交通事故の慰謝料相場はいくら?早見表・計算方法・増額のコツを解説
- 慰謝料の相場早見表で、あなたのケースの目安がすぐわかる
- 3つの計算方法と具体例
- 保険会社の提示額から慰謝料を増額する5つの方法
「交通事故の慰謝料はいくらもらえるの?」「本当にこの額で正しいの?」
交通事故の被害者となり、突然のことで不安を感じていませんか?
交通事故に遭ったら、精神的な苦痛に対する補償として慰謝料を請求できる場合があります。
慰謝料の金額は一律ではなく、事故の状況や被害の程度によって大きく異なります。
また、算定基準によっても慰謝料額は変動するため、適切な補償を受けたいのであれば、交通事故の慰謝料請求に強い弁護士に相談しておくとよいでしょう。
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この記事の監修者
磯田 直也 (兵庫県弁護士会)
交通事故の慰謝料とは?【30秒でわかる基礎知識】

交通事故の「慰謝料」とは、事故によって被害者が受けた精神的苦痛に対する補償金のことです。
ただし「慰謝料=もらえるお金の全額」ではありません。
交通事故で加害者側に請求できるお金の総額を「損害賠償金(=示談金)」といいます。
交通事故の損害賠償金には、この記事で詳しく紹介する「慰謝料」のほかに「積極損害」と「消極損害」というものがあります。
「積極損害」とは、治療費などの実際に出費したお金のことを指します。
「消極損害」とは、休業損害などの本来得られるはずだったお金のことを指します。
つまり、これらは慰謝料とは別に請求できます。
慰謝料の相場だけを見て安心してしまうと、本来もらえるはずの賠償金を見落とす可能性があるため注意が必要です。
交通事故の慰謝料には3種類ある|入通院・後遺障害・死亡
交通事故の慰謝料には「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類があります。
被害の状況に応じて、複数の慰謝料を同時に請求することもできます。
| 種類 | 請求できるケース | 慰謝料額の決め方 |
|---|---|---|
| 入通院慰謝料 | ケガの治療で入院・通院した場合 | 入院期間や通院日数 |
| 後遺障害慰謝料 | 後遺障害等級(1〜14級)が認定された場合 | 後遺障害等級 |
| 死亡慰謝料 | 被害者が死亡した場合 | 被害者の家庭内での立場・遺族の数など |
たとえば、むちうちで通院して後遺障害14級が認定された場合、入通院慰謝料+後遺障害慰謝料の両方を請求することが可能になるというわけです。
それぞれ詳しく説明していきます。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、ケガの治療で入院・通院した際に請求できる慰謝料です。
基本的には、入院期間や通院期間が長くなるほど慰謝料も高額になっていきます。
また、ケガの程度や部位などによって、慰謝料の金額が増減することもあります。
なお、入通院慰謝料の算定にあたっては、ケガが完治または症状固定(治療を続けても症状の改善が期待できない状態になったこと)するまでの期間を対象とするケースが一般的です。
そのため、症状固定後に自費で通院を続けた場合でも、その治療が症状の改善に有効だったと判断される場合を除いて、入通院慰謝料の額に影響はありません。
後遺障害慰謝料
交通事故によって後遺症が残り、後遺障害等級が認定された場合は後遺障害慰謝料を請求できます。
後遺障害等級とは、後遺障害の程度を1級から14級までの等級で示したものです。
障害の程度が重いほど等級は1級に近づき、慰謝料も高額になります。
なお、後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料に加えて逸失利益も請求できるため、損害賠償の総額は大幅に増額されます。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、交通事故によって被害者が死亡した場合に、遺族が請求できる慰謝料です。
死亡慰謝料には、被害者本人の慰謝料と遺族の慰謝料が含まれます。
死亡慰謝料は精神的な苦痛に対する補償であるとともに、遺族の生活を支える重要なお金です。
遺族の数が多い場合や被害者が大黒柱を担っていた場合などは、死亡慰謝料も増額される傾向があります。
