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交通事故でむち打ちを負った場合は、むち打ちによって発生した損害について加害者へ賠償請求することができます。しかしむち打ちの場合、骨折などとは異なり症状の程度を判別することが困難なこともありますので、注意して対応を進める必要があります。
この記事では、交通事故で子供がむち打ちになった場合の流れや加害者から受けられる補償、対応時の注意点などについて解説します。
むちうちについて解説してくれるのは… |
所持資格:柔道整復師・鍼灸師 |
交通事故に遭った場合に、同乗していた子供がむち打ちになるということもあります。本記事では、子供がむち打ち被害を受けた場合の補償について簡単に解説します。
子供は大人よりも筋肉が柔らかいため「交通事故の典型的なケガであるむち打ちになりにくい」と言われています。しかし当然ですが、子供であればむち打ちにはならないというわけではありません。そのため、交通事故の際に子供も同乗していた場合、子供についてもきちんと病院で検査を受けましょう。
例えば、子供が交通事故の後に、首や頭の痛みを訴えたり、しきりに首や腰を気にするような素振りをしたり、元気がなかったり、機嫌が悪かったりという場合は、何かしらのケガを負っている可能性がありますので、必ず病院を受診してください。
子供は自身の症状をうまく伝えられないこともあります。特に年齢が低い場合、この傾向が顕著です。交通事故の後に、上記のような「いつもと違う」という違和感を覚えたら、注意が必要です。
交通事故で子供を受診させるタイミングは、事故直後です。大人・子供に拘らず、むち打ちは当日症状が出なくても、あとから症状がでることがあります。そのため、事故後になんともない、なんともなさそうと思っても、念の為病院を受診した方が良いでしょう。
なお交通事故後に何かしらの違和感があっても、通院をしないで1週間以上経過してしまった場合、後々病院に通院して何らかの診断が下されたとしても、事故との因果関係が否定されてしまう可能性もありますので注意しましょう。
子供がむち打ちになった場合の損害は以下の通りです。
子供がむち打ちの治療のために入院や通院をした場合は、以下のような損害が考えられます。
病院で診察や治療、検査、処方を受けた際にかかった実費を指します。
通院するためにかかった交通費を指します。
子供の場合は、通院に保護者が同伴するのが通常です。当該付添に係る費用も損害として補償されます。費用の目安は、自賠責保険基準で日額2,050円、弁護士基準で日額3,300円です。
子供でも負傷により入通院を余儀なくされれば、大人と同等の慰謝料を請求できます。慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準などがあり、それぞれの基準により算定額が異なります。通常は自賠責基準が最低限の水準、弁護士基準が最高水準と言われています。
むち打ちについて治療を尽くしたものの、一定の後遺障害が残った場合には別途補償の対象となります。むち打ちによる後遺障害は、一般的には軽度の場合は14級、重度の場合は12級と認定される場合が多いです。
14級に該当する場合の慰謝料額は、自賠責基準は32万円、弁護士基準は110万円です。
12級に該当する場合の慰謝料額は、自賠責基準は93万円、弁護士基準は290万円です。
交通事故で後遺障害が残った場合、大人であれば等級に応じて労働能力の喪失が認められるとして、逸失利益を請求できます。他方、子供の場合は実際に就労しているわけではないので、直ちに逸失利益があるということにはなりません。
特にむち打ちによる後遺障害は、期間の経過により軽快・喪失する可能性があるとして、労働能力の喪失期間を5~10年程度に限定されるのが通常です。
したがって子供については、仮にむち打ちによる後遺障害があったとしても、就労するころには症状が軽快・消失しており労働能力の喪失は認め難いとして、逸失利益が認められない可能性もあります。
子供のむち打ちについて、後遺障害等級の認定手続きを行う際の注意点やポイントを解説します。
むち打ちについては、一定の後遺症が残ったとしても、実際に後遺障害認定がされるケースは多くありません。むち打ちは、レントゲンやMRI、CTなどの画像上での異常(他覚所見)が認められない場合が多数であり、症状の有無が客観的に認定されにくいためです。
しかも子供の場合、症状があることが明確でなかったり、症状があってもこれをうまく伝えられなかったりということが往々にしてあります。結果、後遺症の存在が相対的に認められにくいということはいえるかもしれません。
後遺障害認定の手続は、被害者請求と事前認定の2種類があります。
事前認定は、加害者の任意保険会社に手続きを一任する方法です。手続きが簡便である反面、必要最低限の処理しかされず、十分な審査を受けられない可能性があります。他方、被害者請求は、被害者側がすべての書類を用意する関係上、必要・十分な資料を提出できます。
むち打ちに伴う症状は、ただでさえ後遺障害と認定される可能性が低いですから、被害者側は被害者請求でこれを行うことも積極的に検討した方が良いかもしれません。なお弁護士に依頼すれば、煩雑な書類の準備・提出をすべて一任できるのでメリットが大きいです。
事故後に相当期間通院を続けたにもかかわらず、子供が痛みを訴え続ける場合は、医師に相談しましょう。場合によっては肉体的な側面ではなく、精神的な側面からくる症状かもしれません。
子供が交通事故でむち打ちとなった場合の補償について、簡単に解説しました。一般的に、子供は交通事故で一時的なむち打ちとなったとしても、症状はすぐに軽快する傾向にあります。もし症状が予想外に長引く場合には、むち打ち以外の原因についても調べてみたほうが良いかもしれません。
「子供は何も訴えないし、柔らかいから大丈夫!」という考えで放置しないようご注意ください。
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