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交通事故で仕事を休む期間と補償額は?休業損害の計算方法を働き方別に解説

富永 慎太朗
監修記事
交通事故で仕事を休む期間と補償額は?休業損害の計算方法を働き方別に解説

交通事故でケガをして仕事を休むとき、「収入が減ってしまう…」と不安になる方は多いです。

また、休める期間や復帰できない場合の補償も気になるのではないでしょうか。

結論、交通事故が原因で仕事を休んだ場合、減ってしまった収入は「休業損害」として加害者側に請求できる可能性があります。

ただし、通院の頻度や治療の期間によっては、受け取れる金額が減ってしまったり、支払い自体が打ち切られたりするため、正しい知識が必要です。

この記事では、休業損害を請求するための条件や、働き方ごとの計算方法や必要書類、減額されないためのポイントまでわかりやすく解説していきます。

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目次

仕事を休んだ場合は休業損害を請求できる

交通事故によってケガをし、仕事を休んだり収入が減少したりした場合、「休業損害」を加害者側に請求できます

休業損害は、事故がなければ得られたはずの収入を補償するものです。

たとえば、正社員が事故で1週間入院し、給与が5万円減少した場合、この5万円を休業損害として請求できます。

休業損害を請求するには、休業損害証明書や源泉徴収票、確定申告書の控えなど、収入と休業の事実を証明する書類が必要です。

これらの書類を加害者側の保険会社に提出することで、減収分の補償を受けられます。

休業損害を請求できる条件は仕事に就いていること

休業損害を請求するためには、事故発生時点で仕事に就いており、収入を得ていたことが条件となります。

休業損害は、事故によって実際に失われた収入を補償するものなので、収入がなければ損害として認められません

事故当時、正社員として働いていた方はもちろん、アルバイトやパート、個人事業主で継続的に収入を得ていた方も請求の対象となります。

ただし、失業中であったり、仕事に就く予定が全くなかった場合は原則として請求できません。

仕事に就いていても休業損害が認められないケースもある

仕事に就いている方でも、特定の状況下では休業損害が認められないケースや、減額されるケースがあります。

休業の必要性や妥当性が客観的に認められない場合や、被害者にも過失があると判断された場合などです。

具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 自己判断で仕事を休んだ期間の休業損害
  • 不必要に長期の休業をした期間の休業損害
  • 事故とは無関係の理由で休業していた期間の休業損害

休業損害を適切に受け取るためには、医師の診断に従って休業し、治療が必要であることを客観的に証明できる状態にしておくことが大切です。

休業損害の基本的な計算方法

交通事故で仕事を休んだ場合、休業損害は以下の式で計算されます。

休業損害額=1日あたりの基礎収入 × 休業日数

この計算式で重要なのは「1日あたりの基礎収入」をどの基準で算出するかです。

基準の選び方によって、受け取れる金額が大きく変わります

また、休業日数には実際に欠勤した日だけでなく、以下のケースも含まれます。

  • 有給休暇を使って通院した日
  • 代休を使った日
  • 通院のために早退や遅刻をした時間

適切な金額を請求するためにも、まずは基礎収入の算出基準と休業日数を理解しておきましょう。

3通りの基準別:1日あたりの基礎収入の求め方

1日あたりの基礎収入を算出するには、以下の3つの算出基準があります。

基準 算出方法
自賠責基準 国が定めた最低限の補償で、原則として日額6,100円で計算されます。
任意保険基準 各保険会社が独自に設ける非公開の基準であり、自賠責基準よりやや高めですが、弁護士基準には及びません。
弁護士基準 過去の交通事故の裁判例から作られた支払い基準で、事故前の3ヵ月分の給与を90日で日割りした金額。

一般的に、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準の順で金額が高いです。

たとえば、月収30万円の正社員が自賠責基準で計算すると日額6,100円ですが、弁護士基準では「90万円÷90日=1万円」となり、1日あたり約4,000円の差が生じます。

