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公開日:2019.2.7  更新日:2021.10.21

症状固定とは?症状別の時期や症状固定後の手続きを解説

アシロ 社内弁護士
監修記事
症状固定

症状固定(しょうじょうこてい)とは「医学上一般に承認された治療方法をもってしてもその治療効果が期待し得ない状態」という意味です。

投薬やリハビリを行うことで一時的に症状の回復が見られても時間が経つと元に戻ってしまう、全体的に見て症状の経過が平行線となっている場合など、これ以上治療を続けていても、今以上に症状の改善が望めない状態に達すると症状固定となります。

症状固定が問題になるのは、交通事故の被害に遭い、治療を行っている最中です。

相手の保険会社から「そろそろ症状固定しましょう」と言われて、簡単に「わかりました」と応じてしまうと、適正な範囲での補償が受けられなくなるおそれがあります。

症状固定の詳しい意味や判断基準、症状固定の提案に同意してしまわないために気をつけておきたいポイントなどを解説していきましょう。

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症状固定とは?

症状固定を行う直前の段階で保険会社からの提案に安直に応じてしまうと、後でどんな障害が出ても補償されない危険があります。

まずは、症状固定が持つ『医学的な意味』と示談で使われる『法律的な意味』を理解しておきましょう。

医学的な意味の症状固定

交通事故に遭い、人体に何かしらの損害を受けて治療を続けたものの、大幅な改善や回復の兆しが見込めず、長い目で見た場合に回復できなくなった段階を、医学的な意味での症状固定といいます。

むちうちを例に挙げると、病院で投薬やリハビリを受けると一時的には回復しても、少し経つとまた元の痛みが戻るという状態を繰り返す状態は医学的な意味での症状固定です。

法律的な意味の症状固定

医学的に見て、リハビリや治療を行っても大幅な改善が見込めないのであれば、それ以上の治療費の負担は意味がありません。

症状固定に至った場合には、治療期間は終了します。

残った症状は『後遺障害』とし、あとはその賠償の問題とする、というのが法律的な意味での症状固定です。

医師から症状固定の診断を受ける前は『傷害部分』として治療費や休業損害、入通院慰謝料などを加害者側に請求できます。

症状固定の後は、等級認定を受ければ『後遺障害部分』として逸失利益や後遺障害慰謝料を請求できますが、一方で、傷害部分と同じように治療費や休業損害を請求することはできなくなります。

つまり、法律的な意味での症状固定とは、「傷害部分の賠償」の終了を意味している訳です。

症状固定の決め方

症状固定を決めるのは医師です。

医師の一存だけで決定するわけではありませんが、実際に診察・治療にあたった主治医の意見は最重視されると考えておきましょう。

保険会社から「そろそろ症状固定してください」と言われたり、突然「治療費を打ち切る」と告げられたりするケースもありますが、必ずしも「治療費の打ち切り=症状固定」ではないので慌てずに対応しましょう。

主治医から症状固定を言い渡された場合、以下のような対応が考えられます。

  1. 症状固定の判断を受け入れて治療を終了する
  2. 症状固定の判断は受け入れるが、治療は健康保険を使って継続する
  3. 別の医師の元で診察を受け、症状固定の判断の妥当性についてセカンドオピニオンを取る

③の方針を選ぶ場合は、最初の主治医の意見の方が正しい場合もあります。転院するときは、医師の専門分野等にも注意する必要があるでしょう。

【症状別】症状固定の一般的な時期

通常は6ヶ月以上で判断

当初の受傷状況によって異なりますが、後遺障害が残るようなケースでは6ヶ月以上を経てから症状固定となるのが一般的です。

ただし、症状によって治療やリハビリの経過に差があるので、6ヶ月よりも早く症状固定となるケースがあれば、数年が経って症状固定となるケースもあります。

むちうちの場合:6ヶ月以上

むちうちは症状を客観的に証明するのが難しい障害です。

後遺障害認定に際しては治療期間や通院日数が重視されるため、6ヶ月以上の通院・治療期間を経て症状固定となることが多いでしょう。

骨折系の場合:3ヶ月以上

骨折、変形障害、短縮障害などは、レントゲンなどで客観的に症状が確認しやすいため、症状固定までの期間が比較的に短いのが特徴です。

ただし、ギブスなどの外固定で治療する保存療法ではなく、骨折部位を手術して骨癒合後にプレートやスクリューの除去をする場合、症状固定までに長い期間を要する場合があります。

