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遺障害等級13級は、日常生活に多大な影響を与えるほどの後遺症ではないと言われていますが、労働能力喪失率は9%と設定されています。
認定されている症状を見ても損害賠償を請求しないと、医療費などの面から見ても、少なからず苦労を強いられる場面が多くなる後遺障害等級といえます。
ここでは、後遺障害等級13級に該当する症状と後遺障害等級13級を獲得する手順をご紹介していきます。
そもそも後遺障害とは交通事故によって受けた精神的・肉体的な障害(ケガ)が将来において回復の見込めない状態となる事を言います。等級には症状が最も重いものを1級として、14級まで定められています。
まずは1号から11号に分けられている、後遺障害等級13級の症状を確認していきましょう。
等級 |
後 遺 障 害 |
自賠責保険 (共済)金額 |
労働能力 喪失率 |
第13級 |
1号:1眼の視力が0.6以下になったもの |
139万円 |
9% |
2号:正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの |
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3号:1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
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4号:両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの |
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5号:5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
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6号:1手のこ指の用を廃したもの |
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7号:1手のおや指の指骨の一部を失ったもの |
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8号:1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
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9号:1足の第3の足指以外の1又は2の足指を失ったもの |
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10号:1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの |
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11号:胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
13級1号は、片目(1眼)の視力が0.6以下になってしまった場合とされています。視力0.6は近視などで多くいますが、メガネやコンタクトをしても0.6以下というのが条件になります。
複視とは、見ている物が二重に見える症状のことで、見えかたとしては乱視に似ています。しかし乱視と違う点は、「乱視」は片目で見ても物が二重に見るのに対して、複視は両目で見ているときでも物が二重に見えてしまいます。
この複視の症状が常にあり、正面以外の物を見たときでも複視の状態であれば第13級ですが、正面の物を見ても複視の症状が出てしまう場合は後遺障害等級第10級2号に該当することになります。
つまり、交通事故で目に怪我を負ってしまった場合、眼科でしっかりと検査をしてもらえれば、13級の後遺障害も後遺障害等級10級になる可能性があるということです。
片目に半盲症(視野の右半分あるいは左半分が欠けて見えなくなる症状)や視野が狭くなったなどの障害が残ってしまった場合に認定されます。“視野”というのは、1点を見つめた時に見える下界の範囲のことで、具体例としては、歩いているとやたら右側の壁などにぶつかる、ご飯を食べようとしたら、皿の右半分が見えないといった症状が該当します。
後遺障害等級13級4号は眼球ではなくそれを覆うまぶたに関する障害に認定されます。普通に瞼を閉じていても眼球の黒目を覆えなくなってしまうほど重い症状の場合、後遺障害等級第9級4号の『両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの』として認定される可能性があります。
しかし、瞼を普通に閉じた際に一応は黒目が隠れて白目の一部が露出しているようなケースは第13級4号にあたり、さらに瞼を閉じて眼球の一部が露出しているいないに関わらず、まつげを半分未満の範囲で失った場合も、後遺障害等級第13級4号とみなされます。
交通事故で歯を5本か6本失ったり、それに近い損害を負ってしまった場合に、後遺障害等級第13級5号として認定されます。歯は前歯・奥歯といった区別はありません。
歯科補綴(しかほてつ)とは、何らかの歯科処理をした事ですので、治療の際にブリッジをかけるなどの理由で、正常な歯も削るなどの措置を受ければ、歯科補綴した歯としてカウントされます。
後遺障害等級第13級6号は片手の指に関するもので、片手の小指に後遺障害が残ってしまった場合に認定されます。
