交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
ベンナビ弁護士保険は、弁護士依頼で発生する着手金を補償する保険です。
交通事故だけでなく、自転車事故、労働問題、離婚、相続トラブルなど幅広い法的トラブルで利用することができます。
弁護士保険で法律トラブルに備える
身内の方が、自転車事故で死亡に至り、大変なショックを受けていることかと思います。自転車事故の場合でも、自動車事故と同様、加害者に対して「慰謝料」などの損害賠償を請求することができます。
しかし、自転車事故の場合、保険に加入しているケースがほとんどないため、加害者と直接交渉しなければなりません。素人同士の交渉なので、トラブルが起きやすく、深刻化しやすくなります。納得できるだけの慰謝料を獲得したいのであれば、弁護士への相談・依頼が有効です。
この記事では、自転車事故で死亡した際の賠償金の内訳や相場、高額な賠償金が支払われた事例や請求時の注意点などを解説します。
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加害者に対して請求できる損害賠償の主な内訳としては、死亡慰謝料・死亡逸失利益・葬儀関係費用などがあります。ここでは、損害賠償の内訳や相場額などを解説します。
交通事故で被害者が死亡した場合に請求できる慰謝料が「死亡慰謝料」です。
なお慰謝料には3つの算定基準があり、基準ごとに相場額が異なります。ここでは各基準の相場額を紹介しますので、請求時の参考としていただければ幸いです。
交通事故慰謝料の算定基準 |
|
自賠責基準 |
自賠責保険で用いる計算基準 |
任意保険基準 |
各保険会社それぞれが定める計算基準 |
弁護士基準 |
裁判所での過去の判例などをもとにした計算基準 |
自賠責基準では「請求する遺族が何人いるか」「これまで被害者に扶養されていたか」によって、以下のように金額が異なります。
<自賠責基準の相場>
請求する要項 |
慰謝料額 |
死者本人に対する慰謝料 |
400万円(2020年4月1日以前に発生した事故に関しては350万円) |
死亡者に扶養されていた場合(※) |
200万円 |
慰謝料を請求する遺族が1人の場合 |
550万円 |
慰謝料を請求する遺族が2人の場合 |
650万円 |
慰謝料を請求する遺族が3人の場合 |
750万円 |
※死亡者が遺族を扶養していた場合200万円が加算されます。(遺族が1人かつ扶養されていた場合:400万円+200万円+550万円=1,150万円)
任意保険基準では「被害者は家庭内でどのような役割を担っていたか」によって、以下のように金額が異なります。ただし任意保険基準については、保険会社がそれぞれ定めるものであるため、以下の金額は推定額です。
<任意保険基準の相場>
死亡者の立場 |
任意保険基準(推定) |
一家の支柱 |
1,500万~2,000万円 |
配偶者、母親 |
1,500万~2,000万円 |
上記以外 |
1,200万~1,500万円 |
弁護士基準でも「被害者が家庭内でどのような役割を担っていたか」によって、以下のように金額が異なります。
<弁護士基準の相場>
死亡者の立場 |
弁護士基準 |
一家の支柱 |
2,800万円 |
配偶者、母親 |
2,500万円 |
上記以外 |
2,000万~2,500万円 |
被害者が交通事故で死亡しなければ、本来獲得できていたであろう収入のことを「死亡逸失利益」と呼びます。請求額の計算式としては以下の通りです。
<死亡逸失利益の計算式>
基礎収入額×(1―生活費控除率)×就労可能年数に対応する中間利息控除 |
被害者の葬儀などにかかった費用についても、損害として請求することができます。葬儀関係費用については、計算基準ごとに請求できる限度額が異なり、まとめると以下の通りです。
請求できる葬儀代の限度額 |
|
自賠責基準 |
60万円 |
任意保険基準 |
保険会社により異なるが、多くは自賠責基準と弁護士基準の間ほど |
弁護士基準 |
150万円 |
たとえ自転車事故であっても、自動車事故の場合と同様、実際の事故状況を考慮して賠償金が決定されます。自転車事故だからといって低額になるわけではなく、場合によっては数千万円もの賠償金が支払われることもあります。ここでは、実際に高額な賠償金が支払われた事例を3つ紹介します。
