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後遺障害の認定が非該当になった場合、自賠責保険会社に対して異議申し立てを行うことができます。つまり、一度後遺障害の認定が下りなかったからと言って、諦めるにはまだ早いです。
今回は、後遺障害認定が非該当になったかたが、異議申し立て(再請求)をして、後遺障害認定を受けるまでの手順をご紹介します。
後遺障害の認定を受けることがどれだけ重要なことは、すでにお分かりかとは思いますが、その最も重要な要素は損害賠償金の請求に関わることです。もし、後遺障害の認定が下りなかった場合、「後遺障害慰謝料」「逸失利益」などの損害賠償金が全く支払われないことになります。
損害賠償金の大部分を占める後遺障害慰謝料などが0円となると補償額が大幅に変わってきますので、後遺障害等級の獲得は必ず獲得すべきものであると言えます。
後遺障害認定の基準は以下のようになっています。
・交通事故によって被害者が受けた精神的・肉体的な障害が、将来において回復の見込みがない状態となること。
・交通事故とそのケガの症状との間に因果関係(関連性や整合性)が認められ、その存在が医学的に証明あるいは説明できること。
・労働能力を失う(低下)を伴うものであること
上記に該当しない場合は後遺障害認定が認められないと考えられます。まとめると、以下の5つの理由といえます。
この内容を証明できない限り、後遺障害の異議申し立て(再請求)をしても後遺障害が認定されることはないでしょう。
申請による等級変更は1割未満と言われており、異議申立によって等級変更に至る可能性はあるもののその確率は低く、傾向としては異議申立によって等級変更に至る見込みは厳しいのが実情です。
まれに自賠責・共済紛争処理機構における異議申立の成功率が7割以上などを謳ったものがありますが、あまり参考にしないほうが良いでしょう。
しかし、可能性はゼロではありません。何もせずに悔しがるより、できることをやっていただければと思います。
異議申し立て(再請求)には以下の3つの方法がありますので、詳しく見てきましょう。
自賠責保険会社に異議を申し立てる場合、「被害者請求」と「事前認定」という2つの方法があります。「被害者請求」の形式で行う場合には、自賠責保険会社に対して異議申立書を提出します。
「事前認定」で異議申立てを行う場合は、任意保険会社に対して異議申立書を提出します。いずれの場合も、損保料率機構に書類が送られ審査が行われることになります。
この場合異議申立ては何度でもできるのが特徴ですが、新たな医学的証拠(診断書、医療照会に対する回答書、医師の意見書など)を添付して申立をしないと変更されることがない点に注意が必要です。
▶︎事前認定とは?
▶︎被害者請求とは?
自賠責紛争処理機構では、専門的な知見を有する公正中立な弁護士、医師などで構成する紛争処理委員会が審査し審査結果(調停結果)を出す手続のことです。被害者から提出された資料や保険会社からの説明、提出資料、自賠責紛争処理機構が独自に収集した資料に基づく書面審査を行います。
自賠責紛争処理機構への異議申立ては原則1回しか申請は認められていないため、現在のところ利用件数はあまり多くないのが実情です。
裁判所が紛争を強制的に解決する最終手段です。判決を待たずに、和解で終了するケースが多いですが、裁判所は後遺障害等級の立証資料として後遺障害等級認定票などの提出を求めるため、裁判でも同様の認定をすることが多くなります。
また、交通事故を得意とする弁護士が主張立証をすることによって、非該当の時よりも上位の等級が認定されるケースがあります。
では、具体的にどういった手順で後遺要害の異議申立てを行うのか、その流れをご説明します。
基本的には「被害者請求」も「事前認定」も異議申立ての手順は同じになります。
基本的に異議申立ては書面のみで行います。「異議申立書」の用紙は保険会社から入手できますので、それに異議申し立ての趣旨等を記入します。
異議申立書に決まった書式等はなく、パソコンなどで自由に作成しても問題ありません。
異議申し立ての趣旨欄には、何が不服で異議申し立てをするのかを書きます。例えば、前回の認定に自分の症状が正しく評価されていない部分がある場合などはそれを指摘しましょう。
提出資料が不足していたために認定されなかったと考えられる場合は、新たな資料を提出し再度検討してほしい旨を記載するといいでしょう。
異議申立ての申請書類は郵送または宅配便で提出するのが一般的です。事前認定の場合は加害者加入の任意保険会社へ、被害者請求の場合は加害者加入の自賠責保険会社となります。
異議申立手続には時間がかかるのがネックです。異議申立てには損害賠償請求権の時効を中断する効力はないため、何度も申立てをする場合は時効に注意しなければなりません。
