後遺障害等級1級に認定される症状と獲得出来る慰謝料まとめ

交通事故による後遺障害等級1級は、後遺障害として認定される症状のなかで最も重いものとされ、労働能力喪失率も100%に設定されています。また、後遺障害等級1級と2級には要介護のものと、介護を必要としないものがあります。
今回は後遺障害等級1級に認定される症状と、獲得出来る慰謝料の相場をご紹介します。
後遺障害等級1級に認定される症状
まずは後遺障害等級1級と認定される後遺症(後遺障害)をまとめましたので、ご確認ください。
等級 |
後 遺 障 害 |
自賠責保険 |
労働能力 |
第1級 |
1号:両目が失明したもの |
3,000万円 |
100% |
2号:咀嚼及び言語の機能を廃したもの |
|||
3号:両上肢をひじ関節以上で失ったもの |
|||
4号:両上肢の用を全廃したもの |
|||
5号:両下肢をひざ関節以上で失ったもの |
|||
6号:両下肢の用を全廃したもの |
1級|1号:両目が失明したもの
後遺障害第1級1号は、交通事故によって両眼の視力が完全に失明した場合に認定されます。眼球を失ってしまったケースは当然該当し、矯正視力で0.01未満の場合も第1級の1号となります。
1級|2号:咀嚼及び言語の機能を廃したもの
咀嚼機能と言語機能が交通事故によって失われてしまった場合に、第1級2号が認定されます。咀嚼機能に関しては、スープのような流動食以外食べられない障害で、言語機能は子音の発音方法である以下の発音ができないものになります。
口唇音:ま行、ぱ行、ば行、わ行、ふ
歯舌音:な行、た行、だ行、ら行、さ行、しゅ、ざ行、じゅ
口蓋音:か行、が行、や行、ひ、にゅ、ぎゅ、ん
咽頭音:は行
これらの4つのうち、3つ以上発音できない場合に、言語機能を廃したと認定されます。第1級2号はこの2つの障害が両方ある場合が該当し、どちらか片方の場合は後遺障害は第3級の2号になります。
1級|3号〜6号は両手足を失ったり、麻痺して動かなくなった場合
後遺障害第1級の3号から6号は手足に障害が残った場合に認定されます。
・第1級3号
両方の腕を根元、あるいは肘以上で失った場合。
・第1級4号
両腕そのものは失われていなくても、肩から下がまったく動かなかい。可動域が10%以内になってしまった場合です。動かなくなった理由は麻痺でも硬直でも構わないとされています。
・第1級5号
両足を根元、あるいは膝より上で失った場合。
・第1級6号
5号と同じく足は失わなかったものの、股や膝、足関節全体が完全麻痺している。もしくは可動範囲が10%以下に制限されてしまった場合は第1級6号が認定されます。
要介護と介護無しの違いは介護のレベル
読み比べるとわかりますが、第1級と第2級の違いは、『常に介護を要するもの』と『随時介護を要するもの』という文言の違いだけです。
等級 |
介護を要する後遺障害 |
保険金額 |
労働能力喪失率 |
|
第1級 |
1号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
4000万円 |
100% |
2号 |
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
|||
第2級 |
1号 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3000万円 |
100% |
2号 |
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
常に介護が必要ということは、脳や神経以外の臓器へダメージを受けた場合が該当するでしょう。要介護第1級に値する重い後遺障害の場合、肺や心臓にダメージを受け、自律呼吸が難しいケースですがほとんどです。
このような状態で生き続ける被害者の苦痛を考えて、同じ等級でも1000万円もの差が設けられています。
後遺障害等級『第1級』と認定された症状
実務上の後遺障害慰謝料の認定事例 | |
後遺障害 | 慰謝料 |
四肢麻痺、意思疎通不可能、1級1号 | 2600万円 |
知的レベル低下・四肢完全麻痺等が1級1号 | 2800万円 |
四肢体幹の不自由、1級3号 | 2500万円 |
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し常に介護を要するもの、1級3号 | 2800万円 |
遷延性意識障害、1級3号 | 2800万円 |
