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交通事故で加害者の治療費は被害者に請求できる?自分の治療費に保険は使える?

監修記事
交通事故で加害者の治療費は被害者に請求できる?自分の治療費に保険は使える?

交通事故の加害者とされる側でも、治療費の全額が必ず自己負担になるとは限りません。

被害者側にも過失があれば自賠責保険から補償を受けられるほか、加害者自身が加入している人身傷害保険などから補償を受けられることもあります。

交通事故の加害者側が治療費などの補償を受けたい場合は、弁護士に相談しましょう。

本記事では、交通事故の加害者が治療費などの補償を受けられるケースや、保険会社に対して請求できる治療費の内訳などを解説します。

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交通事故でけがをした加害者の治療費は誰が払うのか?

交通事故でけがをした加害者の治療費を誰が負担するかは、被害者との間の過失割合や、保険の加入状況などによって決まります。

過失割合10対0の場合、原則として治療費の全額が加害者の自己負担

交通事故について加害者に10割の過失がある場合は、原則として、治療費を含む損害の全額が加害者の自己負担となります。

過失割合が10対0の場合、被害者は一切損害賠償責任を負いません。

被害者が加入している自賠責保険や任意保険も、被害者自身が負う損害賠償責任をカバーするものなので、被害者に損害賠償責任が生じないケースでは保険金を請求することができません。

被害者にも過失がある場合は、被害者の自賠責保険から治療費の支払いを受けられる

交通事故について、被害者側にも何らかの過失がある場合(過失割合が9対1、8対2などの場合)には、被害者が加入している自賠責保険から治療費の支払いを受けることができます。

自賠責保険から支払われる保険金は、請求する当事者に重大な過失がある場合には、下表の割合による減額がおこなわれます。

請求する当事者の過失割合

減額割合(後遺障害・死亡)

減額割合(傷害)

7割未満

減額なし

減額なし

7割以上8割未満

2割減額

2割減額

8割以上9割未満

3割減額

2割減額

9割以上10割未満

5割減額

2割減額

治療費は「傷害」による損害に含まれます。

したがって、加害者の過失割合が7割以上10割未満であれば、積算した傷害による損害額(120万円以上となる場合は120万円)から2割減額されます。

加害者の過失割合が7割未満であれば、保険金の減額はおこなわれず、積算した傷害に係る損害額(120万円以上となる場合は120万円)の全額を受け取ることができます。

ただし、傷害による損害額が20万円未満の場合は減額がおこなわれません。

また、減額によって20万円以下となる場合には、20万円が支払われます。

なお本来であれば、交通事故によって加害者が受けた治療費などの損害は、過失割合に応じて被害者または任意保険会社に支払いを請求できます。

しかし、自賠責保険から支払われた保険金額は、被害者や任意保険会社に対して請求できる金額から控除されます。

自賠責保険の補償が比較的手厚いので、被害者や任意保険会社に対してさらに治療費を請求できるケースは少ないでしょう。

人身傷害保険などに加入していれば、過失割合にかかわらず治療費がカバーされる

交通事故の加害者が人身傷害保険などに加入していれば、自らの過失割合にかかわらず、その保険から治療費などをカバーする保険金を受け取ることができます。

自賠責保険の保険金は、過失割合が10割の場合は受け取れず、過失割合が7割以上の場合は減額されてしまいます。

これに対して、人身傷害保険などの保険金は、過失割合にかかわらず減額されないのが大きなメリットです。

ご自身の加入している保険の内容を問い合わせるなどして、治療費の補償として利用できる保険に加入しているかどうかを確認しましょう。

交通事故で保険会社に請求できる治療費の主な内訳

交通事故によるけがが保険による補償の対象となる場合、保険会社に対しては治療費として、医療機関や薬局に対して支払う費用全般の支払いを請求できます。

具体的には、以下のような治療費を保険会社に対して請求可能です。

  • 診察料(初診料、再診料)
  • 投薬料
  • 検査料
  • 入院費用
  • 手術費用
  • 薬剤の購入費用
  • 差額ベッド代(治療に必要な場合に限る) など

治療費以外に、保険会社に請求できる費用の主な内訳

治療費以外にも、交通事故によって加害者が被った損害については、被害者が加入している自賠責保険や自ら加入している人身傷害保険などから補償を受けられることがあります。

具体的には、以下のような損害が補償の対象になります。

発生した損害を漏れなく積算して、適切な補償を受けましょう。

①傷害による損害
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 装具、器具の購入費
  • 診断書などの費用
  • 文書料
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料
②後遺障害による損害
  • 逸失利益
  • 後遺障害慰謝料
③死亡による損害
  • 葬儀費用
  • 逸失利益

