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交通事故後に相手から直接電話が!適切な対応とよくあるトラブル解決法

旭合同法律事務所
田中 伸明
監修記事
交通事故後に相手から直接電話が!適切な対応とよくあるトラブル解決法

交通事故当事者本人同士が直接連絡を取り合うべきかは、状況によって異なります。

たとえば、任意保険会社や弁護士などの代理人が就いている状態であるにもかかわらず、相手方から直接電話がかかってきたようなケースでは、本人が直接応答する必要はありません

そこで、本記事では、交通事故の相手方から直接電話がかかってきたときの対処法や、相手方と直接やり取りをするときの注意事項などについてわかりやすく解説します。

ベンナビ交通事故では、交通事故をめぐるさまざまなトラブルを得意とする弁護士を多数掲載中です。

任意保険会社だけに一任するのではなく、弁護士のサポートを受けるだけで有利な状況を生み出すことができるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる専門家への相談をおすすめします。

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交通事故で相手から直接電話が来た場合の対処法

交通事故の相手から直接電話がかかってきたときの対処法をケースごとに解説します。

代理人を立てている場合は出なくてOK

まず、こちら側が代理人を立てている場合、相手から直接電話がかかってきても出る必要はありません

というのも、相手方とのやり取りをおこなうのは代理人であって本人ではないからです。

次に、相手方が代理人を立てているケースでは、相手方から連絡があるとしても、通常は相手方の代理人からです。

本人から電話連絡がくるのは相当イレギュラーな状況なので、電話がかかってきたとしても出るのではなく、相手方の代理人に対して「本人から電話がかかってきた」という事実を伝えて対応をお願いしましょう。

以上を踏まえると、交通事故当事者のどちらか一方でも代理人を立てている事案では、相手から直接電話がかかってきても出る必要はないと考えられます。

どちらも代理人を立てていない場合は出る必要がある

交通事故の当事者双方がどちらも代理人を立てていない場合には、相手から直接かかってきた電話には出る必要があります

なぜなら、交通事故をめぐっては賠償額や過失割合などについて民事的な解決をしなければいけませんが、代理人が就いていない以上、これらに関する交渉は当事者本人がおこなわなければいけないからです。

必要性があるにもかかわらず相手からの電話に出ない場合、相手との関係性が悪くなりかねません。

それが今後の交渉において支障となったり、トラブルになったりする可能性が考えられます

ですから、双方に代理人がいない交通事故案件では、相手から直接かかってきた電話には必ず出たうえで、解決策などについて丁寧に交渉を進めてください

交通事故で当事者同士が連絡を取る必要があるか

交通事故で当事者同士が連絡を取り合う必要があるのかについて解説します。

当事者同士で連絡先の交換は必須

まず、交通事故を起こした場合、警察への通報が義務付けられているほか、当事者同士で連絡先を交換する必要があります

というのも、連絡先を交換しないまま交通事故現場で解散してしまうと、その後連絡を取り合うことができなくなりかねないからです。

交通事故現場で交換するべき項目として、以下のものが挙げられます。

  • 氏名
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • 住所
  • 勤務先
  • 任意保険会社名
  • 保険証書番号

なお、「交通事故後に通報すれば警察が当事者の連絡先を把握しているので、わざわざ当事者同士で連絡先を交換する必要はないだろう」と思われる人も少なくはないでしょう。

確かに、相手方の連絡先は交通事故証明書に記載されているので、交通事故の現場で連絡先を交換しなかったとしても、後から交通事故証明書を取り寄せることで相手方の連絡先を入手することは可能です。

もっとも、交通事故後の示談交渉はできるだけスムーズに開始するのが望ましいところ、相手方の連絡先を調べるためにわざわざ警察署に訪問するのは労力を要します。

ですから、交通事故に巻き込まれたときには、必ず事故現場で相手方と連絡先などを交換しておくべきでしょう。

一般的には保険担当者同士でのやりとりになる

対人賠償に限った統計※ですが、2023年3月末時点で自動車保険・自動車共済(任意保険)の普及率は88.4%です。

このデータをみると、たいていのケースでは交通事故の加害者・被害者ともに、任意保険に加入していると考えられます。

そのため交通事故における示談交渉は、任意保険会社の担当者同士でおこなわれるのが一般的です。

被害者と加害者が、直接やりとりする機会はあまりないでしょう。

なお、過失割合10対0の交通事故で被害を受けたケースでは、原則として自分が契約している任意保険会社は交渉に加わりませんが、加害者側が契約している任意保険会社が交渉窓口になるので、加害者本人と電話などでやり取りをする必要はありません。

