交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
ベンナビ弁護士保険は、弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険です。
交通事故だけでなく、自転車事故、労働問題、離婚、相続トラブルなど幅広い法的トラブルで利用することができます。
弁護士保険で法律トラブルに備える
自転車は誰でも使用できる手軽な乗り物ですが、自動車と自転車の事故や自転車と歩行者の事故は年々増えており、自転車の飛び出しに遭遇し怖い思いをするドライバーも少なくありません。
今日の夜7時くらい、もう辺りが暗くなった時に車を運転していたのですけど、
— Dソル卜@『永久パピルス』 (@Dsalt_cocoa) October 5, 2019
黒灰色の無灯火の自転車の飛び出しに遭ってブレーキ踏んだのですよね。
自殺ならもう少し迷惑のかからない方法でして欲しい…
と思ってたら、その後6台の自転車に遭遇して、4台が無灯火。
警察…仕事しましょうよ…
現居は老人の飛び出しが多いが、豊洲近辺は子供自転車の飛び出しに数件遭遇して怖かった。。
— 愛が長続きするウサギ (@BTT18005432) March 15, 2021
親チャリ前、子供チャリ後ろで少し距離あり親が信号点滅で渡り、子供はその後を追いかけ赤信号で渡る。左折車に轢かれるよ。。?という。。
自転車対自動車の事故では、自転車が信号無視をして横断した場合でも自動車に責任が生じるケースがほとんどです。
逆に、自転車と歩行者の場合、自転車に責任が高く発生します。
この記事では、自転車事故による過失割合について詳しく紹介します。
また、未成年が加害者の場合、責任はだれに求めることになるのかについても併せて紹介します。
自転車と自動車の衝突事故については、基本的には自動車側の責任が重く評価される場合が多いです。
しかし、自転車側が道路に不用意に飛び出したような場合には、自転車側にも相当程度の過失加算が認められます。
一般的には飛び出し行為について10~20%程度過失割合を加算する処理となることが多いと思われます。
しかし結局はケース・バイ・ケースですので、事案によってはこれを超えて過失加算が認められることもあります。
参考までに、自転車が道路に飛び出して、自動車と衝突した事故についての裁判例を載せておきます。
これらの裁判例では、自転車側の過失が大きいとして相当の過失相殺が認められています。
道路右側を自転車で並走していた学生のうちの1人がよろけてしまい、対向方向から迫ってきたトラックの目の前に飛び出すような形で事故となった事例です。事故に遭った学生は右足デグロービング損傷を負い、後遺障害等級10級が認定されました。 裁判所はトラック運転手に対して「並走している自転車を確認した時点で事故の危険性を予見できたはずであり、徐行運転していないことも過失として認められる」としながらも、学生に対しても「並走していたことや右側走行していた過失は重い」として、過失割合は40(トラック側):60(自転車側)が相当と判断しました。 その結果、裁判所はトラック運転手に対して、賠償金として治療費・入院雑費・看護費用・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益などを含めた、約1,000万円の支払いを命じました(参考判例:岡山地裁平成21年7月16日判決、Westlaw Japan 文献番号2009WLJPCA07166008)。 |
自転車を運転する8歳の男の子が、一時停止の標識を無視して交差点に飛び出し、トラックにはねられたという事例です。この事故で男の子は、脳挫傷・頭蓋陥没骨折・右外傷性動眼神経麻痺・右橈尺骨骨折などの怪我を負い、後遺障害等級6級が認定されました。 裁判所はトラック運転手に対して「前方に注意して速やかにブレーキを踏んでいれば、事故にまで発展しなかった可能性が高い」と前方不注意の過失を認めながらも、男の子に対しても「8歳と幼い年齢ながら、一時停止を怠った過失は認めざるをえない」として、過失割合は50:50が相当と判断しました。 その結果、裁判所はトラック運転手に対して、賠償金として治療費・付添費用・入院雑費・装具費・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益などを含めた、約3000万円の支払いを命じました(参考判例:名古屋地裁平成22年11月15日判決、Westlaw Japan 文献番号2010WLJPCA11156002)。 |
ここでは交通事故の過失割合をケース別で紹介していきますので参考にしていただければと思います。
