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公開日:2020.1.14  更新日:2020.2.5

骨盤骨折の後遺障害等級と症状一覧|慰謝料はいくらになる?

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事

交通事故で骨盤を骨折した場合、骨折の状況や骨の癒合の仕方によっては、後遺症が残ることがあります。骨盤骨折で考えられるのは以下のような後遺症です。

 

  1. 神経症状:骨折部の痛み・しびれが残った
  2. 変形障害:骨折部位が明らかに変形した
  3. 運動障害:股関節の可動域が制限された・動かない
  4. 下肢の短縮障害:骨盤骨のゆがみで一方の足の長さが一定サイズ短縮した
  5. 正常分娩困難:産道が狭くなり正常分娩が困難になった

 

このような後遺症がある場合、後遺障害として認定される可能性があります。仮にそのような認定となれば負傷とは別に後遺障害についても別途補償を受けられます。

 

この記事では、5つの後遺障害の症状と該当する等級、慰謝料相場、獲得する方法などを紹介します。自分の後遺症がどこに分類されるのかの参考にしてみてください。

適切な後遺障害と損害賠償を獲得したい人へ

後遺障害等級は、1級でも上がると損害賠償が数十万・数百万増額されるケースがあります

適切もしくは少し上の後遺障害等級を獲得したいのであれば、保険会社に事前認証を依頼する前に申請しましょう。

もし、保険会社に依頼し、非該当になった場合でも、弁護士に相談することで認定される可能性があります

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①神経症状の後遺障害等級|症状・慰謝料相場

交通事故の衝撃や骨盤骨折で神経が圧迫・損傷すると、骨折自体治っても痛みやしびれが残るケースがあります。このような後遺症がある場合、12級13号もしくは14級9号に認定される可能性があります。

 

等級

症状の定義

12級13号

局部に頑固な神経症状が残すもの

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 

12級に認定される具体的な症状

12級13号と認定されるのは、レントゲンや検査結果、MRIなどで神経症状の原因となっている他覚的所見が認められる場合が多いです。例えば、「しびれのある部分をMRIで確認したら、骨の癒合部分が神経を圧迫していた」などケースが挙げられます。

 

他方、画像などで他覚所見が確認できないものの、諸般の事情から一定の神経症状が残存していることが医学的に認められる場合は14級9号に認定される可能性があります。

 

神経症状の慰謝料相場

神経症状の慰謝料相場は以下のようになっております。

 

等級

自賠責基準

任意保険基準(相場)

弁護士基準

12級

93万円

100万円

290万円

14級

32万円

40万円

110万円

 

自賠責基準とは、被害者の最低限を補償することを目的としており、3つの基準のうち最も安い金額です。任意保険基準は、各任意保険会社が掲げる基準ですので上記はあくまで目安です。弁護士基準は、過去の裁判から算出しているため、3つの基準で最も高額です。

 

相手の保険会社は基本的に「自賠責基準」で計算した慰謝料を提示するため、弁護士に相談し「弁護士基準」で交渉することで慰謝料の増額が望めます。

 

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②変形障害の後遺障害|症状・慰謝料相場

変形障害とは、折れた骨がつながる際に元のように癒合できず、変形したままで治ってしまったケースです。このような「骨盤骨に著しい変形を残す」場合、12級5号に該当します。

 

認定される具体的な症状

認定される際、ポイントとなるのは「著しい変形」が残っているかです。著しい変形に該当するかどうかは「裸の状態で変形が目視できる」かどうかにより判断されます。

 

慰謝料相場

慰謝料相場は以下の通りです。

等級

自賠責基準

任意保険基準(相場)

弁護士基準

12級

93万円

100万円

290万円

 

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③運動障害の後遺障害等級|症状・慰謝料相場

交通事故の衝撃や骨盤骨折が原因で、治癒後も股関節が元通りに動かせなくなってしまうこともあります。症状の重さごとに等級が分かれています。

 

等級

症状の定義

8級7号

一下肢に偽関節を残すもの

10級11号

一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの

12級7号

一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

 

運動障害の等級は、後遺症が残らなかった足と比較して可動域がどのくらい制限されているかによって、等級が決まります。両足に後遺症が残った場合は、日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会が定める可動域を参考に測定します。