一方で交通事故当事者が任意保険に加入していない場合には、示談条件に関する取り決めをするために当事者同士での直接のやり取りを要します

ただし、任意保険未加入の状態で自動車を運転している加害者との示談交渉は難航する可能性が高いです。

たとえば、加害者側と連絡がとれなくなったり話し合いが平行線をたどったりすると、民事訴訟を提起して不法行為に基づく損害賠償請求について勝訴判決を獲得したり、財産・給与などに対して強制執行をおこなったりしなければいけません。

このように、交通事故の処理について当事者同士での交渉を要するケースでは係争が深刻化するリスクが高いので、できるだけ早いタイミングで弁護士に交渉や法的措置について相談することが強く推奨されます

事故相手との連絡でありがちなトラブルと対処法

交通事故の相手から直接電話がかかってきたときの代表的なトラブルと対処法について解説します。

事故相手からの連絡がしつこい

代理人を立てていないケースで、相手からしつこく連絡がある場合はどうすればよいでしょうか。

まず電話が可能な日時・時間帯を伝えたり、電話でなくメールやLINEで連絡して欲しいと頼んだりする方法があげられます。

こうすれば、相手からのしつこい連絡に対応しなくてはならない負担を軽減できるでしょう。

それでも負担が大きい場合は、弁護士などの代理人を立てる方法が推奨されます。

弁護士が代理人になれば、原則として相手からの連絡に出る必要はなくなるためです。

事故相手と連絡がつかない

相手方が任意保険未加入の場合には、直接連絡を取り合って示談交渉を進めなければいけません

そのうえで相手が電話にでないなど、連絡がつかない場合はどうすればよいでしょうか。

こういったケースでは、弁護士へ相談することが推奨されます。

相手と連絡が取れないと示談交渉が開始できないので、内容証明郵便により相手へ示談を申し入れることが必要です。

内容証明郵便を出すことにより裁判となった場合に、被害者側は示談の申し入れをしたという証明ができます。

また内容証明郵便で示談の申し入れをすれば、相手にプレッシャーを与えられるでしょう。

なお内容証明郵便による示談の申し入れは、弁護士なしでも可能です。

しかし仮に内容証明郵便で連絡が取れても、連絡がつかなくなるような相手との交渉は難航すると考えられます。

弁護士に依頼した方が、安全に示談交渉をすすめられるでしょう。

賠償金の減額を要求してくる

加害者側が、賠償金の減額を要求してくる場合もあります。

少しでも賠償金を減額させたくて、高圧的な態度で「あなたにも過失があるから」と、無理な要求をしてくることもありえるでしょう。

そういったケースでも、相手の要求に納得できない場合は示談に応じてはいけません。

弁護士に相談してアドバイスを求めることが推奨されます

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事故相手と直接電話で話す場合の4つの注意点

交通事故の相手から直接電話をするときの注意点を4つ紹介します。

感情的にならないようにする

交通事故の状況や相手の態度次第では、強い怒りの感情に襲われることも少なくはないでしょう。

ただ、事故相手と直接電話をするときに感情的になるのは厳禁です。

というのも、こちらが感情的になると、事故相手も逆上してしまい、今後おこなわなければいけない示談交渉を円滑に進めることができなくなるからです。

したがって、事故相手と直接電話でやり取りをするときには、できるだけ冷静かつ丁寧な対応を心がけましょう

話が分からない場合は返答に注意する

交通事故後の示談交渉では、事故の状況に応じてさまざまな項目について話し合いを進める必要があります

たとえば、交通事故で壊れた箇所を修理するのか買い替えるのか、どのような過失割合で損害額を負担し合うのか、治療費や営業損害など損害賠償の項目に何を計上するのかなど、交通事故の状況に応じて取り決める項目は異なります。