死亡慰謝料額は高額になることが予想されるため、弁護士にも相談しながら、適正な金額を受け取るようにしましょう。
交通事故慰謝料の3つの計算方法
交通事故慰謝料の算定基準には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3種類があります。
慰謝料は「どの算定基準を使うか」によって、最終的にもらえる金額が大きく変わるので、
少しでも多く受け取りたいのであれば、弁護士基準で算定を行うことが大切です。
ただし、被害者が自身で弁護士基準での算定を主張しても保険会社が応じることはありません。
弁護士への依頼や弁護士による対応が前提となります。
| 基準 | 概要 | 金額の水準 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 自賠責保険(強制加入)が定める最低限の補償 | 最も低い |
| 任意保険基準 | 各保険会社が独自に設定した社内基準(非公開) | 中程度 |
| 弁護士基準 | 裁判例をもとにした基準。弁護士が交渉・裁判で用いる | 最も高い |
自賠責基準の計算方法
自賠責基準は、自賠責保険(強制加入保険)で定められた最低限の補償基準です。
3基準のなかで最も低い金額になります。
| 【計算式】 慰謝料 = 4,300円 × 対象日数 |
「対象日数」は以下の2つを比較して少ない方を採用します。
- 治療期間(初診〜治療終了までの日数)
- 実入通院日数 × 2
【計算例】通院3ヶ月・実通院日数40日の場合
まず、対象日数を確認しましょう。
- 治療期間:90日
- 実通院日数 × 2:40日 × 2 = 80日
少ない方の80日を対象日数として採用します。
| 4,300円 × 80日 =344,000円 |
計算の結果、今回のケースで支払われる慰謝料は344,000円、およそ34.4万円となります。
任意保険基準の計算方法
任意保険基準は、各保険会社が独自に設定した社内基準です。
具体的な計算式は非公開ですが、自賠責基準よりやや高い程度で、弁護士基準と比べると大幅に低い金額になるのが一般的です。
保険会社から示談で提示される金額は、多くの場合この任意保険基準(またはそれに近い金額)で計算されています。
弁護士基準(裁判基準)の計算方法
弁護士基準は、過去の裁判例をもとに設定された基準で、3基準のなかで最も高額です。
弁護士に依頼して示談交渉や裁判を行う際に用いられます。
入通院慰謝料は、日弁連が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称:赤い本)」に掲載された下記の算定表を使って計算します。
▼軽傷(むちうち・打撲など)の場合

▼重傷(骨折・脱臼など)の場合

交通事故の慰謝料相場を早見表でチェック|慰謝料種類別
交通事故で請求できる慰謝料は、大きく以下の3種類があります。
それぞれの目安金額を、金額が大きく異なる「3つの算定基準」ごとに比較して確認しましょう。
- 入通院慰謝料:ケガの治療で入通院したことへの慰謝料
- 後遺障害慰謝料:後遺症が残ったことへの慰謝料
- 死亡慰謝料:被害者が亡くなったことへの慰謝料
入通院慰謝料の早見表
入通院慰謝料は、通院期間・入院期間をもとに算出されます。
自賠責基準・任意保険基準では、ケガの程度にかかわらず一定の金額が算出されます。
一方、弁護士基準では「軽傷」か「重症」かによって、同じ通院期間でも受け取れる金額が異なります。
ここでは、通院1ヶ月〜6ヶ月(入院なし)の相場を表で見ていきましょう。
軽傷(むちうち・打撲など)の場合
| 通院期間 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 1ヵ月(実通院日数10日) | 8万6千円 | 12万6,000円 | 19万円 |
| 2ヵ月(実通院日数20日) | 17万2千円 | 25万2,000円 | 36万円 |
| 3ヵ月(実通院日数30日) | 25万8千円 | 37万8,000円 | 53万円 |
| 4ヵ月(実通院日数40日) | 34万4千円 | 47万9,000円 | 67万円 |
| 5ヵ月(実通院日数50日) | 43万円 | 56万7,000円 | 79万円 |