まず四輪車対自転車の場合、過失割合は以下の通りです。
車両同士の出会い頭 | 過失割合(%) | |||
---|---|---|---|---|
四輪車 | 自転車 | |||
信号機の設置あり | 自転車が青進入、四輪車が赤進入 | 100 | 0 | |
自転車が赤進入、四輪車が青進入 | 20 | 80 | ||
自転車が黄進入、四輪車が赤進入 | 90 | 10 | ||
自転車が黄進入衝突時赤、四輪車が青進入 | 60 | 40 | ||
自転車が赤進入、四輪車が黄進入 | 40 | 60 | ||
双方とも赤進入 | 70 | 30 | ||
信号機の設置なし | 一方が明らかに広い道路 | 自転車広路、四輪車狭路 | 90 | 10 |
自転車狭路、四輪車広路 | 70 | 30 | ||
一方が優先道路 | 自転車優先道路、四輪車非優先道路 | 90 | 10 | |
自転車非優先側、四輪車広路 | 60 | 40 | ||
一方に一時停止の標識あり | 自転車規制なし、四輪車一時停止規制 | 50 | 50 | |
自転車一時停止規制、四輪車規制なし | 60 | 40 | ||
一方通行違反 | 四輪車一方通行違反 | 90 | 10 | |
自転車一方通行違反 | 50 | 50 |
同一道路を対向方向から進入 |
過失割合(%) |
|||
---|---|---|---|---|
四輪車 |
自転車 |
|||
信号機の設置あり |
自転車右折、四輪車直進 |
直進車、右折車双方とも青で進入 |
50 |
50 |
直進車黄で進入右折車青で進入黄で右折 |
80 |
20 |
||
直進車、右折車双方とも黄で進入 |
60 |
40 |
||
直進車、右折車双方とも赤で進入 |
70 |
30 |
||
自転車直進、四輪車右折 |
直進車、右折車双方とも青で進入 |
90 |
10 |
|
直進車黄で進入右折車青で進入黄で右折 |
60 |
40 |
||
直進車、双方車とも黄で進入 |
80 |
20 |
||
直進車赤で進入右折車青で進入赤で右折 |
30 |
70 |
||
直進車赤で進入右折車黄で進入赤で右折 |
50 |
50 |
||
直進車赤で進入右折車青矢印で右折可の信号で右折 |
20 |
80 |
||
直進車、右折車双方とも赤で進入 |
70 |
30 |
||
信号機の設置なし |
自転車直進、四輪車右折 |
90 |
10 |
|
自転車右折、四輪車直進(自転車は道交法違反) |
50 |
50 |
交差道路から侵入 |
過失割合(%) |
|
---|---|---|
四輪車 |
自転車 |
|
自転車直進、四輪車右折 |
80 |
20 |
自転車右折、四輪車直進 |
70 |
30 |
自転車直進、四輪車右折 |
過失割合(%) |
|||
---|---|---|---|---|
四輪車 |
自転車 |
|||
一方が明らかに広い道路 |
広路車直進、狭路車右折(図1) |
90 |
10 |
|
狭路車直進、広路車右折(図2) |
対向方向 |
70 |
30 |
|
同一方向 |
||||
一方が優先道路 |
優先道路進行車直進、非優先側右折(図1) |
90 |
10 |
|
優先道路通行車右折、非優先側直進(図2) |
対向方向 |
50 |
50 |
|
同一方向 |
60 |
40 |
||
一方に一時停止標識あり |
一時停止規制側、直進非規制側右折(図3) |
対向方向 |
60 |
40 |
同一方向 |
65 |
35 |
||
一時停止規制側右折、非規制側直進(図4) |
90 |
10 |
自転車右折、四輪車直進 |
過失割合(%) |
|||
---|---|---|---|---|
四輪車 |
自転車 |
|||
一方が明らかに広い道路 |
広路車直進、狭路車右折(図5) |
60 |
40 |
|
狭路車直進、広路車右折(図6) |
対向方向 |
80 |
20 |
|
同一方向 |
70 |
30 |
||
一方が優先道路 |
優先道路進行車直進、非優先側右折(図5) |
50 |
50 |
|
優先道路通行車、右左折非優先側直進(図6) |
対向方向 |
80 |
20 |
|
同一方向 |
70 |
30 |
||
一方に一時停止標識あり |
一時停止規制側直進、非規制側右折(図7) |
対向方向 |
80 |
20 |
同一方向 |
70 |
30 |
||
一時停止規制側右折、非規制側直進(図8) |
65 |
45 |
直進自転車と左折四輪車 |
過失割合(%) |
||
---|---|---|---|
四輪車 |
自転車 |
||