自転車を運転していた女性(60歳)が、交差点に強引に侵入してきた男子学生が運転する自転車と衝突し、頭蓋骨骨折や脳挫傷などの重傷を負って、事故から9日後に亡くなったという事件です。 裁判所は、被害者にも25%の過失があることを認めながらも、「加害者の前方不注意によるところが大きい」として、加害者に対して合計約3,138万円(被害者の夫:約1,600万円、被害者の長男:約500万円、被害者の長女:約500万円、被害者の二女:約500万円)の支払いを命じました。 (参考 ウェストロージャパン さいたま地裁 平成14年2月15日 文献番号:2002WLJPCA02159005) |
横断歩道を通行中の女性(75歳)が、赤信号を無視して交差点に侵入してきた男性が運転する自転車と衝突し、脳挫傷やクモ膜下出血などの重傷を負って、事故の翌日に亡くなったという事件です。 裁判所は「本件は加害者の過失によるところが大きい」として、加害者に対して合計約4,700万円(死亡慰謝料:2,300万円、死亡逸失利益:約1,500万円、葬儀費用:150万円、その他:750万円)の支払いを命じました。(参考 東京地裁平成26年1月28日 判事2261号168頁 文献:2014WLJPCA01288006) |
横断歩道を通行中の女性(55歳)が、信号無視して走行していた男性が運転する自転車と衝突し、頭蓋内損傷などの重傷を負って、事故から5日後に亡くなったという事件です。 裁判所は「本件は加害者の一方的かつ重大な過失によるところが大きい」とし、さらに遺族との接触を避けて謝罪や弔問にも訪れないなど、遺族の気持ちを逆なでするような行為もみられたことなどを考慮して、加害者に対して合計約5,400万円(死亡慰謝料:約2,600万円、死亡逸失利益:約2,100万円、葬祭費用:200万円、その他:約500万円)の支払いを命じました。(参考 東京地裁 平成19年4月11日 自動車保険ジャーナル17010号21頁 文献:2007WLJPCA04118013) |
自転車事故は、自動車事故と比べて当事者同士でのトラブルが起きやすい事故でもあります。ここでは、自転車事故で損害賠償請求する際の注意点を解説します。
自動車の場合は「自賠責保険」への加入が義務付けられているほか、自賠責保険でカバーされない責任をカバーする「任意保険」に加入している場合がほとんどです。事故時は保険会社から賠償金の補償が受けられるだけでなく、示談交渉なども代わりに行ってくれますので、比較的スムーズに手続きを進めることができます。
一方、自転車の場合も「自転車保険」という保険があるものの、全国的に保険加入が義務付けられていることはなく(一部義務付けている自治体もあるようです)、多くの自転車運転者は保険に加入していません。
保険未加入の場合、事故によって相手を死傷させたとしても、加害者は保険会社による保障が当然ありませんので、自らの責任のみで補償対応することになります。この場合「そもそも支払う財力があるのか」という根本的な部分で問題があります。
交通事故の補償の場面では、加害者・被害者双方に責任がある事故の場合、双方の過失割合(事故の責任)を加味して補償範囲が決定されます。
自動車事故の場合には、事故類型に応じてある程度過失割合の目安がありますので、過失割合でもめるケースは比較的少ないといえるかもしれません(もちろん、もめるケースはありますが)。
一方、自転車事故の場合、自動車事故のように事故類型に応じた過失割合というものがそこまで整理されておらず、過失割合でもめる可能性は相対的高まるといえそうです。
自転車事故では「加害者が保険に入っていない」ということも多く、その際は加害者自身が全額自己負担することになります。このようなケースでは、加害者に十分な資力がなければ満足に賠償金を受け取れない可能性もあります。
もし賠償金を支払ってもらえないのであれば、双方で話し合って臨機応変な対応が必要となるでしょう。場合によっては賠償金の分割払いなどの対応もあり得ます。なお弁護士であれば、豊富な知識・経験を活かして賠償金回収に向けたアドバイスが望めますので、少しでも多く賠償金を受け取るにはおすすめです。
加害者への損害賠償請求をスムーズに進められる自信のない方は、弁護士に相談することをおすすめします。ここでは、請求対応を弁護士に相談するメリットについて解説します。
自転車事故では、当事者同士で示談交渉を進めるケースも多くありますが、知識・経験のない素人が対応してしまうと、意見が対立して感情的になりトラブルへと発展する恐れもあります。また「なるべく顔を合わせずに済ませたい」という方にとっては、余計なストレスもかかってしまうでしょう。
弁護士であれば相手方との示談交渉を一任できるため、交渉対応にかかるストレスを軽減できます。さらに依頼者にとって利益になるよう、法的視点から冷静に対応してくれますので、当事者同士で行うよりも納得のいく形での決着が望めます。