骨癒合後に関節可動域制限の障害が生じる場合はリハビリ期間も必要なので、症状固定までの期間が長くなるでしょう。

また、骨癒合後に痛みなどの神経症状が残る場合には、回復が見込まれる時期が過ぎる頃を症状固定日とするのが一般的です。

醜状障害の場合:6ヶ月以上

基本的に、傷が治って6ヶ月以降を目安に症状固定されます。

レーザー治療などによって痕跡を改善する場合は長期の治療を要するケースもあるので、2年以上が経過して症状固定を受ける場合もあります。

高次脳機能障害の場合:1年以上

成人の場合、急性期の症状が回復し、受傷後少なくとも1年以上が経過した時点となります。

急性期とは、症状が急に現れる受傷の初期段階を指します。

症状固定日は変わることもある

医師が後遺障害診断書に書いた『症状固定日』が損害賠償請求の絶対的な『症状固定日』と認められるわけではありません。

怪我の状況や事故の状況などを裁判官が判断し、症状固定日が変わることもあります。

症状固定日に納得できない場合は、裁判で訴えることで納得できる結果が得られる可能性があるということです。

症状固定を告げられた場合の注意点

症状固定を告げられた場合は、治療を終了し、残った症状に対して後遺障害認定の申請を行う等の対応をすることが考えられます。

この場合の注意点として、以下の2点があります。

保険会社に症状固定の提案をされた場合

相手の保険会社が症状固定を提案してくる背景には「治療費の支払いを打ち切りたい」という希望があります。

しかし、症状固定するかどうかは患者の訴えや症状などから医師が判断するものであって、保険会社が決めるものではありません。

保険会社から症状固定の提案を受けた場合は、医師に自分の現時点での症状をきちんと説明して、提案に応じるのか、拒否して治療を継続するのかを判断するべきです。

納得のいく説明が無いなら弁護士に相談

医師が「まだ症状固定の段階ではない」と判断したのに、保険会社がこれを認めず症状固定扱いとしてきた場合、まずは保険会社に対して説明を求めましょう。

それでも納得できる回答が得られない場合は、弁護士への相談を検討するべきです。

被害者みずからが保険会社と交渉を進めることも可能ですが、数多くの交通事故トラブルに対処してきた保険会社を相手に有利な結果を獲得するのは簡単ではありません。

自力での交渉にこだわっていると不利な結果を招いてしまう危険が高いため、対応が難しいと感じたらすぐに弁護士の助けを求めたほうが安全です。

医師に症状固定と言われた場合

自身ではまだ強い痛みを感じている、治療を受けると改善している感触があるといった場合は、医師の判断が誤っている可能性もあります。

主治医の判断であっても遠慮なく自分の考えを伝えましょう。

症状固定の診断を受けた後の手続き

①医師に後遺障害診断書を作成してもらう

症状固定を受けた段階で後遺症が認められる場合は、主治医に相談のうえで後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。

医師が作成する後遺障害診断書は、後遺障害等級認定において最重視される書面です。

また、後遺障害診断書がないと、後遺障害等級認定は受けられません。

実際に後遺障害が発生していれば医師が作成を拒むことはまずないでしょう。

医師に依頼すれば、通常は1~2週間ほどで診断書が発行されます。

本人に交付されるのが一般的ですが、希望すれば保険会社あてに直接郵送することも可能なので、処理がスムーズに進む方法で交付してもらいましょう。

②後遺障害等級の認定申請をする

後遺障害等級の認定には、相手の保険会社に一任する事前認定と、被害者が相手の保険会社に請求する被害者請求の2とおりがあります。

どちらの方法が適切なのかは状況によって異なるので、慎重に判断してください。

事前認定

加害者が加入している任意保険会社に後遺障害等級認定の申請を一任するのが事前認定です。

被害者としては後遺障害診断書を提出するだけなので、手続きが容易というメリットがあります。

ただし、加害者側の保険会社は「できる限り補償額を抑えたい」と考える立ち場なので、被害者にとって有利となる方向で積極的に手続きを進めてくれるとは限りません。

加害者側の保険会社に任せていると十分な補償が得られないおそれもあるので、保険会社が補償を渋っている場合は、以下の被害者請求を検討して良いでしょう。

被害者請求

被害者が加害者側の自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定を申請するのが被害者請求です。

自分で資料をそろえて申請しなくてはならないという手間はかかりますが、補償を得るために必要な資料をしっかりと選別できて、納得できる結果が得られる可能性が高いという意味では有利な方法だといえます。

ただし、自賠責保険における後遺障害認定の審査には、平均的に3ヶ月、長ければ6ヶ月以上の時間がかかります。

被害者請求の場合は賠償金を得るまでに時間がかかりやすいので、症状固定を受けたらただちに手続きを進めたほうがよいでしょう。

必要書類

後遺障害等級認定の申請に必要な主な書類は次のとおりです。

【事前認定の場合】

  • 後遺障害診断書のみ

【被害者請求の場合】

  • 後遺障害診断書
  • 保険金支払請求書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診療報酬明細書
  • 印鑑証明書
  • 休業損害証明書(仕事を休んで休業損害を請求する場合)
  • 症状を証明するレントゲン・CT・MRIの画像 など

