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交通事故の民事裁判|手続きの流れと損害賠償金を増額させる方法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
交通事故の民事裁判|手続きの流れと損害賠償金を増額させる方法

交通事故問題の大半は、保険会社を通じての示談によって解決されます。示談での解決ができなかった場合には、民間総合調停センターでの和解斡旋(あっせん)または裁判での調停など、第三者を介しての交渉により和解を試みることができます。そして、それでも問題が解決しなかった場合には、民事裁判を起こすことを検討されるケースが一般的です。

保険会社は裁判官が下した判決に従うのが通常です。そのため、民事裁判は交通事故問題が解決しない場合の最終手段であるといえるでしょう。

この記事では、交通事故における民事裁判について解説していきます。裁判の期間・流れや、裁判を起こす場合の判断基準など、交通事故裁判の基礎知識を確認したい方は参考にしてみてください。

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交通事故で民事裁判が必要になる状況とは

交通事故の当事者間による話し合いでは和解できない場合が、民事裁判を検討するべき状況です。

例えば、以下のような問題を抱えている場合には、民事裁判を起こした方が問題をスムーズに解決できる可能性が高いでしょう。

  • 事故の過失割合(事故の責任の割合)で揉めている
  • 損害賠償の金額・保障範囲で揉めている
  • 加害者が示談に応じる気がなく交渉ができない

基本的には、交通事故は双方の納得する条件(損害賠償の支払い)で示談が成立して終了となるケースがほとんどです。

しかし、すべての交通事故で、両当事者が納得できる条件が見つかるとは限りません。

このような状況で無理に示談をしようとしても、和解するのは難しいです。

損害賠償の請求には時効(事故発生または症状固定の翌日から5年間)があるので、示談成立の気配がない場合には、なるべく早めに対処されることをおすすめします。

裁判を起こすべきかの判断基準

交通事故の被害者が裁判を起こすべきかの判断基準は、以下の2点です。

裁判費用以上のリターンを見込めるか

裁判でご自身が主張する損害賠償を獲得できたとしても、裁判費用を差し引いたら、依頼前に相手が提示した条件より収支が少なることもあり得ます。そのため、裁判を起こす場合には、裁判費用(弁護士費用含む)以上のリターンを見込めるかが重要な判断基準になるでしょう。

なお、以下が裁判に必要な費用です。裁判はこれらの費用がかかることを加味して、起訴するかの判断をしなければいけません。

裁判費用(印紙代)

(1)訴訟の目的の価額が100万円までの部分、その価額10万円までごとに1,000円
(2)訴訟の目的の価額が100万円を超え500万円までの部分、その価額20万円までごとに1,000円
(3)訴訟の目的の価額が500万円を超え1,000万円までの部分、その価額50万円までごとに2,000円
(4)訴訟の目的の価額が1000万円を超え10億円までの部分、その価額100万円までごとに3,000円
(5)訴訟の目的の価額が10億円を超え50億円までの部分、その価額500万円までごとに1万円
(6)訴訟の目的の価額が50億円を超える部分、その価額1,000万円までごとに1万円

※上告(裁判結果に不服を申し立て再度裁判をすること)の場合は上記の2倍

<弁護士費用の相場>

費用項目

費用相場

相談料

無料または5000円/30分

示談交渉

着手金

10〜20万円

報酬金

15万円+賠償額の8%

裁判

着手金なし

着手金

無料

報酬金

20万円+賠償額の10%

着手金あり

着手金

経済的利益の額が

〜300万円の場合:8%

300万〜3000万円の場合:9万円+5%

3000万〜3億の場合:69万円+3%

3億円以上の場合:369万円+2%

報酬金

経済的利益の額が〜300万円の場合:16%

300万円〜3000万円の場合:18万円+10%

3000万円〜3億の場合:138万円+6%

3億円以上の場合:738万円+4%

後遺障害認定

着手金

10万〜20万円

報酬金

経済的利益の10%

異議申立の意見書

10.8万円

とはいえ、個人では判断が難しいのが実情です。ですから、裁判を起こす前に弁護士の法律相談を利用して見積もりを出してもらい、依頼をするべきかアドバイスを受けることをおすすめします。

加害者に支払い能力はあるか

裁判の判決で損害賠償の請求を命じても、加害者に支払い能力がない場合には回収できません(典型的なのが加害者が無保険かつ無職というような場合)。そのため、加害者が損害賠償の支払いに応じない理由が支払い能力不足の場合、強制的に回収する目的で裁判を起こるのは避けた方がよいでしょう。

このような状況の場合には、損害賠償の減額・分割払いに応じるなどで何かしらの譲歩をしてあげる必要もあるかもしれません。また、加害者が自己破産すると、損害賠償の請求そのものが困難となる可能性もあるので注意してください。

これは、加害者が任意保険に加入している場合は特に気にする事項ではありません。加害者が保険未加入の場合は、必ず裁判を起こす前に必ず加害者の資産状況の確認をしておくことをおすすめします。

裁判を起こしてから解決するまでの流れ

裁判を起こしてから解決するまでの手続きの流れは以下のとおりです。

  1. 裁判所に訴状を提出
  2. 口頭弁論
  3. 証拠集め・提出
  4. 和解協議
  5. 判決

交通事故事件の場合、裁判を起こしてから解決までの期間の平均は半年~1年といわれています(判決までいかず途中で和解となった事案も含む)。

裁判が解決するまでの期間

6ヶ月以内

20.6%

6ヶ月~1年以内

40.1%

1年~2年以内

32.1%

2年~3年以内

5.3%

4年~5年以内

0.9%

5年以上

0.07%

【参考】裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第7回)