 

認定される具体的な症状

8級の症状股関節が動かない、もしくは人工関節を利用したものの可動領域が2分の1以下に制限されている

10級の症状:自身の股関節の可動域が2分の1以下に制限されている、もしくは人工関節を利用すれば可動域が2分の1以上動く

12級の症状:自身の股関節の可動域が4分の3以下に制限されている、また人工関節を利用していない

 

 

図を参考にしながらどれの等級に該当するか確認してください。

慰謝料相場

各後遺症に対する慰謝料相場は以下の通りです。

 

等級

自賠責基準

任意保険基準(相場)

弁護士基準

8級

324万円

400万円

830万円

10級

187万円

200万円

550万円

12級

93万円

100万円

290万円

 

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④下肢の短縮障害の後遺障害等級|症状・慰謝料相場

骨盤骨折は完治したものの骨盤骨がゆがんでしまい、一方の足の長さが変わってしまうケースもあります。

等級

症状の定義

8級5号

一下肢を5センチメートル以上短縮したもの

10級8号

一下肢を3センチメートル以上短縮したもの

13級8号

一下肢を1センチメートル以上短縮したもの

 

上前腸骨棘(腰骨)と下腿内果下端間(内くるぶし)の長さを左右で測り差を比較します。立った時に、違和感がある場合は医師に伝え測ってもらいましょう。

慰謝料相場

下肢の短縮障害に対する慰謝料相場は、以下の通りです。

等級

自賠責基準

任意保険基準(相場)

弁護士基準

8級

324万円

400万円

830万円

10級

187万円

200万円

550万円

13級

57万円

60万円

180万円

 

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⑤正常分娩困難の後遺障害等級|症状・慰謝料相場

女性の場合、骨盤骨折後に骨盤が変形することで産道が狭ってしまい今後、正常分娩が困難になるケースがあります。

 

等級

症状の定義

9級17号

生殖器に著しい障害を残すもの

11級10号

胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

 

また、男女関係なく、骨盤骨折により生殖器に後遺障害が残った場合、9級に認定される可能性があります。

認定してもらうには、正常な出産が困難であることを証明するため産婦人科での検査が必要です。

 

慰謝料相場

等級

自賠責基準

任意保険基準(相場)

弁護士基準

9級

245万円

300万円

690万円

11級

135万円

150万円

420万円

 

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尾てい骨骨折における後遺障害と等級

事故の衝撃でしりもちをつき、骨盤の一部である尾てい骨を骨折した場合も「骨盤骨折」に該当します。この場合も治療を尽くした結果、痛みなどの神経障害が残った場合、後遺障害として認定される可能性があるでしょう。

 

一方、骨盤骨の変形障害については、尾てい骨は除外するものとされていますので、尾てい骨骨折に伴い何らかの変形が生じたとしても、それのみで後遺障害として認定される可能性は低いと考えます。

 

後遺障害が複数残った場合の等級の決め方

骨盤骨折で複数の後遺障害が残ってしまったり、その他の部位にも後遺障害が残ってしまったりするケースがあります。例えば、骨盤の変形としびれが残った、骨盤の変形とともに足の一部が動かなくなった、などです。

 

複数の後遺障害が残った場合、重い方の等級を以下のルールに従って引き上げます。

 

等級の引き上げルール

ルール1

第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある場合、最も重い等級を3つあげる

ルール2

第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある場合、最も重い等級を2つあげる

ルール3

第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある場合、最も重い等級を1つあげる

ルール4

第14級の後遺障害が2つ以上ある場合は、いくつあっても第14級

 

例えば、11級と12級の後遺障害があるケースでは、11級の方が重いので等級を1つ挙げた10級が後遺障害等級となります。

 

後遺障害等級が非該当、適正ではないと感じたら

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後遺障害等級獲得の手続きの流れ

後遺障害等級を獲得するには、自分で申請する「被害者請求」と相手の保険会社に依頼する「事前認定」の2つがあります。どちらを選ぶにしろ、後遺障害等級の申請手続きは以下のような流れで進みます。

 

