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交通事故の示談はトラブルがつきもの|被害者の対処法まとめ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
交通事故の示談はトラブルがつきもの|被害者の対処法まとめ

交通事故問題の8割は示談で解決しているといわれています。しかし、何のトラブルもなく示談が成立するケースは珍しいかもしれません。

「慰謝料の金額に納得できない」「被害者なのに事故の責任を問われている」など、交通事故の示談では揉めごとの種が多いです。ご自身と加害者側の主張が平行線になれば、交渉中にトラブルが起こる可能性が高いでしょう。

この記事では、交通事故の示談でよくあるトラブルとその対処法をご紹介します。交通事故の被害でお悩みの場合は、参考にしてみてください。

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示談金に関するトラブル

交通事故の示談金は、加害者側の保険会社から提示された金額を確認して、両者が納得したら金額が決定されます。つまり、基本的には加害者側の保険会社の主張に従うことになるでしょう。

しかし、加害者側の保険会社が提示してくる示談金が適正額であるとは限りません。保険会社は、会社の利益のため、示談金を当初は低く見積もることもあります

そのため、被害者が保険会社から提示された示談金に納得できず、トラブルに発展するケースは非常に多いです。

慰謝料が少ないと感じるときの対処法

交通事故の慰謝料には、『自賠責基準』『任意保険基準』『弁護士基準』の3種類の算出基準があり、どの基準が適用されるかによって慰謝料の相場額が変わってきます。

被害状況

自賠責基準※

任意保険基準(推定)

弁護士基準

捻挫で1ヶ月間の通院

8万6,000円

(8万4,000円)

12万6,000円

28万円

むちうちで6ヶ月間の通院と14等級の後遺障害認定

83万6,000円

(82万4,000円)

100万2,000円

199万円

死亡:一家の大黒柱の男性、妻1人を扶養

1,150万円

1,500万〜2,000万円

2,800万円

※ ()内は2020年3月31日までに発生した事故の慰謝料額4,200円で、()外は2020年4月1日より後に発生した事故の慰謝料額4,300円で計算しています。

慰謝料の相場は『弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準』で、弁護士基準が最も高額です。このように、どの基準を参考に慰謝料を算出するかによって、請求できる示談金の額に大きな差が生じます。

慰謝料の請求で損をしないためには、ご自身が請求できる慰謝料の大体の目安を把握しておくことが重要です。

仕事の収入への補償に対する揉めごとの対処法

交通事故で仕事を休んだり、後遺症が原因で事故前のように働けなくなったりした場合には、事故が原因で減少した収入に対する補償を請求することが可能です。

損害賠償

概要

休業損害

休業中に得られていたはずの収入に対する賠償金

逸失利益

後遺症を負ったまたは死亡した場合に、その被害がなければ将来得られていたはずの収入に対する賠償金

ただ、補償範囲の期間や損失額の計算方法で、加害者側の保険会社と意見が食い違うケースが多々あります。万が一、請求が認められなかったり、少なく見積もられたりしている状況であれば、計算方法や適正額を確認して、加害者側との交渉を検討してみてください。

過失割合(事故の責任の割合)のトラブル

過失割合とは、事故に対する責任の割合のことです。基本的には、加害者側とご自身の加入する保険会社が、似た状況で起きた事故の判例(過去の裁判結果)を参考に判断しています。

しかし、保険会社が判断した結果が必ず正しいとは限りません。また、加害者と事故状況の認識に相違があれば、どちらの主張が正しいのか判断が難しい場面に直面することもあり得ます。

このように過失割合の決定でも、トラブルが生じるケースは多いです。

加害者側と過失割合について揉めたときの対処法

交通事故の過失割合は、『判例タイムズ』にある過失割合を参考に決定されます。過失割合に納得がいかない場合には、保険会社が参考にした判例を確認しつつ、それよりも適した判例がないか調べてみるとよいでしょう。

判例を根拠に交渉をすれば、過失割合が見直される可能性があるかもしれません。もしご自身で判断するのが難しい場合には、弁護士事務所の法律相談を利用して確認してみてください。

