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交通事故の示談金は、怪我の状況や交通事故の状況によって変わってきます。
特に示談交渉にあたっては、計算方法などの基礎知識がないと、加害者が提示する金額が適切か判断できずに損をしてしまう可能性もあります。
この記事では、交通事故の示談金の計算方法や示談金を受け取る際のポイントなどを解説します。
まずはじめに、示談金とはどのようなものを指すのか解説します。
交通事故の示談金は消極損害・積極損害・慰謝料の3つで構成されています。これら3つをあわせて示談金と呼びます。
積極損害とは修理代や治療費などのことで、消極損害とは休業損害や逸失利益などです。慰謝料とは交通事故や治療の精神的な苦痛に対して支払われる金銭を意味します。
以下では、積極損害・消極損害・慰謝料の計算方法などについて解説していきます。
積極損害は交通事故の被害者が支払うことになった費用のことです。たとえば治療費や治療のための交通費、入院費、事故が原因で購入することになった義足などの機器の費用、葬祭費などが積極損害に含まれます。請求時は領収書が必要となりますが、領収書がない場合も一定額(葬祭費として130万~150万円ほど)の請求であれば認められる可能性があります。
このほかにも、付き添い看護費として3,300円~6,500円/日などが認められる可能性もあります。状況や被害者が事故に関係してかかった費用などに応じて変わります。
消極損害とは、交通事故にあわなければ得ていたはずの利益のことです。交通事故によって将来的に得られていたはずの利益と言い換えてもいいでしょう。
消極損害には休業損害・後遺障害遺失利益・死亡遺失利益の3つがあります。
休業損害は、交通事故により仕事を休業したことによる損害です。例として自賠責基準に基づく休業損害は、以下の計算式で算出します。
5,700円/日(2020年4月1日以降の事故は6,100円/日)×休業日数=休業損害 |
なお1日当たりの賃金が計算式に用いられる金額を超える場合は、金額の証明により妥当な金額を当てはめて計算することも可能です。ただし自賠責の場合は19,000円が上限になります。
また自営業や専業主婦など、仕事にあわせて賃金基礎額を算出する場合もあります。
後遺障害遺失利益とは、交通事故の怪我の後遺障害により失われた将来的な利益のことです。計算式は以下の通りです。
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数=後遺障害遺失利益 |
基礎収入額は事故直近の年収を用います。なお専業主婦などの年収のない人は、賃金センサスの基礎賃金などを用いるのが基本です。
死亡遺失利益とは、交通事故の被害者が亡くなったことで失われた利益のことです。計算式は以下の通りです。
基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数=死亡遺失利益 |
死亡遺失利益を算出する場合は、生存した場合のコスト(生活費など)を引くことが基本です。この場合に引くコストは、実際の生活費などではなく被害者の立場を考慮した一定割合になります。
慰謝料とは交通事故による精神的な苦痛に対して支払われる賠償です。
慰謝料には入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類あり、計算方法も自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類に分かれています。
自賠責基準とは自賠責保険で使われている計算基準で、任意保険基準とは任意保険会社が独自に設けている計算基準、弁護士基準とは判例などをベースにした弁護士が計算に用いる基準です。
一般的に弁護士基準の計算結果が最も高くなり、自賠責基準の計算結果が最も低くなります。任意保険基準は自賠責基準と弁護士基準の中間となります。どの基準を用いて計算するかによって、それぞれの慰謝料の相場が変わります。
入通院慰謝料とは、交通事故の怪我を治療するための入通院の精神的な苦痛に対して支払われる慰謝料のことです。
入通院慰謝料を自賠責基準で計算する場合、以下のうち計算結果が小さくなる方の計算式を用います。
|
任意保険基準の場合、相場は以下の通りです。
(単位:万円)
弁護士基準の場合、怪我の種類によって金額が変わります。
・軽傷(打撲・むちうちなど)のケース
(単位:万円)
・通常のケース
(単位:万円)
後遺障害慰謝料は、後遺障害を負った心の苦痛に対しての慰謝料です。後遺障害慰謝料の場合は、認定される等級によって以下のように相場が変わってきます。
等級 |
自賠責基準 (2020年3月31日までに発生した事故) |
任意基準(推定) |
弁護士基準 |
1,150万円 (1,100万円) |
1,600万円程度 |
2,800万円 |
|
998万円 (958万円) |
1,300万円程度 |
2,370万円 |
|
861万円 (829万円) |
1,100万円程度 |
1,990万円 |
|
737万円 (712万円) |
900万円程度 |
1,670万円 |
|
618万円 (599万円) |
750万円程度 |
1,400万円 |
|
512万円 (498万円) |
600万円程度 |
1,180万円 |
|
419万円 (409万円) |
500万円程度 |
1,000万円 |
|
331万円 (324万円) |
400万円程度 |
830万円 |
|
249万円 (245万円) |
300万円程度 |
690万円 |
|
190万円 (187万円) |
200万円程度 |
550万円 |
|
136万円 (135万円) |
150万円程度 |
420万円 |
|
94万円 (93万円) |
100万円程度 |
290万円 |
|
57万円 |
60万円程度 |
180万円 |
|
32万円 |
40万円程度 |
110万円 |