両下肢完全麻痺、1級3号 | 2200万円 |
寝たきりの状態が1級1号 | 2600万円 |
胸髄損傷、1級3号 | 2600万円 |
遷延性意識障害、四肢麻痺等、1級1号 | 3500万円 |
重度四肢麻痺、体幹機能障害等、1級3号 | 2650万円 |
精神異常等、1級3号 | 2700万円 |
頭部外傷後遺症、1級1号 | 3000万円 |
頭部外傷後遺症が1級1号、右眼失明、8級1号 | 2800万円 |
頚髄損傷による四肢麻痺、1級3号、腸骨変形、12級5号 | 2800万円 |
四肢麻痺、意識障害、自力摂食不能等、1級3号 | 3300万円 |
四肢麻痺、呼吸障害等、1級3号 | 3000万円 |
常に他人の介護が必要、1級1号 | 3000万円 |
四肢・体幹筋萎縮、脳外傷による精神症状、1級3号 | 2600万円 |
頭部外傷後の記銘力障害等の精神神経症状、1級3号 | 3000万円 |
四肢のほぼ完全麻痺、発声不可能等、1級3号 | 2800万円 |
右側上下肢及び左側下肢運動障害、1級 | 2700万円 |
注意してほしいのは、これらの症状が必ずしも後遺障害1級に認定されるわけではないという事です。適切な後遺障害認定の申請手順を踏む必要がありますし、適切な後遺障害診断書を医師に書いてもらう必要もあります。
後遺障害等級1級の慰謝料
後遺障害で獲得できる慰謝料には『後遺障害慰謝料』と『入通院慰謝料』の2種類があり、さらに『自賠責保険基準』、『任意保険基準』、『弁護士基準』の3つの基準に分かれています。
この基準の中でもっとも低いのが自賠責保険基準で、もっとも高額となるのが弁護士基準となっています。
表:後遺障害慰謝料の相場(上:自賠責保険、中:任意保険(推定)下:弁護士基準)
第1級 |
第2級 |
第3級 |
第4級 |
第5級 |
第6級 |
第7級 |
1,150万円 |
998万円 |
861万円 |
737万円 |
618万円 |
512万円 |
419万円 |
1,600万円 |
1,300万円 |
1,100万円 |
900万円 |
750万円 |
600万円 |
500万円 |
2,800万円 |
2,370万円 |
1,990万円 |
1,670万円 |
1,400万円 |
1,180万円 |
1,000万円 |
第8級 |
第9級 |
第10級 |
第11級 |
第12級 |
第13級 |
第14級 |
324万円 |
245万円 |
187万円 |
135万円 |
93万円 |
57万円 |
32万円 |
400万円 |
300万円 |
200万円 |
150万円 |
100万円 |
60万円 |
40万円 |
830万円 |
690万円 |
550万円 |
420万円 |
290万円 |
180万円 |
110万円 |
後遺障害以外の慰謝料
請求項目 |
内容と慰謝料の相場 |
入通院慰謝料 |
4,300円/日 |
後遺障害慰謝料 |
自賠責保険の後遺障害等級第1級では1,150万円 |
死亡慰謝料 |
一家の大黒柱:2,600~3,000万円 |
後遺障害慰謝料以外の損害賠償費
治療費関係費 |
治療費や入院費が該当 |
看護料 |
通院付添費:2,050円/日 |
入通院慰謝料 |
4,300円/日 |
入院雑費 |
1,500円/日 |
通院交通費 |
通院に要した交通費など |
その他 |
将来介護費・装具購入費・学費・家庭教師代など |
休業損害 |
6,100円/日 |
傷害慰謝料 |
入通院期間に基づいて算定(あまりにも入院などが長い場合) |
逸失利益 |
後遺障害で失われたと判断される利益のこと |
適切な後遺障害認定なら弁護士に相談
適切な後遺障害等級の獲得を望むなら、まずは「被害者請求」を行っていただくのが最も確実です。また、交通事故を得意とする弁護士に依頼する事で、等級認定ももちろんですが、さらなる保険金増額を見込めます。
その他にも、
・保険会社との有利な交渉をしたい
・示談の最適なタイミングがいつが良いのかわからない
・固定症状までにやるべきことはなにか
・面倒な書類作成を任せたい など
こういった実務を代行してくれることも弁護士に依頼するメリットです。もし交通事故の後遺障害にお悩みでしたら、一度弁護士への相談をご検討されてみてはいかがでしょうか。
弁護士に相談するかお悩みの方へ
下のボタンからあなた当てはまるものを選んで悩みを解消しましょう。
弁護士費用特約があれば 実質0円で依頼できます!

