・下肢の用を廃したものなど
6級 498万円 1,180万円 脊椎の著しい変形・運動障害など
7級 409万円 1,000万円 関節の用を廃したものなど
8級 324万円 830万円 脊椎圧迫骨折による運動障害、関節の機能障害など
9級 245万円 690万円 関節の機能障害など
10級 187万円 550万円 関節の可動域制限など
11級 135万円 420万円 脊椎の変形障害など
12級 93万円 290万円 鎖骨・肋骨等の著しい変形、頑固な神経症状など
13級 57万円 180万円 下肢の1cm以上の短縮など
14級 32万円 110万円 局部に神経症状を残すもの(痛み・しびれ)

※自賠責基準は2020年4月1日以降に発生した事故の金額です。
※自賠責基準の1・2級は、介護を要するか(別表第一)否か(別表第二)で金額が変わります。下限が別表第二、上限が別表第一の額です。
※任意保険基準は各社非公開のため省略しています。

弁護士基準は、自賠責基準の約2〜3倍の金額になります。

重い等級ほど差額も大きく、たとえば12級では約197万円、8級では約506万円の開きが生じます。

適切な等級認定を受けたうえで弁護士基準で請求できるかどうかが、最終的な受取額を大きく左右します。

骨折で認定されやすい後遺障害の種類

骨折で認定されやすい後遺障害は、主に次の5つです。

症状のタイプごとに、認定されうる等級の目安を整理しました。

後遺障害の種類 どんな症状か 認定されうる等級の目安
神経障害
(痛み・しびれ)
骨折後に痛みやしびれが残る。最も認定されやすい。 MRI等で所見あり:12級13号
所見はないが医学的に説明可能:14級9号
機能障害
(可動域制限)
骨折で関節が十分に動かなくなる。 健康な側の4分の3以下:12級
2分の1以下:10級・8級
変形障害
(骨の変形)
骨が変形したままくっつく。鎖骨・肋骨・骨盤・背骨に多い。 鎖骨・肋骨・骨盤等の著しい変形:12級5号
脊柱の変形:11級7号
欠損障害
(組織の喪失)
手指・足指・上下肢の一部を失う。 喪失の範囲・部位により幅がある
短縮障害
(足の左右差)
下肢の骨折で、治癒後に脚の長さに差が出る。 1cm以上:13級8号
3cm以上:10級8号
5cm以上:8級5号

なかでも神経障害(痛み・しびれ)が多く、骨折後の後遺症として14級9号や12級13号が認定されるケースが目立ちます。

【部位別】骨折の後遺障害等級と慰謝料の目安

骨折の治療期間・残りやすい後遺障害・慰謝料の相場は、骨折した部位によって大きく異なります。

どの部位でも、後遺障害等級が認定されれば、弁護士基準で110万円(14級)から2,800万円(1級)の幅で後遺障害慰謝料を請求できます。

ここでは交通事故で多い10の部位について、認定されやすい後遺障害等級と慰謝料の目安を一覧で示したうえで、相談の多い部位を個別に解説します。

部位 治療期間の目安 認定されやすい後遺障害 想定される等級
鎖骨(肩まわり) 4〜8週間 変形障害・肩関節の機能障害 8級・10級・12級
肋骨(あばら骨) 3〜6週間 変形障害・神経症状 12級
脊椎(背骨・圧迫骨折) 8〜12週間以上 変形障害・運動障害・神経症状 6級・8級・11級
手首・指 4〜8週間 機能障害・神経症状・欠損障害 10級〜14級
骨盤(腰まわり) 8〜12週間以上 変形障害・股関節の機能障害 8級・10級・12級
頭蓋骨(頭) 個人差が大きい 高次脳機能障害・神経症状 1級〜9級など
大腿骨(太もも) 3〜6ヵ月以上 機能障害・短縮障害・変形障害 8級・10級・12級など
脛骨・腓骨(すね・膝) 3〜6ヵ月 膝関節の機能障害・神経症状 8級・10級・12級
上腕骨(二の腕) 2〜3ヵ月 肩・肘関節の機能障害 8級・10級・12級
尺骨・橈骨(前腕) 2〜3ヵ月 前腕の機能障害・変形障害 10級・12級

※治療期間は骨癒合までのおおよその目安です。骨折の部位・程度や治療方法(保存療法か手術か)、年齢や回復力によって大きく異なり、リハビリを含めた通院期間はこれより長くなることが多くあります。

※認定されやすい等級は代表例であり、実際の認定は症状の程度や検査所見によって変わります。

※頭蓋骨骨折に伴う高次脳機能障害は、症状の重さによって等級の幅が大きくなります。

①鎖骨骨折(肩まわり)

鎖骨骨折は、バイクや自転車の事故で肩から転倒した際に起こりやすい骨折です。

骨が完全に折れる完全骨折と、ひびにとどまる不完全骨折があり、完全骨折のほうが変形や機能障害が残りやすくなります。

治療期間の目安は4〜8週間ですが、手術が必要な場合は通院が半年以上に及ぶこともあります。

後遺障害としては、変形癒合(骨がずれてくっつく)、肩関節の可動域制限、痛みやしびれが残りやすく、なかでも変形癒合による12級が認定されるケースが多く見られます。

認定されうる後遺障害等級と弁護士基準の慰謝料は、以下のとおりです。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
8級 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 830万円
10級 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの 550万円
12級 鎖骨に著しい変形を残すもの、局部に頑固な神経症状 290万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円
鎖骨骨折の慰謝料シミュレーション(入院1ヵ月+通院5ヵ月・後遺障害12級の場合)
入院1ヵ月・通院5ヵ月で治療し、変形癒合により後遺障害12級が認定されたケースを試算します(35歳・年収500万円を想定)。
・ 入通院慰謝料(弁護士基準):141万円
・ 後遺障害慰謝料(弁護士基準・12級):290万円
・ 後遺障害逸失利益:約321万円(年収500万円×労働能力喪失率14%×喪失期間5年に対応するライプニッツ係数4.5797)
・ 合計:約752万円
※各部位のシミュレーションは一定の前提を置いた試算であり、実際に受け取れる金額を保証するものではありません。