③認定結果が通知される

事前認定・被害者請求のいずれの方法でも、保険会社が審査機関に必要書類を送付したうえで後遺障害等級が認定されます。

原則として書面審査のみがおこなわれますが、外貌醜状などのケースでは面接審査が実施されるケースもあります。

審査の結果が通知されるのは、申請から3ヶ月後が目安です。

早ければ1ヶ月が過ぎた程度で結果が得られることもありますが、ある程度の時間がかかるものと考えておいたほうがよいでしょう。

なお、いずれの等級にも該当しないという結果になった場合は「非該当」となります。

非該当になった場合は後遺障害等級が認定されないので、後遺障害としての補償は受けられません。

④示談交渉を行う

後遺障害等級が認定されたら、加害者側の保険会社との示談交渉を進めます。

保険会社との交渉では、保険会社が独自に設けた基準によって賠償額の提案を受けることになりますが、あくまでも保険会社は「できるだけ補償を抑えたい」と考える立ち場であることを忘れてはいけません。

十分な補償を得るには、弁護士に交渉を一任して過去の判例にもとづく弁護士基準で補償を求めるのがベストです。

なお、自賠責保険での補償を求める場合は、後遺障害等級が認定されるとすみやかに賠償金が支払われます。

補償のスピードを重視するなら自賠責保険への被害者請求も視野に入れておくとよいでしょう。

医師が症状固定の判断をしてくれない場合の対処法

症状固定は「これ以上は治療を続けても回復しない」という意味も含んでいるため、症状固定の判断に慎重な医師も存在します。

結果的に6ヶ月以上も治療やリハビリを続けているのに、医師からは今後の見通しについての説明もなく、かえって心配になるケースもあるでしょう。

症状固定を受けないと損害が確定しないため、必要な補償がなかなか得られないというデメリットもあります。

医師が判断を下すのに慎重すぎる場合は、症状固定の時期や見通しについて遠慮なく尋ねてみましょう。

症状固定が遅れてしまうことで考えられるデメリットは次のとおりです。

  • 示談や賠償の話が進まない
  • 治療費以外の賠償、慰謝料を受け取れない
  • 治療が長引く
  • 相手方から治療の必要性についての反論を受ける

必要な治療はしっかりと継続すべきですが、症状固定が長引くことにもいくつかデメリットがあることは理解しておきましょう。

症状固定に関する悩みや不安は弁護士に相談

治療費の打ち切りに対抗できる

保険会社が症状固定を提案するのは「これ以上は治療費を支払いたくない」という思惑がはたらいているからです。

治療費の負担を継続するか、打ち切るのかの判断は保険会社の一存によるところが大きいので、まだ治療やリハビリが必要なのに一方的に打ち切られてしまう事態もめずらしくありません。

個人で対応することも可能ですが、数多くの交通事故トラブルに対応してきた保険会社を納得させて治療費の支払いを継続させるのは難しいので、弁護士に交渉を一任するのが最善策です。

治療費支払いを継続させるために必要な証拠の収集や保険会社との交渉を弁護士に任せれば、安心して治療・リハビリを継続できるでしょう。

後遺障害認定を有利に進められるようサポートしてくれる

後遺障害等級の認定は、医師の診断書をはじめとしたさまざまな証拠によって厳格に審査されます。

身体の一部の欠損などのように外見的に明らかな場合ではとくに問題はありませんが、麻痺が残った、可動範囲によって痛みが生じるなどの障害が生じた場合は、さまざまな検査によって多角的に障害の存在を証明しなくてはなりません。

事前認定によって加害者側の保険会社に対応を任せていると、不利な等級で認定されてしまい必要な補償が得られないおそれもあります。

弁護士にサポートを依頼すれば、適切な後遺障害等級の認定が得られるための証拠収集や審査機関へのはたらきかけが期待できるので、満足できる結果を得られる可能性が高まるでしょう。

示談金の増額が望める

交通事故の示談金は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの基準のどれを適用するのかによって大幅に増減します。

相手の保険会社にすべてを任せていると、賠償額の低い基準を適用されてしまうため、十分な補償が得られるとはいえません。

弁護士に対応を任せることで、過去の判例をもとに算出された弁護士基準による主張が可能となります。

弁護士基準を適用することで示談金が大幅に増額するケースも多数なので、交通事故に巻き込まれたことで今後の生活に大きな支障を受けている場合は、示談金の増額を目指すべきです。

被害者個人との交渉では示談金の増額に難色を示していた場合でも、弁護士が代理人として交渉するだけで意外なほどにスムーズに応じてくれるケースはめずらしくありません。

まとめ

症状固定の時期を間違えると、治療費だけではなく、今後の生活に関わる補償すら得られないおそれがあります。

保険会社が症状固定を提案してきても、安易に応じてはいけません。

保険会社が執拗に症状固定を迫る、まだ治療・リハビリが必要なのに一方的に治療費の支払いを打ち切られてしまったといったケースでは、弁護士のサポートが欠かせません。

必要な後遺障害等級の認定を受けて満足できる賠償を得たいと考えるなら、交通事故トラブルの解決実績が豊富な弁護士への依頼をおすすめします。

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出典元一覧

損害保険料算出機構(損保保険料機構)

『交通事故の法律知識[第3版] 弁護士 有吉 春代 他(自由国民社)』

『交通事故民事裁判例集[第48巻第4号] 不法行為法研究会/編(ぎょうせい)』

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この記事の監修者
アシロ 社内弁護士
株式会社アシロの社内弁護士が監修しました。
編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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