交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
ベンナビ弁護士保険は、弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険です。
交通事故だけでなく、自転車事故、労働問題、離婚、相続トラブルなど幅広い法的トラブルで利用することができます。
弁護士保険で法律トラブルに備える
交通事故トラブルに巻き込まれたとき、車の修理費や慰謝料はどの程度もらえるのか知りたい方も多いでしょう。
しかし、計算方法や金額の詳細などがわからず、相談することを踏みとどまっている方も多いのではないでしょうか。
交通事故の損害賠償額は、過失割合によって異なります。
本記事では、過失割合や損害賠償額の計算方法などを詳しく解説します。
損害賠償について相談を検討している方はぜひ参考にしてください。
交通事故に関する悩みやトラブルは多くあります。
ここでは、過失割合を決める際の流れについて解説します。
まず、保険会社は事故の状況を把握するために警察が作成した実況見分調書も参考にしながら、加害者・被害者双方から事故の経緯や現場の状況に関する聞き取りをおこないます。
一例として、次のようなことを確認されるでしょう。
このとき、ドライブレコーダーの映像や事故を目撃した第三者の証言など客観的証拠は重要な証拠となります。
また、警察が作成する場合がある実況見分調書や物件事故報告書も重要な証拠となります。
ケースによっては、加害者と被害者の主張が大きく食い違うこともあるため、そのような場合は保険会社が証拠などを基に調査を独自におこないます。
事故の状況を把握したら、過去の裁判例から類似している事故類型を参考に基本過失割合を決定します。
交通事故の内容 |
加害者側の過失割合 |
被害者側の過失割合 |
追突事故 |
100 |
0 |
出会い頭事故 |
50〜100 |
0〜50 |
右折事故 |
0〜80 |
20〜100 |
なお、当事者の属性や事故の状況によってケースはさまざまですが、事故ごとに一定の基準で分類することが可能です。
もしご自身で過去の判例を参照する際は、「別冊判例タイムズ38号」「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称:赤い本)」が参考になるでしょう。
ただし、いずれも専門書のため交通事故の知識が少ない場合には、適切に事故類型を選定できなかったりするなど、このあと説明する修正要素を正しく反映できなかったりする可能性もあります。
そのため、全てを個人で対応しようとせずに、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
基本の過失割合が選定できたら、事故の状況など個々のケースに応じた修正要素を加え、最終的な過失割合を決定します。
ひとえに同じような類型の事故といっても、どちらか一方が「注意義務を怠った状態で交差点に進入してきた」「運転時に脇見運転をしていた」などといった、個別の事情があるでしょう。
そこで、事故の個別の事情を過失割合に反映させるために、「修正要素」が考慮されます。
修正要素には、事故の時間や場所、事故当事者の車種や運転状況といったものがあります。
ここでは、修正要素及び具体例をそれぞれ見てみましょう。
修正要素 |
具体例 |
事故発生時の状況 |
夜間帯(日没〜日の出時)に発生した車両と歩行者による事故の場合、歩行者側過失割合の加算事由となる場合がある。 理由: 車両が歩行者を発見することが容易ではない可能性があるのに対し、歩行者は(ライトなどによって)車両を容易に発見できると考えられるため。 |
道路の性質 |
幹線道路走行中の車両と路外から線道路へ進入しようとした車両との事故では、路外から進入しようとした車両側の過失割合の加算事由となる可能性がある。 理由: 交通量の多い道路に進入する場合には、その他の道路に侵入する場合と比べ、細心の注意を払う必要があるため。 |
当事者の性質 |
車両と歩行者による事故の場合、歩行者が幼児や児童・高齢者・身体障害者などであった場合も過失割合の修正がおこなわれる。 理由: これらの者は交通弱者であることが目に見えてわかるとし、相手方が動向を注意して運転をすることが求められるため。 |
当事者自身の行為 |
その他、当事者自身の行為による過失については、「著しい過失」「重過失」などのように、過失割合が大幅に加算されることがある。 <具体例> 著しい過失: ● 携帯電話で通話しながら運転していた ● スマートフォンを操作しながら運転していた ● 時速15km以上30km未満の速度違反 など 重過失: ● 居眠り運転 ● 速度違反(時速30km以上) ● 無免許運転、あおり運転 など |
これらはあくまでも一例にすぎませんが、修正要素があった場合には基本の過失割合から「+10」「+20」「-5」などと、加算及び減算がおこなわれます。
このように、事故の当事者がどのような行動を取ったのか、場所や時間帯、違反内容など、多くの要素が影響するため、専門家の判断を求めるようにしましょう。
なお、以下の記事では過失割合の修正要素に関してより詳細に解説しているので、ぜひ参考にしてください。
