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ライプニッツ係数から逸失利益を計算する方法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
ライプニッツ係数から逸失利益を計算する方法

ライプニッツ係数(中間利息控除)とは、交通事故における人身事故で損害賠償を支払う時に、長期的に発生する介護費用や就労機会の喪失・減少分の逸失利益など、長期的に発生する賠償金を前倒しで受けとる際に控除する指数です。以前は単利計算の「ホフマン式」も利用されていましたが、平成12年1月より年利5%固定のライプニッツに統一されていました。

しかし、民放改正に伴い、2020年4月1日以降に発生した交通事故に関しては年利3%固定のライプニッツ係数で損害賠償金額の算出を行うことになりました。


ちなみに「ライプニッツ」とは、16世紀のドイツの数学者ゴットフリート・ライプニッツにちなんで付けられています。

ライップニッツ係数は、交通事故で障害を負った場合の逸失利益を計算する際に必ず必要になるものですので、怪我や後遺障害で就業に支障が出た方は参考にしていただければ幸いです。

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ライプニッツ係数と就労可能年数の表

まずはライプニッツ係数表と就労可能年数を確認していきましょう。
法定利率3%と5%それぞれの表についてご紹介します。

法定利率3%の場合

18歳未満の者に適応する表

年齢

幼児・児童・生徒・学生・右欄以外の働く意思と能力を有する者

有識者

就労可能年数

係数

就労可能年数

係数

0

49

14.980

67

28.733

1

49

15.429

66

28.595

2

49

15.892

65

28.543

3

49

16.369

64

28.306

4

49

16.860

63

28.156

5

49

17.365

62

28.000

6

49

17.886

61

27.840

7

49

18.423

60

27.676

8

49

18.976

59

27.506

9

49

19.545

58

27.331

10

49

20.131

57

27.151

11

49

20.735

56

26.965

12

49

21.357

55

26.774

13

49

21.998

54

26.578

14

49

22.658

53

26.375

15

49

23.338

52

26.166

16

49

24.038

51

25.951

17

49

24.759

50

25.730

※18歳未満の有職者及び18歳以上の者の場合の就労可能年数について
 (1) 54歳未満の者は67歳から被害者の年齢を控除した年数\
 (2) 54歳以上の者は平均余命年数の1/2とし、端数は切上げ

引用元:国土交通省|就労可能年数とライプニッツ係数表

18歳以上の者に適応する表



係数



係数



係数



係数

18

49

25.502

39

28

18.764

60

12

9.954

81

4

3.717

19

48

25.267

40

27

18.327

61

11

9.253

82

4

3.717

20

47

25.025

41

26

17.877

62

11

9.253

83

4

3.717

21

46

24.775

42

25

17.413

63

10

8.530

84

4

3.717

22

45

24.519

43

24

16.936

64

10

8.530

85

3

2.829

23

44

24.254

44

23

16.444

65

10

8.530

86

3

2.829

24

43

23.982

45

22

15.937

66

9

7.786

87

3

2.829

25

42

23.701

46

21

15.415

67

9

7.786

88

3

26

41

23.412

47

20

14.877

68

8

7.020

89

3

2.829

27

40

23.115

48

19

14.324

69

8

7.020

90

3

2.829

28

39

22.808

49

18

13.754

70

8

7.020

91

2

29

38

22.492

50

17

13.166

71

7

6.230

92

2

1.913

30

37

22.167

51

16

12.561

72

7

6.230

93

2

1.913

31

36

21.832

52

15

11.938

73

7

6.230

94

2

1.913

32

35

21.487

53

14

11.296

74

6

5.417

95

2

33

34

21.132

54

14

11.296

75

6

5.417

96

2

1.913

34

33

20.766

55

14

11.296

76

6

5.417

97

2

1.913

35

32

20.389

56

13

10.635

77

5

4.580

98

2

36

31

20.000

57

13

10.635

78

5

4.580

99

2

1.913

37

30

19.600

58

12

9.954

79

5

4.580

100

2

38

29

19.188

59

12

9.954

80

5

4.329

101

2

1.913

法定利率5%の場合

18歳未満の者に適応する表

年齢

幼児・児童・生徒・学生・右欄以外の働く意思と能力を有する者

有識者

就労可能年数

係数

就労可能年数

係数

0

49

7.549

67

19.239

1

49

7.927

66

19.201

2

49

8.323

65

19.161

3

49

8.739

64

19.119

4

49

9.176

63

19.075

5

49

9.635

62

19.029

6

49

10.117

61

18.98

7

49

10.623

60

18.929

8

49

11.154

59

18.876

9

49

11.712

58

18.82

10

49

12.297

57

18.761

11

49

12.912

56

18.699

12

49

13.558

55

18.633

13

49

14.236

54

18.565

14

49

14.947

53

18.493

15

49

15.695

52

18.418

16

49

16.48

51

18.339

17

49

17.304

50

18.256

※18歳未満の有職者及び18歳以上の者の場合の就労可能年数について
 (1) 54歳未満の者は67歳から被害者の年齢を控除した年数
 (2) 54歳以上の者は平均余命年数の1/2とし、端数は切上げ