①裁判所に訴状を提出

裁判を起こすには、まずは裁判所に訴状を提出しなければいけません。『どういう内容の判決』をしてもらいたいかということを書いた書面で、『原告と被告の住所氏名』『支払いを求める損害賠償額』『事故の内容』『損害額』などを書式に従って書いていきます。

裁判所用と相手方に出す数だけ用意し、印紙を貼って提出します。この時訴状を提出できる裁判所は、被害者の住所、加害者の住所、事故発生場所のいずれかの裁判所になります。

【詳細サイト】『訴状の書式サンプルダウンロード』

②口頭弁論

訴状の提出から1~2ヶ月後、法廷で当事者同時が自分の言い分を書面で提出します。自分や相手の言い分に対する反論を出し尽くすまで、口頭弁論期日は何回か繰り返し行います。

なお、第一回で被告(加害者)が口頭弁論回に出席せず、答弁書も提出しない場合には、原告(被害者)の言い分を全面的に認めたことになり、その場で勝訴が確定します。

③証拠集め・提出

双方の主張、言い分が出そろうと、どこに争いの種があるのかがはっきりします。そうした争点整理を行ったあと、双方の主張が正しいことを証明するための証拠を提出します。

交通事故裁判で証拠として扱われやすいもの

  • 目撃証言
  • 診療報酬明細書
  • 勤め先の源泉徴収
  • 怪我をした場合は医師の診断書
  • 入通院の期間がわかるもの
  • 休業中の日数
  • 後遺障害等級の認定

提出した証拠に基づいて、裁判所は証拠の確認、現場検証、証人尋問などを行います。

④和解協議

争点整理が進み、証拠が出そろうと、よくあるケースとして裁判所から和解案が提示されます。ただ、和解に応じる場合、被害者の譲歩が必要となり、原告者の主張がどこまで認められるか不安要素も多いです。

和解に応じる場合は弁護士と相談し、慎重に検討しましょう。和解が成立すれば裁判はそこで終了し、保険会社からは保険金の支払いが行われます。
 

なお、交通事故事件では訴訟の大半は和解で終了しています。

⑤判決

和解に応じない場合は判決が下るまで裁判を続けることになります。提出した証拠だけでは結論が出せない場合には、追加で本人尋問や証人尋問が行われるケースもあり、勝訴した場合は最初に提示した賠償金の支払いが被告側に言い渡されます。敗訴した場合は、敗訴した側が控訴しなければ裁判はそこで終了です。

裁判の判決に納得いかない場合は不服申立が可能

裁判の判決に納得いかない場合は、判決から2週間以内であれば、高等裁判所に控訴をして裁判をやり直せます。また、第二審の高等裁判所の判決にも納得いかない場合には、最高裁判所への上告が可能です。

ただ、納得いかない判決が出る場合、あなたの主張や提示した証拠に、有効とされる根拠が欠けていた可能性が考えられます。ですから、裁判のやり直しを検討する場合は、弁護士と相談をして対策を練ったうえで、慎重に判断をするようにしてください。

交通事故裁判の判例(損害賠償請求例)

実際に起こされた交通事故裁判の判例(損害賠償請求例)を2つご紹介します。交通事故の損害賠償の金額は事故の被害状況によって変わりますが、どのような請求が行われているかの参考にしてみてください。

<事例1:損害賠償113万1,302円>

損害項目

金額

治療費等

68万8,336円

入通院慰謝料

40万2,000円

過失相殺

−10万9,034円

弁護士費用

15万円

合計

113万1,302円

【参考】平成24(ワ)1497  損害賠償請求事件 

<事例2:損害賠償2,823万6,660円>

損害項目

金額

治療費等

70万2,290円

休業損害

224万7,900円

逸失利益

2,047万635円

入通院慰謝料

260万円

後遺障害慰謝料

690万円

過失相殺

−658万4,165円

弁護士費用

190万円

合計

2,823万6,660円

【参考】平成17(ワ)1646  損害賠償請求事件 

裁判を起こすなら弁護士を雇うべき理由

民事裁判であればご自身のみで裁判を行う『本人訴訟』を起こすことはできます。しかし、それでも裁判では弁護士に依頼することを強くおすすめします。

モチはモチ屋という言葉があります。民事訴訟は、民事訴訟法に則ったルールで主張・立証を積み重ねつつ、実体法に照らして権利義務関係の有無を確定する手続きです。そのため、民事訴訟法や民法、そのほか実体法の知識がない当事者が自力で訴訟を遂行しても、的はずれな主張・立証に終始してしまい、箸にも棒にもかからないということはよくあります。もちろん、本人訴訟が絶対に無理だとは言いませんが、このような見当外れな訴訟遂行をしても、よい結果となる可能性は低いと言わざるを得ません。

それでも本人訴訟をやりたい場合、それはあなたの自由ですが、もしお金がないから弁護士を雇えないという状況であれば、『弁護士費用特約』の利用や『法テラス』を活用するのがよいでしょう。

法テラスは『弁護士費用』を立て替えてくれる機関ですので、経済的な理由から弁護士を雇うのが難しい場合は、利用を検討されてはいかがでしょうか?

まとめ

交通事故の民事裁判は、事故相手とどうしても和解できない際の最終手段です。裁判を起こすかどうかの判断基準は以下の2点です。

  • 裁判費用以上のリターンを見込めるか
  • 加害者に支払い能力はあるのか

交通事故問題に限らず、裁判は非常に神経を使う重要な手続きです。法律の知識と裁判の経験がない場合は、ご自身だけで無理に挑まずに、弁護士を雇うことを検討してください。法廷で、弁護士は間違いなくあなたの心強い味方になってくれるでしょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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