もし加害者側に100%の過失がある場合は、発生した損害額をそのまま請求できるため、損害賠償額の計算は比較的簡単な一方、被害者側にも過失がある場合は「過失相殺」が適用されます。
過失相殺とは、事故の両者の責任割合を考慮して損害額を相殺することです。
多くの交通事故ではこの過失相殺がおこなわれています。
例えば、Aの過失が主因で事故が起き、過失割合が「A:B=80:20」と認められた場合、Aの損害額100万円のうち80万円は自分のミスによるものになるため、Bに請求できるのは20万円です。
一方、Bの損害額500万円のうち100万円は自分のミスによるため、Aに請求できるのは400万円です。
結果として、BはAから380万円を受け取ることになります。
ここでは、交通事故の損害賠償額の計算例を紹介します。
加害者 |
被害者 |
|
過失割合 |
90 |
10 |
損害額 |
400万円 |
800万円 |
損害賠償請求額 |
40万円 |
720万円 |
相手に支払う額 |
680万円 |
0円 |
この場合、加害者が事故の90%の責任を負い、被害者が10%の責任を負うということです。
事故により、それぞれが被った損害額を示しています。
損害額に過失割合を考慮して、実際に請求できる損害賠償の金額です。
計算の結果、加害者は被害者に対して680万円を支払うことになります。
加害者 |
被害者 |
|
過失割合 |
80 |
20 |
損害額 |
400万円 |
800万円 |
損害賠償請求額 |
80万円 |
640万円 |
相手に支払う額 |
560万円 |
0円 |
加害者が被害者に支払う額:640万円(被害者請求額) - 80万円(加害者請求額) = 560万円
被害者が相手に支払う額:80万円(加害者請求額)-640万円(被害者請求額)= 0円
これにより被害者は、加害者から560万円を受け取ることができます。
なお、上記では過失相殺後にさらに双方の損害を相殺する方法を示していますが、
双方の過失相殺後の損害を相殺せずに、クロス払いの方法により、互いの損害を受け取り合う方法もあります。
加害者 |
被害者 |
|
過失割合 |
70 |
30 |
損害額 |
1,000万円 |
300万円 |
損害賠償請求額 |
300万円 |
210万円 |
相手に支払う額 |
0円 |
90万円 |
加害者が被害者に支払う額:210万円(被害者請求額) - 300万円(加害者請求額) = 0円
被害者が相手に支払う額:300万円(加害者請求額)-210万円(被害者請求額)= 90万円
このように、ケースによっては被害者が加害者に対して支払いをしなければならない場合もあります。
ここでは、過失割合について納得できない場合の対処法について解説します。
過失割合について納得できない場合は、まずは保険会社に交渉を試みることが重要です。
交渉の際には、以下の点に注意することをおすすめします。
これらの資料を基に、ご自身の意見や主張を具体的に説明できるように準備します。
交通事故紛争処理センターは、交通事故に関する賠償問題や過失割合の調整、保険金の請求などについて中立的な立場で助言や仲介をおこなう機関です。
交通事故紛争処理センターを利用する際は、センターに電話で問い合わせをおこない、必要な書類や手続きについて確認します。
その後、センターに書類を提出し、相談員の面談でご自身の状況や意見を詳しく説明することができます。
必要に応じて、センターの仲介により加害者側や保険会社との交渉が進められるでしょう。
センターの利用は無料であり、弁護士などがサポートしてくれる場合もあります。
交渉によって過失割合が決まらない場合、裁判所の利用が必要となりますが、まずは調停が検討されます。
それでも合意が得られない場合は訴訟に進みます。
訴訟を提起する際には、訴状の作成と請求の原因の記載が重要です。
証拠の準備として交通事故証明書や医療記録などが必要となり、過失の有無や損害賠償額は裁判所が認定します。
最終的な判断は裁判所がおこなうため、弁護士のサポートを受けることが推奨されます。
裁判所の判断は、民法や道路交通法などの法令と証拠に基づいておこなわれます。
過失割合の判定には、過去の判例やガイドラインも参考にされることがあるでしょう。
事故の過失割合に納得がいかない場合、まずは冷静に状況を整理し、警察の事故報告書や現場写真、目撃者の証言などといった、可能な限り多くの証拠を集めることが重要です。
ただ、それでも話が進まないようなら、交通事故が得意な弁護士に相談するのがよいでしょう。
弁護士に依頼することで、過失割合についての交渉もスムーズに進めることが期待できます。
弁護士が介入すれば相手方にも真剣に対応してもらえる可能性が高まります。
交通事故の損害賠償額は、過失割合によって異なります。
そのため、過失割合について納得できない場合などは、積極的に弁護士への相談を検討してみるとよいでしょう。
交通事故トラブルによって弁護士費用は異なりますが、交渉もスムーズに進めることができ、煩雑な手続きも必要ありません。
交通事故トラブルは放置していると複雑化・長期化を招くおそれがあるため、ひとりで悩まず、まずは弁護士に相談してみることが大切です。
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