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後遺障害12級14号|醜状障害で等級を獲得するための基礎知識

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
後遺障害12級14号|醜状障害で等級を獲得するための基礎知識

交通事故でけがをすると、火傷の跡や傷跡などが残ってしまうケースがあります。そのような傷跡の部位や状態によっては、「外貌醜状」によって後遺障害認定を受けられる可能性があります。

 

後遺障害12級14号は、外貌醜状の中でもっとも低い等級の後遺障害ですが、具体的にどのような状態であれば12級14号に認定されるのでしょうか?今回は、後遺障害12級14号の外貌醜状の後遺障害について、解説します。

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12級14号とはどのような後遺障害か

12級14号とはどのような後遺障害か

そもそも12級14号とはどういった後遺障害なのか、確認しましょう。自賠責の認定基準では、以下のように規定されています。

外貌に醜状を残すもの

12級14号

外貌とは

外貌とは、人の顔や首、頭のうち、日常的に人の目に触れる露出部分です。12級14号に認定されるには、「外貌」に傷跡などの醜状が残る必要があります。

 

顔、首、頭に跡が残る必要があるので、たとえば腹部などの衣服で外から見えない部位に傷跡が残っても、外貌醜状にはなりません。また、顔や頭であっても、眉毛や髪の毛などで隠れている部分の傷跡は、外貌醜状と認定されない可能性があります。

醜状とは

醜状とは、火傷などの瘢痕や切り傷を負った場合などの線状痕、組織陥没による醜状痕です。これらが一定以上の大きさになると、外貌醜状の後遺障害が認定されます。

後遺障害12級14号が認定される外貌醜状の認定基準

外貌醜状によって後遺障害12級14級が認定されるのは、以下のケースです。

  • 頭に鶏卵大以上の瘢痕や頭蓋骨に鶏卵大以上の組織陥没が残ったケース
  • 顔面に10硬貨大以上の瘢痕や3センチメートル以上の長さの線状痕が残ったケース
  • 首に鶏卵大以上の瘢痕が残ったケース

傷跡の大きさをミリ単位で測り、上記以上の大きさであることを確認できれば、12級14号が認定されます。

他等級の醜状障害との違い

他等級の醜状障害との違い

外貌醜状の後遺障害としては、7級12号や9級16号もあります。これらと12級14号は何が違うのか、見てみましょう。

9級16号の醜状障害

後遺障害9級16号は、「外貌に相当程度の醜状を残すもの」と規定されています。「相当程度」とは、具体的に以下のような場合です。

顔面に、5センチメートル以上の長さの人目につく線状痕が残ったケース

7級12号の醜状障害

後遺障害7級12号は、「外貌に著しい醜状を残すもの」で、外貌醜状の後遺障害等級としてはもっとも高くなっています。「著しい醜状」とは、具体的に以下のような場合です。

  • 頭に、手のひら大以上の瘢痕や頭蓋骨に手のひら大以上の組織陥没が残ったケース
  • 顔面に、鶏卵大以上の瘢痕や10円銅貨大以上の組織陥没が残ったケース
  • 首に、手のひら大以上の大きさの瘢痕が残ったケース

このように、外貌醜状の後遺障害は基本的に「残った傷跡の大きさ」によって等級が分類されます。傷跡が1ミリ大きいか小さいかで認定される等級が変わったり、非該当になったりする可能性もあるため、正確に計測することが重要です。

醜状障害は男性でも認定される

醜状障害は男性でも認定される

外貌醜状の後遺障害は、かつて女性の方が高い等級を認められていました。たとえば、女性が12級となる場合でも、男性は14級とされました。

 

男性は外貌醜状が残ってもたいした不利益を受けないと考えられていたのです。

 

しかし、このような男女不平等な考え方は現代の感覚に合わないということで、裁判所の中にも外貌醜状の等級を男女で分ける取り扱いについて、「平等権」を侵害し、「違憲」と判断するものも現れました。こういった状況を受けて、自賠責の後遺障害認定基準が改定され、2010年6月10日以後に発生した交通事故については、男女の外貌醜状の後遺障害認定基準が揃えられました。

 

そこで、2010年6月10日以後に発生した交通事故については、男女ともに上記で紹介した統一的な外貌醜状の後遺障害認定基準を適用されます。

12級14号で請求できる損害賠償金

後遺障害12級14号に認定されると、以下のような後遺障害に関する賠償金を請求できます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことによって被害者が感じる精神的苦痛への賠償金です。特に外貌醜状の場合、顔などの目立つ部分に大きな傷跡が残ってしまうため、被害者の受ける精神的苦痛が大きくなると考えられています。