四輪車が先行の場合 |
四輪車が先行していた場合 |
90 |
10 |
四輪車が後行していた場合 |
100 |
0 |
|
四輪車が自転車を追い越し左折する場合 |
100 |
0 |
次に歩行者対自転車の場合、過失割合は以下の通りです。
信号機が設置されている横断歩道 |
過失割合(%) |
|
---|---|---|
自転車 |
歩行者 |
|
歩行者青、自転車赤で侵入 |
100 |
0 |
歩行者黄で横断開始、自転車赤で進入 |
85 |
15 |
歩行者赤で横断開始、自転車赤で進入 |
75 |
25 |
歩行者赤で横断開始、自転車黄で進入 |
40 |
60 |
歩行者赤で横断開始、自転車青で進入 |
20 |
80 |
歩行者青で横断開始、横断中赤に変わる、自転車赤で進入 |
100 |
0 |
歩行者赤で横断開始、横断中青に変わる、自転車赤で進入 |
85 |
15 |
歩行者青で横断開始、横断中赤に変わる、自転車青で進入 |
80 |
20 |
歩行者黄で横断開始、横断中赤に変わる、自転車青で進入 |
65 |
35 |
信号機が設置されている横断歩道 |
過失割合 |
||
---|---|---|---|
自転車 |
歩行者 |
||
自転車が横断歩道手前で歩行者に接触 |
歩行者青、自転車赤 |
90 |
10 |
歩行者黄、自転車赤 |
75 |
25 |
|
歩行者赤、自転車赤 |
65 |
35 |
|
歩行者赤、自転車黄 |
40 |
60 |
|
歩行者赤、自転車青 |
20 |
80 |
|
自転車横断歩道通過後、歩行者に衝突 |
歩行者青、自転車赤 |
95 |
5 |
歩行者黄、自転車青 |
80 |
20 |
|
歩行者赤、自転車赤 |
70 |
30 |
|
歩行者赤、自転車黄 |
40 |
60 |
|
歩行者赤、自転車青 |
20 |
80 |
|
右左折自転車が横断歩道通過後、歩行者に接触 |
歩行者青、自転車赤 |
90 |
10 |
歩行者黄、自転車青 |
55 |
45 |
|
歩行者赤、自転車赤 |
20 |
80 |
|
歩行者黄、自転車黄 |
65 |
35 |
|
歩行者赤、自転車黄 |
50 |
50 |
|
歩行者赤、自転車赤 |
70 |
30 |
信号機が設置されていない横断歩道 |
過失割合(%) |
|
---|---|---|
自転車 |
歩行者 |
|
歩行者横断歩道直進、自転車直進または右左折 |
100 |
0 |
横断歩道内で自転車と歩行者が接触 |
100 |
0 |
自転車横断帯内で歩行者と自転車の接触 |
95 |
5 |
横断歩道のない道路での事故 |
過失割合(%) |
||
---|---|---|---|
自転車 |
歩行者 |
||
横断歩道のない交差点又はその付近 |
85 |
15 |
|
横断歩道や交差点から離れている場所 |
80 |
20 |
|
歩行者用道路での事故 |
100 |
0 |
|
自転車が歩道上を直進走行中 |
100 |
0 |
|
自転車が歩道外から歩道を通過又は歩道に進入 |
100 |
0 |
|
自転車が路側帯上を直進走行中 |
100 |
0 |
|
自転車が路側帯外から路側帯を通過又は路側帯に進入 |
100 |
0 |
|
歩行者が車道に侵入する場合 |
歩行者に車道通行が許されている場合 |
90 |
10 |
歩行者に車道通行が許されていない場合 |
75 |
25 |
|
歩行者及び自転車が道路走行中 |
歩行者が道路の右端を歩行 |
100 |
0 |
歩行者が道路の左端を歩行 |
95 |
5 |
|
歩行者が道路の中央を歩行 |
90 |
10 |
|
道路外車道から進入した歩行者の事故 |
歩行者が歩道への侵入 |
100 |
0 |
歩行者の路側帯への侵入 |
100 |
0 |
最後に自転車同士の場合、過失割合は以下の通りです。
信号機が設置されていない交差点 |
過失割合(%) |
||
---|---|---|---|
自転車A |
自転車B |
||
同幅員の交差点の場合 |
十字路交差点 |
45 |
55 |
丁字路交差点 |
40 |
60 |
|
一方に一時停止の規制がある場合 |
十字路交差点 |
70 |
30 |
丁字路交差点 |
75 |
25 |
追抜車Aと被追抜車B |
過失割合(%) |
||
---|---|---|---|
自転車A |
自転車B |
||
追抜車と被追抜車が直進 |
追抜車が被追抜車の前方に出た際の事故 |
100 |
0 |
追抜車と被追抜車が並走状態の際の事故 |
100 |
0 |
|
追抜車直進、被追抜車が右左折 |
