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交通事故の慰謝料をできるだけ増額させる5つの方法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
交通事故の慰謝料をできるだけ増額させる5つの方法

交通事故の慰謝料をできるだけ【増額させる5つの方法】を解説しています。

慰謝料の相場を決める3つの基準に加えて、どうして増額できるのかの理由や、どうやったら加害者との交渉が上手くいくのかの交渉テクニック、もっとも高額になる弁護士基準で請求する方法をご紹介します。

【関連記事】損害賠償と慰謝料の違い|示談に役立つ損害賠償請求の知識

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交通事故で獲得できる慰謝料を増額させる為の基準

交通事故による慰謝料の相場を知る上で、3つの基準があることを知っておく必要があります。

自賠責保険基準

自動車を運転する人が必ず加入する強制加入保険のことで、交通事故が起きた場合の最低限補償基準に過ぎず、3つの基準のなかでも最も低い基準として機能します。
 

任意保険基準

自賠責保険を補うための保険として加入するいわゆる自動車保険のことで、自賠責基準よりは高い支払い基準ですが、各保険会社で基準が異なるうえに非公開であるため、外部からは確認しづらいという難点があります。
 

弁護士基準

裁判の実務上で使用される慰謝料の算定基準として運用されているもので、最低限の保証しか行わない自賠責保険基準や、自賠責保険のカバーを目的とする任意保険基準に比べて、公正かつ客観的な判断に基づく関係上、支払いの基準もかなり高額となっています。

交通事故慰謝料の3つの種類と相場

入通院慰謝料の相場

被害者が交通事故で入院や通院した際に請求できる慰謝料になります。

 

自賠責基準

裁判所基準

①通院のみ3か月

25万8,000円

73万円(53万円)

(実通院日数30日)

②通院のみ6か月

51万6,000円

116万円(89万円)

(実通院日数60日)

③入院1か月・通院3か月

51万6,000円

115万円(83万円)

(入院30日・実通院30日)

④入院1か月・通院6か月

77万4,000円

149万円(113万円)

(入院30日・実通院60日)

⑤入院2か月・通院6か月

103万2,000円

181万円(133万円)

(入院60日・実通院60日)

後遺障害慰謝料の相場

交通事故が原因で後遺障害となった場合に請求できる慰謝料になります。

等級

自賠責基準

(2020年3月31日までに発生した事故)

任意保険基準(推定)

弁護士基準

第1

1,150万円

(1,100万円)

1,600万円程度

2,800万円

第2

998万円

(958万円)

1,300万円程度

2,370万円

第3

861万円

(829万円)

1,100万円程度

1,990万円

第4

737万円

(712万円)

900万円程度

1,670万円

第5

618万円

(599万円)

750万円程度

1,400万円

第6

512万円

(498万円)

600万円程度

1,180万円

第7

419万円

(409万円)

500万円程度

1,000万円

第8

331万円

(324万円)

400万円程度

830万円

第9

249万円

(245万円)

300万円程度

690万円

第10

190万円

(187万円)

200万円程度

550万円

第11

136万円

(135万円)

150万円程度

420万円

第12

94万円

(93万円)

100万円程度

290万円

第13

57万円

60万円程度

180万円

第14

32万円

40万円程度

110万円

死亡慰謝料の相場

被害者が死亡した場合に請求できる慰謝料になります。

被害者本人の立場

自賠責基準

任意保険基準(推定)

弁護士基準

一家の支柱

400万円

1,500万円〜
2,000万円

2800万円程度

配偶者、母親

200万円

1,200万円〜
1,500万円


2500万円程度

 

慰謝料や損害賠償を増額するための手順

ここまでの流れを踏まえて、交通事故の慰謝料を増額させるにはどうすればいいのかを解説していきます。損賠賠償や慰謝料の相場は「交通事故で獲得できる損害賠償や慰謝料の相場」でご紹介した通りですので、そちらをご確認ください。
 

自分の過失割合をできるだけ下げる

交通事故で被害者にも過失がある場合、その程度に応じて加害者側の負担すべき損害額は減額されます。しかし、保険会社が主張する被害者の過失割合は、当初はだいぶ高めに提示されることが多いようです。
 
これに対して被害者ができることとしては、どんな状況で過失割合が設定されるのかを正確に把握することと、加害者の主張に対して反論できるように弁護士に相談することで、過失割合を下げる余地が十分に生まれます。
 

交通事故判例タイムズで過去の判例を主張する

交通事故判例タイムズは裁判書でも参考にする資料で、ここに書かれた内容を重要視するほどの書籍ですので、参考にしておいて損はないでしょう。

この書籍を参照し、保険会社に「その過失割合や示談金の額は判例タイムズを参考にされたのでしょうか?」と伝えることで、保険会社が過失割合の要請に応じたケースがあります。
 