交通事故は「10-0で加害者に責任がある」というケースは決して多くありません。多くの交通事故では加害者だけでなく、被害者にも一定の落ち度(過失)が認められます。最終的に支払われる補償金は、加害者・被害者の過失割合を加味して算定されますので、過失割合をどう考えるかによって賠償金は大きく変わる可能性があります。
通常、交通事故の過失割合は被害者と加害者が協議して決定しますが、加害者側は交通事故処理のプロである保険会社が対応するのが通常です。他方、被害者は交通事故処理の経験などないのが通常です。このような交渉力の格差から、「被害者側が不利な過失割合を受け入れざるを得ない」というケースは少なくありません。
弁護士に依頼すれば、「実際の事故状況」や「過去の判例」といった判断材料をもとに適切な過失割合をはじき出して、これを踏まえて相手方と交渉することが期待できます。結果、素人限りで交渉に臨むよりも適切な過失割合で計算がなされ、適正な補償を受けられる可能性が高まると言えます。。
少しでも多く死亡慰謝料を受け取るためには「弁護士基準」で請求するのが有効です。
交通事故処理の知識・経験がないとどのように計算してよいかわからないということもあるでしょう。
法律の専門家である弁護士であれば、弁護士基準での請求もスムーズに行えますので、自力で慰謝料請求するよりも増額できる可能性があります。
自転車事故であっても、加害者は被害者に対して発生した損害を賠償する責任があります。
そのため自転車を相手に衝突させ、相手が不幸にも死亡してしまった場合、当該死亡についての莫大な損害について、自転車の運転者が負担しなければならないということも、当然、起こり得ます。
このような場合、自転車の運転者が自転車の運転に関する賠償責任保険に加入していれば、このような補償は、保険でカバーされる限度で保険会社から支払われますので、自転車の運転者の負担は大幅に軽減されます。
しかし、このような保険に加入していない場合には、賠償金はその全額が運転者の自己負担となってしまいます。
仮に、自転車運転者においてこのような賠償金を支払えない場合には、被害者側から民事訴訟を提起され、支払いを命じる判決がくだされる可能性があります。そして、この判決に従って支払いをすることができない場合には、被害者側が強制執行手続を通じて、加害者側の財産(預貯金、不動産、給与債権など)を差し押さえ、そこから強制的な回収を行うことも考えられます。
このように、自転車の運転により人を死亡させた場合、莫大な賠償金を自己負担する可能性があり、これが払えない場合は、裁判手続を通じて財産を強制的に徴収されてしまう可能性があります。
自転車の運転で事故を起こして相手を死亡させた場合に多額の賠償責任を負う可能性があることは上記のとおりです。
また、これとは別に、当該事故について運転者は業務上過失致死罪などの刑事責任を負う可能性もあります。特に前科がなく、初犯ということであれば同罪で起訴され、有罪となったとしても、実刑とはならず執行猶予付き判決となる可能性はあります。ただ、この場合も有罪となれば、前科がつきます。
また、自転車事故がセンセーショナルな事故の場合、事故について実名で報道されてしまうリスクもあります。
この場合、インターネット等で名前が出てしまうため、仮に実刑を免れたとしても、社会的な非難を継続的に受けてしまう可能性はあります。なお、被害者が死亡する自転車事故であっても、被害者側に十分な補償がされるような場合には、刑事責任を軽減するべき理由となり得ます。
死亡事故の加害者となった場合、上記のような重い責任を負うことになります。そのため、自転車を日常的に運転する場合には、少なくとも十分な補償がされる賠償責任保険に加入しておくべきといえるでしょう(昨今はこのような保険加入が条例で義務付けられている自治体も多いようです)。
自転車事故での損害賠償金についても、自動車事故と同じく被害状況によって判断され、なかには数千万円を超える賠償金が支払われることもあります。また加害者に請求できる損害としては、死亡慰謝料・死亡逸失利益・葬儀関係費用などがありますが、特に慰謝料については「弁護士基準」で請求することが大切です。
ただし自転車事故の場合、知識のない当事者同士でのやり取りとなることもありますので、スムーズに話し合いをまとめて1円でも多く賠償金を受け取るためにも、交通事故分野に注力する弁護士に依頼することをおすすめします。
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