事故の状況で加害者側との意見が食い違っている場合は、実況見分書(警察が事故の様子を記録した書類)やドライブレコーダー、目撃者の証言などが役立ちます。事故状況を確認できる証拠を確保して、それを根拠に交渉を検討してみましょう。

ご自身の過失がゼロのときの対処法

ご自身の過失割合がゼロだと主張する場合、あなたの保険会社は加害者に対して補償金を支払う必要がないため、事故の部外者として扱われます。そのため、示談交渉などの交通事故手続きを、すべて一人で行わなければいけません

しかし、交通事故の被害者の大半は、事故に遭ったのは初めてなのではないかと思います。どのように手続きに臨めばよいのか、わからず戸惑ってしまっても無理はありません。

交通事故の手続きは対応を間違えると、示談金が少なくなってしまう恐れがあります。わからないことは無理に進めずに、無料相談所で確認しながら手続きに臨むようにしましょう。

怪我の治療に関するトラブル

交通事故で負った怪我の治療が長引くと、保険会社から治療の終了を催促されたり、治療費の補償を打ち切られたりする場合があります。

保険会社がこのような行動を取るのは、必要のない治療による保険金の過払いを防ぐためです。一般的な治療期間の目安を過ぎても治療を続けていると、「本当はもう治療は必要ないのでは?」と疑われるケースは多々あります。

しかし、怪我が治るまでの期間には個人差があります。そのため、本当はまだ治療が必要な状態にもかかわらず、保険会社から治療終了を催促されて揉めごとになるトラブルは珍しくありません。

治療費の打ち切りへの対処法

保険会社から治療費の補償を打ち切られたとしても、まだ治療が必要な状態だと証明できるのであれば、その後の治療費を請求することは可能です。

担当医からまだ治療は必要だと判断されている状態なら、診断書や検査結果を提出して交渉することで、治療費の請求が認められる可能性があります。保険会社から治療終了を催促された場合は、まず担当医に相談してみてください。

なお、保険会社の催促に応じて示談に進んでしまうと、治療は終了したとみなされて、それ以降の治療費の請求が難しくなってしまいます。交通事故で負った怪我の治療は、必ず完治するまで継続していきましょう。

加害者とのやり取りでのトラブル

交通事故後の治療や示談などの手続きは、任意保険会社を介して行うのが基本なので、事故の当事者同士で連絡のやり取りをする場面はほぼありません。

しかし、保険会社を通じてのやり取りでもトラブルが生じる場面もありますし、加害者が保険未加入の場合には、加害者本人を相手にして手続きを進める必要があります。

ここでは、加害者とのやり取りでよくあるトラブルを2つご紹介します。

加害者が示談に応じてくれない

示談は事故当事者の両方が納得しないと成立しません。そのため、加害者から示談を拒否され続けると、保険会社を介して損害賠償の請求ができない状態がいつまでも続いてしまいます。

加害者に示談をする気がない場合には、裁判を起こして請求するしかありません。損害賠償の請求には3年間の時効があるので、示談に応じてもらえる気配がない場合には、なるべく早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

加害者が任意保険に加入していない

加害者が任意保険に未加入の場合には、加害者本人を相手に示談交渉をしなければいけません。つまり、完全な「もらい事故」でご自身の過失がゼロの場合には、事故の当事者同士ですべての事故手続きに対応する必要があります。

しかし、交通事故の専門家抜きでは適正な損害賠償額を計算することは難しいですし、事故当事者同士だとお互い感情的になりやすく冷静な交渉は難しいです。トラブルなく交通事故問題を解決したいのであれば、専門家の協力は必要不可欠でしょう。

まずは、弁護士事務所の法律相談を利用して、どのように対処すべきかアドバイスを受けてみることをおすすめします。

解決が難しいトラブルは弁護士にご相談ください

原則として、交通事故の示談は、一度成立したらやり直しは認められません。解決できないトラブルを残したまま示談をしてしまうと、支払われる示談金の額が減って後悔することになる可能性が高いので注意しましょう。

交通事故のトラブルは弁護士に相談することで解決できる可能性が高いです。当サイト『ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)』では、相談料が無料の弁護士事務所も多数掲載していますので、交通事故の手続きで何かお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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