そのため、適正な休業補償を請求するには、弁護士に相談することをおすすめします。

休業損害の対象となる5つの働き方 | 具体的な計算方法

休業損害は、雇用形態や働き方によって計算方法が異なります。

以下、弁護士基準について説明します。

正社員や契約社員、パート・アルバイト、個人事業主、専業主婦(主夫)、会社役員など、それぞれの働き方に応じた算定基準が用いられるためです。

ここでは、5つの代表的な働き方について、休業損害の請求条件と具体的な計算方法を解説します。

①正社員・契約社員

正社員や契約社員は、事故による欠勤で給与が減額された場合に休業損害を請求できます。

また、有給休暇を使用した場合も請求の対象です。

有給休暇は本来、労働者が自由に使える権利であり、事故治療のために使わざるを得なかった場合には、経済的な損失とみなされるからです。

事故で10日間休んだうち5日が欠勤、5日が有給だった場合、減った給与分だけでなく有給を使った分も休業損害として請求できます。

正社員・契約社員の計算方法

正社員・契約社員の休業損害額は、原則として次の計算式で算出します。

休業損害額=事故前3ヵ月間の給与合計額 ÷ 90日×休業期間

事故前3か月間の給与(基本給・残業代・各種手当を含む)の合計が120万円で、休業日数が20日だったとします。

1日あたりの収入は 120万円 ÷ 90日 = 13,333円 となり、休業損害の総額は 13,333円 × 20日 = 266,660円 を休業損害として請求できます。

②パート・アルバイト・派遣社員

パート、アルバイト、派遣社員の方も、事故が原因でシフトに入れなくなったり、勤務時間が短くなったりして収入が減った場合、休業損害の請求が可能です。

勤務先のシフト表や給与明細、タイムカードなどから、事故がなければ得られたであろう収入額を算定し、実際の減収額を証明することで請求が認められます。

週4日のシフトで働いていたアルバイトが、事故による通院のため週2日しか働けなくなり、月収が6万円減少した場合、減少した6万円が休業損害です。

パート・アルバイト・派遣社員の計算方法

パート・アルバイト・派遣社員の場合も、正社員と同様に休業損害額を以下の計算式で算出します。

休業損害額=事故前3ヵ月間の給与合計額 ÷ 90日×休業日数

ただし、勤務日数が少ない場合には実際よりも低い金額になってしまうことも多いです。

そのようなケースでは、90日で割るのではなく、実際の稼働日数で割って日額を算出し、本来の収入により近い金額で休業損害を計算することがあります。

③個人事業主・フリーランス

個人事業主やフリーランスも、事故による休業で収入が減少した場合、休業損害の請求が可能です。

前年度の確定申告書などを基礎資料とし、事故がなければ得られたであろう所得を算出し、休業による減収額を証明することで請求が認められます。

Webデザイナーが事故で1ヵ月間業務を遂行できず、予定していた案件の報酬50万円が得られなかった場合、この50万円を休業損害として請求できる可能性があります。

個人事業主・フリーランスの計算方法

個人事業主の場合、休業損害額を算出する計算式は以下の通りです。

休業損害額=(前年度の確定申告所得額 + 固定経費) ÷ 365日×休業日数

前年度の所得額が500万円、年間の固定経費が150万円だった場合、1日あたりの基礎収入は (500万円 + 150万円) ÷ 365日 ≒ 17,808円 です。

休業期間が30日間であれば、休業損害の総額は 17,808円 × 30日 = 534,240円 の休業損害が請求できます。

また、休業していても支出が必要となる店舗のテナント料やリース料などの「固定経費」は、損害に加算して計算することが認められています。

④専業主婦・専業主夫

収入のない専業主婦(主夫)であっても、事故により家事労働に支障が出た場合、休業損害を請求できます。

家事労働は、金銭的に評価されるべき経済的価値のある労働と見なされるためです。

通常、厚生労働省が発表する賃金センサスの女性労働者の平均賃金を基準に損害額が計算されます。

専業主婦(主夫)の計算方法

専業主婦(主夫)の休業損害額を求める計算式は以下の通りです。

休業損害額=賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金 ÷ 365日×休業日数

令和6年の賃金センサスによる女性労働者の平均年収が約419万円であるため、1日あたりの基礎収入は 419万円 ÷ 365日 ≒ 11,479円 となります。

休業期間が60日間であれば、休業損害の総額は11,479円 × 60日 = 688,740円が休業損害として請求可能です。

⑤会社役員

会社役員が事故で休業し、役員報酬が減額された場合でも、その減少分のうち「労務の対価」としての性質がある部分については、休業損害として請求することができます。

ただし、報酬の中には利益配当的な要素も含まれていることがあり、その部分は休業損害の対象外となる可能性があるため注意が必要です。

たとえば、事故で入院し、月100万円の役員報酬が50万円に減った場合でも、減った50万円のうち労務対価と判断される40万円は休業損害として請求できる可能性があります。