| 6ヵ月(実通院日数60日) | 51万6千円 | 64万3,000円 | 89万円 |
※入院なしで、月10日通院を想定した目安
※任意保険基準は非公開のため、一般的な目安を記載
重傷(骨折・脱臼など)の場合
| 通院期間 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 1ヵ月(実通院日数10日) | 8万6千円 | 12万6,000円 | 28万円 |
| 2ヵ月(実通院日数20日) | 17万2千円 | 25万2,000円 | 52万円 |
| 3ヵ月(実通院日数30日) | 25万8千円 | 37万8,000円 | 73万円 |
| 4ヵ月(実通院日数40日) | 34万4千円 | 47万9,000円 | 90万円 |
| 5ヵ月(実通院日数50日) | 43万円 | 56万7,000円 | 105万円 |
| 6ヵ月(実通院日数60日) | 51万6千円 | 64万3,000円 | 116万円 |
※入院なしで、月10日通院を想定した目安
※任意保険基準は非公開のため、一般的な目安を記載
後遺障害慰謝料の早見表(1級〜14級)
後遺障害慰謝料は、認定された等級に応じて金額が決まります。
等級が上がるほど(1級に近いほど)高額になります。
| 等級 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 1級 | 1,150万円 | 1,600万円程度 | 2,800万円 |
| 2級 | 998万円 | 1,300万円程度 | 2,370万円 |
| 3級 | 861万円 | 1,100万円程度 | 1,990万円 |
| 4級 | 737万円 | 900万円程度 | 1,670万円 |
| 5級 | 618万円 | 750万円程度 | 1,400万円 |
| 6級 | 512万円 | 600万円程度 | 1,180万円 |
| 7級 | 419万円 | 500万円程度 | 1,000万円 |
| 8級 | 331万円 | 400万円程度 | 830万円 |
| 9級 | 249万円 | 300万円程度 | 690万円 |
| 10級 | 190万円 | 200万円程度 | 550万円 |
| 11級 | 136万円 | 150万円程度 | 420万円 |
| 12級 | 94万円 | 100万円程度 | 290万円 |
| 13級 | 57万円 | 60万円程度 | 180万円 |
| 14級 | 32万円 | 40万円程度 | 110万円 |
死亡慰謝料の早見表(被害者の立場別)
死亡慰謝料は、亡くなった被害者の家庭内での立場によって相場が異なります。
| 家族内の地位 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 一家の支柱 | 約1,350万円 | 約1,500〜2,000万円 | 2,800万円 |
| 母親・配偶者 | 約1,350万円 | 約1,500〜2,000万円 | 2,500万円 |
| そのほか(独身の男女、こども、高齢者など) | 約950万円 | 約1,200〜1,500万円 | 2,000万円~2,500万円 |
※自賠責基準は本人分400万円+遺族の請求権者数に応じた加算(1人:550万円、2人:650万円、3人以上:750万円。被扶養者がいる場合さらに+200万円)
※弁護士基準では、本人分と遺族分を合わせた総額の目安
【ケガ別でチェック】交通事故の慰謝料相場
交通事故ではケガの種類によって通院期間や後遺障害の可能性が異なり、慰謝料の相場も変わります。
代表的なケガごとの目安を確認しましょう。
むちうちの場合
交通事故で最も多いケガが「むちうち(頸椎捻挫)」です。
交通事故でむちうちになった場合の慰謝料相場は以下のとおりです。
- 通院期間:3ヵ月(実通院日数30日)
- 後遺障害等級:14級9号が認定(局部に神経症状)
| 項目 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 入通院慰謝料 | 25万8,000円 | 約37万8,000円 | 53万円 |
| 後遺障害慰謝料 | 32万円 | 約40万円 | 110万円 |
| 合計 | 57万8,000円 | 約77万8,000円 | 163万円 |
