交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
ベンナビ弁護士保険は、弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険です。
交通事故だけでなく、自転車事故、労働問題、離婚、相続トラブルなど幅広い法的トラブルで利用することができます。
弁護士保険で法律トラブルに備える
交通事故の加害者とされる側でも、治療費の全額が必ず自己負担になるとは限りません。
被害者側にも過失があれば自賠責保険から補償を受けられるほか、加害者自身が加入している人身傷害保険などから補償を受けられることもあります。
交通事故の加害者側が治療費などの補償を受けたい場合は、弁護士に相談しましょう。
本記事では、交通事故の加害者が治療費などの補償を受けられるケースや、保険会社に対して請求できる治療費の内訳などを解説します。
交通事故でけがをした加害者の治療費を誰が負担するかは、被害者との間の過失割合や、保険の加入状況などによって決まります。
交通事故について加害者に10割の過失がある場合は、原則として、治療費を含む損害の全額が加害者の自己負担となります。
過失割合が10対0の場合、被害者は一切損害賠償責任を負いません。
被害者が加入している自賠責保険や任意保険も、被害者自身が負う損害賠償責任をカバーするものなので、被害者に損害賠償責任が生じないケースでは保険金を請求することができません。
交通事故について、被害者側にも何らかの過失がある場合(過失割合が9対1、8対2などの場合)には、被害者が加入している自賠責保険から治療費の支払いを受けることができます。
自賠責保険から支払われる保険金は、請求する当事者に重大な過失がある場合には、下表の割合による減額がおこなわれます。
請求する当事者の過失割合 |
減額割合(後遺障害・死亡) |
減額割合(傷害) |
---|---|---|
7割未満 |
減額なし |
減額なし |
7割以上8割未満 |
2割減額 |
2割減額 |
8割以上9割未満 |
3割減額 |
2割減額 |
9割以上10割未満 |
5割減額 |
2割減額 |
治療費は「傷害」による損害に含まれます。
したがって、加害者の過失割合が7割以上10割未満であれば、積算した傷害による損害額(120万円以上となる場合は120万円)から2割減額されます。
加害者の過失割合が7割未満であれば、保険金の減額はおこなわれず、積算した傷害に係る損害額(120万円以上となる場合は120万円)の全額を受け取ることができます。
ただし、傷害による損害額が20万円未満の場合は減額がおこなわれません。
また、減額によって20万円以下となる場合には、20万円が支払われます。
なお本来であれば、交通事故によって加害者が受けた治療費などの損害は、過失割合に応じて被害者または任意保険会社に支払いを請求できます。
しかし、自賠責保険から支払われた保険金額は、被害者や任意保険会社に対して請求できる金額から控除されます。
自賠責保険の補償が比較的手厚いので、被害者や任意保険会社に対してさらに治療費を請求できるケースは少ないでしょう。
交通事故の加害者が人身傷害保険などに加入していれば、自らの過失割合にかかわらず、その保険から治療費などをカバーする保険金を受け取ることができます。
自賠責保険の保険金は、過失割合が10割の場合は受け取れず、過失割合が7割以上の場合は減額されてしまいます。
これに対して、人身傷害保険などの保険金は、過失割合にかかわらず減額されないのが大きなメリットです。
ご自身の加入している保険の内容を問い合わせるなどして、治療費の補償として利用できる保険に加入しているかどうかを確認しましょう。
交通事故によるけがが保険による補償の対象となる場合、保険会社に対しては治療費として、医療機関や薬局に対して支払う費用全般の支払いを請求できます。
具体的には、以下のような治療費を保険会社に対して請求可能です。
治療費以外にも、交通事故によって加害者が被った損害については、被害者が加入している自賠責保険や自ら加入している人身傷害保険などから補償を受けられることがあります。
具体的には、以下のような損害が補償の対象になります。
発生した損害を漏れなく積算して、適切な補償を受けましょう。
交通事故によって加害者が負った傷害に関連して、以下の損害につき保険金を請求できることがあります。
なお損害の項目によっては、自賠責保険による補償の基準(=自賠責保険基準)によって計算される保険金額は、実際の損害額(=裁判所基準)よりも低く抑えられることがある点にご注意ください(後遺障害による損害、死亡による損害についても同様)。
入院雑費 |
入院中に要する日用品などの購入費用です。 自賠責保険基準では1日当たり1,100円、裁判所基準では1日当たり1,500円程度が認められます。 |
---|---|
通院交通費 |
通院時に要する交通費です。 必要かつ妥当な実費が支払われます。 |
装具、器具の購入費 |
義肢・義眼・眼鏡・補聴器・松葉杖・サポーターなどの購入費用です。 原則として必要かつ妥当な実費が支払われますが、自賠責保険基準では、眼鏡やコンタクトレンズの費用は5万円が限度とされています。 |
診断書等の費用 |
診断書や診療報酬明細書などの発行手数料です。 必要かつ妥当な実費が支払われます。 |