多くの保険会社では、被害者1名につき最大300万円までの弁護士費用を負担してくれます。特約があるか分からない方でも、お気軽にご相談ください。弁護士と一緒にご確認した上で依頼の有無を決めて頂けます。
特約を利用して弁護士に相談する交通事故問題を依頼する弁護士の選び方にはポイントがあります。
- 過去の解決事例を確認する
- 料金体系が明確である弁護士を選ぶ
- 交通事故問題が得意な弁護士から選ぶ
等です。
詳しくは以下の記事を読んで、正しい弁護士の選び方を理解した上で弁護士に相談しましょう。
弁護士の選び方について詳しくみる
【人身事故被害者の方へ】事故直後・通院中いずれの場合もまずはご相談ください。弁護士への依頼で、結果が大きく変わるかもしれません。【初回面談無料】【着手金無料プランあり】【オンラインで全国対応可能】
事務所詳細を見る
【弁護士歴15年以上】慰謝料の増額/後遺障害等級の認定/休業損害の請求はお任せを!むち打ち~死亡事故まで幅広く対応します!弁護士費用特約加入者は自己負担0円で依頼できる可能性あり!【初回相談0円】
事務所詳細を見る
【初回面談無料】事故直後からご相談可能!「依頼者第一主義」をモットーに、交通事故被害でお困りの方に寄り添います。クイックレスポンスで対応◎不安なこと、分からないこともお気軽にご相談下さい。
事務所詳細を見る当サイトでは、有料登録弁護士を優先的に表示しています。また、以下の条件も加味して並び順を決定しています。
・検索時に指定された都道府県に所在するかや事件対応を行っている事務所かどうか
・当サイト経由の問合せ量の多寡


後遺障害等級・申請方法に関する新着コラム
-
本記事では、交通事故の被害に遭い橈骨頭骨折を負った方に向けて、橈骨橈骨折の症状や後遺症に関する基礎知識、橈骨橈骨折で認められる後遺障害等級の目安、適切な後遺障害...
-
交通事故で頚椎を損傷すると、どのような症状が出るのでしょうか?本記事では、頚椎損傷の主な症状や考えられる後遺症、加害者に請求できるお金について解説します。少しで...
-
交通事故による後遺症が残ったときは、後遺障害等級認定の手続きが必要です。等級認定を受けることができれば、賠償金の大幅な増額が期待できます。本記事では、後遺障害等...
-
交通事故に遭ったことが原因でけがを負い、後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を受けることで保険会社から損害賠償を受け取れる可能性があります。交通事故による後遺...
-
交通事故に遭ってしまい腰椎圧迫骨折の治療を続けたものの、後遺障害等級が認定されず、不安を感じている方もいるのではないでしょうか。本記事では、腰椎圧迫骨折で後遺障...
-
本記事では交通事故の被害に遭った方に向けて、後遺障害等級認定の定義、仕組み、認定機関、調査期間などの基礎知識、事前認定と被害者請求の大まかな流れ、後遺障害等級が...
-
事故で受けたケガが完治しない場合「後遺障害等級認定を受けるかどうか悩んでいる」という方もいるでしょう。この記事では、「後遺障害等級認定を受けることにはデメリット...
-
交通事故に巻き込まれた際は、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。支払ってもらえる保険金額や逸失利益を計算したい場合もあるでしょう。本記事では、後遺障害...
-
後遺障害等級と障害者手帳の交付を受けるための等級は別物であり、必ずしも障害者手帳が交付されるわけではありません。本記事では、後遺障害11級に認定された方に向けて...
-
後遺障害10級には、肩・腕・手や股関節・膝・足を骨折して可動域が2分の1以下に制限された場合が含まれます。本記事では、後遺障害10級の具体的な症状や認定基準、後...
