交通事故や自転車事故など、事故はいつ起きてしまうか分からないものです。弁護士費用を用意できず泣き寝入りとなってしまうケースも少なくありません。
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サンキュー事故(さんきゅーじこ)とは、優先権のある車両が優先権のない車両に通行を優先させた際に起きる交通事故の一種で、対向車が右折したところに直進車と同方向の左側を通過するバイク(二輪車)、または自転車と出会い頭に衝突をする事故などを言います。
通常、右折車からも二輪車からも直進車は死角になるため、交通事故につながる可能性が非常に高く、右折をする自動車の運転手には直進車が道を譲ってくれた為、「早く行かなければいけない」という心理が働いた結果、注意散漫となって二輪車を見落とし、事故につながるとされています。
サンキュー事故はすり抜け事故とも呼ばれ、交通事故の種類として非常に良くあるケースなのですが、この時に問題になるのが、サンキュー事故における過失割合になります。
そこで今回は、サンキュー事故の概要と、サンキュー事故における過失割合の算定方法などをご紹介していこうと思います。
【関連記事】交通事故の過失割合に納得いかない!対処法と相談先まとめ
冒頭でご紹介したような例が最も典型的なサンキュー事故として挙げられ、直進車は好意で右折車に道を譲り、右折する自動車運転手が「ありがとう(サンキュー)」という感謝の意を表すことからこう呼ばれています。
もう一度、今度は別の動画を見てみましょう。
すこし遠めですが、いずれも自動車の死角から飛び出してきた車両との接触事故となっており、こういう事故を「右直事故」とも呼んでいます。
右直事故とは、交通事故において発生件数が多い事故類型のひとつで、交差点などで右折中の車両と、対向車線から直進してくる車両との事故のことを言います。
右直事故には右折側あるいは直進側として関与する車両があり、右折側として関与する確率は四輪車が高く、二輪車、自転車の順に低くなる
高齢者になるほど発生率は高くなる(薄暮時の視力低下が主な理由)
事故の要因は焦り、右折待機時の油断、先行車や対向車による視界の遮断
二輪車の場合はすり抜け走行などが状況の悪化を招いている
交通渋滞時に沿道施設へ右折侵入する際の対向車(二輪車)との接触が多い
交通事故総合分析センターによれば、右直事故において右折側となる車両のうち93%は「普通車及び軽自動車」であるのに対し、直進側となると44%に下がるものの、二輪車や原付の割合が一気に増えるとしています。
また、死亡率を【死亡率(%)= 100 × 死亡事故件数 ÷ 全人身事故件数】で計算した場合、右直事故での死亡率は高いほうではあるものの、正面衝突事故に比べると、突出した数字ではないとされています。
参考:右直事故発生における人的要因の分析 - 交通事故総合分析センター
次に「交通事故-保険請求センター」より、サンキュー事故の過失割合についての抜粋をご紹介していきます。
二輪車と右折貨物車のサンキュー事故で、減速しない直進の被害二輪車の過失を4割とした例になります。60キロ制限の渋滞している国道交差点で、直進二輪車(被害側)と右折大型貨物車(加害側)のサンキュー事故がおきました。
二輪車の過失割合:4
貨物車の過失割合:6
京都地裁|平成12年4月18日判決(確定)
渋滞している交差点で、右折した被害原付自転車と左端車線を直進してきた加害自動二輪車のサンキュー事故。
原付自動車の過失割合:8
二輪車の過失割合 :2
大阪地裁 平成9年4月24日判決(確定判決)
渋滞する交差点で訴外車に促され右折した加害乗用車と、左側車線の直進被害乗用車の衝突のサンキュー事故。減速せずに進入した被害車に2割の過失相殺を適用。
被害自動車の過失割合:2
加害自動車の過失割合:8
札幌地裁 平成9年7月16日判決
過失割合は基本的に「自動車>二輪車>自転車>歩行者」の関係で過失が重く見積もられることになります。どう考えても過失割合は高くないだろうと思われる状況でも、自動車と二輪車の事故では過失割合の数値に贔屓は出てしまうことになります。
サンキュー事故の過失割合を判断する際、「交差点に信号機があるかないか」「事故当時信号機が何色を示していたのか」この2点が右直事故の過失割合に大きな影響を与える事になります。
例えば、自動車とバイク(二輪車)の双方で信号が青だった場合、過失割合は下記のようになります。
直進二輪車(バイク):右折自動車 =2:8
直進自動車:右折二輪車(バイク)=6:4
信号機が設置されている |
過失割合(%) |
||
二輪車 |
四輪車 |
||
二輪車直進:四輪車右折 |
直進車、右折車双方とも青で進入 |
20 |
80 |
直進黄で進入、右折車青進入黄右折 |
60 |
40 |
|
直進車、右折車双方とも黄で進入 |
30 |
70 |
|
直進車は赤、右折車は青で進入赤で右折 |
70 |
30 |
|
直進車は赤、右折車は黄で進入赤で右折 |