引用元:国土交通省|就労可能年数とライプニッツ係数表

18歳以上の者に適応する表



係数



係数



係数



係数

18

49

18.169

39

28

14.898

60

12

8.863

81

4

3.546

19

48

18.077

40

27

14.643

61

11

8.306

82

4

3.546

20

47

17.981

41

26

14.375

62

11

8.306

83

4

3.546

21

46

17.88

42

25

14.094

63

10

7.722

84

4

3.546

22

45

17.774

43

24

13.799

64

10

7.722

85

3

2.723

23

44

17.663

44

23

13.489

65

10

7.722

86

3

2.723

24

43

17.546

45

22

13.163

66

9

7.108

87

3

2.723

25

42

17.423

46

21

12.821

67

9

7.108

88

3

2.723

26

41

17.294

47

20

12.462

68

8

6.463

89

3

2.723

27

40

17.159

48

19

12.085

69

8

6.463

90

3

2.723

28

39

17.017

49

18

11.69

70

8

6.463

91

2

1.859

29

38

16.868

50

17

11.274

71

7

5.786

92

2

1.859

30

37

16.711

51

16

10.838

72

7

5.786

93

2

1.859

31

36

16.547

52

15

10.38

73

7

5.786

94

2

1.859

32

35

16.374

53

14

9.899

74

6

5.076

95

2

1.859

33

34

16.193

54

14

9.899

75

6

5.076

96

2

1.859

34

33

16.003

55

14

9.899

76

6

5.076

97

2

1.859

35

32

15.803

56

13

9.394

77

5

4.329

98

2

1.859

36

31

15.593

57

13

9.394

78

5

4.329

99

2

1.859

37

30

15.372

58

12

8.863

79

5

4.329

100

2

1.859

38

29

15.141

59

12

8.863

80

5

4.329

101

1

0.952

ライプニッツ係数の算出方法

毎年、期末に1円を受け取る複利の年金現価は下記のように表記します。
利率=i、年数=n として・・・
年金原価
ライプニッツ算出式


ライプニッツ
 

例:3年間のライプニッツ係数を求める場合
利率=法定利率5%
年数=3年
ライプニッツ係数=0.9523+0.9070+0.8638=2.723
 
ただ、こんな複雑な計算は年率5%が固定の現在ではあまり用いられないでしょう。
 

ライプニッツ係数を用いた逸失利益の計算方法

交通事故の逸失利益の計算式は以下のようになります。
基礎収入 × 後遺症による労働能力喪失率 × ライプニッツ係数
 

労働能力喪失期間の設定

労働能力喪失期間とは労働可能な期間と考えられ、労働可能年齢は67歳に設定されています。例えば、35歳で片足切断の後遺症が残ったという場合には、67歳までの32年間の稼働可能期間になります。
 

労働能力喪失率の算定

表:労働能力喪失表

後遺障害等級

労働能力喪失率

後遺障害等級

労働能力喪失率

第1級

100/100

第8級

45/100

第2級

100/100

第9級

35/100

第3級

100/100

第10級

27/100

第4級

92/100

第11級

20/100

第5級

79/100

第12級

14/100

第6級

67/100

第13級

9/100

第7級

56/100

第14級

5/100

後遺障害の場合の計算例

・35歳の会社員男性
・年収600万円
・後遺障害等級14級に該当
 
基礎収入 × 後遺症による労働能力喪失率 × ライプニッツ係数
=600万円 × 5%(0.05)× 32年(15.803)
4,740,900円
 

死亡事故の場合の計算例

死亡事故による逸失利益の計算方法も、基本的には後遺障害逸失利益の計算と同じと考えて良いでしょう。しかし、被害者が死亡しているので、労働能力喪失率は100%として扱われ、生活費を控除して計算されることになります。

基礎収入額×(1―生活費控除率)×就労可能年数×中間利息控除

生活費控除率
交通事故によって死亡した場合の逸失利益を算出する時、生活費相当分を控除するのが一般的です。その際の生活費控除率はおおむね次のように考えられています。

■一家の支柱の死亡:30~40%
■女子(主婦、独身、幼児を含む)の死亡:30~45%
■男子(独身、幼児を含む)の死亡:50%

モデルケース
・50歳の会社員
・年収800万円
・生活費控除率:30%とする
・ライプニッツ係数:17年(11.2740)

基礎収入額×(1―生活費控除率)×就労可能年数×中間利息控除
=800万円×(1-0.3)×11.2740=63,134,400円

計算の方法は数字され知っていれば難しいことは一つもありません。交通事故による後遺障害の等級や事故当時の年齢や年収などの最低限の情報がわかっていれば計算できます。

民法改正でライプニッツ係数の法令利率見直しが検討されている

法務省が2015年の通常国会に提出を予定している民法(債権分野)改正案の原案によると、債務の支払いが遅れた場合に上乗せする法定利率を現行の5%から3%に引き下げ、3年ごとに1%刻みで改定する変動制を導入するのが検討されています。
 

「法定利率」を年5%から3%に下げるほか、飲食代や診察料など内容によりばらばらだった支払い時効を5年に統一する。インターネットの普及など時代の変化にあわせ、消費者保護に軸足を置く形で大きく見直す。
 改正は約200項目。債権法の見直しは法制審議会(法相の諮問機関)が2月に上川陽子法相に答申した。抜本改正は1896年(明治29年)の制定以来初めてで、今国会で成立すれば2018年をメドに施行される予定だ。
引用元:債権法の民法改正案を閣議決定「法定利率」下げなど

 
債権分野の抜本改正は約120年ぶりと言われています。もし3%になった場合、法定利率3%なら3年で2.826になりますので、被害者が受け取れる損害賠償金は増額しますが、自動車保険料などに影響を与えかねないと憂慮する声もありますので、今後の動向に注意したいところです。

まとめ

ライプニッツ係数は今後どのように変わるかわかりませんが、現状は表のようになりますので、参考にしていただければ幸いです。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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