これはあくまで一例です。

逸失利益は労働能力の喪失期間・喪失率・年齢・症状の内容によって大きく変わるため、実際の金額は個別の事情に応じて算定されます。

②肋骨骨折(あばら骨)

肋骨骨折は、胸部にある肋骨(あばら骨)が折れる骨折で、交通事故の強い衝撃で多発します。

軽症なら3〜4週間で治りますが、複数本が折れる複雑骨折や、肺挫傷・気胸などの内臓損傷を伴うケースでは、治療が数ヵ月に及ぶこともあります。

後遺障害としては、骨が変形して残った場合に12級、肋間神経痛などの痛みが続く場合に14級が認定される可能性があります。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
12級 肋骨に著しい変形を残すもの、局部に頑固な神経症状 290万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円

③脊椎圧迫骨折(背骨)

脊椎圧迫骨折は、背骨(脊柱)が上下方向に圧迫されて潰れてしまう骨折です。

高齢者や骨粗鬆症の方に多いイメージですが、交通事故の強い衝撃では若年層でも受傷します。

治療期間の目安は3〜6ヵ月(リハビリを含む)で、脊柱の変形、可動域制限、痛みやしびれが残りやすい重傷です。

後遺障害等級が高くなりやすく、11級以上が認定されれば、数百万円から1,000万円以上の後遺障害慰謝料が認められるケースもあります。

症状固定後もしびれや痛みが続くことが多いため、後遺障害の申請を確実におこなうことが大切です。

認定されうる後遺障害等級と弁護士基準の慰謝料は、以下のとおりです。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
6級 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの 1,180万円
8級 脊柱に運動障害を残すもの 830万円
11級 脊柱に変形を残すもの 420万円
12級 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円
脊椎圧迫骨折の慰謝料シミュレーション(入院2ヵ月+通院6ヵ月・後遺障害8級の場合)
入院2ヵ月・通院6ヵ月で治療し、脊柱の運動障害により後遺障害8級が認定されたケースを試算します(35歳・年収500万円を想定)。
・ 入通院慰謝料(弁護士基準):181万円
・ 後遺障害慰謝料(弁護士基準・8級):830万円
・ 後遺障害逸失利益:約4,587万円(年収500万円×労働能力喪失率45%×喪失期間32年に対応するライプニッツ係数20.3888)
・ 合計:約5,600万円
※各部位のシミュレーションは一定の前提を置いた試算であり、実際に受け取れる金額を保証するものではありません。

脊椎の後遺障害は将来にわたって回復が見込みにくく、逸失利益が大きくなる傾向があります。

ただし、これはあくまで一例です。

逸失利益は労働能力の喪失期間・喪失率・年齢・症状の内容によって大きく変わるため、実際の金額は個別の事情に応じて算定されます。

胸椎圧迫骨折で後遺障害8級が認定された実際の解決事例は、後述の「事例②|胸椎圧迫骨折・後遺障害8級・賠償金2,000万円」で紹介しています。

④手首・指の骨折

手首・指の骨折は、事故時に手をついて転倒した際に起こりやすい骨折です。

手首の橈骨遠位端骨折・手のひらの中手骨骨折・指骨骨折などが代表的で、治療期間の目安は手首で4〜8週間、指で3〜4週間ほどです。

後遺障害としては、手関節・指関節の可動域制限、神経症状、指の変形・欠損が残る可能性があります。

手は日常生活で最も使う部位で、利き手を骨折した場合は仕事への影響が大きいとして、逸失利益が高額に算定される傾向があります。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
10級 一手のおや指又は他の二の手指の用を廃したもの 550万円
12級 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの 290万円
13級 一手のこ指の用を廃したもの 180万円
14級 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの、局部に神経症状 110万円

⑤骨盤骨折(腰まわり)

骨盤骨折は、骨盤輪や寛骨臼(股関節の一部)を形成する骨が折れる重傷骨折です。

交通事故の強い衝撃で起こることが多く、内臓損傷を伴うこともあります。

治療期間の目安は3〜6ヵ月以上で、手術を要するケースが多く見られます。

後遺障害としては、神経障害、変形障害、股関節の運動障害、下肢の短縮障害が残る可能性があります。

生殖機能や膀胱・直腸機能に影響が出た場合は、9級などが認定される可能性もあります。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
8級 一下肢を5cm以上短縮、股関節の用を廃したもの 830万円
10級 一下肢を3cm以上短縮、股関節に著しい機能障害 550万円
11級 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの 420万円
12級 骨盤骨に著しい変形を残すもの、局部に頑固な神経症状 290万円
13級 一下肢を1cm以上短縮したもの 180万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円

⑥頭蓋骨骨折(頭)

頭蓋骨骨折は、脳を保護している頭蓋骨の骨折です。

脳挫傷・硬膜下血腫・びまん性軸索損傷などの脳損傷を合併することが多く、重篤な後遺障害が残るリスクの高い骨折です。

治療期間は脳損傷を伴う場合で3ヵ月から1年以上に及び、長引く傾向があります。

後遺障害としては、高次脳機能障害・麻痺・神経症状・感覚器の障害が残る可能性があります。

なかでも高次脳機能障害(記憶・注意・判断力などの低下)は周囲からわかりにくく見落とされやすいため、適切な等級認定を受けるには弁護士の介入が特に重要になります。

認定されうる後遺障害等級と弁護士基準の慰謝料は、以下のとおりです。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
1級 神経系統の機能に著しい障害、常に介護を要する 2,800万円
2級 神経系統の機能に著しい障害、随時介護を要する 2,370万円
3級 神経系統の機能に著しい障害、終身労務不能 1,990万円
5級 神経系統の機能に著しい障害、軽易な労務以外不能 1,400万円
7級 神経系統の機能に障害、軽易な労務以外不能 1,000万円
9級 神経系統の機能に障害、労務が相当程度に制限 690万円
12級 局部に頑固な神経症状を残すもの 290万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円