後遺障害等級・申請方法に関する人気コラム
-
【弁護士監修】交通事故で後遺障害となり第14級と認定された場合、後遺障害慰謝料の相場がいくらになるのか、計算方法や示談金額、第14級の認定基準などを徹底解説。正...
-
後遺障害診断書の概要や入手方法、書き方と記入例、後遺障害の等級認定を獲得するためのポイントのほか、医師が診断書を書いてくれない場合とその対処法、後遺障害診断書の...
-
今回お伝えする内容は、後遺障害等級12級に該当する症状と認定の方法、そして、後遺障害等級12級の適切な慰謝料を獲得する7つの知識をご紹介します。
-
交通事故に遭った被害者のために、後遺障害の基礎・基本を解説します。適切な治療やリハビリを受けている場合でも、後遺障害を負ってしまうかもしれません。そのようなとき...
-
交通事故における症状固定とは、むちうちなどのような後遺障害等級の獲得や示談時期などを決める際に重要な意味があります。安易に保険会社から症状固定日の提案に同意する...
-
交通事故トラブルを弁護士に相談すれば、自身に有利な条件で問題解決できる可能性が高くなります。しかし、費用面が気がかりで躊躇している方もいるのではないでしょうか。...
-
高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)とは、主に脳に損傷を負ったことで起こる様々な神経心理学的障害(記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など)...
-
後遺障害等級13級に該当する症状と後遺障害等級13級を獲得する手順をご紹介していきます。
-
後遺障害の認定が非該当になった場合に、異議申し立てを行うための方法と、成功させるコツをご紹介します。
-
後遺障害等級10級に認定された場合、その後遺障害が与える労働能力喪失率は27%と設定されており、後遺症が残った場合はいよいよ実生活にも多大な影響を与える症状が多...
後遺障害等級・申請方法の関連コラム
-
後遺障害の等級で14級9号が認定された場合の、示談金(慰謝料)請求事例をご紹介します。保険会社が提示する示談の条件が必ず適正とは限りません。示談の内容に納得でき...
-
後遺障害等級第2級は日常生活にまで支障をきたす非常に重い障害です。状況によりけりですが、損害賠償の合計額が数千万単位になる可能性はかなり高いでしょう。この記事で...
-
交通事故で頚椎を損傷すると、どのような症状が出るのでしょうか?本記事では、頚椎損傷の主な症状や考えられる後遺症、加害者に請求できるお金について解説します。少しで...
-
後遺障害等級5級に認定される症状は、労働能力喪質率79%という非常に大きな損害が残るもので、今後の人生においてほぼ確実に介護が必要となるものとなります。
-
後遺障害10級には、肩・腕・手や股関節・膝・足を骨折して可動域が2分の1以下に制限された場合が含まれます。本記事では、後遺障害10級の具体的な症状や認定基準、後...
-
交通事故で負ったケガが原因でめまいが起こっている場合、症状によっては後遺障害が認定され、高額な損害賠償を受けられる可能性があります。本記事では、交通事故によるめ...
-
バイクは運転者の体が丸出しになっている乗り物です。そのため、交通事故では重症を負ってしまう可能性が高く、後遺症が残るケースも珍しくありません。この記事では、後遺...
-
後遺障害の申請方法には、事前認定と被害者請求の2種類があります。それぞれメリットとデメリットがあるので、手続きに臨む前に両者の違いについて把握しておいた方がよい...
-
交通事故により眼球やまぶたが傷ついたり、機能障害を負ったりします。この記事では、眼球やまぶたに関する後遺障害について、該当する症状や後遺障害等級、慰謝料相場をす...
-
骨折による後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定を受けられるか、どの等級に認定されるかによって損害賠償額が大きく変わってきます。本記事では、骨折による後遺症の種...
-
事故により腕の切断を余儀なくされた場合、後遺障害として認定を受けることで、加害者に対して「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」などを請求することができます。この記事で...
-
後遺障害等級と障害者手帳の交付を受けるための等級は別物であり、必ずしも障害者手帳が交付されるわけではありません。本記事では、後遺障害11級に認定された方に向けて...
後遺障害等級・申請方法コラム一覧へ戻る