車の修理費用を負担する代わりに過失割合を10対0にしてもらう

車の修理費用も通常は保険会社に請求できるものですが、車の損害賠償金を請求しないことは保険会社にとっても良いことがあります。保険会社が払う金額は物損事故の修繕費用となりますが、この費用は自賠責保険の担保がないため、支出が確定してしまいます。
 
この支出を減らすことができれば会社としても良いことなので、この費用を被害者が負担してくれるだけで保険会社の支出がなくなるため、保険会社はこの条件に応じてくれやすい傾向があります。
 
ただ、専門知識がない場合は交渉が難しいので、もし自分で行うのが困難な場合は交通事故の慰謝料問題に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。
 

休業損害を弁護士基準で受ける

交通事故に遭った際に請求できる損害賠償として「消極損害」があり、この消極損害の1つに「休業損害」というものがあります。

交通事故によって傷害を負ったために休業を余儀なくされた場合に、交通事故による休業がなかった場合に得ることができた収入・利益を失ったとして請求できるというものです。

ここにも弁護士基準がありますので、当然弁護士基準であれば通常よりも増額できる可能性が大いにあります。詳しい内容は「休業損害証明書の書き方ガイド|必要書類と職業別の計算方法」で解説していきますので、参考にしていただければ幸いです。

適切な後遺障害等級を獲得する

これまでお伝えしてきた通り、交通事故の後遺障害認定は慰謝料増額にもっとも重要なポイントになります。

適切な後遺障害等級を獲得するには

後遺障害等級を獲得する為のキーポイントは「症状固定」と「被害者請求」の2点です。また、後遺障害の認定には条件があります。
 

  • 交通事故が原因となる肉体的・精神的な傷害であること
  • 将来においても、回復は見込めないと医師が判断した状態であること
  • 交通事故と本人の感じる後遺症状に因果関係が認められること
  • 本人の感じる後遺症状の原因が医学的に証明、説明できること
  • 後遺症状の程度が自賠責法施行令の等級に該当すること

 
この5つの条件を満たすと、後遺障害の審査に通過し等級の認定を受けることができ、当該認定を受けられれば保険会社から等級に応じた補償金を受け取ることができます。その為の有効な手段が「症状固定」及び「被害者請求」のなのです。
 

症状固定後の後遺障害が慰謝料の対象になる

「症状固定」とは、交通事故によって負ったケガが「これ以上改善が見込めない」状態のことを言います。つまり、症状固定は損害賠償上「治療の終了」を意味します。
 
症状固定後に残った症状を「後遺障害」と認定し、認定された等級に応じた後遺障害慰謝料、逸失利益等を請求することになります。

従って、症状固定を行わないと、後遺障害等級認定の申請手続きは行えなくなってしまい、後遺障害慰謝料の支払いも行われません。
 

被害者本人が申請を行う「被害者請求」は後遺障害の認定が受けやすい

通常は保険会社が後遺障害の申請を行ってくれますが、保険会社が行うのは必要最低限の書類を集めて提出するだけの『作業』です。そのため、むちうちなどの画像所見だけでは証明しにくい神経症状や、高次脳機能障害などになっていた場合は、証明するための証拠が不十分と判断され、適切な後遺障害等級が認定されない可能性が高まります。
 
それを回避する為の手段が「被害者請求」と呼ばれる方法です。

後遺障害診断書は医師との連携が大事

後遺障害の認定を受ける為のもう一つのポイントとしては、病院の医師による「後遺障害診断書」をいかに詳しく書けるかにもかかってきます。この診断書を元に後遺障害等級の決定がされるため、損害賠償請求額に直結する手の抜けない大事な書類といえますね。
 
そのため、不適切な診断書を作成され、本来の後遺障害等級よりも低い等級が認定されてしまわないように、医師に適切な後遺障害診断書を作成してもらうことが必須になりますので、医師に頼む際のポイントをまとめました。

逸失利益を正しく計算する

そして、この後遺障害等級とセットで考えられるものに「逸失利益」があります。逸失利益とは、被害者が後遺症によって事故以前通りに働けなくなった(労働能力の喪失した)ために、後遺障害がなければ得られたであろう収入の減少をいいます。

働けなくなった以上その分の収入分を補う為の請求ができ、損害賠償を増額させる為の大きな要因です。

まとめ

交通事故にあった際は何かと面倒で、難しい問題が山済みのように感じるかもしれませんが、順を追って解決していけば、どんな問題も光が見えます。

自分で考えて進めていただくこともできますが、弁護士に頼むことで解決できることも多いので、無理をせず、頼れる部分は頼っていただくのも良いかもしれません。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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編集部

本記事はベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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