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子供が交通事故に遭った場合の慰謝料相場|請求事例や損害賠償も解説

監修記事
子供が交通事故に遭った場合の慰謝料相場|請求事例や損害賠償も解説

交通事故で請求できる慰謝料は、被害者の年齢によって変わることはありません。

基本的には、子供でも大人でも同じ相場をもとに支払われる金額が決まります。

被害者が子供だからという理由で、慰謝料が少なく見積もられることはないのでご安心ください。

大人が事故に遭ったときと同等の金額を請求することが可能です。

本記事では、子供が交通事故に遭った際に請求できる慰謝料について解説します。

慰謝料の相場額や支払われる条件などを確認しておきたい場合は、参考にしてみてください。

なお、道路交通法上では、6歳以上13歳未満を「児童」、6歳未満を「幼児」と定義していますが、本記事内では「子供」を児童・幼児の両方を意味する言葉として扱っています。

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子供が交通事故に遭った場合に請求できる慰謝料の種類と相場

まずは、子供が交通事故の被害者になったときに請求できる慰謝料の種類と相場を解説します。

加害者に対して請求できる慰謝料の種類は、大きく分けて以下の3種類です。

慰謝料の種類

入通院慰謝料

交通事故でけがを負って入通院をした場合に支払われる慰謝料

後遺障害慰謝料

交通事故で負ったけがが後遺症として残った場合に支払われる慰謝料

死亡慰謝料

交通事故で被害者が亡くなった場合に遺族に対して支払われる慰謝料

また、交通事故の慰謝料には3つ算出基準があり、どの基準が適用されるかによって慰謝料の相場が変わります。

慰謝料を算出する3つの基準

自賠責基準

自賠責保険会社が使用している基準。交通事故で負傷した被害者に対して、法令で決められた最低限の補償をおこなうことを目的としており、慰謝料額も低くなりやすい。

任意保険基準

自動車保険会社が独自に設けている基準。慰謝料の算出方法は非公開だが、自賠責基準と同程度かやや多い程度が相場。

弁護士基準

裁判所の判例などを参考にした基準。自賠責基準や任意保険基準よりも高額な慰謝料が設定されることが多い。

相手が任意保険に加入していなければ自賠責基準、任意保険に加入していれば任意保険基準に基づく、慰謝料額を提示されることになるでしょう。

しかし、慰謝料の相場は、「弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準」で、弁護士基準が最も高額です。

保険会社から提示された金額に納得いかない場合でも、弁護士に依頼して算定し直してもらえば、慰謝料の大幅な増額が期待できます。

入通院慰謝料|子供がけがをして入通院した場合

入通院慰謝料は、通院日数と通院期間をもとに算出されます。

自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の慰謝料相場は、それぞれ以下のとおりです。

通院期間

(通院日数)

自賠責基準

任意保険基準(推定)

弁護士基準

重傷・軽傷

1ヵ月間

(10日)

8万6,000円

12万6,000円

28万円・19万円

2ヵ月間

(20日)

17万2,000円

25万2,000円

52万円・36万円

3ヵ月間

(30日)

25万8,000円

37万8,000円

73円・53万円

4ヵ月間

(40日)

34万4,000円

47万8,000円

90万円・67万円

5ヵ月間

(50日)

43万円

56万8,000円

105万円・79万円

6ヵ月間

(60日)

51万6,000円

64万2,000円

116万円・89万円

後遺障害慰謝料|子供に後遺症が残った場合

後遺障害慰謝料は、1級〜14級の14段階の後遺障害等級に応じて相場が定められています。

各算定基準ごとの慰謝料相場は以下のとおりです。

等級

自賠責基準

任意基準(推定)

弁護士基準

第1級

1,150万円

1,600万円程度

2,800万円

第2級

998万円

1,300万円程度

2,370万円

第3級

861万円

1,100万円程度

1,990万円

第4級

737万円

900万円程度

1,670万円

第5級

618万円

750万円程度

1,400万円

第6級

512万円

600万円程度

1,180万円

第7級

419万円

500万円程度

1,000万円

第8級

331万円

400万円程度

830万円

第9級

249万円

300万円程度

690万円

第10級

190万円

200万円程度

550万円

第11級

136万円

150万円程度

420万円

第12級

94万円

100万円程度

290万円

第13級

57万円

60万円程度

180万円

第14級

32万円

40万円程度

110万円

なお、他人の介護がなければ日常生活を送れないほどの後遺障害が残った場合は、「介護を要する後遺障害」として以下の慰謝料額が増額されます。

【介護を要する後遺障害の慰謝料相場】

等級

自賠責基準

弁護士基準

第1級

1,600万円

2,800万円

第2級

1,203万円

2,370万円

死亡慰謝料|子供が死亡した場合

交通事故で子供が死亡した場合は、死亡慰謝料を請求できます。

各算定基準の慰謝料相場は、以下のとおりです。

<自賠責基準の相場:子供本人に対する慰謝料>

子供本人に対する慰謝料

400万円

自賠責基準では、遺族に対する慰謝料を別途算定し、子供本人に対する慰謝料に加算します。

<自賠責基準の相場:遺族に対する慰謝料>

慰謝料請求権者が1名(父もしくは母)