⑦大腿骨骨折(太もも)

大腿骨骨折は、太ももの骨が折れる重傷骨折です。

股関節付近の大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折が代表的で、起立・歩行が困難になります。

治療期間は手術・リハビリを含めて半年から1年以上に及ぶことが多く、入院・通院が長期化するため入通院慰謝料も高額になりやすい部位です。

後遺障害としては、股関節・膝関節の可動域制限、下肢の短縮、変形障害が残る可能性があります。

認定されうる後遺障害等級と弁護士基準の慰謝料は、以下のとおりです。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
1級 両下肢をひざ関節以上で失ったもの 2,800万円
4級 一下肢をひざ関節以上で失ったもの 1,670万円
7級 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの 1,000万円
8級 一下肢を5cm以上短縮、偽関節を残すもの 830万円
10級 一下肢を3cm以上短縮、関節に著しい機能障害を残すもの 550万円
12級 長管骨に変形を残す、関節に機能障害を残すもの 290万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円
大腿骨骨折の慰謝料シミュレーション(入院3ヵ月+通院9ヵ月・後遺障害10級の場合)
入院3ヵ月・通院9ヵ月で治療し、下肢の機能障害により後遺障害10級が認定されたケースを試算します(35歳・年収500万円を想定)。
・ 入通院慰謝料(弁護士基準):226万円
・ 後遺障害慰謝料(弁護士基準・10級):550万円
・ 後遺障害逸失利益:約2,752万円(年収500万円×労働能力喪失率27%×喪失期間32年に対応するライプニッツ係数20.3888)
・ 合計:約3,528万円
※各部位のシミュレーションは一定の前提を置いた試算であり、実際に受け取れる金額を保証するものではありません。

大腿骨骨折は治療が長引きやすく、入通院慰謝料だけでも高額になります。

さらに後遺障害が残ると逸失利益も大きくなり、総額が数千万円規模になるケースもあります。

ただし、これはあくまで一例です。

逸失利益は労働能力の喪失期間・喪失率・年齢・症状の内容によって大きく変わるため、実際の金額は個別の事情に応じて算定されます。

⑧脛骨・腓骨骨折(すね・膝)

脛骨・腓骨骨折は、膝下からくるぶしまでの骨が折れる骨折です。

なかでも膝関節近くの脛骨高原骨折(脛骨プラトー骨折)は、関節の中にまで骨折が及ぶ重傷で、膝関節の機能に重大な影響を与えます。

治療期間の目安は3〜6ヵ月で、手術を要する場合は半年以上かかります。

後遺障害としては、膝・足関節の可動域制限、疼痛・しびれ、変形障害が残りやすく、等級が認定されやすい部位です。

認定されうる後遺障害等級と弁護士基準の慰謝料は、以下のとおりです。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
5級 一下肢を足関節以上で失ったもの 1,400万円
8級 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 830万円
10級 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの 550万円
12級 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害、長管骨に変形を残すもの 290万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円

脛骨高原骨折で後遺障害12級が認定された実際の解決事例は、後述の「事例①|脛骨高原骨折・後遺障害12級・賠償金754万円」で紹介しています。

⑨上腕骨骨折(二の腕)

上腕骨骨折は、肩から肘までの二の腕の骨が折れる骨折です。

肩関節に近い場所の骨折は、肩の動きに大きく影響します。

治療期間の目安は保存療法で2〜4ヵ月、手術をおこなう場合は半年以上です。

後遺障害としては、肩関節・肘関節の可動域制限、神経症状、変形障害が残るケースが見られます。

認定されうる後遺障害等級と弁護士基準の慰謝料は、以下のとおりです。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
1級 両上肢をひじ関節以上で失ったもの 2,800万円
4級 一上肢をひじ関節以上で失ったもの 1,670万円
8級 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの、偽関節を残すもの 830万円
10級 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの 550万円
12級 長管骨に変形を残す、関節に機能障害を残すもの 290万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円

⑩尺骨・橈骨骨折(前腕)

尺骨・橈骨骨折は、肘から手首までの前腕の骨が折れる骨折です。

尺骨と橈骨は2本並行して走る骨で、片方だけ折れることも、両方同時に折れることもあります。

保存療法の場合の治療期間は6〜12週間ほどが目安です。

この骨折は癒合不全(骨がきれいにくっつかない状態)を起こしやすく、その場合は手首を回す動作の制限や痛みが残りやすくなります。

後遺障害としては、前腕の可動域制限(回内・回外の動き)、神経症状、変形障害が残る可能性があります。

認定されうる後遺障害等級と弁護士基準の慰謝料は、以下のとおりです。

等級 障害内容 弁護士基準の慰謝料
5級 一上肢を手関節以上で失ったもの 1,400万円
8級 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの 830万円
10級 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの 550万円
12級 長管骨に変形を残す、関節に機能障害を残すもの 290万円
14級 局部に神経症状を残すもの 110万円

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慰謝料だけではない|骨折で請求できる損害賠償金4つ

交通事故で骨折した場合に受け取れるお金は、慰謝料だけではありません。

慰謝料は精神的な損害への補償ですが、それに加えて、治療費や休業による減収といった経済的な損害も賠償として請求できます

骨折で請求できる主な損害賠償金は、次の4つです。

  • 治療関係費:治療費・通院交通費・入院雑費など
  • 休業損害:けがで仕事を休んだことによる減収分
  • 逸失利益:後遺障害が残った場合の将来の減収分
  • その他の損害:車両修理費・装具費・付添看護費など

