ドライブレコーダー映像を保険会社に提出する方法と保存手順を解説

車に乗っていて事故に遭ってしまったら、ドライブレコーダーの映像は重要な証拠となります。
保険会社や警察へ提出するために、適切な方法で映像を保存し、送信しなければなりません。
しかし、ドライブレコーダーの映像を保存する機会はそう多くはないでしょう。
保存方法や提出の仕方で戸惑ってしまう方も多いはずです。
そこで本記事では、ドライブレコーダーの映像をどのように保存すればよいのか、提出方法や取り扱いの注意点などを解説します。
保険会社にドライブレコーダーの映像を提出するメリットも説明するので、ぜひ参考にしてください。
ドライブレコーダーの映像を保険会社に提出する方法
事故に遭った際、自分が加入している保険会社からの補償を受けたり、相手側の任意保険会社からの損害賠償や慰謝料を受け取ったりするためには、証拠の有無が重要になります。
事故の様子がドライブレコーダーに映っている場合、保険会社に映像を提出しましょう。
ここでは、どのようにドライブレコーダーの映像を保険会社に提出すればよいのか、その方法を解説します。
保険会社の専用ページにアップロードする
ドライブレコーダーの映像を保険会社に提出するには、保険会社の専用ページから動画をアップロードする方法があります。
ドライブレコーダーをスマートフォンとWi-Fiに接続することによって、専用アプリから送信する映像を選んでアップロード可能です。
保険会社のページやドライブレコーダーの仕様によって異なりますが、基本的には「映像を提出する」などのボタンを押すだけで、簡単に映像を送信できるでしょう。
なお、多くの場合、ドライブレコーダーの映像はスマートフォンにダウンロードして保存することもできます。
警察から提出を求められた際は、保存した動画を提出しましょう。
ドライブレコーダーから直接送信する
保険会社によっては、ドライブレコーダーから直接映像を送信することができます。
映像ファイルの一覧から送信したい映像を選べば、送信画面が表示されます。
保険会社やドライブレコーダーによって使い方は異なりますが、事故が発生した瞬間を探して、その部分だけを送れるような仕組みになっているはずです。
そのほか、ドライブレコーダーに搭載されているAIが事故だと判断すると、自動的に保険会社へ映像を送信してくれるサービスもあります。
SDカードを直接郵送する
ドライブレコーダーの多くは、本体にSDカードが挿入されています。
SDカードを取り出し、そのままSDカードを郵送することでも提出が可能です。
また、SDカードをパソコンで再生して保存するのもよいでしょう。
新しいSDカードやUSBメモリに録画して記録したものを保険会社に送ってください。
郵送したSDカードやUSBメモリは返却されるはずですが、保険会社やドライブレコーダーによって対応は異なるため、返却を希望する場合は事前に確認しましょう。
ストレージサービスを利用して共有する
ドライブレコーダーから取り出したSDカードをパソコンに保存したあと、GoogleドライブやDropboxなどの外部ストレージサービスを使って送信することもできます。
外部のストレージサービスに動画ファイルをアップロードする際は、保存できるだけの容量が必要なほか、時間がかかる点にも注意しましょう。
事故の際にドライブレコーダー映像を確実に保存する3つのステップ
事故に遭った際にドライブレコーダー映像を保険会社に送信するには、事故前後の映像を確実に保存する必要があります。
映像を保存する際は、次の3つに気をつけましょう。
車のエンジンを止める
事故にあったらまずは車のエンジンを止めましょう。
そして、念のためドライブレコーダーから電源コードを抜いてください。
基本的にドライブレコーダーは常時録画をしており、エンジンをオンにしてからオフにするまでの映像を記録しています。
アクシデントがあったときだけ感知して録画するタイプもありますが、いずれにしてもデータを保存するには車のエンジンを止めるのが賢明です。
なお、一般的なドライブレコーダーには電源ボタンがありません。
電源をオフにするためには、エンジンを切る必要があることを覚えておきましょう。
SDカードを引き抜く
エンジンを止めたらドライブレコーダー本体からSDカードを取り出しましょう。
SDカードは繊細です。
とくに、金属でできている接続端子を触らないように気をつけてください。
接続端子に触れると、静電気などが原因となってデータ破損やエラーが起きてしまうおそれがあります。
SDカードの抜き取り方は機種によって異なりますが、多くの場合は次の手順で抜き取ることができます。
- 一度、SDカードをカチッと音がするまで軽く押し込む
- 押した指を離す
- SDカードが自動的に飛び出す
- 優しくつまんで引き抜く
ドライブレコーダーのデータは、SDカードの容量がいっぱいになると古いデータから上書きされていきます。
残量にもよりますが、事故に遭ったときの映像が上書きされてしまうことのないよう、別のSDカードを挿入するかSDカードを抜き取ったままにすることをおすすめします。
映像をバックアップする
SDカードを抜き取ったら、ドライブレコーダーの映像を保存しましょう。
方法はいくつかありますが、パソコンを利用するのがよいでしょう。
パソコンにSDカードを挿入すると読み取りが始まり、パソコンに表示される指示に従って進めれば保存可能です。