これらの項目のなかには、素人では簡単に判断できないものが数多く含まれています。

そして、内容を理解できないまま曖昧な状態で返答をすると、自分にとって不利な示談条件に合意をしたと判断されかねません

ですから、事故相手との電話で分からないことがあったときには、その場でいい加減な返答をするのではなく、返事をいったん留保したうえで、弁護士などの専門家にアドバイスを求めることが推奨されます。

相手の主張を安易に受け入れない

事故相手本人や相手方の保険会社と電話でやり取りをするときには、相手側からの主張を安易に肯定しないようにしてください

なぜなら、相手方は少しでも有利な条件での和解案締結を目指しているため、相手側の主張は中立的ではなく自分側にとって不利な内容を提示されている可能性が高いからです。

特に、交通事故トラブルに慣れていない人のなかには、「相手方の任意保険会社は中立的な内容を提示してくれている」と勘違いしている場合が少なくありません。

相手の任意保険会社を無条件で信用すると、不利な示談条件で和解が成立してしまう可能性があります

したがって、事故相手側から示談条件を提示されたときには、すぐにその条件を受け入れるのではなく、一度持ち帰って交通事故案件を得意とする弁護士に判断を委ねるべきでしょう。

謝罪を強要しない

事故相手と電話をしていると感情的になることが少なくありません

特に、加害者に反省の態度が見られないようなケースでは、つい電話口で言葉が強くなってしまうこともあるでしょう。

しかし、事故相手との電話でどれだけ腹が立ったとしても、謝罪を強要したり賠償額の引き上げを求めたりするのは厳禁です。

というのも、電話での発言ややり取りの内容次第では、以下のようにあなた側が刑事責任を問われかねないからです。

  • 強要罪(刑法第223条):「許して欲しいなら今すぐ謝罪しろ、自宅まで謝りにこい」と発言した場合など
  • 脅迫罪(刑法第222条):「お前の不注意が原因で迷惑を被ってる。お前の家族も同じ目にあわせてやるぞ」と発言した場合など
  • 恐喝罪(刑法第249条):「家族や会社に迷惑をかけられたくないなら示談金〇〇万円を今すぐ支払え」と発言した場合など

たとえば、電話でこのような強い発言をしたところを録音されて警察に被害届を提出されると、交通事故の被害者側が警察から任意の出頭要請を受けたり、逮捕・勾留されたりしかねません。

また、脅迫などの態様が酷い場合には、有罪判決が下されて刑事罰を科される可能性もあります。

「交通事故の被害者だから何をしても許される」というわけではないので、どうしても感情的になって冷静に加害者との間で話し合いをするのが難しいという人は、弁護士に依頼をして示談交渉を代理してもらいましょう

交通事故でのやりとりでよくある質問

さいごに、交通事故の電話連絡に関してよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。

交通事故で相手に連絡先を隠すことはできる?

交通事故に巻き込まれた以上、相手方に連絡先を隠すのは不可能です。

というのも、その場で連絡先を交換しなかったとしても、相手方が交通事故証明書を発行すると記載内容から氏名・住所・生年月日がバレるからです。

ですから、「交通事故の加害者に報復や嫌がらせをされるのが怖いから連絡先を隠したい」などの要望を実現することはできません。

相手に住所を知られてトラブルになるのが不安な場合の対処法は?

連絡先を隠すこと自体は難しいですが、連絡先を知られることで生じ得るトラブルを回避することは可能です。

たとえば、加害者側との連絡手段はメールや文書だけに限定して、お互いが直接声や顔を合わせずに交渉をできる状況を作り出すのも選択肢のひとつです。

また、相手と直接連絡をとること自体避けたいのなら、弁護士に依頼をして示談交渉を代理してもらうとよいでしょう。

特に、交通事故の示談交渉を弁護士へ依頼すれば、少しでも有利な示談条件で和解成立を目指しやすくなりますし、「弁護士が就いているから自宅に押しかけたり執拗に電話をかけたりするのはやめておこう」という抑止力にもなると考えられます。

なお、弁護士が就いていたとしても、加害者側が直接電話をかけてきたり自宅へ訪問したりするリスクをゼロにすることはできません

弁護士が受任通知を送付してもなお加害者側からの嫌がらせが継続するようならば、速やかに弁護士へ報告したうえで、「弁護士が交渉窓口になっている旨」を事故相手に伝えてもらうようにしてください。

保険会社の対応が悪い場合、相手に直接電話してもよい?