傷害による損害

交通事故によって加害者が負った傷害に関連して、以下の損害につき保険金を請求できることがあります。

なお損害の項目によっては、自賠責保険による補償の基準(=自賠責保険基準)によって計算される保険金額は、実際の損害額(=裁判所基準)よりも低く抑えられることがある点にご注意ください(後遺障害による損害、死亡による損害についても同様)。

入院雑費

入院中に要する日用品などの購入費用です。

自賠責保険基準では1日当たり1,100円、裁判所基準では1日当たり1,500円程度が認められます。

入院雑費

入院中に要する日用品などの購入費用です。

自賠責保険基準では1日当たり1,100円、裁判所基準では1日当たり1,500円程度が認められます。

通院交通費

通院時に要する交通費です。

必要かつ妥当な実費が支払われます。

装具、器具の購入費

義肢・義眼・眼鏡・補聴器・松葉杖・サポーターなどの購入費用です。

原則として必要かつ妥当な実費が支払われますが、自賠責保険基準では、眼鏡やコンタクトレンズの費用は5万円が限度とされています。

診断書などの費用

診断書や診療報酬明細書などの発行手数料です。

必要かつ妥当な実費が支払われます。

文書料

交通事故証明書・印鑑証明書・住民票などの発行手数料です。

必要かつ妥当な実費が支払われます。

休業損害

交通事故による傷害が原因で仕事を休んだことにより、減少した収入が補償の対象となります。

有給休暇を取得した場合も、その日数に対応する賃金が補償の対象です。

自賠責保険基準では、原則として1日当たり6,100円が補償されます。

ただし、さらに多額の収入減が生じたことを立証すれば、最大で1日当たり1万9,000円が補償されます。

裁判所基準では、事故当時の収入額を日割りしたうえで、休業日数を掛けた金額が補償されます。

入通院慰謝料

交通事故による傷害について生じた精神的・肉体的な苦痛に対する補償です。

対象日数は、被害者の傷害の状態や実治療日数などを勘案して、治療期間内で決められます。

裁判所基準では、入院期間と通院期間に応じて入通院慰謝料の金額を計算します。

自賠責保険では、傷害による損害の補償限度額は120万円です。加害者の過失割合が7割以上10割未満の場合は、積算した傷害による損害額(120万円上限)から2割減額されます。

加害者の過失割合が10割の場合は、自賠責保険による補償は受けられません。ただし、10対0の事故の加害者であっても、ご自身の人身傷害保険から入通院慰謝料を受け取れる可能性があります。

入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料の相場は、請求する保険(ご自身の人身傷害保険か、相手方の自賠責保険・任意保険か)と、その計算基準によって大きく異なります。一般的に、相手方の保険に対し弁護士(裁判)基準で請求する場合が最も高額になる傾向があります。

入院慰謝料の相場(入院なし、週に3日通院した場合)

治療期間

人身傷害保険の目安 (※1)

自賠責基準 (※2)

弁護士基準(むちうちなど軽傷)

弁護士基準(骨折など重傷)

1ヵ月

4万円~10万円程度

8.6万円

19万円

28万円

3ヵ月

15万円~30万円程度

20.64万円

53万円

73万円

6ヵ月

30万円~60万円程度

41.28万円 (※3)

89万円

116万円

補足説明
※1 人身傷害保険の基準は保険会社や契約内容により異なります。あくまで一般的な目安です。
※2 自賠責保険の傷害慰謝料は、2020年3月31日以前の事故については1日4,200円、2020年4月1日以降の事故については1日4,300円で計算されます。上記は4,300円で計算した場合の最大額です(月30日計算)。
※3 自賠責保険の支払い基準では、傷害による損害の限度額は120万円と定められています。治療費や休業損害なども含めた総額がこの範囲内となります。

後遺障害による損害

交通事故によって加害者が負ったけがが完治せずに後遺症が残った場合は、以下の損害につき保険金を請求できることがあります。

逸失利益

後遺症によって労働能力が失われた場合に、将来にわたって生じる収入の減少に対する補償です。

事故当時の収入、認定される後遺障害等級(1級~14級)に応じた労働能力喪失率、年齢などから求められる労働能力喪失期間などによって金額を計算します。

後遺障害慰謝料

交通事故による後遺症について生じた精神的・肉体的な苦痛に対する補償です。

認定される後遺障害等級(要介護1級・2級、1級~14級)に応じて支払われます。

将来介護費

重度の後遺障害により、将来にわたって介護が必要となる場合に認められる費用です。

自賠責保険では、後遺障害による損害の補償限度額は4,000万円(要介護1級)、最低額は75万円(14級)です。加害者の過失割合が7割以上10割未満の場合は、積算した後遺障害による損害額から2割から5割減額されます。

加害者の過失割合が10割の場合は、自賠責保険による補償は受けられません。ただし、10対0の事故の加害者であっても、ご自身の人身傷害保険から入通院慰謝料を受け取れる可能性があります。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の相場は、認定された後遺障害等級と、請求する保険(ご自身の人身傷害保険か、相手方の自賠責保険・任意保険か)で決まります。入院慰謝料と同様に、弁護士(裁判)基準で請求する場合が最も高額になる傾向です。

