【被害者向け】非接触事故でも損害賠償請求はできる?よくあるトラブルと対処法
直接的な接触・衝突はないけれど、一方がけがを負ったり、車両を損壊したりする事故があります。
これは「非接触事故」と呼ばれる交通事故の種類であり、被害者は加害者に対して損害賠償を請求できます。
しかし、通常の接触事故とは異なり、因果関係の証明が難しい、交渉に時間がかかるなどの課題も多いです。
本記事では、直接的な接触はないけれどけがを負ってしまった方に向けて、以下の内容について説明します。
- 非接触事故とはどのような交通事故なのか
- 非接触事故として分類される代表的なケース
- 非接触事故の被害者に多いよくあるトラブル
- 非接触事故の被害に遭った場合の主な対処法 など
本記事を参考に、非接触事故の被害に遭った際にどのように対処すればよいのかなどを理解しましょう。
非接触事故とは?直接的な接触はない交通事故のこと
非接触事故(誘因事故)とは、加害車両とは直接的な接触や衝突がない交通事故のことです。
通常、以下のような要件を全て満たしている場合に「非接触事故」として扱われることになります。
- 加害車両と被害者の接触がないこと
- 被害者がけがや損害を負っていること
- 加害者に故意や過失が認められること
- 加害行為と被害に因果関係があること など
非接触事故も交通事故の一類型であるため、事故発生後は警察に対して届出をおこなう必要があります。
交通事故証明書の「転倒」に丸が付き、備考欄には加害者(誘因者)の氏名が入ることになるでしょう。
非接触事故に分類される代表的なケース3選
非接触事故には、以下のようにさまざまなケースが考えられます。
- T字路を走行中に飛び出してきた車を避けて衝突する
- バイクを運転中に右折車を避けようとして転倒する
- 歩行中に急接近する自動車に驚いて転倒する など
ここでは、非接触事故に分類される代表的なケースを3つ紹介します。
1.車対車|T字路で飛び出してきた車を避けて衝突した
1つ目は、T字路から飛び出してきた車を避けようとして、電柱などに衝突してしまうというものです。
T字路は基本的に直進車が優先となっており、走行中は横道からの飛び出しに備えていないことがあります。
そのため、車が飛び出してきた際に思わずハンドルを切ってしまい、事故に繋がるケースは少なくないです。
車両同士の直接的な接触がなくても、飛び出しが原因で事故が発生した場合は、非接触事故になるでしょう。
2.車対バイク|右折車を避けようとしたバイクが転倒した
2つ目は、バイクの運転中に反対車線の右折車両を避けようとして、転倒してしまうというものです。
たとえば、青信号を直進していたときに、急発進してきた右折車があり避けようとするケースがあります。
また、バイクが直進車の影に隠れており、それを知らない反対車線の車が右折してくるケースもあります。
右折車を避けようとして転倒したり、ガードレールなどに衝突したりした場合は、非接触事故になりえます。
3.車対歩行者|急接近する乗用車に驚いて尻もちをついた
3つ目が、急接近する車や飛び出してきた車に驚いた歩行者が、転倒してしまうというものです。
たとえば、横断歩道に突っ込んできた車を避けようとした結果、尻もちをついてしまうなどがあります。
急ブレーキが間に合って直接的な接触が避けられたとしても、けがを負った際は非接触事故になるでしょう。
【被害者向け】非接触事故でよくあるトラブル4選
非接触事故では直接的な接触がないため、以下のようなトラブルが発生しがちです。
- 加害者がその場から立ち去ってしまう
- 加害者から「言いがかりだ」と言われてしまう
- 回避可能性や因果関係について争いになってしまう
- 加害者側の保険会社から低い賠償金を提示されてしまう
ここでは、被害者向けに非接触事故でよくあるトラブル事例を4つ紹介します。
1.加害者がその場から立ち去ってしまう
非接触事故では、加害者が事故に気付かずに立ち去ってしまうケースがあります。
その場を立ち去られると、加害者を特定するために、多くの時間や労力を要することになります。
また、特定できなかった場合は、賠償金を請求できず、十分な補償を受けられない可能性もあるでしょう。
2.加害者から「言いがかりだ」と言われてしまう
非接触事故では、加害者から「言いがかりだ」と言われるケースも少なくありません。
このようなケースでは、加害者がそもそも話し合いに応じないということが考えられます。
また、加害者が自身の故意や過失を認めない場合は、被害者側が証拠を提示する必要があるでしょう。
仮に十分な証拠がない場合は、加害者の「言いがかり」という主張が認められる可能性もありえます。
3.回避可能性や因果関係について争いになってしまう
非接触事故では、接触自体がなかったために回避可能性や因果関係などで争うことが多いです。
- 回避可能性:その事故を回避できるかどうかということ
- 因果関係:その事故が原因でけがが生じたのかということ
回避可能性では、被害者が事故を予測できたか、回避行動が適切だったかなどがポイントになります。