会社役員の計算方法

会社役員の休業損害額を算出する計算式は以下の通りです。

休業損害額=(労務対価部分と認められる月額報酬 × 12ヵ月) ÷ 365日×休業日数

月額100万円の役員報酬のうち、70万円が労務対価部分と認められた場合、1日あたりの基礎収入は(70万円 × 12ヵ月) ÷ 365日 ≒ 23,014円となります。

休業期間が30日間であれば、休業損害の総額は23,014円 × 30日 = 690,420円が休業損害として請求可能です。

ただし、役員報酬には利益配当的な部分が含まれるため、労務対価部分の算定には企業規模、利益状況、同業他社の役員報酬、従業員給与との比較などが考慮されます。

ケガの程度別|仕事を休む期間の目安4パターン

ケガの程度別|仕事を休む期間の目安4パターン

交通事故によるケガの程度によって、仕事を休む必要がある期間は大きく異なります。

軽度の打撲や捻挫であれば数週間で復帰できることが多い一方、骨折や重度の後遺障害が残る場合は、数ヵ月から1年以上の休業が必要となることも多いです。

ここでは、ケガの程度に応じた休業期間の一般的な目安を4つのパターンに分けて解説します。

ただし、個人の体質や仕事内容によって必要な休業期間は異なるため、最終的には医師の判断に従ってください

①打撲・捻挫などの軽傷: 1週間~1ヵ月程度

打撲や捻挫などの比較的軽傷の場合、休業期間の目安は1週間から1ヵ月程度です。

打撲や捻挫は、一般的に数週間で日常生活に支障がないレベルまで回復することが多いためです。

ただし、痛みが長引く場合や、仕事内容によっては医師の判断で休業期間が延長されることもあります。

デスクワークの人が手首を捻挫した場合は数日程度で治ることが多い一方、立ち仕事で足首を強く捻挫した場合は1ヵ月ほど休業が必要と診断されることもあります。

②むちうち: 1ヵ月~3ヵ月程度

むちうちの場合、休業期間の目安は1ヵ月〜3ヵ月程度ですが、症状によっては半年以上に及ぶことも珍しくありません。

むちうちは、レントゲンなどでは異常が見つかりにくく、自覚症状(痛み、しびれ、めまい等)が長期化する傾向があるためです。

当初3ヵ月程度で職場復帰できると医師から説明されても、首の痛みや手のしびれが改善せず、最終的には半年間の休業が必要になることもあります。

このように、むち打ちは外見ではわかりにくくても日常生活や仕事に大きな支障が出ることがあるので、定期的に通院し、症状の経過を医師にきちんと伝えておくことが大切です。

③骨折: 3ヵ月~半年程度

骨折した場合の休業期間は、一般的に3ヵ月〜半年程度が目安です。

骨がくっつき、リハビリをして元の動きができるようになるまでには、それなりの時間がかかるためです。

ただし、以下のような要因によって休業期間は変わることがあります。

  • 骨折の部位
  • 骨のくっつき具合
  • 手術の有無
  • 仕事復帰にどれだけ回復が必要か

たとえば、デスクワークをしている人が手の指を骨折した場合は、比較的早く業務に復帰できることが多く、3ヵ月以内で済むことも多いです。

一方で、立ち仕事や体を使う仕事をしている人が足の骨を骨折し、手術が必要になった場合は、リハビリに時間がかかるため、半年以上休業が必要になるケースもあります。

④後遺障害が残る重症:1年以上

脊髄損傷や高次脳機能障害など、重篤な後遺障害が残る場合、1年以上の長期休業が必要となることがあります。

重症のケースでは神経の損傷が大きく、回復に時間がかかるうえ、リハビリを続けても改善が見込めない「症状固定」と診断されるまでに長期間かかることがあるからです。

交通事故で脊髄を損傷し下半身に麻痺が残った場合、懸命にリハビリを続けても1年半後に症状固定と診断されることがあります。

この場合、事故発生から症状固定までの1年半が休業損害の対象期間です。

ちなみに、症状固定後の将来にわたる収入減少分は、後程解説する「逸失利益」として別途請求することになります。

交通事故で仕事を休んだ時の休業損害の請求方法

休業損害を請求するには、必要な書類を揃えた上で、正しい請求先に提出する必要があります。

具体的な請求方法を解説します。

休業損害請求の必要書類一覧

休業損害を請求する際には、医師の診断書と診療報酬明細書が必要です。

加えて、収入を証明する以下の書類も用意しましょう。

職業 必要書類
会社員・アルバイトなどの給与所得者 休業損害証明書、給与明細、源泉徴収票など
個人事業主・会社役員などの事業所得者 前年の確定申告書など
専業主婦(主夫) 住民票や非課税証明書など