上記を漏れなく計上することで、受け取れる賠償金の総額は大きく変わります。

各項目を順番に見ていきましょう。

①治療関係費|治療費・通院交通費・入院雑費など

治療関係費は、骨折の治療に必要となった実費全般です。

交通事故と因果関係が認められる範囲で、加害者側に全額を請求できます。

主な治療関係費は、以下のとおりです。

  • 治療費:診察料、手術料、投薬料、リハビリ費用など
  • 通院交通費:公共交通機関代、タクシー代、自家用車のガソリン代(1kmあたり15円が目安)、駐車場代など
  • 入院雑費:入院中の日用品・食費など(1日あたり1,500円が目安)
  • 付添看護費:家族などが付き添った場合の費用(入院1日6,500円、通院1日3,300円が目安)
  • 装具・器具代:松葉杖、コルセット、義足などの購入費用

上記を確実に請求するには、領収書の保管が欠かせません。

示談交渉の際に、請求額の根拠として必要になります。

②休業損害|主婦・自営業・給与所得者の違い

休業損害は、骨折の治療のために仕事を休み、収入が減った分への補償です。

計算方法は、被害者の職業によって異なります。

職業 計算方法
給与所得者 事故前3ヵ月の平均日額 × 休業日数
自営業・フリーランス 前年所得をもとに算出した日額 × 休業日数
主婦・主夫(家事従事者) 賃金センサスの女性平均賃金 × 家事に支障があった日数
学生・無職 原則として休業損害なし(就職が内定していた場合などは例外あり)

注意したいのが、専業主婦・主夫のケースです。

収入がないから休業損害はもらえないと誤解されがちですが、家事も労働とみなされるため、主婦・主夫も休業損害を請求できます

賃金センサスの女性平均賃金(1日あたり約1万円強)をもとに計算されます。

また、有給休暇を使って通院した場合も請求できます。

交通事故がなければ使う必要のなかった有給を消費したと考えられるためです。

③逸失利益|後遺障害がある場合の将来減収分

逸失利益は、後遺障害が残ることで将来の収入が減ってしまう分への補償です。

たとえば骨折による可動域制限で、事故前と同じ仕事ができなくなった場合などに請求できます。

計算式は、次のとおりです。

逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

3つの要素の意味は、以下のとおりです。

  • 基礎収入:事故前の年収が基本です。主婦や若年者は賃金センサス(平均賃金)を用います。
  • 労働能力喪失率:後遺障害等級ごとに決まっています(14級は5%、1級は100%)。
  • 労働能力喪失期間:原則として症状固定時から67歳までの期間です。

労働能力喪失期間は症状固定から67歳までとされるため、若い被害者ほど期間が長くなり、逸失利益が高額になりやすい傾向があります。

骨折で重い後遺障害が残った若年者では、逸失利益だけで数千万円にのぼるケースもあります。

④その他の損害|車両修理費・装具費・付添看護費など

上記のほかにも、事故で発生した損害は幅広く請求できます

主なものは、以下のとおりです。

  • 車両修理費・買替費用:破損した自動車の修理代や買い替え費用
  • レンタカー代:修理中の代車費用
  • 家屋改造費:車椅子生活になった場合のバリアフリー工事費
  • 付添看護費:入院・通院に家族が付き添った場合の費用
  • 弁護士費用:訴訟になった場合、判決で認容額の10%程度が相手方負担として認められることがある

これらの項目を漏れなく計上できるかどうかで、最終的な賠償金額に差が出ます。

請求できる項目を全て把握するには、専門知識を持つ弁護士への相談が有効です。

交通事故で骨折して慰謝料をもらうまでの流れ

交通事故で骨折してから慰謝料を受け取るまでの流れは、大きく4つのステップにわかれます。

全体像を先に把握しておくと、今自分がどの段階にいて、何をすべきかがわかりやすくなります。

①事故直後|警察への届出と病院受診(人身事故扱いが必須)

事故に遭ったら、まずは警察への通報と病院の受診を最優先に行います。

交通事故は物損・人身を問わず、警察への届出が法律で義務付けられています(道路交通法第72条)。

骨折などのけがを負った場合は、必ず人身事故扱いで届け出てください

物損事故のままにしておくと、実況見分調書が作成されず過失割合の交渉で不利になったり、慰謝料が支払われなかったりするリスクがあります。

もうひとつ大切なのが、早期の受診です。

骨折の疑いがある場合は、事故当日か遅くとも翌日までに整形外科を受診してください。

受診が遅れると、事故とけがの因果関係を保険会社から疑われ、慰謝料を請求できなくなるケースがあります。

②治療中|症状固定まで通院を継続する

骨折の治療期間は、一般的に6ヵ月前後が目安です。

医師から症状固定(これ以上治療を続けても改善が見込めない状態)と診断されるまでは、通院を継続してください。

注意したいのは、自己判断での治療中断です。

途中でやめてしまうと、その時点で症状固定とみなされて入通院慰謝料が減額されたり、後遺症が残っても後遺障害等級が認定されにくくなったりします

骨折の治療が3〜6ヵ月ほど続くと、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。

しかし、治療を続けるべきかを判断するのは医師であって、保険会社ではありません。

医師が治療の継続が必要と判断している場合は、医学的根拠をもって反論する必要があります。

このやり取りは専門的になるため、交渉が難しいと感じたら弁護士に任せるのが確実です。

③後遺症が残ったら|後遺障害等級の申請をおこなう

症状固定の診断を受けても痛みや機能障害が残っている場合は、後遺障害等級の認定申請を行います。

後遺障害慰謝料は等級が認定されてはじめて請求できるため、後遺症があるのに申請しなければ、慰謝料はゼロのままです。

申請方法には、次の2つがあります。

申請方法 申請者 特徴
事前認定 加害者側の任意保険会社 手続きを任せられるが、有利な追加資料を提出しにくい
被害者請求 被害者本人 手続きは煩雑だが、有利な資料を出せて認定率が高まりやすい