文書料 |
交通事故証明書・印鑑証明書・住民票などの発行手数料です。 必要かつ妥当な実費が支払われます。 |
休業損害 |
交通事故による傷害が原因で仕事を休んだことにより、減少した収入が補償の対象となります。 有給休暇を取得した場合も、その日数に対応する賃金が補償の対象です。 自賠責保険基準では、原則として1日当たり6,100円が補償されます。 ただし、さらに多額の収入減が生じたことを立証すれば、最大で1日当たり1万9,000円が補償されます。 裁判所基準では、事故当時の収入額を日割りしたうえで、休業日数を掛けた金額が補償されます。 |
入通院慰謝料 |
交通事故による傷害について生じた精神的・肉体的な苦痛に対する補償です。 自賠責保険基準では、1日当たり4,300円が支払われます。 対象日数は、被害者の傷害の状態や実治療日数などを勘案して、治療期間内で決められます。 裁判所基準では、入院期間と通院期間に応じて入通院慰謝料の金額を計算します。 |
なお自賠責保険では、傷害による損害の補償限度額は120万円です。
加害者の過失割合が7割以上10割未満の場合は、積算した傷害による損害額(120万円以上となる場合は120万円)から2割減額されます。
また、加害者の過失割合が10割の場合は、自賠責保険による補償は受けられません。
交通事故によって加害者が負ったけがが完治せずに後遺症が残った場合は、以下の損害につき保険金を請求できることがあります。
逸失利益 |
後遺症によって労働能力が失われた場合に、将来にわたって生じる収入の減少に対する補償です。 事故当時の収入、認定される後遺障害等級(1級~14級)に応じた労働能力喪失率、年齢などから求められる労働能力喪失期間などによって金額を計算します。 |
---|---|
後遺障害慰謝料 |
交通事故による後遺症について生じた精神的・肉体的な苦痛に対する補償です。 自賠責保険基準では、認定される後遺障害等級(要介護1級・2級、1級~14級)に応じて、1,650万円(要介護1級)から32万円(14級)が支払われます。 裁判所基準では、2,800万円(1級、要介護を含む)から110万円(14級)が目安とされています。 |
なお自賠責保険では、後遺障害による損害の補償限度額は、認定される後遺障害等級(要介護1級・2級、1級~14級)に応じて決まります。
最高額は4,000万円(要介護1級)、最少額は75万円(14級)です。
加害者の過失割合が7割以上10割未満の場合は、積算した後遺障害による損害額(補償限度額以上となる場合は補償限度額)から2割から5割減額されます。
また、加害者の過失割合が10割の場合は、自賠責保険による補償は受けられません。
交通事故によって加害者が死亡した場合には、以下の損害につき保険金を請求できることがあります。
葬儀費用 |
葬儀に要する、通夜・祭壇・火葬・墓石などの費用です。 墓地と香典返しは除きます。 自賠責保険基準では100万円、裁判所基準では150万円程度を上限とする実費相当額が認められます。 |
---|---|
逸失利益 |
死亡によって得られなくなった将来の収入に対する補償です。 事故当時の収入や、年齢から求められる労働能力喪失期間などによって金額を計算します。 |
死亡慰謝料 |
交通事故によって死亡したことによる生じた精神的・肉体的な苦痛に対する補償です。 自賠責保険基準では、本人について400万円、遺族について550万円から950万円が認められます。 遺族の慰謝料額は、請求権者(父母・配偶者・子)の数や、本人に被扶養者がいるかどうかによって決まります。 裁判所基準では、家庭内における本人の立場に応じた金額の慰謝料が認められます。 一家の支柱である場合は2,800万円程度、母親や配偶者の場合は2,500万円程度、その他の場合は2,000万円から2,500万円程度が目安です。 |
交通事故の被害者がけがをしておらず、加害者のみけがをしているという場合、加害者としては以下の理由により、人身事故として警察に報告した方がよいと考えられます。
自賠責保険の保険金を請求する際には、人身事故の交通事故証明書の提出を求められます。
被害者側に何らかの過失があり、加害者が自賠責保険の保険金を請求できる場合には、人身事故として届け出た方がよいでしょう。
加害者自身のけがは、行政処分(運転免許の違反点数)や刑事処分(刑罰)との関係で、加害者の不利益に考慮されることはありません。
そのため被害者にけががなく、加害者のみけがをしている場合には、人身事故として届け出ることに不都合はないと考えられます。
交通事故の加害者であっても、被害者に何らかの過失がある場合は、治療費などについて自賠責保険の保険金を請求できます。
また、加害者自身が加入している人身傷害保険などを利用すれば、過失割合にかかわらず治療費などの補償を受けることが可能です。
交通事故の加害者となってしまった方が、治療費などについて保険会社に適正な補償を請求したい場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、各種保険の内容を確認したうえで、保険金の請求手続きなどをサポートしてもらえます。
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