書類に不備があると、請求が認められなかったり、審査に時間がかかったりする可能性があるので注意してください。

休業損害の請求先

休業損害の請求先は、原則として加害者側の任意保険会社です。

交通事故の損害賠償責任は加害者にあり、その賠償を肩代わりするのが加害者の加入する任意保険会社の役割だからです。

加害者が任意保険に加入している一般的なケースでは、任意保険会社の担当者とやり取りを行い、休業損害証明書などの必要書類を提出し、審査を経て支払いを受けます。

ただし、加害者が任意保険に未加入の場合や保険会社との交渉が難航している場合は、相手側の自賠責保険に直接被害者請求を行うことができます。

また、自身が人身傷害補償保険に加入している場合は、過失割合に関わらず自身の保険会社から補償を受けることも可能です。

休業損害が支払われる期間の開始日と終了日

休業損害が支払われる期間には、明確な開始日と終了日があります。

この期間を正しく把握しておくことで、適切な金額を請求することができます。

開始日は事故発生日

休業損害の計算における休業期間の開始日は、原則として事故発生日です。

事故が起きた時点で、被害者は働く能力が失われたり制限されたりすると判断され、その瞬間から損害が発生すると考えられるためです。

たとえば、9月21日に事故に遭い、翌日の9月22日から会社を休んだ場合でも、休業損害の計算は9月21日から開始されます。

ただし、事故当日は通常通り勤務し、翌日以降に症状が出て休業した場合は、実際に休業が必要になった日を起算日とするケースもあります。

終了日は完治または症状固定日

休業損害の対象期間が終わるのは、ケガが完治した日、または医師から症状固定と診断された日です。

事故によるケガの治療が医学的に一区切りついたと判断され、この日以降は休業の必要性が認められません。

終了日の具体例
  • 「完治」と診断された日
  • 「これ以上の改善は見込めない」と診断された日
  • 痛みは残っているものの、「日常業務には支障がない」と判断された日