自分で有利な証拠を追加できる被害者請求のほうが、重傷ケースでは認定率が高まりやすいとされています。

詳しくは後述の「増額するためのポイント」で解説します。

認定までの期間は通常1〜3ヵ月ですが、重傷で内容が複雑な場合はさらにかかることもあります。

被害者請求の煩雑な書類準備は、弁護士に依頼すれば代行してもらえます。

④治療終了後|示談交渉と示談金の受け取り

治療が終了するか、後遺障害の認定結果が出たあとに、加害者側の保険会社との示談交渉が始まります。

流れは、保険会社から示談金の提示を受け、内容を精査して必要に応じて増額交渉を行い、双方が合意すれば示談書に署名・押印し、示談金が口座へ振り込まれる、という順序です。

事故発生から示談成立までの期間の目安は、骨折・通院のみで後遺障害がない場合は半年〜9ヵ月、後遺障害が認定された場合は1年〜1年半ほどです。

訴訟になれば、さらに時間がかかります。

気をつけたいのが、保険会社の初回提示額です。

提示額は弁護士基準より低いことが多く、そのまま合意すると数十万円から数百万円を損するケースもあります。

示談書に一度署名すると金額の変更は原則できないため、応じる前に弁護士へ相談しておくと安心です。

骨折の慰謝料請求で必要になる書類・資料一覧

骨折の慰謝料を請求する際には、さまざまな書類が必要です。

書類は保険会社が用意してくれるものと被害者が自分で準備するものにわかれます。

まずは、必要になるタイミングごとに全体を一覧で確認しておきましょう。

タイミング 書類名 用意する人
事故直後 交通事故証明書 被害者(自動車安全運転センターで取得)
治療中 診断書 医師
治療中 診療報酬明細書 医師・病院
後遺障害申請時 後遺障害診断書 医師
後遺障害申請時 レントゲン・MRI画像 病院
示談交渉時 休業損害証明書 勤務先
示談交渉時 通院交通費明細書 被害者
示談成立時 印鑑証明書 被害者(市区町村窓口で取得)
示談成立時 示談書 加害者側の保険会社

※加害者が任意保険に加入していれば、基本的に保険会社が必要書類を取り寄せます。

※被害者請求で後遺障害を申請する場合は、上記の多くを自分で準備する必要があります。

保険会社が用意してくれる書類

加害者が任意保険に加入している場合、基本的な書類は加害者側の保険会社が用意してくれます。

具体的には、交通事故証明書、診断書、診療報酬明細書、示談書などです。

これらの取得にかかる印紙代や郵送費、書類発行手数料といった実費も、多くの場合保険会社が負担します。

そのため、被害者側の手間や費用は比較的少なくて済むケースが多くなります。

被害者が自分で準備する必要がある書類

被害者請求で後遺障害申請をおこなう場合や、加害者が任意保険に未加入、ひき逃げといったケースでは、被害者側で多くの書類を集める必要があります。

主な必要書類は、以下のとおりです。

  • 自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書
  • 交通事故証明書(自動車安全運転センターで取得)
  • 事故発生状況報告書
  • 診断書・診療報酬明細書(医師・病院に作成依頼)
  • 後遺障害診断書(後遺障害申請時に必須。医師に作成依頼)
  • レントゲン・CT・MRIなどの画像データ(病院で取得)
  • 印鑑証明書(市区町村窓口で取得)
  • 休業損害証明書(勤務先に作成依頼)
  • 通院交通費明細書(被害者が作成)
  • 源泉徴収票・確定申告書(収入証明として)

これらをそろえるには、印紙代や切手代、書類発行手数料として数千円〜数万円程度の自己負担が発生します。

さらに、役所や病院に出向く移動費や時間的なコストもかかります。

書類準備に不安がある場合は、弁護士に依頼すればこれらの収集作業を全て代行してもらえます。

弁護士費用特約を使えば、自己負担なしで任せられるケースも多くあります。

【要注意】骨折で慰謝料が減額される3つのケースと対処法

骨折の慰謝料は、何も対策せずに保険会社へ任せておくと、本来受け取れる金額より大幅に減らされてしまうことがあります。

保険会社は最も低い自賠責基準で算定することが多いうえに、これから挙げる3つの減額リスクが重なると、結果として本来の半額以下になるケースもあります。

打撲やむちうちでは起きにくい、骨折ならではの減額リスクが次の3つです。

それぞれの内容と対処法を知っておきましょう。

①ギプスでの自宅療養が「入院」として認められない

ギプスを装着して自宅で安静にしていた期間は、保険会社から通院扱いとして低く算定されてしまうことが少なくありません。

しかし、ギプス固定による厳格な安静が必要だった場合には、裁判例上、その自宅療養期間が入院に準じて評価されるケースがあります(ただし常に認められるわけではなく、個別の事情に応じた判断になります)。

たとえば「入院1ヵ月+ギプス自宅療養1ヵ月+通院3ヵ月」のケースを、弁護士基準(重傷)で比べてみます。

  • ギプス期間を通院扱いとされた場合(入院1ヵ月+通院4ヵ月):130万円
  • ギプス期間が入院に準じて評価された場合(入院2ヵ月+通院3ヵ月):154万円

正当に主張するだけで、約24万円の差が生じます。

対処法としては、「ギプス装着のため自宅安静を要する」といった記載のある医師の指示書類(診断書)等が重要です。

必要に応じて医師に記載を依頼し、保険会社に提出して交渉します。

交渉が難航する場合は、弁護士に依頼してください。

②通院回数が少ないと減額される

骨折の治療では、ギプスで固定して骨が癒合するのを待つ保存療法が選ばれることが多く、必然的に通院回数が少なくなります。

すると保険会社や裁判実務では、通院頻度が極端に少ない場合に、実通院日数をもとに慰謝料を算定して減額することがあります。

その際、実通院日数の3.5倍を通院期間とみなす方法が用いられるケースがあります。

たとえば通院期間6ヵ月・実通院日数20日のケースで比べてみます。

  • 通院期間ベースで計算した場合(弁護士基準):116万円
  • 実通院日数×3.5で計算した場合(20日×3.5=70日・約2.3ヵ月):約59万円

その差は、約57万円にのぼります。

骨折の保存療法は医師の治療方針であって、被害者が通院を怠ったわけではありません。

対処法としては、医師のカルテや診断書で「保存療法のため通院頻度が少なくても問題ない」ことを示し、正当な通院期間で計算するよう主張します。

専門的な交渉になるため、弁護士への相談が確実です。

③持病や高齢を理由に減額される(素因減額)