相手方が任意保険会社と契約していたとしても、直接本人に電話連絡をかける行為は違法ではありません。

ただし、相手方が保険会社と契約しているケースでは、どれだけ保険会社の対応が悪かったとしても、相手方に直接電話をするのはおすすめできません

その理由は以下のとおりです。

  • 保険会社の顧問弁護士から、加害者に直接連絡しないよう書面で注意される可能性がある。
  • 相手方の注意を無視して連絡を続けると、反対に損害賠償を請求されたり、刑事告訴されたりしてしまう可能性も生じる
  • 示談交渉を取り仕切るのは任意保険会社である以上、事故相手に直接さまざまな要望を伝えることに意味はない

ですから、任意保険会社の対応が悪いときには、示談交渉のプロである弁護士に依頼をして、こちら側の主張や請求内容を認めさせるために毅然とした対応をとってもらいましょう

相手に謝罪の電話を掛けた方が良い?

自分が交通事故の加害者側になったときには、基本的に被害者側へ直接謝罪することが推奨されます

被害者の立場からすると、交通事故を引き起こした加害者から謝罪されて嫌な気持ちになることはないからです。

また、被害者への謝罪を済ませておけば、怒りが収まった被害者側との示談交渉がスムーズに進んだり、示談書に宥恕条項を盛り込むことで刑事責任に問われるリスクを大幅に軽減できたりもします。

ただし、被害者に謝罪をするときには、以下の項目に注意をする必要があります。

  • 謝罪の意思を丁寧に伝えるのなら、電話よりも直接訪問する
  • 訪問して謝罪をするときには、事前に電話連絡をして日時・時間帯を調整する
  • 交通事故を起こしてからできるだけ早いタイミングで謝罪をする
  • 謝罪のために訪問をするときには、お詫びの品と謝罪文を持参する
  • 服装、謝罪の言葉、滞在時間など、礼節を意識した丁寧な対応を意識する
  • 事前に自分が契約している任意保険会社に直接謝罪する旨を報告する
  • 過失割合が問題となる交通事故トラブルの場合には、謝罪をするべきか否かについて事前に任意保険会社や弁護士へ相談をする

なお、事故相手に謝罪をするべきか否か、謝罪をするとしてどのような方法でおこなうのかは、交通事故の状況や被害者側の態度などを総合的に考慮して判断しなければいけません。

ポイントをはき違えたやり方で謝罪をすると、逆にトラブルが生じたり不利な示談条件を迫られたりしかねないので、被害者側への謝罪を検討しているときには、事前に弁護士へ相談をして謝罪時の注意点などを説明してもらうのがおすすめです。

事故相手からの謝罪がないときはどうすればいい?

交通事故の加害者のなかには、被害者に対して一切謝罪をしない人も多いです。

もっとも、加害者側から被害者側に対する謝罪は法的な義務ではないので、謝罪がないことを理由に何かしらの法的措置をとることはできません。

また、加害者本人は謝罪の意向があるにもかかわらず、任意保険会社から謝罪を止められている可能性もあります。

とはいえ、被害者本人が加害者に対して直接謝罪を求めると刑事責任を問われるリスクに晒される点を忘れてはいけません

ですから、事故相手からの謝罪が欲しいときには、示談交渉を依頼している弁護士にその旨を伝えて、加害者側からの謝罪を引き出してもらう方法がスムーズでしょう。

さいごに

交通事故の相手から直接電話がかかってきたときには、自分だけで対応をするのはおすすめできません

任意保険会社や弁護士に依頼をしたうえで、事故相手の意向を確認しながら、示談交渉を代理してもらいましょう。

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この記事の監修者
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編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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