550万円

慰謝料請求権者が2名(父母)

650万円

一方、任意保険基準と弁護士基準では被害者と遺族の慰謝料を分けずに合算したものとして、以下の金額が適用されます。

<任意保険基準と弁護士基準の相場>

 

任意保険基準

弁護士基準

慰謝料額

1,200万円~1,500万円

2,000万円~2,500万円

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子供の交通事故の慰謝料請求事例

次に、子供が交通事故被害に遭った際の慰謝料請求事例を3つ紹介します。

<請求例①>

項目

詳細

性別

年齢

9歳

事故の内容

信号無視の車と交差点で接触し、全治1週間の打撲

入通院の期間

事故当日のみ

慰謝料

6,300円

<請求例②>

項目

詳細

性別

年齢

14歳

事故の内容

スピード違反の車に追突され、14等級の後遺障害が認定されるむちうち

入通院の期間

6ヵ月間、月に12回の通院を継続

慰謝料

199万円

<請求例③>

項目

詳細

性別

年齢

16歳

事故の内容

歩道に突っ込んできた車と接触し、当日に死亡

入通院の期間

なし

慰謝料

2,000万円

交通事故慰謝料の目安は自動計算機で確認するのがおすすめ

交通事故慰謝料の目安は、自動計算機で確認するのがおすすめです。

交通事故慰謝料の算定にあたっては、さまざまな要素を考慮しなければならないため、自力で計算することは簡単ではありません。

自動計算機を使えば、あくまでも目安となる金額ではあるものの、手軽に慰謝料額を把握することができます。

ベンナビ交通事故でも、「交通事故の慰謝料計算機」を無料で利用できます。

年齢や通院日数などを入力するだけで妥当な慰謝料額が表示されるので、うまく活用してみてください。

子供の交通事故の慰謝料は個々の事情によって増減する

交通事故慰謝料には相場がありますが、実際に獲得できる金額は個々の事情によって増減します。

ここでは、慰謝料が増減する主な要因を詳しく見ていきましょう。

加害者の悪質性が高く、重大な事故の場合は慰謝料が増額されやすい

加害者の悪質性が高く、重大な事故の場合は慰謝料が増額される傾向にあります。

悪質性が高く、重大な事故では被害者が受ける精神的ダメージも大きくなるためです。

具体的には、以下のようなケースが考えられるでしょう。

  • 生死に関わる状態に陥った場合
  • 大がかりな手術を強いられた場合
  • 飲酒運転や無免許運転などが事故の原因だった場合
  • 加害者が救護しようとしなかった場合
  • 加害者が反省していない場合

とはいえ、慰謝料がどの程度増額されるのかを判断するには専門的な知識が求められます。

適切な金額の慰謝料を受け取るためには、交通事故問題が得意な弁護士のサポートが必要不可欠といえるでしょう。

子供の過失割合が高いと慰謝料は減額されやすい

子供の過失割合が高い場合には、慰謝料が減額されることもあります。

過失割合とは、事故当事者がそれぞれ負う責任を数値で表したものです。

被害者側にも過失が認められた場合には、過失相殺の原則によって賠償金が減額されてしまいます。

たとえば、飛び出し事故では子供にも一定の過失がつくケースが一般的です。

なお、子供を含めた交通弱者の過失割合は大人よりも低くなる傾向にあるので、不当な過失割合を提示された場合には、速やかに弁護士へ相談してください。

交通事故に遭った子供の親や兄弟姉妹が慰謝料請求できることもある

子供が交通事故に遭った場合は、本人だけでなく、親や兄弟姉妹などの近親者が慰謝料請求できることもあります。

ただし、かすり傷程度の軽傷で慰謝料請求することは難しく、基本的には以下のような重大な事故に限定される点に注意してください。

  • 子供が死亡した場合
  • 高次脳機能障害や植物状態などの重篤な後遺障害が残った場合
  • 子供が事故に遭う瞬間を目撃した場合

事故の状況次第では、近親者が数百万円以上の慰謝料を獲得できる場合もあります。

子供の交通事故で慰謝料以外に請求できる主な損害賠償金

交通事故における慰謝料は、あくまで数ある損害賠償の一部です。

子供が被害者となった場合には、ほかにも請求できる費用があるため、詳しく解説していきます。

通院付添費|子供の入通院に親が付き添った場合

子供の入通院に親が付き添った場合には、通院付添費を請求できます。

日額で賠償額を算定するケースが多く、相場は以下のとおりです。

付添いの目的

自賠責基準

弁護士基準

通院

2,100円

3,300円

入院

4,200円

6,500円

また、けがの治療にあたって以下のような費用が生じた場合も、漏れなく請求するようにしてください。

項目

内容

治療費

入院や通院でけがの治療をする際にかかった費用

入院雑費

寝具や洗面具、電話代など、入院中に必要な雑費(1日あたり1,400円〜1,600円が目安)