ここでは、後遺障害申請手続きの流れと「被害者請求」「事前認定」のどちらで申請すべきか、非該当になった場合の対処法について紹介します。

後遺障害申請手続きの流れ

①症状固定

症状固定までの期間に特に決まりはありません。症状固定はこれ以上の治療効果が望めない状態であり、治療効果が認められるかどうかはケースバイケースであるからです。症状固定時期は、担当医と「これ以上の治療に医学的に意味があるのかどうか」をよく相談して決めるべきでしょう。

 

②医師に後遺障害診断書の作成を申請

症状固定となった時点で何らかの後遺症がある場合、医師に後遺障害診断書の作成を依頼しましょう。担当医に直接「後遺障害の申請をしたいので、後遺障害診断書を書いてください」と伝えるか、受付にお願いするかのどちらかです。

 

各病院によって対応が異なりますが、基本的に断られることはありません。後遺障害診断書は所定の書式で作成する必要がありますので、病院にない場合はご自身で印刷し提出しましょう【診断書をダウンロードする】。

 

また、後遺障害診断書を作成するに当たり、担当医には具体的な自覚症状をしっかり伝えるようにしましょう。もしどのように伝えるべきかわからないという場合、一度弁護士へ相談することをお勧めします。

 

③後遺障害診断書等の提出

後遺障害診断書を取得したら、然るべき窓口に提出します。被害者請求で申請する場合は自分の自賠責保険会社に提出し、事前認定で申請する場合は相手方の任意保険会社に書類を送ります。

 

被害者請求の場合、診断書以外にも書類が必要になりますので、これらも自身で用意しなければなりません。もし難しいと感じるのであれば、弁護士への相談を積極的に検討しましょう。

 

④自賠責保険料率算出機構が後遺障害等級の認定

後遺障害等級は、自賠責保険料率算出機構が調査し等級を決定します。だいたい2ヶ月以内に通知されますが、書類の不備があったりすると3ヶ月以上かかるケースもあります。

 

⑤自賠責保険料率算出機構から自賠責保険金の受け取り

後遺障害等級が決定したら、自賠責保険料率算出機構から自賠責保険金が支払われます。

 

被害者請求で申請した場合、等級に応じた保険金が直ちに支払われますが、事前認定の場合は認定結果のみが提示され金銭は直ちに支払われることはありません。

 

後遺障害等級が「非該当」になった場合の対処法

この決定に不服がある場合、異議申し立てを行い再審査してもらうことが可能です。

 

ただし、一度決定したものを覆すには、後遺障害の条件である「事故との因果関係を医学的に証明でき、将来的に回復する見込みがなく、労働力が低下・喪失してしまった」ことを追加証明できる資料が必要となるのが通常です。

 

したがって、何らからの資料が用意できるのであれば異議申立てを検討するべきですが、特に何もないのであれば、異議申立てを繰り返してもあまり意味はありません。

 

被害者請求と事前認定のどちらで申請すべきか

結論から言ってしまうと、被害者請求での後遺症認定申請をおすすめします。事前認定は相手の保険会社に全ての手続を任せられるので手間がかかりませんが、相手保険会社は必要最低限の対応しか行わず、後遺障害が認定されるような積極的活動は期待できません。

 

他方、被害者請求の手続は、たしかに手間はかかりますが、後遺障害を基礎づける資料が制限なく提出できます。そのため、被害者請求は認定を得るための積極的活動が可能であり、この点事前認定よりも被害者に有利といえるかもしれません。

 

もっとも、被害者請求は相当程度の知識が必要ですし、資料を集めるのに手間と時間がかかります。そのため、スムーズに後遺障害等級を獲得して早々に解決したいのであれば「弁護士に被害者請求を依頼する」のがベストです。

 

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まとめ

骨盤は、下肢や内蔵機、生殖器など様々な部分に後遺症を残しやすい怪我です。適正な後遺障害等級を獲得するには、医師に自分の症状を具体的に話す必要があります。より後遺症を獲得しやすく説明するポイントは、症状によって異なりますので、診断書を作成してもらう前に弁護士と相談してみましょう。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事は交通事故弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※交通事故弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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