なお、症状固定後も労働能力の低下によって収入減が続く場合には、「逸失利益」として別途請求することになります。

休業損害以外に請求できる損害賠償

休業損害以外に請求できる損害賠償

交通事故の被害者は、休業損害のほかにも、さまざまな損害賠償を請求が可能です。

事故によって受けた損害を適切に補償してもらうためにも、請求できる項目を漏れなく把握しておきましょう。

ケガの治療費用

交通事故によるケガの治療にかかった費用は、加害者に対して損害賠償として請求できます。

事故がなければ負担する必要がなかった費用であり、加害者の不法行為によって生じた財産的損害と見なされるためです。

治療費は、事故と相当因果関係がある範囲内で、実際に支出した費用の全額が認められます。

請求できる治療費
  • 診察料
  • 検査費
  • 入院費
  • 手術費
  • 薬代
  • リハビリ費用
  • 通院のための交通費

ただし、入院中の個室料金については、医師が医学的に必要と認めた場合に限り請求できます。

また、過剰または不必要な治療と判断された費用は、認められない可能性があるため注意が必要です。

精神的苦痛に対する慰謝料

交通事故で受けた精神的苦痛に対しては、慰謝料を請求できます。

精神的苦痛は金銭的に評価しにくいものですが、加害者の不法行為によって生じた精神的損害として、法律上、金銭による賠償が認められているためです。

慰謝料には「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の2種類があります。

入通院慰謝料は、治療のために入院・通院したことによる精神的苦痛への補償で、治療期間や通院日数に応じて算定されます。

慰謝料の具体的な金額
  • 入通院慰謝料(3カ月):弁護士基準で約53万円
  • 後遺障害慰謝料(14級~1級):弁護士基準で約110万円~約2,800万円

保険会社は低い基準で金額を提示することが多いため、適切な金額を受け取るには、交通事故に詳しい弁護士に一度相談してみることをおすすめします。

将来得られるはずだった逸失利益

事故により後遺障害が残ったり、死亡した場合、将来得られたはずの収入の減少分を逸失利益として請求できます。

後遺障害によって労働能力が低下したり、死亡によって将来の収入が完全に失われたりすることは、財産的な損害と見なされるためです。

たとえば、事故で腕に麻痺が残り、後遺障害等級12級と認定され、以前のように働けなくなったとします。

事故前の年収が500万円、労働能力喪失率が14%、労働可能年数が30年とすると、500万円×14%×30年分で約1,000万円を逸失利益として請求できます。

さらに、死亡事故の場合は、労働能力喪失率が100%となり、より高額な逸失利益が認められるケースが多いです。

休業損害を減額されないための3つのポイント

休業損害を正しく受け取るには、いくつかの大切なポイントを理解しておくことが重要です。

対応を間違えると、本来もらえるはずの金額が減らされたり、最悪の場合は支払ってもらえなかったりすることもあるからです。

ここでは、休業損害が減らされないように気をつけたい3つのポイントをわかりやすくご紹介します。

①交通事故後にすぐ病院に行く

交通事故に遭ったら、たとえ自覚症状がなくても、すぐに病院で診察を受けましょう。

休業損害などの損害賠償を請求するには、医師による診断が必要です。

事故直後に診察を受けることで、「事故によるケガ」であることを客観的に証明できます。

反対に、時間がたってから受診すると、保険会社に「事故が原因ではない」と判断され、治療費や休業損害の支払いを拒否される可能性があります。

事故当日は痛みが軽くて病院に行かず、3日後に痛みが強くなって受診した場合、事故との関係が不明だと指摘され、補償してもらえないかもしれません。

②適切な頻度で通院する

医師の指示に従い、適切な頻度で継続的に通院することが、休業損害を適正に受け取る上で非常に大切です。

通院回数が少ないと、「症状が軽く、治療の必要性が低い」と保険会社に判断され、治療費や休業損害の支払いを打ち切られたり、減額されたりする可能性があるからです。

たとえば、むちうちで週2回の通院を指示されたのに、実際は月2回しか通院していないと、保険会社に治療の必要性が低いと判断され、治療費が途中で打ち切られることがあります。

一方、指示通りに週2回通院を継続していれば、6ヵ月間の治療が認められ、適正な休業損害を受け取れる可能性が高いです。

なお、仕事や家庭の事情などでどうしても通院が難しい場合は、あらかじめ病院や保険会社に相談し、事情を説明しておくことで、不利な対応を避けられます。

③完治・症状固定まで通院を継続する

症状が完全に治るか、医師から「症状固定」と診断されるまでは、自分の判断で通院をやめずに治療を続けるようにしましょう。

途中で治療を中断すると、それ以降の治療費や休業損害が請求できなくなる可能性があるためです。

また、症状がまだ安定していない段階で示談に応じてしまうと、後遺症の評価が正しく行われず、本来受け取れるはずの後遺障害慰謝料や逸失利益が減ってしまうかもしれません。

たとえば、むちうちで通院していた人が事故から4ヵ月後に「痛みが軽くなった」と自己判断で通院をやめると、保険会社からは治療が終了したと判断されてしまうことがあります。