むちうちは症状の立証が難しいため、MRIなどの画像検査や通院実績が重要です。
治療を途中でやめてしまうと、慰謝料が大幅に下がる可能性があるため、注意が必要です。
骨折の慰謝料相場
骨折は「重傷」に分類されるため、むちうちより高い慰謝料になります。
交通事故で骨折した場合の慰謝料相場は以下のとおりです。
- 入通院期間:入院2ヵ月・通院3ヵ月(実通院日数30日)
- 後遺障害等級:12級8号(長管骨に変形を残すもの)
| 項目 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 入通院慰謝料 | 51万6,000円 | 約82万円 | 154万円 |
| 後遺障害慰謝料 | 94万円 | 約100万円 | 290万円 |
| 合計 | 145万6,000円 | 約182万円 | 444万円 |
骨折の場合、完治せずに関節の可動域制限や痛みなどの後遺症が残ることがあります。
後遺障害等級の認定を受ければ、後遺障害慰謝料を追加で請求可能です。
高次脳機能障害の慰謝料相場
頭部外傷による高次脳機能障害は、重い後遺障害が認定されることが多く、慰謝料も高額になります。
下表は、高次脳機能障害で認定されやすい主な等級の目安です。
| 等級 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|---|
| 第1級 | 1,150万円 | 約1,600万円 | 2,800万円 |
| 第2級 | 998万円 | 約1,300万円 | 2,370万円 |
| 第3級 | 861万円 | 約1,100万円 | 1,990万円 |
| 第5級 | 618万円 | 約750万円 | 1,400万円 |
| 第7級 | 419万円 | 約500万円 | 1,000万円 |
| 第9級 | 249万円 | 約300万円 | 690万円 |
| 第12級 | 94万円 | 約100万円 | 290万円 |
| 第14級 | 32万円 | 約40万円 | 110万円 |
入通院慰謝料に加え、将来の介護費用や逸失利益も請求できるため、賠償金の総額は数千万〜1億円を超えることもあります。
慰謝料計算機|あなたの慰謝料をシミュレーション
「自分のケースで具体的にいくらもらえるの?」
「保険会社から示談金の提示を受けたけど、これって適正な金額なの?」
と疑問に感じた方におすすめなのが、ベンナビ交通事故の慰謝料計算機です。
4つのSTEPに答えるだけで、弁護士基準での慰謝料目安が自動で算出されます。
計算結果を見て「提示額より大幅に低い」と気付いた方は、ぜひ弁護士に相談してみてください。
もちろん計算機の利用だけでも問題ありませんので、まずは自分のケースでいくらもらえるのか確認してみましょう。
1.ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)が、作成・提供する交通事故の慰謝料計算機(以下、「本計算機」といいます)の計算結果は、あくまでも目安の金額であり、実際の計算とは大幅に異なる可能性があります。
2.計算結果の保険会社想定提示額は、自賠責基準を参考に、慰謝料、休業損害、後遺障害逸失利益を算出しております。実際の提示額とは大幅に異なる可能性があります。
3.ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)は、本計算機にて提供する情報等に関して、その正確性、確実性、有用性、最新性等のいかなる保証も行うものではありません。したがって、本計算機にて 提供する情報等に関連して、本計算機をご利用のお客様または第三者が損害を被った場合においても、ベンナビ交通事故(旧:交通事故弁護士ナビ)は一切の責任を負担いたしません。
4.本計算機をご利用の方は、上記1から3の内容をご承諾いただいたものとみなしますので、ご了承ください。
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交通事故の慰謝料を増額する5つの方法
保険会社から提示される慰謝料は、自賠責基準や任意保険基準で計算された低い金額であることがほとんどです。
以下の5つの方法を実践することで、慰謝料の増額が期待できます。
①弁護士基準で請求する
慰謝料を増額する最も確実な方法は、弁護士に依頼して弁護士基準で請求することです。