50 |
50 |
|
右折車に青矢印による右折可の信号、直進車は赤 |
100 |
0 |
|
双方とも赤で進入 |
40 |
60 |
|
二輪車右折、四輪車直進 |
直進車、右折車双方とも青で進入 |
70 |
30 |
直進黄で進入、右折車青進入黄右折 |
25 |
75 |
|
直進車、右折車双方とも黄で進入 |
50 |
50 |
|
直進車は赤、右折車は青で進入、赤で右折 |
10 |
90 |
|
直進車は赤、右折車は黄で進入、赤で右折 |
20 |
80 |
|
右折車に青矢印による右折可の信号、直進車は赤 |
0 |
100 |
|
双方とも赤で進入 |
40 |
60 |
こうして見ると分かりやすいとは思いますが、交差点における右直事故のポイントは「信号の色」です。自分が青、相手が赤であれば、それは完全に赤信号の過失となります。
事故直後の映像が残っていないと、「双方が何色の信号で進入したのか?」ということが争いとなるケースが多くなりますので、もしもあなたが右直事故の当事者となった場合には、後続車の運転手などに証人となってもらえるよう連絡先等を必ず聞いておきましょう。
信号機のない交差点の場合、大前提として右折側の過失割合の方が大きくなっています。理由としては、右折側の方に課されている注意義務の方が重いからです。また、信号機がないと絶対的な過失割合の判断基準が存在しないため、10対0のような過失割合は成立しない傾向にあります。
右折車側は、右側の安全を確認する義務、直進側には安全を確認してから減速ののちに交差点に進入する義務があります。
信号機の設置なし |
過失割合 |
||
二輪車 |
四輪車 |
||
二輪車直進:四輪車右折 |
左から四輪車が右折 |
30 |
70 |
右から四輪車が右折 |
20 |
80 |
|
二輪車右折:四輪車直進 |
左から二輪車が右折 |
50 |
50 |
右から二輪車が右折 |
60 |
40 |
二輪車直進:四輪車右折 |
狭路車右折、広路車直進 |
15 |
85 |
劣後車右折、優先車直進 |
10 |
90 |
|
狭路(劣後)車直進 |
60 |
40 |
|
狭路(劣後)車直進 |
50 |
50 |
|
二輪車右折:四輪車直進 |
狭路車右折、広路車直進 |
65 |
35 |
劣後車右折、優先車直進 |
70 |
30 |
|
狭路(劣後)車直進 |
20 |
80 |
|
狭路(劣後)車直進 |
30 |
70 |
単車直進、四輪車右折 |
一時停止規制車直進、右折車同一方向右折 |
45 |
55 |
一時停止規制車直進、右折車対向方向右折 |
55 |
45 |
|
一時停止規制車右折 |
15 |
85 |
|
単車右折、四輪車直進 |
一時停止規制車直進、右折車同一方向右折 |
35 |
65 |
一時停止規制車直進、右折車対向方向右折 |
25 |
75 |
|
一時停止規制車右折 |
65 |
35 |
交差点以外の場所 |
20 |
80 |
交差点 |
30 |
70 |
大枠ですが、主要な状況は上記のような過失割合と定めています。
サンキュー事故でもすりぬけ事故でも右直事故でも、上記の過失割合はあくまで一つの基準に過ぎません。つまり、似たようなケースに当てはまるからと言って、当然にその通りの過失割合が認められるとは限りません。
交通事故において過失割合の決定は保険会社が行なっていますが、交通事故には全く同じ条件は存在しないため、『保険会社が不当に過失割合の低い対応をしてくる』という場合は、必ず弁護士に相談してみましょう。
弁護士に依頼すれば保険会社の過失割合が正しい数値なのかの判断ができますし、示談金の大幅アップも可能になります。たしかに「弁護士費用が発生する」というデメリットはありますが、自分の加入している自動車保険で弁護士特約が付随していれば、保険を使って弁護士費用を賄うことができます。
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サンキュー事故は「道を譲ってくれたから急いで行かないと」という焦りが安全確認の散漫につながり、事故を起こすという流れが非常に多いです。このサンキュー事故を防止するためには、下記の2点に気を配ることが重要です。
ありがちではありますが、譲ってくれたドライバーにありがとうの気持ちは思いながらも、よく確認しながら慎重に進みましょう。そうすれば、例えバイクが直進してきても、あなたがすぐに停車することが可能です。
もし対向車が道を譲ってくれても、見通しが悪く安全だと確認できない場合は、対向車がいなくなるまで待ってしまいましょう。せっかく譲ってくれた車には悪いですが、事故を起こしてしまうよりはるかにマシなはずです。
サンキュー事故の概要と過失割合について解説してきましたが、今回の内容がすこしでもお役に立てば幸いです。
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