その結果、たとえ後から痛みがぶり返しても、追加の補償を受けられない可能性があります。

一方で、医師の指示に従って6ヵ月間通院を続け、症状固定と診断されたうえで示談交渉に進んだ場合は、適正な賠償金を受け取れる可能性が高いです。

なお、症状固定と診断されたら、後遺障害等級認定の申請も検討してみましょう。

認定を受けられれば、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能になります。

どうしても仕事を休めない場合の4つの対処法

どうしても仕事を休めない場合の4つの対処法

交通事故でケガをしたものの、仕事の都合でどうしても休めないという方も多いです。

しかし、治療を怠ると症状が悪化したり、将来的に後遺症が残ったりするリスクがあります。

仕事を完全に休むことが難しい場合でも、工夫次第で治療と仕事を両立することは可能です。

ここでは、仕事を休めない場合でも治療を続けるための4つの対処法をご紹介します。

対処法1:仕事を休めなくても治療は続ける

仕事を完全に休むことが難しい場合でも、治療を中断せずに継続することが大切です。

仕事が忙しいからといって治療を中断すると、回復が遅れたり後遺症が残るリスクが高くなったりする可能性があるからです。

また、保険会社との示談交渉においても、治療の中断は不利に働き、治療の必要性がないと判断され、休業損害や慰謝料が減額されるリスクがあります。

無理のない範囲で通院を続ける工夫をすることが、結果的に適正な補償を受けることに繋がります。

対処法2:休日・夜間に診療しているクリニックに通う

平日の日中に通院が難しい場合でも、休日や夜間に診療しているクリニックを利用すれば、仕事と治療の両立が可能です。

最近では、働く人のニーズに応じて、土日祝日や平日夜間まで診療している整形外科や接骨院が増えています。

こういった病院を利用することで、仕事を休まずに週2〜3回の通院ができ、休業損害の請求に必要な通院実績も確保が可能です。

ちなみに、「地域名+休日診療+整形外科」や「〇〇市+夜間診療+交通事故」などで検索すると、条件にあった通い易いクリニックが見つけられます。

対処法3:自営業の場合は業務を外注する

自営業の方が仕事を休めない場合、一部業務を外注することで、通院時間を確保しながら事業を継続できます。

自営業は代わりがいないため休業が難しい一方、業務の一部を外部に委託することで時間的余裕を作ることが可能です。

また、外注によって発生した費用は、休業に伴う固定経費として休業損害に加算できる可能性があります。

そのため、まずは治療を優先し、必要な業務は外注を検討しましょう。

対処法4:請求手続きや示談交渉は弁護士に任せる

交通事故の損害賠償請求や保険会社との交渉は複雑で、精神的にも時間的にも大きな負担になります。

こうした対応を弁護士に任せることで、治療に集中できる環境が整い、結果として適正な賠償金を得られる可能性が高まる上、精神的な負担も大幅に軽減されます。

たとえば、会社員の方が事故後に保険会社から何度も連絡や書類の提出を求められ、通院が後回しになってしまうことも多いです。

しかし、弁護士に依頼すれば対応をすべて任せられるため、安心して治療に専念できます。

また、自営業者が示談交渉を弁護士に委ねることで本業に集中でき、結果的に休業損害も弁護士基準で増額される可能性もあります。

仕事を優先して治療を後回しにした場合の4つのリスク

仕事を優先して治療を後回しにしてしまった場合、さまざまなリスクがあります。

一時的には仕事を続けられても、時間が経つにつれて体の不調が悪化したり、結果的に経済的な負担が増えることも多いです。

ここでは、治療を怠った場合に起こりうる4つの主なリスクについて解説します。

①休業損害を請求できなくなる可能性がある

治療を後回しにしたり、通院の回数が少なかったりすると、休業の必要性が認められず、休業損害を十分に請求できなくなる可能性があります。

保険会社は治療の状況や休業の必要性を厳しく確認しており、通院が途切れていたり、頻度が低かったりすると、事故による休業ではないと判断しやすいからです。

事故直後に通院し、その後2ヵ月間は仕事が忙しく病院に通わなかったとします。

この場合、3ヵ月目に通院を再開したとしても、症状が軽かったと見なされ、休業損害や治療費が認められない可能性があります。

②回復までの期間が長引く

適切な治療を早期に開始しないと、症状の回復が遅れ、結果的に治療期間が長引くことになります。

特にむちうちなどの症状は、初期の治療が重要です。

放置すると慢性化しやすく、完治が困難になるケースも少なくありません。

事故直後からリハビリや薬で治療を始めれば、3〜6ヵ月で回復するケガでも、放置すると、1年以上痛みが続いたり、完治が難しくなることもあります。

③後遺症のリスクが高まる

治療を中断したり、不十分な治療で済ませたりすると、後遺症が残り、将来にわたって身体的苦痛を抱えるリスクが高まります。

後遺症は一度発症すると治癒が困難な場合が多く、その後の生活の質に大きく影響します。

日常生活や仕事に支障が出るだけでなく、後遺障害等級が認定されないと、将来の逸失利益や後遺障害慰謝料も請求できません

④休業補償や慰謝料が少なくなる

治療期間が短かったり、通院頻度が低いと、休業損害や入通院慰謝料の金額が、本来受け取れるはずの金額よりも少なくなる可能性があります。

休業損害は休業期間や収入に基づいて、慰謝料は治療期間や通院頻度に基づいて算定されるため、治療の状況が直接金額に影響するためです。

また、治療を早期に打ち切ると、その分の補償を受けられなくなります。

本来6ヵ月の治療が必要だったのに、自己判断で3ヵ月でやめると、休業損害は3ヵ月分しか認められません。

