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交通事故の際に使われる「別冊判例タイムズ」とは?弁護士に相談するメリットも紹介

旭合同法律事務所
田中 伸明
監修記事
交通事故の際に使われる「別冊判例タイムズ」とは?弁護士に相談するメリットも紹介

交通事故に遭って相手方との示談交渉を進めている方のなかには「別冊判例タイムズ」という本の名前を聞いたことがある方もいるでしょう。

別冊判例タイムズは、過失割合の基準を知ることができる本です。

しかし、具体的にどのようなことが書かれているのか、読んでおいたほうがよいのか気になっている方もいるのではないでしょうか?

そこで本記事では、別冊判例タイムズの概要や読むメリットを解説します。

過失割合について弁護士に相談するメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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別冊判例タイムズとは?交通事故の過失割合で参考になる「38号」が有名

別冊判例タイムズとは、過失割合を決める際の基準を示す本のことで、正式名称は「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」です。

70年にわたり実務家向けの法律専門書を出版している「判例タイムズ社」から発行されています。

別冊判例タイムズは、交通事故に限らずさまざまなテーマで発行されており、過去に発行されたものには「後見の実務」「過払金返還請求訴訟の実務」「競売不動産評価マニュアル」などがあります。

数ある別冊判例タイムズのうち、交通事故に関するものとして「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」があり、現在の最新版は2014年に発行された「別冊判例タイムズ38号」です。

別冊判例タイムズ38号では、過去の裁判例に基づいて交通事故のパターンごとに過失割合の基準が示されています

交通事故のパターンは細かく分かれており、たとえば「四輪車同士の事故」は、以下の9つのパターンに類型されています。

  1. 交差点における直進車同士の出会い頭事故
  2. 交差点における右折車と直進車との事故
  3. 交差点におけるその他の態様の事故
  4. 道路外出入車と直進車との事故
  5. 対向車同士の事故(センターオーバー)
  6. 同一方向に進行する車両同士の事故
  7. 転回車と直進車との事故
  8. 駐停車車両に対する追突事故
  9. 緊急自動車と四輪車との事故

それぞれのパターンのなかでも、さらに「信号機のある交差点での事故」「信号機のない見通しの悪い交差点での事故」などのように細分化されており、網羅しているパターンは多岐にわたります。

交通事故に遭った際は、別冊判例タイムズのなかから自分の交通事故と似ているパターンを探し出すことで、過失割合の基準を把握することができるでしょう。

交通事故の過失割合を争う際に別冊判例タイムズ38号を参照するメリット

交通事故の過失割合を決める際に別冊判例タイムズ38号を参考にすると、次のようなメリットがあります。

  • 交通事故に応じた過失割合の基本割合を調べられる
  • 保険会社が提示した過失割合の妥当性を調べられる

それぞれ以下で詳しく見ていきましょう。

1.交通事故に応じた過失割合の基本割合を調べられる

別冊判例タイムズを読むことで、今回の交通事故における過失割合の基準を把握できます

過失割合の基準をあらかじめ調べておけば、それを軸にして示談交渉を進められるので、話し合いがまとまりやすくなるでしょう。

2.保険会社が提示した過失割合の妥当性を調べられる

相手方の保険会社から提示された過失割合が適切かどうかを判断しやすくなるのも、メリットの一つです。

過失割合の基準がわからないと、保険会社から不利な過失割合を提示されても気づけない可能性が高いでしょう。

「こんなものかな」と安易に合意してしまい、損害賠償が低額になってしまうおそれもあります。

しかし、別冊判例タイムズで過失割合の基準を調べれば、提示された過失割合が自分にとって不利なものであると気づくことができるでしょう。

相手の主張に安易に合意することを防ぎ、適切な過失割合に修正してもらうよう交渉することも可能になります。

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自分で別冊判例タイムズを読むより弁護士に相談・依頼したほうがよい理由