 

12級の後遺障害慰謝料の相場は290万円です。ただしこれは、弁護士や裁判所が利用する法的基準によって計算した場合であり、自賠責保険の基準や任意保険会社の基準では金額が下がります。

 

自賠責の場合には93万円、任意保険の場合にも100万円程度にしかならないのが通常です。

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益は、後遺障害が残ったことによって労働能力が低下し、本来であれば得られたはずの収入を得られなくなってしまう損害です。たとえば、手足が動かない後遺障害が残ったら、今の仕事を続けられない可能性もありますし、将来的にできる仕事も限られます。

 

そこで、生涯にわたる収入が低下するので、逸失利益として相手に賠償請求できるのです。

外貌醜状では逸失利益が否定されやすい

後遺障害の内容が外貌醜状の場合、逸失利益を否定されるケースが多々あります。顔や頭などの部分に醜状痕が残っても、労働能力が低下しないことが多いからです。

 

実際、裁判所としても「労働能力が低下せず、実際に減収も発生していないなら逸失利益は認めない」という考え方を採用しています。

外貌醜状でも後遺障害が認められる可能性

一定のケースでは、外貌醜状であっても逸失利益が認められます。容貌が仕事と直結している場合や影響を与える可能性がある場合です。

 

たとえば、モデルや俳優女優などの場合、外貌に醜状ができてしまうと仕事の継続が困難になるでしょうから、逸失利益を認められます。営業やその他の仕事であっても、顧客開拓に支障が発生したり、将来転職する際に不利益を受けたりする可能性があるので、逸失利益を認めてもらえる可能性があります。

 

ただし、認められるとしても、労働能力喪失率は12級の基準である14%より低い割合で認定されるケースもあります。

後遺障害慰謝料が増額される可能性がある

外貌醜状では後遺障害逸失利益が否定されやすいので、その調整のため、慰謝料が通常の12級の標準値よりも増額されることもあります。弁護士基準では290万円が標準ですが、裁判例では300万円以上の慰謝料を認めるものもあるのです。

 

そのため、外貌醜状で12級14号となって逸失利益を認められない場合、慰謝料で調整してもらうよう交渉することはあり得ます。

醜状障害で後遺障害認定を受けるには

醜状障害で後遺障害認定を受けるには

12級14号をはじめとする醜状障害で後遺障害認定を受ける際、手続きの流れは以下のとおりです。

  • 交通事故で負傷する
  • 症状固定まで治療を継続する
  • 医師に依頼して後遺障害診断書を取得する
  • 後遺障害認定申請をする
  • 認定結果が通知される

被害者請求での申請がおすすめ

後遺障害認定の申請をするときには、「事前認定」か「被害者請求」のどちらかの手続きを選べます。事前認定は、加害者の任意保険会社に後遺障害認定を任せる方法、被害者請求は被害者自身が後遺障害認定申請をする方法です。

 

被害者請求を利用すると、被害者が自分で積極的に症状を立証したり、有利になる資料を用意・提出したりできるので、難しい事案になればなるほど後遺障害認定を受けやすくなります。もっとも、外貌醜状の場合は、醜状の有無は客観的に認定できるので、事前認定でも被害者請求でもあまり変わらないことも多いと思われます。

後遺障害申請を弁護士に依頼するメリット

後遺障害認定を申請するときには、弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあります。

手間が省ける

被害者請求の方法で後遺障害の申請をすると、非常にたくさんの書類が必要ですし、調査事務所などとのやり取りも必要で、多大な負担がかかります。弁護士に依頼すると、書類集めや作成・調査事務所とのやり取りなどを任せられるので、手間が省けて被害者にかかる負担が小さくなります。

専門知識やノウハウを駆使してもらえる

後遺障害認定申請するときには、専門的な知識やノウハウが役に立ちます。初めて交通事故に遭った被害者が一人で対応するよりも、経験豊富な弁護士に手続きを進めてもらう方が認定を受けやすくなります。

困ったことや不安なことを相談できる

後遺障害が残ると、被害者はいろいろと思い悩むものです。今後の生活のこと、仕事のこと、どのくらい賠償金が入ってくるのかなども不安に感じるでしょう。

 

そのようなとき、依頼している弁護士がいたら、何でも相談できて安心できます。

まとめ

交通事故で顔、首、頭などの目立つ部分に傷跡が残ったら、適切な方法で後遺障害認定申請を行い、きっちり補償を受けましょう。困ったときには、交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士に相談してみてください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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