⑤後遺症の認定を受けにくい

症状固定までの治療状況や通院実績が不十分だと、後遺障害の認定を受けることが難しくなる可能性があります。

後遺障害の認定には、一貫した治療記録と症状の継続性を示す資料が不可欠です。

治療を中断すると、「症状が本当に続いていたのか」「事故が原因なのか」と疑われ、事故との関係を証明しにくくなります。

むちうちで首から腕にかけてしびれが残っていても、事故後に2ヵ月間通院を中断すると、「症状が軽かった」と判断されかねません。

その結果、後遺障害診断書を提出しても、認定されないリスクがあります。

保険会社から治療費の打ち切られたときの対応策

治療がまだ必要な段階で、保険会社から治療費の支払い打ち切りを通告されることがあります。

しかし、適切に対応すれば治療を継続できる可能性が残されているので、諦める必要はありません。

ここでは、保険会社から治療費を打ち切られた場合の具体的な対応策を解説します。

保険会社からの連絡を放置しない

保険会社からの治療費打ち切りの連絡があった場合、絶対に放置してはいけません

連絡を放置すると、保険会社側の一方的な判断で治療費の支払いが停止される可能性があるからです。

具体的には、焦らずに状況を正確に把握し、打ち切り通告の理由や今後の対応について書面で確認しましょう。

不明点はすぐに問い合わせ、打ち切りの理由が不当である場合は、医師の意見を添えて異議を申し立てることができます。

主治医に「治療継続が必要」との意見書を書いてもらう

主治医に、治療を続ける必要があることについて、医学的な立場から意見書を作成してもらいましょう。

医師の意見書は、治療の正当性を示す強力な証拠となり、保険会社とのやり取りでも有効に使えます。

意見書には、現在の症状や今後の治療内容、治療をやめた場合に考えられるリスクなどを記載してもらうとよいです。

さらに、レントゲンやMRIなどの画像、血液検査の結果といった客観的なデータも加えてもらうと、説得力が高まります。

弁護士を通じて治療期間の延長を交渉する

弁護士に依頼して、保険会社と治療期間の延長について交渉してもらいましょう。

弁護士は保険会社との交渉経験が豊富なので、自分で交渉するよりも、治療を続けられる可能性が高まります。

弁護士が医師の診断書や過去の似たようなケースを示しながら、保険会社と粘り強く話し合いを進めることで、結果的に治療期間の延長が認められるケースも多いです。

健康保険を使って治療を続ける

保険会社からの治療費打ち切り後も、自身の健康保険を使って治療を続けることができます。

交通事故によるケガでも、通常の病気やケガと同じように健康保険が利用できるためです。

具体的には、病院の窓口で健康保険証を提示し、保険会社からの補償が終了したことを伝えましょう。

その後、自身が加入している健康保険組合に「第三者行為による傷病届」などを提出する必要があります。

この手続きを行うことで、健康保険を使って自己負担を抑えながら治療を続けることができます。

自賠責保険の「被害者請求制度」を使う

保険会社が治療費の支払いを打ち切った場合でも、被害者請求という制度を使って、自分で直接治療費や休業中の収入補償などを請求することができます。

交通事故の被害者は、法律で必ず最低限の補償を受けられることになっており、保険会社が支払いを止めても、この最低限の補償は受け取ることが可能です。

具体的には、診断書や治療費の領収書などの必要な書類を集めて、相手方が加入している保険会社に提出します。

そうすることで、治療費や休業中の収入補償、慰謝料などの支払いを受けることができます。

自分の保険の「人身傷害補償特約」を使う

自身が加入している自動車保険の「人身傷害補償特約」を利用すれば、過失割合に関わらず、自身の損害を保険会社に請求できます。

人身傷害補償特約は、自分や同乗者のケガの治療費、休業損害、精神的損害などを、自身の保険会社が補償する特約です。

相手方の保険会社が治療費を打ち切っても、自身の保険会社に連絡し、特約の適用を申請することで、引き続き治療費の支払いを受けることができます。

弁護士を雇うと損害賠償を増額できる可能性が高い

交通事故の損害賠償を請求する際、弁護士に依頼することで、受け取れる賠償金額が大幅に増える可能性があります。

賠償金の計算方法には3段階あり、金額に大きな差があります。

基準 保証水準
自賠責基準 法律で定められた最低限の補償額
保険会社基準 各保険会社が独自に決めた補償額
弁護士基準 裁判で認められる最も高い補償額

保険会社は通常、自賠責基準や保険会社基準で示談を提案してきますが、弁護士が交渉することで、最も高い弁護士基準での支払いを引き出せる可能性が高まります。

休業中の収入補償や後遺症に対する慰謝料を含めると、最終的な賠償額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。

また、弁護士に依頼することで、保険会社との面倒なやり取りや書類作成から解放され、治療に専念できるという精神的なメリットもあります。

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休業損害の請求に関するQ&A

交通事故でケガをして仕事を休まざるを得なくなった場合、休業中の収入補償として休業損害を請求が可能です。

ただし、実際の請求手続きでは「どのような場合に請求できるのか?」、「税金はかかるのか?」「保険会社から打ち切りの通告が来たら?」など、多くの不安や疑問が生じます。

以下では、休業損害の請求に関するよくある疑問について、Q&A形式で分かりやすく解説します。

有給を使ったら休業損害を請求できない?