前述の通り、弁護士基準は自賠責基準の1.5〜3倍以上の金額になります。
弁護士が交渉に入ることで、保険会社は弁護士基準をベースにした金額での示談に応じるケースが大半です。
「弁護士費用を払ったら、結局手元に残るお金は増えるの?」と疑問に感じる方も多いですが、ほとんどのケースで費用を差し引いても大幅にプラスになります。
以下の表を参考にしてみてください。
むちうちの場合の弁護士費用相場|通院期間3ヵ月(実通院日数30日)
| 依頼なし・自賠責基準 | 弁護士依頼・費用特約なし | 弁護士依頼・費用特約あり | |
|---|---|---|---|
| 基準 | 自賠責基準 | 弁護士基準 | 弁護士基準 |
| 慰謝料の請求額 | 約26万円 | 53万円 | 53万円 |
| 弁護士費用(増額分の約20%) | - | 約24.4万円 (22万+増額分の11%) |
0円(特約) |
| 手取り金額 | 26万円 | 約28.6万円 | 53万円 |
※弁護士費用は完全成功報酬型(着手金0円・報酬金は「22万円+増額分の11%」)で試算。事務所により異なります。
※弁護士基準は赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)別表IIによる。
- 弁護士費用が心配な方は、自動車保険の「弁護士費用特約」を確認してください。
- 特約が付いていれば、弁護士費用の自己負担は原則0円です。

ただし、適用条件や利用方法を確認するためにも、保険会社の担当者に直接問い合わせてみるのがおすすめです。
②適切な通院頻度を維持する
入通院慰謝料は通院期間・日数に基づいて算出されるため、医師の指示に従って定期的に通院することが重要です。
目安として、月10日以上の通院が望ましいとされています。
通院頻度が極端に少ないと(月2〜3回程度)、保険会社から「治療の必要性が低い」と判断され、慰謝料が減額される可能性があります。
③後遺障害等級の認定を受ける
症状固定後も痛みやしびれなどが残っている場合は、後遺障害等級の認定申請を行いましょう。
等級が認定されれば、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料(14級でも110万円)と逸失利益を追加で請求できます。
申請方法は「事前認定(保険会社に任せる)」と「被害者請求(被害者自身や被害者が依頼した弁護士が申請する)」の2つがあり、被害者請求のほうが有利な結果になりやすい傾向があります。
④事故直後から証拠を確保する
慰謝料を適正に受け取るためには、事故直後からの証拠確保が重要です。
- 事故現場の写真・動画(車両の損傷、路面状況、信号など)
- ドライブレコーダーの映像
- 医師の診断書(事故当日〜翌日に受診)
- 通院記録・領収書
特に、事故から日数が経ってから通院を開始すると「事故との因果関係がない」と判断されるリスクがあるため、事故当日〜翌日には必ず病院を受診してください。

しかし、あらかじめ医師から指示を受けることや相手方の保険会社に連絡して、了承を得ておくと安心です。
整骨院などでの施術は治療ではないため医師からの指示や保険会社との事前の相談なく利用された場合、施術費が支払われない場合があります。
⑤保険会社の初回提示額で安易に合意しない
保険会社から示談金の提示があっても、すぐにサインしないでください。
保険会社は営利企業であり、支払額を抑えたいのが本音です。
初回提示額は自賠責基準に近い低い金額であることが多く、弁護士に相談すれば2倍〜3倍に増額できるケースが珍しくありません。
示談書にサインしてしまうと、原則として撤回や追加請求はできなくなります。
サインする前に、必ず弁護士に提示額の妥当性を確認しましょう。

また、加害者との交渉も重要になってくるので、まずは弁護士に相談してみてください。
慰謝料が減額されるケース3選
すべてのケースで満額の慰謝料を受け取れるとは限りません。
以下に該当すると、慰謝料が減額される可能性があります。
①過失割合がある場合
被害者側にも過失(落ち度)がある場合、その割合に応じて慰謝料が減額されます。
これを「過失相殺」といいます。
たとえば、慰謝料が100万円でも被害者の過失が30%なら、受け取れる金額は70万円です。
過失割合は保険会社が一方的に決めることが多いですが、事故状況によっては交渉の余地があります。