素因減額とは、被害者の既往症や体質がけがの重傷化に影響したとして、賠償額が減らされることをいいます。

骨粗鬆症や椎間板ヘルニアなどの既往症がある方や高齢の被害者に対し、保険会社が持病の影響でけがが重くなったと主張してくるケースがあります。

素因減額が認められる場合、減額の割合は賠償額全体の10〜30%程度とされることが多くあります。

たとえば本来の賠償額が500万円のケースで20%減額されると、100万円も差し引かれてしまいます。

これを防ぐには、事故前の診療記録や健康診断結果などを提出し、既往症はあっても事故前は日常生活に支障がなかったことを立証することが重要です。

素因減額は医学的・法的な論点が複雑に絡むため、被害者本人での交渉は難しく、弁護士が介入することで減額を最小限に抑えられる可能性が高まります。

骨折した場合に慰謝料を増額するためのポイント3つ

骨折の慰謝料を適正額で受け取るには、減額リスクに備えるだけでなく、被害者自身が正しく動くことも大切です。

ここでは、慰謝料を増額するために実践したい3つのポイントを解説します。

①医師の指示に従って症状固定まで治療を続ける

入通院慰謝料は、入院・通院の期間が長いほど高くなります。

つまり、医師の指示どおり症状固定まで通院を続けることが、そのまま金額の増額につながります

逆に、痛みが和らいだからと自己判断で通院をやめてしまうと、その時点で症状固定とみなされ、本来受け取れた期間分の慰謝料を取り逃がします

後遺症が残っていても、通院実績が不足していると後遺障害等級が認定されにくくなる点も見逃せません。

骨折で3〜6ヵ月が経過すると、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。

しかし、治療を続けるべきかを判断するのは医師です。

医師が継続を必要と判断している間は通院を続けてください。

交渉が難しい場合は、弁護士に対応を任せましょう。

②後遺障害申請は「被害者請求」でおこなう

後遺症が残った場合、後遺障害等級の申請方法には事前認定と被害者請求の2つがあります。

少しでも適正な等級を得て慰謝料を増やしたいなら、被害者請求を選ぶほうが有利です。

両者の違いは、以下のとおりです。

項目 事前認定 被害者請求
申請者 加害者側の任意保険会社 被害者本人(弁護士に依頼も可)
手間 少ない(保険会社任せ) 多い(自分で書類を準備)
追加資料の提出 原則できない できる
認定率の傾向 相対的に低め 相対的に高め
自賠責分の受領 示談成立後 認定後すぐに受領できる

被害者請求が有利な理由は、医師の意見書や追加の画像といった、自分に有利な証拠をそろえて提出できる点にあります。

これにより、適正な等級が認定されやすくなります。

また、認定後すぐに自賠責分を受け取れるため、治療費の立替えなどの経済的負担が軽くなる利点もあります。

デメリットは書類準備が煩雑なことですが、弁護士に依頼すれば、書類の準備から申請手続まで任せられます。

③示談前に弁護士に相談する

骨折の慰謝料を適正額で受け取るために最も効果的なのが、示談書にサインする前に弁護士へ相談することです。

保険会社の初回提示額は自賠責基準または任意保険基準で算定されていて、弁護士基準の半分から3分の1程度にとどまるケースもあります。

そのまま示談すると、数十万円から数百万円を失いかねません。

しかも、一度署名すると金額は原則覆せないため、安易に示談してはいけません

弁護士が介入すれば計算基準が弁護士基準に切り替わり、慰謝料が約2〜3倍に増額するケースもあります。

保険会社とのやり取りも任せられます。

多くの事務所が無料相談を実施しているので、まずは提示額が妥当かをチェックしてもらいましょう。

骨折の慰謝料請求は弁護士に相談するのがおすすめ

骨折の慰謝料を適正額で受け取るには、弁護士への依頼が効果的です。

理由は、大きく3つあります。

1つめは、計算基準が弁護士基準に改められれば、慰謝料が増額することです。

保険会社は自社基準で提示してきますが、弁護士が介入すれば弁護士基準を目安にした支払いに応じるケースがほとんどです。

2つめは、後遺障害等級の認定率が高まることです。

弁護士は被害者請求の代行に加え、後遺障害診断書のチェックや医師への追加資料の依頼までサポートします。

等級が1ランク変わるだけで賠償額が数百万円単位で動くため、影響は小さくありません。

3つめは、保険会社との煩雑なやり取りを全て任せられることです。

度重なる電話対応や治療打ち切りの交渉から解放され、治療やリハビリに専念できます。

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弁護士に依頼したほうがよいケース

次のいずれかに当てはまる方は、弁護士への相談・依頼をおすすめします。

①保険会社の提示額が妥当か判断できない

提示額はほとんどが低い任意保険基準のため、署名前に弁護士の無料相談を受けておくと安心です。

②後遺症が残り、後遺障害等級を申請したい

等級が認定されれば数百万円から数千万円を追加請求でき、専門知識を要する申請も弁護士に任せられます。

③賠償金が100万円を超える可能性がある

骨折は入通院慰謝料だけで100万円を超えやすく、増額幅が弁護士費用を上回りやすい費用対効果の高いケースです。

④保険会社から治療費の打ち切りを打診された

弁護士が医学的根拠をもって反論すれば、必要な治療期間を確保できます。

弁護士費用が心配な方へ|費用相場と弁護士特約の活用

弁護士に依頼したいけれど費用が心配という方も多いと思います。

ここでは、弁護士費用の相場と、自己負担を抑える方法を紹介します。

弁護士費用の相場(相談料・着手金・報酬金)

