交通事故で自営業者における休業損害の計算方法と取り扱いを解説
交通事故の加害者に対して請求できる損害の一つとして休業損害がありますが、請求にあたっては既定の計算式に基づいて請求することになります。
ただし交通事故の被害者が自営業者という場合、前年の業績や確定申告の有無などによっては請求できない可能性もありますので、休業損害に関する取り扱いについてもあわせて知っておきましょう。
この記事では、交通事故における自営業者の休業損害に関する、計算方法や取り扱い方法などについて解説します。
この記事の監修者
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
交通事故による自営業者の休業損害
交通事故による怪我で就労が困難となった場合は、休業損害を請求可能です。本記事では、自営業者が交通事故で休業を余儀なくされた場合の休業損害について解説します。
自営業者の休業損害を計算する方法
まず、自営業者の休業損害の計算方法を解説します。
自賠責基準の計算式
自営業者であっても、休業損害額の計算方法は給与所得者と同じです。具体的には5700円×休業日数で計算します。
給与所得者との違いは基礎収入の考え方です。給与所得者の場合、事故前90日の給与額面の合計額を90日で割って計算します。他方、自営業者の場合は、事故前年の営業所得と固定費(営業活動の有無に関わらず発生する費用)の合計額を365日で除して計算するのが通常です。
例えば事故前年の営業所得が400万円、事務所賃料が120万円、事務所広告費が10万円の場合、530万円を365日で割った約1万4520円を1日あたりの基礎収入とします。
確定申告をしていない場合
ごく稀に、個人事業主ではあるものの確定申告をしていないというケースがあります。事業収入が非課税の範囲で行われている場合はともかく、そうでない場合に確定申告を行っていない場合は、所得や固定費の証明が困難となります。
この場合は、預金通帳、受発注書、契約書、請求書、領収書等の証憑を別途提示して、所得や固定費を証明していくほかありません。これら証憑すらないという場合は、休業損害の証明がそもそも困難であり、補償を求めることができないということも十分あり得ます。
事業活動により一定の収益がある場合は、必ず確定申告をして納税を行いましょう。
【例外】自営業の状況別でみる休業損害の取り扱い
ここではいくつかの事例を仮定して、休業損害の考え方について簡単に解説します。
前年が業績赤字だった場合
事故前年の業績が赤字である場合でも、直ちに休業損害が認められないわけではありません。まず、営業所得が存在しなくても、固定費が存在する可能性があるからです。
また、事故前年が突発的事情により赤字となったに過ぎない場合には、前年だけでなく過去3年分の平均値を取るとか、前年の特別損失を考慮しないで収益を見るなどの方法もあり得ます。
自共同経営の場合
一つの事業を複数名で共同経営している場合、収益の捉え方をどう考えるかはケースバイケースです。
例えば、共同経営者ではあるものの給与が支払われているという場合は、給与所得者と同じように捉えるべきですし、そうではなく事業から得た利益を分配しているという場合は、当該分配割合に従って基礎収入を計算することになります。
事故前年の実績がない場合
事業を開始した当年に事故にあってしまい、当該事業について前年の事業収益が存在しない場合もケースバイケースです。前年の別事業収益や給与所得でこれを計算するという方法もあれば、事故前までの数カ月間の事業状態に基づいてこれを計算するという方法もあります。
まとめ
自営業の方が交通事故で怪我をした場合の休業損害について、簡単に解説しました。自営業の場合、給与所得者と異なり個別の判断が必要となる場合も多いので、計算に不安がある場合には弁護士に相談することも検討するべきでしょう。
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