過失割合に納得がいかない場合は、弁護士に相談して適正な割合を主張することが大切です。
②通院頻度が低い・治療を中断した場合
通院頻度が月2〜3回程度と極端に少ない場合や、自己判断で治療を中断した場合は、慰謝料が減額されることがあります。
保険会社は「通院の必要性が低い」「すでに治っている」と主張して慰謝料の支払いを減らそうとします。
仕事が忙しくても、医師の指示に従った通院を続けることが重要です。
③既往症がある場合
事故前から腰痛や頸椎の疾患など既往症があった場合、「事故による新たな症状」と「もともとの症状」の区別が難しくなり、慰謝料が減額(素因減額)される可能性があります。
既往症がある場合は、事故前後の症状の変化を医師に正確に伝え、診断書に記載してもらうことが対策になります。
交通事故の慰謝料請求の流れ【時系列で解説】
交通事故から慰謝料を受け取るまでの一般的な流れを、時系列で解説します。

STEP1:事故直後の対応|事故当日~翌日
事故が起きたら、まず警察に連絡して「人身事故」として届け出てください。
物損事故として届け出てしまうと、後から慰謝料を請求する際に「人身被害があった」と証明することが難しくなります。
症状が軽くても、必ず人身事故として処理しましょう。
警察への届出が済んだら、その日のうちか翌日中に病院を受診することが重要です。
事故から日数が空いてから通院を始めると、保険会社から「事故との因果関係がない」と主張されるリスクがあります。
また、加入している自動車保険会社への事故報告もあわせておこなってください。
STEP2:治療・通院の継続|数週間〜数ヶ月
病院を受診したら、医師の指示に従って定期的に通院を続けます。
入通院慰謝料は通院期間・日数をもとに算出されるため、継続して通院することが適正な慰謝料を受け取るための基本です。
また、事故から3〜6ヶ月が経過すると、保険会社から「そろそろ症状固定にしてください」と連絡が来ることがあります。
しかし治療が必要な状態であれば、保険会社の要請に応じる必要はありません。
症状の状況は医師と相談しながら判断しましょう。
STEP3:症状固定・後遺障害等級認定
治療を続けても症状の改善が見込めなくなった状態を「症状固定」といい、医師が判断します。
症状固定後も症状が残っている場合は、後遺障害等級の認定申請をおこないます。
申請方法は以下の2種類があります。
- 事前認定:加害者側の保険会社を通じて申請(手間が少ないが結果が不利になる場合あり)
- 被害者請求:自ら自賠責保険に申請(有利な結果を得やすい)
事前認定は手間がかからない反面、資料の選定を保険会社に委ねるため結果が不利になることがあります。
有利な等級認定を目指すなら、被害者請求のほうが望ましいといわれています。
STEP4:示談交渉
後遺障害の認定結果が出た後(後遺障害なしの場合は治療終了後)、保険会社と示談交渉をおこないます。
保険会社が提示する示談金は、多くの場合弁護士基準の半額以下です。
弁護士に依頼して弁護士基準で交渉すれば、2〜3倍に増額できるケースも珍しくありません。
提示額に納得できない場合は、弁護士に示談交渉を依頼することを検討してください。
- 示談書にサインした後は、原則として追加請求や撤回ができなくなります。
STEP5:示談成立〜入金
示談が成立すると、通常2週間〜1ヶ月程度で示談金(慰謝料を含む損害賠償金)が指定口座に振り込まれます。
示談が成立しない場合は、調停や訴訟(裁判)に進むこともあります。
慰謝料を含む示談金が振り込まれるまでの期間は、事故の種類によって異なります。
具体的な慰謝料の支払い時期の目安は以下のとおりです。
| ケース | 示談成立までの目安 | 入金時期 |
|---|---|---|
| 物損事故のみ | 事故後2〜3ヶ月 | 示談成立後2週間〜1ヶ月 |
| 人身事故(後遺障害なし) | 治療終了後1〜3ヶ月 | 示談成立後2週間〜1ヶ月 |
| 人身事故(後遺障害あり) | 症状固定後3〜6ヶ月 | 示談成立後2週間〜1ヶ月 |
| 死亡事故 | 四十九日後〜6ヶ月 | 示談成立後2週間〜1ヶ月 |
示談成立前でも、自賠責保険への被害者請求(仮渡金制度)を利用すれば、一部の賠償金を先に受け取ることが可能です。
治療費や生活費に困っている場合はこの制度を活用しましょう。