通院費用

交通費や宿泊費など、通院にかかった費用

将来の看護費

後遺症を負って将来的に介護が必要となった場合に請求できる費用

子供に治療を受けさせるために生じた費用であれば、基本的に請求が認められます。

何か費用が発生した場合には、領収書を忘れずに保管しておきましょう。

逸失利益|後遺障害・死亡により将来の収入が失われた場合

逸失利益とは、交通事故で後遺障害を負った、または亡くなった際に請求できる損害賠償です。

交通事故被害に遭わなければ、将来的に得られていたはずの収入がなくなったことに対する損害賠償として支払われます。

通常だと、事故時の被害者の収入を参考に算出しますが、子供は無収入である場合がほとんどです。

そのため、その年の性別ごとの平均年収を参考にして計算することになるでしょう。

逸失利益は交通事故の損害賠償のなかでも、高額になるケースが多いです。

逸失利益の計算方法は以下の記事で解説していますので、詳細を確認したい場合は併せてご覧ください。

学習費|学習の遅れが生じた場合

子供が交通事故に遭った場合は、学習の遅れを取り戻すための費用も相手方に請求できます。

たとえば、長期間の入院を余儀なくされていた子供は、復帰後に学校の授業についていけなくなるケースも少なくありません。

この場合、家庭教師を雇ったり、塾に通ったりするための費用を損害賠償請求できるのです。

損害賠償を受けられる範囲や期間などは個々のケースごとに変わってくるので、請求額は弁護士とも相談しながら慎重に見極める必要があります。

子供の交通事故慰謝料に関するよくある質問

最後に、子供の交通事故慰謝料に関するよくある質問を紹介します。

子供のPTSD・トラウマを理由に慰謝料請求できる?

交通事故が原因で、子どもがPTSD・トラウマになった場合には、慰謝料の請求が可能です。

治療のために通院したのであれば入通院慰謝料、後遺症が残ったのであれば後遺障害慰謝料を請求することになるでしょう。

しかし、PTSDは目に見える症状ではないので、慰謝料請求の根拠とするのが難しいケースも少なくありません。

特に、後遺障害等級認定を受けるには高いハードルがあるので、弁護士のサポートは必要不可欠です。

子供が交通事故に遭ったら何科を受診するべき?

子供が交通事故に遭ったときは、整形外科を受診するようにしましょう。

通いなれた小児科で診てもらうのもよいですが、交通事故の外傷は専門外になる可能性があります。

そのため目に見えるけがをしている場合は整形外科を受診し、CTやMRIなどの必要に応じた検査を受けるようにしてください。

同乗していた赤ちゃんや胎児への慰謝料は認められる?

同乗していた赤ちゃんがけがをした場合は、大人と同じように慰謝料を請求できます。

入通院慰謝料と後遺障害慰謝料は、通院期間や後遺障害等級などによって金額が決められるため、年齢は大きく影響しません。

ただし、赤ちゃんの家庭での役割は小さいため、死亡慰謝料は大人よりも低額になるケースが一般的です。

胎児への慰謝料は、基本的に認められないものと考えておくのがよいでしょう。

ただし、交通事故が原因で流産・死産した場合などは、親に対する慰謝料が増額される可能性があります。

子供の慰謝料請求は誰がおこなう?

子供の慰謝料請求に関する事務手続きや示談交渉は、法定代理人である親がおこないます。

両親がいない場合は、家庭裁判所に対して未成年後見人の選任を申し立てる必要が出てくるでしょう。

そして、未成年後見に選任された弁護士などの専門家が、子供の代わりに慰謝料請求の手続きを進めることになります。

子供の交通事故にともなう慰謝料請求は弁護士への依頼がおすすめ

交通事故の慰謝料は弁護士基準の相場が最も高額であり、最も適正な額であるともいえます。

弁護士基準は過去の裁判結果を参考に定められていますが、そのほかの基準は保険会社が独自の基準で設定したもので、法的な根拠に基づいているとは限りません。

被害者の大半はこのような事実を知らないので、保険会社の基準で算出した慰謝料で示談となるケースが多いです。

しかし、弁護士基準の存在を知っているのであれば、その基準での慰謝料請求を検討したほうがよいでしょう。

弁護士を雇うには費用が必要ですが、被害が大きい事故であれば、弁護士基準で請求したことによる増額分が弁護士費用を上回るケースがほとんどです。

収支がプラスになる状況なら弁護士に依頼したほうが得になるので、一度無料相談の機会などを活用し、直接確認してみることをおすすめします。

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この記事の監修者
立花志功 (札幌弁護士会)
北海道・札幌にある地域密着型の弁護士事務所。交通事故問題の実績豊富で、被害者に寄り添った丁寧な対応を心がけている。
編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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