別冊判例タイムズを読むことで過失割合の基準を知ることができますが、実際の交渉は弁護士に任せるのがおすすめです。

ここでは、交通事故のトラブルを弁護士に相談・依頼したほうがよい理由を解説します。

1.自分の交通事故にあった過失割合がわかるから

弁護士に依頼すれば、自分のケースに合った適切な過失割合を把握できます

過失割合は、別冊判例タイムズに示されている基準がそのまま適用されるわけではありません。

個別の事情を考慮して修正されるので、一般の人が自分の交通事故での妥当な過失割合を判断するのは難しいといえます。

そのため、交通事故のトラブルに詳しい弁護士に依頼し、適切な過失割合に基づいて交渉してもらったほうが安心です。

2.過失割合の確認に必要な刑事記録を取り寄せてくれるから

弁護士に依頼すれば、刑事記録を取り寄せることが可能です。

刑事記録には、事故の状況を記録した「実況見分調書」や、事故の当事者・目撃者の供述をまとめた「供述調書」などがあります。

過失割合を決める際に必要な情報が記載されているので、交渉を有利に進めるためにも取得が必要です。

しかし、刑事記録を取得するには手間と時間がかかるため、一般の人が自分で手続きをするのは難しいでしょう。

そこで弁護士に依頼すれば、面倒な取得手続きを代わりにおこなってもらえるので、手間と時間を大幅に削減できるのです。

妥当な過失割合を提示しやすくもなり、交渉がスムーズかつ有利に進む可能性が高くなるでしょう。

3.加害者や保険会社との示談交渉を任せることができるから

弁護士に依頼すれば、相手方との示談交渉を全て任せることができます

示談交渉は、基本的に相手方の保険会社に対しておこないますが、相手は交渉のプロです。

一般の人が対応しても話し合いを対等に進めることは難しく、言い負かされて不利な条件で示談になってしまうおそれもあります。

また、保険会社から心ないことを言われ、精神的なストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。

弁護士なら、法律の知識や交渉の経験が豊富なので、法的根拠を基に論理的に主張でき、話し合いを円滑に進めることができます

保険会社も、弁護士が相手となれば主張を聞き入れてくれる可能性が高いでしょう。

交通事故の書籍や資料に関するよくある質問

ここからは、交通事故の書類や資料についてよくある質問をまとめています。

気になる項目がある場合は、ぜひチェックしてください。

Q.別冊判例タイムズに掲載されていない場合はどうするのか?

別冊判例タイムズにはさまざまな事故のパターンが掲載されていますが、ケースによっては載っていないこともあるでしょう。

該当するパターンが掲載されていない場合は、過去の裁判例を探すことで過失割合の基準を知ることができます

過去の裁判例は、以下の書籍やWebサイトで確認することが可能です。

ただし、上記の書籍・Webサイトに掲載されている過失割合がそのまま適用されるわけではありません。

掲載されている過失割合はあくまで参考程度にとどめ、実際の交渉は弁護士に依頼しましょう

Q.「青本」や「赤い本」にはどのようなことが掲載されているのか?

「青本」は公益財団法人・日弁連交通事故相談センター、「赤い本」は日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している本です。

表紙がそれぞれ青色・赤色であることから、青本・赤い本と呼ばれています。

青本の正式名称は「交通事故損害額算定基準-実務運用と解説-」です。

損害賠償額の算定基準について詳しく解説されているほか、全国の裁判例も掲載されています

一方、赤い本とは「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」のことです。

東京地方裁判所での裁判実務に基づき、損害賠償額の基準が掲載されており、過去の裁判例や事故形態ごとの過失割合も紹介されています

いずれも一般の書店では販売されていないので、日弁連交通事故相談センターの窓口かFAXにて購入しましょう。

さいごに|交通事故の過失割合が得意な弁護士はベンナビ交通事故で探せる

別冊判例タイムズは、過失割合の基準を示す本です。

弁護士や裁判官など法律の専門家向けに発行されているものですが、一般の人も読むことができます。

自分のケースに応じた過失割合の基準を把握できる・保険会社から提示された過失割合の妥当性を調べられるといったメリットがあるので、関心のある方は読んでみるとよいでしょう。

ただし、過失割合は事故ごとの個別の事情に応じて修正されるため、別冊判例タイムズに掲載されている基準がそのまま適用されるわけではありません。

適切な過失割合は個々の事例により異なるので、実際の示談交渉は弁護士に依頼しましょう

弁護士に交渉を依頼することで、話し合いがスムーズに進み、納得できる形でトラブルを解決できる可能性が高くなります。

過失割合について相手方ともめている・妥当な過失割合がわからないなどの悩みを抱えている方は、一人で悩まずにはまずは交通事故のトラブルに強い弁護士に相談してみましょう

交通事故に詳しい弁護士は「ベンナビ交通事故」で簡単に検索できます。

お住まいの地域と相談したい内容を選択するだけで、自分の希望に合った弁護士を探すことが可能です。

ぜひ活用してみてください。

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この記事の監修者
旭合同法律事務所
田中 伸明 (愛知県弁護士会)
幅広い経験を持つ弁護士が多数在籍しており、それぞれの得意分野を活かした多角的な問題解決への取り組みが可能です。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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