交通事故の弁護士費用は、一般的に相談料・着手金・報酬金の3つで構成されます。

それぞれの目安は、以下のとおりです。

費用項目 相場 内容
相談料 30分5,000円程度(無料の事務所も多数) 弁護士に相談する際の料金
着手金 0〜20万円程度(成功報酬制で無料の事務所が多数) 依頼時に支払う料金
報酬金 獲得金額の10〜20%程度 獲得金額に応じた成功報酬

弁護士費用特約を使えば自己負担0円で依頼できる

弁護士費用特約とは、自動車保険や火災保険などに付帯できるオプションで、弁護士への相談費用や依頼費用を保険会社が負担してくれる制度です。

一般的な補償範囲は、法律相談料が10万円まで、着手金や報酬金などの弁護士費用が300万円までです。

骨折の慰謝料請求であれば、多くがこの範囲内に収まるため、自己負担ゼロで依頼できます。

知っておきたいのが、この特約は被害者本人だけでなく、配偶者・同居の親族・未婚の子どもなども利用できる点です。

自分が加入していなくても、家族の自動車保険や火災保険に付帯していないか、保険証券を確認してみてください。

また、弁護士費用特約を使っても、自動車保険のノンフリート等級は下がりません。

保険料が上がる心配なく活用できます。

弁護士費用特約がない場合の対処法

弁護士費用特約に加入していなくても、費用負担を軽くして依頼する方法はあります

ひとつめは、着手金0円・完全成功報酬制の事務所を選ぶことです。

初期費用なしで依頼でき、報酬も獲得した賠償金から差し引かれるため、実質的に持ち出しなしで進められます。

ふたつめは、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助の利用です。

経済的に余裕がない場合に弁護士費用を立て替えてもらい、月々5,000〜1万円程度で分割返済できる制度です。

そのうえで、無料相談の際に弁護士費用を差し引いても手元のお金が増えるか(費用倒れにならないか)を確認しておくと安心です。

骨折のように賠償額が大きいケースでは、費用倒れになることはほとんどありません。

交通事故で骨折したら「ベンナビ交通事故」で弁護士検索

骨折の損害賠償請求では、保険会社の提示額が妥当かどうかを自分だけで判断するのは難しいものです。

提示額は自賠責基準や任意保険基準で計算されていることが多く、弁護士基準を下回っているケースもあります。

そんなときに頼りになるのが、交通事故に強い弁護士を簡単に検索できるポータルサイトベンナビ交通事故です。

地域と相談内容を選ぶだけで、自分に合った弁護士が見つかります。

さらに、以下の条件で絞り込めます。

  • 初回の面談相談無料
  • 電話相談・オンライン相談に対応
  • 休日の相談が可能

慰謝料の増額交渉や後遺障害認定に対応できる事務所が多数登録されています。

着手金無料や分割払いに対応している事務所もあり、費用面の負担を抑えて相談しやすくなっています。

示談金の提示を受けたら、応じる前に一度、弁護士に確認してみてはいかがでしょうか。

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交通事故で骨折した場合の慰謝料・賠償金の請求事例

ここでは、交通事故で骨折した被害者が実際に獲得した賠償金の事例を3件紹介します。

いずれも、弁護士が交渉や申請に関わることで、保険会社の当初提示額から増額できたケースです。

賠償金の総額は、骨折の部位・後遺障害等級・入通院期間・年齢・年収などによって大きく変わります。

以下の事例のなかから、ご自身の状況に近いものを参考にしてみてください。

事例①|脛骨高原骨折・後遺障害12級・賠償金754万円

10代男性が、自転車で丁字路を直進中に右折車と衝突し、右脛骨高原骨折を負った事案です。

依頼者は保険会社との対応にストレスを感じ、治療の打ち切りも打診されていたことから、後遺障害の認定や示談交渉を含めて弁護士に依頼しました。

治療終了後に後遺障害の申請をおこなったところ、骨折部位に痛みが残っていたことから12級が認定され、自賠責保険から224万円の支払いを受けました。

その後、保険会社との交渉で530万円を獲得し、合計754万円の獲得に至りました。

被害者請求で適切な等級認定を受けることで、適正な賠償金を獲得できた事例です。

事例②|胸椎圧迫骨折・後遺障害8級・賠償金2,000万円

60代女性が、T字路交差点で自動車と衝突し(車対自転車)、胸椎の圧迫骨折を負った事案です。

依頼者は、保険会社が事前認定した後遺障害等級に納得がいかないとして相談しました。

当初は11級の認定でしたが、弁護士が専門医に解像度の高いCT画像を撮影してもらい、新たな証拠として提出したところ、より重い変形と認められ、上位の8級が認定されました。

その後、保険会社が低い金額しか提示しなかったため弁護士が訴訟を提起し、脊柱の変形による背部痛を立証した結果、裁判所の和解勧告により 2,000万円での和解が成立しました。