交通事故の慰謝料を弁護士に相談するメリット
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼することには、以下のメリットがあります。
弁護士基準で2〜3倍に増額できる
弁護士に依頼する最大のメリットは、弁護士基準(裁判基準)で慰謝料を請求できることです。
弁護士基準は、自賠責基準の1.5〜3倍以上の金額になります。
弁護士が交渉に入ると、保険会社は「裁判になれば弁護士基準で支払うことになる」と判断するため、弁護士基準に近い金額での示談に応じるのが一般的です。
保険会社との交渉を任せられる
保険会社との示談交渉は、専門知識がないと不利な条件で合意してしまうリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、保険会社とのやり取りをすべて任せられるため、精神的な負担が大幅に軽減されます。
弁護士費用特約を使えば自己負担0円
自動車保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、弁護士費用(上限300万円が一般的)が保険でカバーされます。
弁護士費用特約は、同居の家族の保険に付いていれば利用できるケースもあります。
ご自身の保険だけでなく、ご家族の保険証券も確認してみてください。
弁護士に依頼するデメリットはある?
弁護士費用特約がない場合、弁護士費用が自己負担になります。
ただし、多くの法律事務所では着手金無料・完全成功報酬型で対応しているため、持ち出し費用なしで依頼できることがほとんどです。
弁護士に依頼するメリット・デメリットの詳しい比較は、以下の記事で解説しています。
慰謝料以外に請求できる損害賠償金
交通事故では、慰謝料のほかにも以下の費目を請求できます。
慰謝料だけで示談に応じると損をする可能性があるため、賠償金の全体像を把握しておきましょう。

治療費・通院交通費
病院での治療費は、基本的に加害者側の保険会社が負担します。
また、通院にかかった交通費(電車・バス・タクシー代、自家用車のガソリン代等)も請求可能です。
タクシーを利用する場合は、ケガの状態から公共交通機関の利用が困難であることが必要です。
領収書は必ず保管してください。
休業損害
事故によるケガで仕事を休んだ場合、その期間の収入減少分を「休業損害」として請求できます。
| 【計算式】 休業損害 = 1日あたりの基礎収入 × 休業日数 |
| 職業 | 基礎収入の算出方法 |
|---|---|
| 会社員 | 事故前3ヶ月の給与合計 ÷ 90日 |
| 自営業 | 前年の確定申告の所得 ÷ 365日 |
| 主婦(主夫) | 賃金センサスの女性全年齢平均賃金(日額約1万円) |
| アルバイト・パート | 事故前3ヶ月の給与合計 ÷ 実稼働日数 |
逸失利益
後遺障害が残った場合や被害者が死亡した場合に、将来得られるはずだった収入の減少分を「逸失利益」として請求できます。
| 【後遺障害の逸失利益の計算式】 逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数 |
たとえば、年収500万円の方が後遺障害12級(労働能力喪失率14%)に認定され、喪失期間が20年の場合:
| 500万円 × 14% × 14.8775(ライプニッツ係数)= 約1,041万円 |
逸失利益は慰謝料以上に高額になることも多く、適正な算定が重要です。
物損(修理費・代車費用)
車両の損傷に対しては、修理費や代車費用、評価損(事故車としての価値下落分)を請求できます。
ただし、物損に対する慰謝料は原則として認められません。
物損事故で慰謝料が認められた例外的なケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。
交通事故の慰謝料はいくらもらった?増額事例
弁護士への依頼で具体的にいくら慰謝料が増えるのかを知るには、実際の解決事例を見るのが一番の近道です。
「ベンナビ交通事故」には、弁護士の介入によって実際に慰謝料が増額した事例が数多く紹介されています。
自分のケガや状況に似た事例を探せば、実際にいくら増額が見込めるかの目安になります。
まずは事例を参考に、自分のケースと比較してみましょう。
交通事故の慰謝料に関するよくある質問
慰謝料の相場は1日いくら?