損害賠償請求権の消滅時効は3年ですが、一度でも請求している場合の時効は10年まで延長されますので、それほど心配する必要はないでしょう。
次に自賠責紛争処理機構に異議申し立てをする場合の手順を見ていきましょう。
紛争処理機構が例示する申請書記入例によれば、紛争の問題点、交渉の経過の概要及び請求の内容を記載するようにという指示があります。
紛争処理機構への申請も自賠責の不服の申立てと同様なので、申請書の基本的な内容は異議申立書と同様に考えてよいと思います。
【紛争処理申請書の記入要項】
【紛争処理申請書サンプル】
【紛争処理申請書の記入例】
「2:添付書類があればすべて提出する」と同じものを提出します。これに加えて、下記の書類を同封しましょう。
・申請書別紙【ダウンロード】
・同意書【ダウンロード】
所定の申請用紙に必要事項を記入して最寄りの事務所宛に送付します。
【事務所所在地】
本 部:東京都千代田区神田駿河台3丁目4番地龍名館本店ビル11階
大阪支部:大阪府大阪市中央区備後町3丁目2番地15号モレスコ本町ビル2階
次のいずれかに該当する場合、自賠責紛争処理機構では紛争処理を行いないとされています。
(1) 民事調停または民事訴訟に係属中であるとき又は当事者間の紛争が解決しているとき
(2) 他の相談機関または紛争処理機関で解決を申し出ている場合
※他の機関での中断・中止・終結の手続きをされた場合には受け付けることができます。
(3) 不当な目的で申請したと認められる場合
(4) 正当な権利のない代理人が申請した場合
(5) 弁護士法第72条に違反する疑いのある場合
(6) 自賠責保険・共済から支払われる保険金・共済金等の支払額に影響がない場合
※例えば、既に支払限度額まで支払われている場合
(7) 本機構によって既に紛争処理を行った事案である場合
(8) 自賠責保険・共済への請求がない場合あるいはいずれの契約もない場合
(9) その他、本機構で紛争処理を実施することが適当でない場合
※この場合、解決のために適当と思われる他の方法があればご案内いたします。
参考:紛争処理の申請について
自賠責紛争処理機構への申請には、損害賠償請求権の消滅時効を中断する効力はありませんが、これもほぼ心配する必要はないでしょう。
弁護士に依頼して裁判を起こします。裁判などの申立ては弁護士に依頼した時点ですべて委任できますので、あなたが特別何かをする必要はないでしょう。
冒頭でも少しお話ししましたが、後遺障害認定の異議申し立ては険しい道です。ただ、裁判所はあらゆる証拠を総合的に評価して判断を下しますので、自賠責で否定された後遺症が裁判所で認められるということも十分あり得ます。
最後に、後遺障害の異議申し立てを少しでも成功導くためのコツをご紹介していきます。
診断書の転帰欄に「治癒」とだけ書かれていたせいで非該当とされたケースもありますので、後遺障害診断書等には後遺症に関連する傷病名をきちんと記載されているかどうか、それに見合った治療がされているかどうかなどを確認しておきましょう。
交通事故が起きた後、他の原因によって生まれた症状は因果関係が否定されてしまいます。例えば骨折をして変形障害が残った場合は、「いつ骨折したか」を医学的に証明する必要はありませんが、事故当日から日にちが経ってしまうと事故が原因の怪我とは判断しにくいため、途中で通院などをやめてしまう事は避けた方が賢明です。
仮に変形障害として後遺障害が認められるためには、事故の時に圧迫骨折が生じたことを医学的に説明することも異議申立てを上手に行うコツです。
もし回復の見込みのある障害である場合は、後遺障害として認定されることはないでしょう。基本的には主治医の診断が重視されますが、偏った被害者意識は誤解を生じさせてしまいますので、医師とのコミュニケーションは大事にしましょう。
医師に対して単純に「異議申し立てをしたいので診断書を書いてください」と頼むのは、正直お勧めできません。医師に診断書をお願いする際は、 どのような医学的事項について記載をお願いしたいのか、具体的に示すことが大切です。
弁護士に依頼した場合以下のようなメリットがあります。
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後遺障害等級を獲得しやすくなる
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特に今回のような後遺障害の認定が下りないような場合、弁護士へ相談する事で異議申し立て(再請求)が成功する可能性が高まりますし、等級がアップする可能性もあります。
後遺障害の認定が非該当になった場合に、異議申し立てを行う参考にしていただければ幸いです。
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