死亡慰謝料とは、交通事故による家族の死に対する心の痛みに対して支払われる慰謝料のことです。死亡慰謝料は家族構成や扶養家族によって変わります。
自賠責基準の場合、金額は以下の通りです。
被害者本人の慰謝料 |
400万円(2020年4月1日以前に発生した事故に関しては350万円) |
請求者が1人の遺族の慰謝料 |
200万円 |
請求者が2人の遺族の慰謝料 |
550万円 |
請求者が3人以上の遺族の慰謝料 |
650万円 |
扶養されていた場合の慰謝料 |
750万円 |
任意保険基準の場合、金額は以下の通りです。
死亡者の立場 |
任意保険基準 |
一家の支柱 |
1,500万〜2,000万円程度 |
配偶者、母親 |
1,500万〜2,000万円程度 |
上記以外 |
1,200万〜1,500万円程度 |
弁護士基準の場合、金額は以下の通りです。
死亡者の立場 |
弁護士基準 |
一家の支柱 |
2,800万円 |
配偶者、母親 |
2,500万円 |
上記以外 |
2,000万~2,500万円 |
ここでは、いくつか被害状況を想定して示談金の計算例を紹介します。
交通事故で打撲して通院が必要になり、仕事を3日休むことになったというケースです。なお治療期間・通院期間は30日として計算しています。
示談金内訳 |
自賠責基準 |
弁護士基準 |
通院費用 |
3万円 |
3万円 |
休業損害 |
3万円 |
3万円 |
通院慰謝料 |
約12万円 |
28万円 |
合計額 |
約18万円 |
34万円 |
交通事故でむち打ちになり仕事を2週間休み、さらに後遺障害が残って14級が認定されたというケースです。なお治療期間は半年で、うち通院日数は70日として計算しています。
示談金内訳 |
自賠責基準 |
弁護士基準 |
通院費用 |
約7万円 |
約7万円 |
休業損害 |
14万円 |
14万円 |
通院慰謝料 |
約58万円 |
89万円 |
遺失利益 |
約108万円 |
約108万円 |
後遺障害慰謝料 |
32万円 |
110万円 |
合計額 |
約219万円 |
約328万円 |
交通事故のあった被害者がその日のうちに亡くなったというケースです。
示談金内訳 |
自賠責基準 |
弁護士基準 |
葬儀代 |
60万円 |
150万円 |
遺失利益 |
約5,271万円 |
約5,271万円 |
死亡慰謝料 |
1,100万円 |
2,800万円 |
合計額 |
約6,431万円 |
約8,221万円 |
※ただし自賠責保険への請求の際は3,000万円が上限額のため、3,000万円を超える金額は加害者や加害者の保険会社へ請求することになります。
交通事故の示談金を受け取る際に注意したいポイントは3つあります。できるだけ損をしないためにも以下のポイントを抑えておきましょう。
示談交渉は成立するとやり直しができません。示談交渉が決まれば原則的にやり直しができないからこそ、後悔しないように示談内容を確認する必要があります。
撤回できず変更もできないことを念頭に、納得できる内容で示談を成立させることが重要です。示談内容に納得できない場合は、無理に同意する必要はありません。
加害者が早い段階で示談交渉を持ちかけてきたときは注意してください。示談交渉のタイミングは損害が確定した時点です。具体的にいうと、怪我が症状固定になって後遺障害の認定も終わった時点になります。
損害がはっきりしていない時点で示談交渉をしてしまうと、後から別の損害が発覚したときに請求できなくなります。示談交渉をはじめるタイミング・示談交渉に応じるタイミングには注意してください。
交通事故の示談金を計算するうえで過失割合は重要です。過失割合とは交通事故における当事者(被害者と加害者)の過失の割合を意味します。
交通事故では、被害者と加害者が交渉して決めることになります。過失の割合によって示談金額が大きく変わるため、交渉の際は慎重に取り決める必要があります。
もし過失割合に不満や疑問がある場合は、示談内容を提示した任意保険会社に確認をとるとともに弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故の示談交渉や示談金について、弁護士に相談するメリットは以下の3つがあります。
弁護士に依頼することで慰謝料を弁護士基準で計算してもらえるというのは大きなメリットでしょう。
弁護士基準では自賠責基準や任意保険基準よりも慰謝料が高額になるため、任意保険会社などと被害者が直接示談するより増額が期待できます。
後遺障害の認定申請には加害者の保険会社に手続きを一任する方法と、被害者が後遺障害の認定手続きを自分でおこなう方法があります。後者は「被害者請求」と呼びます。
被害者請求は、被害者が自分で書類などを準備しなければならないというデメリットがある反面、後遺障害の等級を上げたり認定されやすくなるための資料を添付できるというメリットがあります。
後遺障害の認定申請前に弁護士のチェックを受けることで、手続き的なミスも防げるだけでなく、被害者の症状にあった後遺障害等級の認定が期待できます。
また弁護士に後遺障害認定の手続きを代理してもらうこともできるため、被害者の肉体的負担や精神的負担、時間的負担の軽減にもつながるというメリットもあります。
弁護士に代理を依頼できる交通事故の手続きは、後遺障害の認定手続きだけではありません。加害者の任意保険会社との示談交渉や、事故の怪我を治療している途中の治療費の交渉なども依頼可能です。
面倒な手続きを弁護士にすべて任せてしまえば、被害者は怪我の治療に専念できるというのも大きなメリットです。
交通事故の示談金は、消極損害・積極損害・慰謝料の3つで構成されています。実際の金額は事故状況や怪我の状況などによって変わり、死亡事故や後遺障害の認定等級などによっても変わります。
自身で対応できる自信がない方や、少しでも納得のいく金額を受け取りたいという方は、弁護士に事故対応を依頼することをおすすめします。
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