さらに、依頼者の過失20%分は人身傷害保険に請求して500万円の支払いを受け、実質的に過失がない状態と同様の支払いを実現しました。

異議申立てによる等級の引き上げと、訴訟による適正な賠償額の獲得を両立させた事例です。

事例③|肩甲骨・鎖骨・指の骨折・後遺障害5級・賠償金9,000万円

30代男性が、信号のない丁字路をバイクで走行中、対向車線から右折してきた自動車と衝突した事案です。

左腕神経叢損傷、肩甲骨骨折、鎖骨骨折、左鎖骨下動脈損傷、左第3指末節骨開放骨折という重い傷害を負いました。

約4年の治療を経て症状固定となったタイミングで相談があり、当初は賠償交渉のみの依頼でしたが、弁護士が後遺障害申請から一貫して対応しました。

特に腕神経叢損傷については、主治医に追記を依頼して損傷の程度を客観的に証明し、併合5級が認定されました。

逸失利益については、賃金センサスの全年齢平均を基礎収入とし、労働能力喪失期間を67歳までと主張した結果、裁判基準満額の約7,200万円を獲得。

その他の損害も満額が認められ、総額約9,000万円 を得ています。

等級認定の通知から示談まで約3ヵ月で解決できた事例です。

交通事故による骨折の慰謝料相場に関するよくある質問

最後に、交通事故による骨折の慰謝料に関して、被害者の方から多く寄せられる質問にお答えします。

気になるものがあればぜひチェックしてください。

Q1. 骨折で全治1週間の場合、慰謝料はいくら?

全治1週間の場合の慰謝料は、自賠責基準で約3万円(4,300円×7日)、弁護士基準(重傷)で約7万円が目安です。

ただし、骨折は全治1週間と診断されても、実際の治療がそれより長引くことがほとんどです。

通院を続けた分だけ慰謝料も増えるため、最終的な金額はこの目安より大きくなるケースが多くあります。

Q2. 骨折で全治3ヵ月の場合、慰謝料はいくら?

通院のみで全治3ヵ月(通院3ヵ月)の場合、自賠責基準で約38万7,000円、弁護士基準(重傷)で73万円が目安です。

手術などで入院を伴うとさらに増額します。

たとえば「入院1ヵ月+通院3ヵ月」なら、弁護士基準で115万円程度です。

後遺障害が残れば、別途110万円以上の後遺障害慰謝料が加算されます。

Q3. 10対0(過失ゼロ)の交通事故で骨折した場合の示談金相場は?

過失割合が10対0(被害者に過失なし)の場合、過失相殺による減額がないため、損害額の全額を加害者側に請求できます

骨折のケースでの示談金の目安は、以下のとおりです。

  • 通院のみ(3〜6ヵ月)・後遺障害なし:約80万〜200万円
  • 通院+後遺障害14級:約300万〜500万円
  • 通院+後遺障害12級:約500万〜1,000万円以上
  • 重度の後遺障害(5〜8級):数千万円以上

ただし10対0のケースでは、自分の保険会社が示談を代行できないため、被害者自身で加害者側と交渉する必要があります。

金額は事故状況・職業・年齢などで変わるので、弁護士への相談がとくに役立ちます。

Q4. 骨折の慰謝料は先払いしてもらえる?

当面の生活が苦しい場合は、自賠責保険の仮渡金制度を使い、傷害の程度に応じて5万円・20万円・40万円のいずれかを先に受け取れます。

骨折の場合、大腿骨・下腿骨の骨折などは40万円、上腕・前腕の骨折などは20万円が目安で、部位や症状によって金額が異なります。

このほか、被害者請求による自賠責分の先行受領や、自身の人身傷害保険による先行支払いを活用する方法もあります。

Q5. 自転車事故で骨折した場合も同じように慰謝料を請求できる?

請求できます

慰謝料の計算方法や相場は、自動車事故と同じです。

ただし注意したいのは、自転車には自賠責保険がなく、加害者が保険に未加入である可能性が高い点です。

その場合は加害者本人へ直接請求することになり、回収が難航するケースもあります。

自身が加入する人身傷害保険や傷害保険も活用しながら、早めに弁護士へ相談すると安心です。

Q6. 子どもが保育園・学校で骨折した場合の慰謝料相場は?

保育園・学校での事故による骨折は、交通事故とは異なる枠組みで補償されます。

主に、日本スポーツ振興センターの災害共済給付から治療費や見舞金が支給されます。

また、施設側の管理に過失があれば、施設が加入する賠償責任保険から賠償金が支払われる可能性もあります。

請求先や計算方法が交通事故と異なるため、その分野に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

Q7.親が介護施設で骨折した場合の慰謝料は誰に請求できる?

介護施設での骨折も、交通事故とは異なる専門的な枠組みになります。

施設職員の介助ミスや見守り不足が原因であれば、施設を運営する法人に請求でき、多くの場合は施設側の賠償責任保険から支払われます。

請求にあたっては、事故報告書の取り寄せや目撃者証言の確保などが必要です。

介護事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

まとめ

交通事故で骨折した場合の慰謝料について、本記事の要点を整理します。

  • 骨折の慰謝料相場は、弁護士基準で通院3ヵ月73万円・6ヵ月116万円・12ヵ月154万円
  • 後遺障害が残れば、14級110万円から1級2,800万円を追加で請求できる
  • 計算基準は3種類あり、弁護士基準が最も高額(自賠責の約2〜3倍)
  • 骨折は重傷扱いで、打撲やむちうちより高額になりやすい
  • ギプス自宅療養の通院扱いや素因減額など、骨折特有の減額リスクに注意
  • 示談前に弁護士へ相談すれば、慰謝料が2〜3倍に増額する可能性がある

骨折は治療が長期化しやすく、後遺症のリスクも高い重傷ケースです。

保険会社任せにすると、本来受け取れる慰謝料が減額されてしまうおそれがあります。

提示額に不安がある方や、治療費の打ち切りを打診されている方は、一人で悩まず弁護士を頼るのが確実です。

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この記事の監修者
藤垣 圭介 (埼玉弁護士会)
交通事故・刑事事件に注力。「ご依頼者さまの不安を少しでも軽減したい」という思いから、レスポンスの早さにこだわりをもって対応し、速やかな解決を目指している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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