追抜車と被追抜車が並走状態の際の事故 |
35 |
65 |
次に、自転車と歩行者の交通事故ですが、たとえ自転車であっても運転中に歩行者に衝突し、歩行者が死亡したり負傷した場合には、自転車の運転者は損害賠償責任を負います。
そして歩行者が死亡したり重症を負った場合には、自転車の運転者に高額の損害賠償支払義務が認められることもあります。
自転車を運転する11歳の男の子が、約20~30km/hの速度で坂道を下りている際、散歩をしていた女性と衝突したという事例です。この事故で女性は、急性硬膜下血腫・脳挫傷・頭蓋骨骨折などの怪我を負い、意識不明の状態となりました。 裁判所は、男の子が非常に危険な速度で走行していたことや、前方への注意が不十分だったことなどを踏まえて、自転車側の過失が100%であることを認めました。さらに、男の子の母親に対して「自転車の運転を十分に指導・注意していなかった」として、監督義務を怠っていたことなども認めています。 その結果、裁判所は男の子の母親に対して、賠償金として治療費・装具費・入院雑費・入院付添費・休業損害・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益・将来介護費などを含めた、約9,500万円の支払いを命じました(参考判例:神戸地裁平成25年7月4日判決、Westlaw Japan 文献番号2013WLJPCA07046007)。 |
自転車の運転者側で何らかの賠償責任保険に加入しているのであれば、自転車側の損害賠償責任は、上限額の範囲内で保険会社が負担します。
そのため被害者側は、基本的には適切な額の賠償金を受け取れることが多いと思われます。
しかし、昨今でも自転車側の賠償責任保険はそこまで普及しておらず、運転者側が無保険であることも少なくありません。
また自転車には自動車のように強制加入保険制度も整備されていませんので、被害者が加害者に対して直接賠償金を求めていく必要があります。
この場合に、相手が大金持ちで、支払能力に全く問題がないということであれば良いですが、多くの場合そんなことはありません。
特に相手が未成年の場合には支払能力がない場合がほとんどです。
このような場合、被害者側として運転者の親に賠償を求めたいと思うかもしれません。
しかし、このような請求は当然には認められません。
親に対して請求できる場合は、ある程度限定されます。
未成年である運転者に十分な責任能力が認められる場合には、基本的には未成年者本人が賠償責任を負うことになり、未成年者の親に賠償責任は生じません。
しかし、この場合でも「自転車の走行について親の指導・監督が不十分だった」ことが認められる場合には、親に固有の損害賠償責任が認められる余地はあります。
この場合、被害者側で親の具体的な監督義務違反について主張・立証する必要があるため、ハードルは高いです。
未成年である運転者に責任能力が認め難い場合には、未成年者に対して賠償金を請求することはできません。
しかし、この場合は未成年者の両親が、原則として監督者責任としての損害賠償義務を負うことになります(民法第714条)。
両親側は監督を尽くしたことを具体的に主張・立証することで責任を免れる余地はありますが、この主張・立証のハードルは極めて高いと言われています。
そのため、両親に監督者責任が認められる場合には、両親に対する請求が認められる可能性は比較的高いといえます。
自転車事故の当事者となり、どのように対応したらよいのかわからないという場合は、弁護士に話を聞いてみることをおすすめします。
ここでは、弁護士のサポートを得るメリットや費用相場などを解説します。
自転車事故の場合には、自転車側の過失割合をどう考えるか、自転車側の責任能力をどう考えるかなど、上記で上げたような若干特殊な問題を検討しなければならないこともあります。
また加害者側が保険に加入していない場合は、事故当事者同士の協議となることもしばしばです。
交通事故処理の知識・経験のない素人同士が協議しても、まず話はまとまりません。
その点弁護士であれば、交通事故処理に関する知識・経験に基づいて適正な解決に導いてくれるでしょう。
事故の過失割合について、自身に代わって弁護士に交渉してもらう場合、費用相場としては以下の通りです。
なお料金詳細は事務所ごとでまちまちですので、より詳しく知りたいのであれば直接依頼先へ確認した方が確実です。
料金体系 |
着手金 |
報酬金 |
---|---|---|
着手金あり |
10〜20万円 |
経済利益の10〜20% |
着手金なし |
無料 |
経済利益の20〜30% |
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