映像は容量が大きいため、気になる方は外部のクラウドサービスにアップロードしたり、新しいSDカード・外付けのHDD・USBメモリなどにコピーしたりするとよいでしょう。
保険会社にドライブレコーダーの映像を提出する2つのメリット
保険会社にドライブレコーダーの映像を提出すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、保険会社に映像を提出するべき理由について解説します。
過失割合の根拠になる
ドライブレコーダーの映像は、過失割合の根拠になります。
過失割合とは、事故が起きた際の自分の責任と相手の責任の割合のことです。
お互いの過失がどれくらいの過失割合は話し合って決定するものですが、双方の保険会社を通じて確定するのが一般的です。
過失割合は、事故の状況などにより過去の判例をもとに個別に決定します。
たとえば、加害者側の任意保険会社が「加害者:被害者=8:2」の過失割合を主張してきたとしましょう。
しかし、被害者側からすると「加害者:被害者=10:0」だと考えるようなケースも少なくありません。
このように意見が食い違った際に、有力な根拠となるのがドライブレコーダーの映像や音声です。
ドライブレコーダーの映像に決定的な瞬間が写っていれば、自分に有利な条件で過失割合を決められるでしょう。
客観的な証拠になる
民事裁判になったときなどに客観的な証拠になるという点でも、ドライブレコーダーの映像は保存し、提出しておくのがよいでしょう。
加害者側に不利な映像が残っていることを示せれば、そもそも裁判にまでならず示談交渉で希望する慰謝料を受け取れる可能性が高くなります。
ドライブレコーダーの映像を提出する際の注意点
ここからはドライブレコーダーの映像を保存したり、提出したりするにあたって、気をつけるべき点について説明します。
なるべく早くSDカードを抜く
事故に遭ったら、ドライブレコーダーのSDカードはなるべく早く抜きましょう。
SDカードの容量がいっぱいになると古いデータは消去され、新しいデータが上書きされます。
ドライブレコーダーで記録できる期間は機種・容量・設定によって異なりますが、多くの場合は数時間から数日が上限です。
たとえば、8GBのmicroSDカードであれば約1時間半しか記録できません。
16GBなら1日~3日程度、32GBなら3日~4日程度です。
事故による衝撃を検知したら自動的に上書き禁止になる機種もありますが、上書きされてしまうことを防ぐためには、SDカードを取り出しておくべきでしょう。
SDカードの破損に注意する
SDカードは薄くて小さい精密機器です。
そのため、丁寧に扱わなければファイルが破損してしまうおそれがあります。
抜き取ったSDカードは、次のことに気をつけて取り扱ってください。
- 金属部分の接続端子に触らないようにする
- 強い力でつまんだり、抜き差ししたりしない
- 湿気の多いところで保管しない
- 直射日光が当たる場所で保管しない
また、取り出したSDカードは専用ケースに入れて保管しましょう。
すぐに専用ケースが見つからない場合も、壊したり失くしたりしないよう、気をつけてください。
保険会社や警察に提出する場合はコピーを取る
保険会社や警察にドライブレコーダーのデータを提出する際には、自分の分のコピーも取ってデータを保存しておきましょう。
とくに、警察に提出した場合は、コピーや返却を依頼しても原則として返してもらうことができません。
データを保存しておくべき理由は、弁護士への共有や民事訴訟に至った際に、裁判所から文書提出命令によってデータ提出を命じられた際に必要になるからです。
裁判所から文書提出命令があったにも関わらず提出できなければ、相手側の主張が真実だと認められてしまうおそれがあります。
民事訴訟に発展することも踏まえ、解決するまで保存しておいてください。
自分に不利になる可能性もある
ドライブレコーダーには、良くも悪くも真実が映っています。
ドライブレコーダーの映像を提出すれば、自分に不利になる可能性も否めません。
いくら自分には過失がないと主張しても、映像として過失が映っていれば認めざるを得ないのです。
しかし、警察や裁判所から提出を求められれば、ドライブレコーダーの映像は原則として提出しなければなりません。
不安がある場合は、直ちに弁護士に相談しましょう。
なお、加害者側の任意保険会社へのドライブレコーダーのデータ提出は任意であるため、不利に働きそうな場合には提出しなくても大丈夫です。
さいごに
車での事故に遭ってしまったら、確実に映像を保存しておくことが事故後の対応をスムーズに進めることにつながります。
ドライブレコーダーの映像を保険会社に提出することで、過失割合の確定や示談交渉を有利に進められるでしょう。
しかし一方で、ドライブレコーダーの映像があることによって自分に不利になるケースもあります。
客観的な証拠としての機能や過失割合において有利に働くのか、自分のケースでは不利になってしまわないか、わからないことがある場合は弁護士に相談してみましょう。
加害者側の任意保険会社へ提出してしまう前に弁護士に確認してもらうことで、有利に進める方法やリスクについてアドバイスをもらうことができるでしょう。
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