有給休暇を使用した場合でも、休業損害を請求できます

有給休暇は本来、労働者が自由に使える権利であり、旅行やリフレッシュなど好きなタイミングで使えるものです。

しかし、事故によるケガの治療や通院のために有給休暇を使わざるを得なくなった場合、本来自由に使えるはずだった権利を失ったことになります。

これは金銭的な損害として認められます。

事故による通院のために有給休暇を5日間使用した場合、この5日分の給与相当額を休業損害として請求が可能です。

有給休暇を取得したけど、通院しなかった場合は請求できない?

有給休暇を取得した日に通院していなくても、医師の指示によるケガの治療のための休業であれば、休業損害を請求できる可能性があります

休業損害が認められるために重要なのは、必ずしも毎日通院することではなく、医師が「休業が必要」と認めていることです。

ただし、本当に療養が必要だったことを医師の診断書やカルテなどで客観的に証明できる必要があります。

高熱や強い痛みで外出できず、医師の指示で有給休暇を使って自宅で安静にしていた場合でも、診断書やカルテに休業が必要と記載されていれば、請求の対象です。

有給休暇ではなく、代休を使っても請求できる?

事故によるケガの治療のために代休を使用した場合も、有給休暇と同様に休業損害として請求できます

代休も有給休暇と同じように、本来は労働者が自由に使える権利です。

事故によるケガの治療のために代休を使わざるを得なくなった場合、本来自由に使えるはずだった権利を失ったことになり、これは金銭的な損害として認められます。

たとえば、休日出勤の代わりに取得していた代休を、事故後の通院のために使用した場合、この使用した代休の日数分も休業日数に含めて請求することが可能です。

受け取った休業損害や慰謝料に、税金はかかりますか?

交通事故の被害者が受け取る休業損害や慰謝料などの損害賠償金には、原則として税金はかかりません

これらの賠償金は、新たな収入を得るためのものではなく、事故によって受けた損害を補うためのものと考えられているためです。

ただし、受け取った治療費が実際の治療費を大きく上回る場合や、示談金として不動産などの資産を受け取った場合は、例外的に課税されることがあります。

心配な場合は、税理士や税務署に相談しましょう。

保険会社から「治療費や休業損害の支払いを打ち切る」と通告されたら?

治療段階で保険会社から「治療費や休業損害の支払いを打ち切る」と通告されても、すぐに同意する必要はありません

治療の終了時期を判断するのは保険会社ではなく、医師です。

医師が「まだ治療が必要」と判断すれば、休業損害を受け取れます。

保険会社の一方的な打ち切りに応じてしまうと、本来受け取れるはずの適切な補償を受けられなくなるリスクがあるので注意してください。

そのため、治療中に保険会社から治療費の打ち切りを告げられた場合は、主治医に相談し、治療の継続が必要とする診断書をもらいましょう。

その上で、弁護士に相談して保険会社との交渉を依頼することをおすすめします。

弁護士が医師の診断書をもとに交渉することで、治療費の支払い継続が認められる可能性が高まります。

休業損害と休業補償の違いは?

  休業損害 休業補償
請求先 加害者側の保険会社 労災保険
事故の種類 交通事故全般 業務中または通勤中の事故

休業損害と休業補償は、どちらも仕事を休んだことによる収入減を補うものですが、事故の原因や請求先が異なります

休業損害は、加害者がいる事故で仕事を休んだ場合の損害賠償であり、相手方に責任があるため相手方の保険会社から支払われます。

一方、休業補償は、仕事中や通勤中の事故でケガをした場合に、国の労災保険制度から給付されるものです。

まとめ

交通事故でケガをして仕事を休んだ場合、減った収入は「休業損害」として加害者側に請求できます。

正社員に限らず、アルバイトや個人事業主、専業主婦(主夫)なども、それぞれの働き方に応じた方法で補償を受けることが可能です。

ただし、事故直後から正しく対応しないと、損害がきちんと補償されないリスクがあります。

たとえば、すぐに病院を受診しなかったり、通院の頻度が少なかったりすると、休業損害や慰謝料が減額されたり、後遺障害の認定が受けられなくなる可能性もあります。

また、保険会社から治療費の打ち切りを伝えられた場合や、示談に不安を感じるときは、交通事故に詳しい弁護士に相談してみましょう

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この記事の監修者
富永 慎太朗 (福岡県弁護士会)
ご相談者様のお話をしっかりと伺い、豊富な実績を活かし最適な解決策を提案しています。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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