後遺症慰謝料の相場

後遺障害等級

人身傷害保険の目安 (※1)

自賠責基準

弁護士基準

第14級

32万円~75万円程度

32万円

110万円

第12級

94万円~224万円程度

94万円

290万円

第9級

249万円~616万円程度

249万円

690万円

第7級

419万円~1,000万円程度

419万円

1,000万円

第1級

1,150万円~3,000万円程度

1,150万円 (※2)

2,800万円

死亡による損害

交通事故によって加害者が死亡した場合には、以下の損害につき保険金を請求できることがあります。

葬儀費用

葬儀に要する、通夜・祭壇・火葬・墓石などの費用です。

墓地と香典返しは除きます。

自賠責保険基準では100万円、裁判所基準では150万円程度を上限とする実費相当額が認められます。

逸失利益

死亡によって得られなくなった将来の収入に対する補償です。

事故当時の収入や、年齢から求められる労働能力喪失期間などによって金額を計算します。

死亡慰謝料

交通事故によって死亡したことにより生じた精神的・肉体的な苦痛に対する補償です。

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料の相場は、弁護士を通じて交渉する(弁護士基準)場合や、人身傷害保険に請求する場合は、亡くなられた方の家庭内での立場(一家の支柱であったか、母親・配偶者であったかなど)によって大きく変動します。

一般的に、相手方の保険に対し弁護士(裁判)基準で請求する場合が最も高額になる傾向です。

死亡慰謝料の相場(弁護士基準・人身傷害保険)

対象・条件

人身傷害保険基準(※1)

弁護士基準(裁判基準)

一家の支柱(家計の主な担い手)

1,500万円~2,000万円

2,800万円

母親・配偶者

1,300万円~1,600万円

2,500万円

その他(子ども、高齢者、独身者など)

1,100万円~1,500万円

2,000万円~2,500万円

(※1) 人身傷害保険の死亡保険金は、慰謝料だけでなく逸失利益なども含む包括的な金額として契約時に定められていることが一般的です。

一方、自賠責保険では遺族の人数や被扶養者の有無によって算出されます。

死亡慰謝料の相場(自賠責保険)

対象・条件

自賠責保険基準

被害者本人の慰謝料

400万円

遺族の慰謝料(遺族一人)

550万円

遺族の慰謝料(遺族二人)

650万円

遺族の慰謝料(遺族三人以上)

750万円

被扶養者がいた場合の加算

+200万円

合計支払い限度額(死亡による損害)

上限3,000万円(慰謝料・逸失利益・葬儀費含む)

(※2) 自賠責基準の金額は、本人分400万円に加え、遺族の人数に応じた金額が加算されます。

ご自身の過失が100%(10対0)の事故で、加害者ご自身が亡くなられたという場合には、ご遺族は加害者が加入していた人身傷害保険から死亡保険金を受け取ることができます。

もし、事故の状況を精査した結果、相手方にも過失が認められるようなケースであれば、上記の自賠責基準や弁護士基準を参考に、相手方の保険会社と交渉を進めることになります。このような場合は、法律や交渉の専門家である弁護士にご相談いただくことを強くおすすめします。

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加害者のみがけがをした場合でも、人身事故として届け出るべきか?

交通事故の被害者がけがをしておらず、加害者のみけがをしているという場合、加害者としては以下の理由により、人身事故として警察に報告した方がよいと考えられます。

自賠責保険の保険金を請求する際には、人身事故の交通事故証明書の提出を求められます。

被害者側に何らかの過失があり、加害者が自賠責保険の保険金を請求できる場合には、人身事故として届け出た方がよいでしょう。

加害者自身のけがは、行政処分(運転免許の違反点数)や刑事処分(刑罰)との関係で、加害者の不利益に考慮されることはありません。

そのため被害者にけががなく、加害者のみけがをしている場合には、人身事故として届け出ることに不都合はないと考えられます。

さいごに|加害者でも治療費を請求したい場合は弁護士へ相談を

交通事故の加害者であっても、被害者に何らかの過失がある場合は、治療費などについて自賠責保険の保険金を請求できます。

また、加害者自身が加入している人身傷害保険などを利用すれば、過失割合にかかわらず治療費などの補償を受けることが可能です。

交通事故の加害者となってしまった方が、治療費などについて保険会社に適正な補償を請求したい場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、各種保険の内容を確認したうえで、保険金の請求手続などをサポートしてもらえます。

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この記事の監修者
金森 将也 (愛知県弁護士会)
当事務所では、全国どこにお住まいの方からのご相談にも対応しております。大切なご家族を守りたい、一日も早く元の生活に戻りたい、その切実な想いを、どうか当事務所にお聞かせください。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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