自賠責基準では1日あたり4,300円と定められています。
ただし、弁護士基準では通院期間全体で算出するため「1日○円」という計算にはなりません。
一例として、弁護士基準で通院1ヶ月(30日)の場合、入通院慰謝料は19万〜28万円(1日あたり約6,300〜9,300円に相当)です。
慰謝料はいつもらえる?
慰謝料を含む示談金は、示談成立後2週間〜1ヶ月程度で振り込まれるのが一般的です。
示談交渉自体は、治療終了後(後遺障害ありの場合は等級認定後)から1〜6ヶ月程度かかることが多いです。
示談前に一部を受け取りたい場合は、自賠責保険の「仮渡金制度」を利用できます。
慰謝料に税金はかかる?
交通事故の慰謝料は、原則として非課税です。
所得税・住民税はかかりません。
ただし、慰謝料以外の賠償金の一部(休業損害の一部や遅延損害金など)が課税対象になるケースもあります。
ご不安な場合は税理士へのご相談をご検討ください。
慰謝料の請求に時効はある?
あります。
交通事故の損害賠償請求権の時効は以下の通りです。
| 事故の種類 | 時効(起算日から) |
|---|---|
| 物損事故 | 3年 |
| 人身事故(後遺障害なし) | 5年 |
| 人身事故(後遺障害あり) | 症状固定日から5年 |
| 死亡事故 | 死亡日から5年 |
時効が迫っている場合は、早急に弁護士に相談してください。
主婦でも慰謝料はもらえる?
はい、もらえます。
専業主婦(主夫)でも、交通事故でケガをして通院すれば入通院慰謝料を請求できます。
また、家事ができなくなった期間の休業損害も請求可能です。
主婦の休業損害は、賃金センサスの女性全年齢平均賃金をもとに計算されます。
物損事故でも慰謝料は請求できる?
原則として、物損事故では慰謝料は認められません。
ただし、ペットの死亡や大切な遺品の損壊など、財産的損害の回復だけでは精神的苦痛が回復できないと認められる例外的なケースでは、慰謝料が認められた判例があります。
慰謝料の先払い(仮払い)はできる?
示談成立前でも、以下の方法で慰謝料の一部を先に受け取ることが可能です。
- 自賠責保険の被害者請求:治療費や慰謝料の一部を自賠責保険に直接請求
- 仮渡金制度:死亡事故で290万円、重傷で40万〜20万円を先払いで受け取れる
生活費や治療費に困っている場合は、これらの制度を積極的に活用しましょう。
弁護士なしでも慰謝料は増額できる?
自分で保険会社と交渉して増額に成功するケースもありますが、現実的にはかなり困難です。
保険会社は示談交渉のプロであり、個人で弁護士基準の金額を引き出すのは難しいのが実情です。
弁護士費用特約があれば自己負担0円で依頼できるため、まずは特約の有無を確認してみてください。
まとめ
交通事故の慰謝料は、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類に分けられます。
自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のいずれかで各慰謝料を算定することになりますが、最も高額になるのは弁護士基準です。
適切な慰謝料を受け取りたいのであれば、弁護士に依頼し、弁護士基準で算定・請求しましょう。
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼する際は、ベンナビ交通事故の利用をおすすめします。
無料相談に応じている法律事務所も多いので、まずは気軽に相談してみてください
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特約を利用して弁護士に相談する交通事故問題を依頼する弁護士の選び方にはポイントがあります。
- 過去の解決事例を確認する
- 料金体系が明確である弁護士を選ぶ
- 交通事故問題が得意な弁護士から選ぶ
等です。
詳しくは以下の記事を読んで、正しい弁護士の選び方を理解した上で弁護士に相談しましょう。
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この記事の監修者
磯田 直也 (兵庫県弁護士会)
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