また因果関係では、本当に事故が原因でけがをしたのか、治療期間は適切かなどについて確認されます。
なお、因果関係が認められたとしても、被害者側に落ち度があるなら受け取れる賠償金は少なくなります。
4.加害者側の保険会社から低い賠償金を提示されてしまう
非接触事故の被害に遭った場合、通常は加害者側の保険会社と示談交渉をおこないます。
しかし、必ずしも保険会社が事故の状況などを踏まえた適切な賠償金を提示してくるとは限りません。
特に非接触事故の場合は、被害者側にも一定の過失があるとして、低い賠償金を提示してくるケースもあります。
加害者の一方的な過失を証明できれば問題ありませんが、そうでない場合は示談交渉で揉める可能性が高いです。
【被害者向け】非接触事故の被害に遭った場合の6つの対応
非接触事故の被害者になった場合、以下のような対応を取る必要があります。
- その場で警察に通報する
- 加害者と連絡先を交換する
- 写真などで証拠を残しておく
- できる限り早く病院を受診する
- 運転中の場合は保険会社に連絡する
- 交通事故が得意な弁護士に相談する
ここでは、非接触事故の被害に遭った際に取るべき6つの対応について説明します。
1.その場で警察に通報する
非接触事故が発生した際は、すぐに警察へ通報しましょう。
非接触事故では加害者側が故意・過失を認めず、警察への届出をしないケースもあります。
交通事故の通報は被害者側がおこなうこともできるので、迷わずに警察へ連絡しましょう。
なお、被害者であっても運転中の場合は報告義務を負うことになるため、必ず警察へ通報してください。
2.加害者と連絡先を交換する
加害者と話ができる状態なら、以下の内容について確認しておきましょう。
- 加害者に関すること:氏名、住所、連絡先、車両ナンバーなど
- 任意保険に関すること:任意保険の有無、保険会社の名称、保険証券の番号など
加害者と連絡先を交換しておくことで、事故後のやり取りや示談交渉などがしやすくなります。
なお、連絡先の交換を拒否された場合は、後日「交通事故証明書」で確認するとよいでしょう。
3.写真などで証拠を残しておく
非接触事故の示談交渉をする際は、以下のような証拠が重要になります。
- ドライブレコーダーの映像
- 事故現場や被害状況がわかる写真
- 事故現場の近くにある監視カメラ
- 事故状況を見ていた人の目撃証言や連絡先 など
将来の示談交渉を有利に進めるためにも、できる限りこれらの証拠を集めておきましょう。
なお、非接触事故は接触していないことが前提となりますが、加害車両の写真も撮ることをおすすめします。
4.できる限り早く病院を受診する
非接触事故の被害に遭った際は、できる限り早く病院を受診しましょう。
事故後に病院を受診する理由としては、主に以下の2つが挙げられます。
- けがを負っていた場合に早期治療が必要になるため
- 交通事故とけがの因果関係を証明しやすくなるため
受診する診療科は整形外科が一般的ですが、頭を打っている場合は脳神経外科を選択してください。
できる限り事故が発生した当日、遅くとも事故から2~3日以内には受診することをおすすめします。
5.運転中の場合は保険会社に連絡する
自動車やバイクの運転中に非接触事故の被害に遭った際は、自身の任意保険会社にも連絡しましょう。
非接触事故では加害者がその場を立ち去ったり、単独事故として処理されたりする可能性もあります。
仮に加害者に賠償金を請求できない場合、自身の人身傷害保険や車両保険などを使うことが多いです。
事前に保険会社へ連絡をしておき、スムーズに保険金を受け取れるようにしておきましょう。
6.交通事故が得意な弁護士に相談する
非接触事故の被害に遭った場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
特に交通事故トラブルが得意な弁護士に相談すれば、以下のようなアドバイスを受けられます。
- 通院・治療のポイント
- 賠償金を請求できる可能性
- 示談交渉の際に役立つ証拠
- 今後の見通しやおすすめの解決策
非接触事故は通常の接触事故に比べて難易度が高いため、交通事故が得意な弁護士に相談するのが望ましいです。
また、必要に応じて弁護士に依頼をして、加害者や保険会社とのやり取り・示談交渉を任せるのもよいでしょう。
さいごに|非接触事故でも加害者に対して損害賠償を請求できる!
非接触事故は接触・衝突はしていませんが、交通事故の一種であり加害者に損害賠償を請求できます。
しかし、直接的な接触がないことから、因果関係・回避可能性・過失割合などについて争う可能性は高いです。
そのため、事故直後からしっかりと証拠を確保したり、弁護士からアドバイスを受けたりすることが重要です。
交通事故の被害者として加害者や保険会社などに対して賠償金を請求することは、正当な権利の行使といえます。
泣き寝入りする必要は決してありませんので、弁護士のサポートを受けつつしっかりと賠償金を請求しましょう。
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