交通事故によって骨の一部が欠けてしまった場合に該当します。実際に欠損はしていなくても、骨がくっつかない「遊離骨折」の場合は、レントゲン写真などで確認されれば後遺障害等級第13級7号に認定されます。
骨の欠損が一定以上であれば後遺障害等級は上がりますので、この際の後遺障害等級認定は専門家に相談した方がいいでしょう。ちなみに、利き手、利き腕の評価は等級のアップには関係ないとみなされています。
事故によって1cm以上3cm未満になってしまった場合は後遺障害等級第13級8号です。2cm刻みになていますが、3cm以上短縮してしまった場合、後遺障害の等級はアップしていきます。
片足の足指のうち、手でいうと「中指」「薬指」「小指」の3本に該当し、これらの中で1本もしくは2本の指を第1関節から根元で切断してしまった場合に後遺障害等級13級9号という扱いになります。
・片足の足指のうち、手でいう「人差し指」が第一関節から
根元より手前で切断した場合、指の可動範囲が2分の1以下になったもの
・片足の足指のうち、手でいうと「人差し指」1本プラス
「中指」「薬指」「小指」の3本のうち1本が第一関節から
根元より手前で切断したもの、そして指の可動範囲が2分の1以下になったもの
・片足の足指のうち「中指」「薬指」「小指」の3本すべてが第一関節から
根元より手前で切断した場合、もしくは可動範囲が2分の1以下になったもの
この場合に後遺障害等級第13級10号と認定されます。後遺障害等級表の指の障害でわかりづらいのは、「失った」と「用を廃した」の違いでしょう。
「失った」とは、文字通り切断した場合をいいます。「用を廃した」とは、手指の末節骨が2分の1以下の長さになったときや指の関節の可動域が2分の1以下になった場合、親指の回転可動域が2分の1になった場合、感覚が完全に失われた場合をいいます。
交通事故で内臓にダメージを負って、日常生活に支障が残ってしまう場合は後遺障害等級第13級11号になります。
たとえば・・・
胃を切除した
胆嚢、脾臓、腎臓を失った
睾丸や卵巣の片方が失われた
性行為は可能だがその機能に障害が残る場合 など
このいずれかの後遺症が残れば後遺障害等級第13級11号として認められます。
項目 |
金額 |
---|---|
自賠責保険の保険金上限額 |
139万円 |
自賠責保険の後遺障害慰謝料額 |
57万円 |
弁護士基準の後遺障害慰謝料額 |
180万円 |
労働能力喪失率 |
9/100 |
慰謝料を計算する場合、損害賠償金という交通事故全体に対する賠償金に対して、慰謝料単体に関しては以下の3つの項目があります。
請求項目 |
内容と慰謝料の相場 |
通院または入院の慰謝料の目安は、通院1か月につき10~20万円そして入院1か月につき約30~50万円。 |
|
後遺障害に対する慰謝料は後遺障害等級に応じて異なり、第13級では160~200万円、第14級では90~120万円。 |
|
死亡事故の慰謝料の目安は、一家の大黒柱に対して2,600~3,000万円、これに準ずる者に対して2,300~2,600万円そしてそれ以外の者に対して2,000~2,400万円。 |
|
入通院慰謝料はこの2つの計算式を比べて、日数が少ない方を採用するとしています。
例)
交通事故の治療で60日間入院し、
通院期間が200日間(実際は100日)だった場合
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
260日×4,300円=1,118,000円これが入通院慰謝料になります。
症状固定を境に、先述した後遺障害等級13級のいずれかに該当し、将来にわたって残存する後遺障害を負った場合、
自賠責保険における後遺障害等級13級の慰謝料は『57万円』
弁護士基準における後遺障害等級13級の慰謝料は『180万円』
となります。
交通事故の場合に加害者側に請求できる費目については、以下にあるものが一般的です。
治療関係費 |
治療費や入院費です。後遺障害が認定された場合は「後遺障害診断書作成料」も請求可能です。 |
看護料 |
通院付添費として2050円/日 |
入通院慰謝料 |
1日4,300円 ※2020年3月31日以前に発生した事故では、4,200円が適用されます。 |
入院雑費 |
1日につき1500円で算定。 |
通院交通費 |
通院に要した交通費。 |
その他 |
将来介護費・装具購入費・学費・家庭教師代など。 |
1日当たり5700円。 |
|
傷害慰謝料 |
入通院期間に基づいて算定。 |
後遺障害が残ったことで失われた利益 【逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除係数】 |
|
後遺障害慰謝料 |
後遺障害が認定された場合に請求します。 |
よく「慰謝料が5,000万円」などというの高額な金額は、実は損害賠償額のことを指しており、下記の式で計算した総額である損害賠償額を「慰謝料」と呼んでいるものと思われます。
=損害賠償の計算式=
【治療費用+入院雑費+休業損害+入通院慰謝料+後遺障害慰謝料(死亡慰謝料)】
逸失利益とは、後遺障害が残ったことで、本来受け取れるはずだった利益のことです。
【逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除係数】
<モデルケース>
45歳の会社員が交通事故に遭遇。
入院60日。通院日数200日間(実際は100日)
事故前の年収700万円
後遺障害13級に該当したと仮定
■治療費・・・・・・・・・120万円
■入通院慰謝料・・・・・・109万2000円
60+200=260日/160×2=320日
260日×4,300円=1,118,000円
■付き添い看護料・・・・・20万5000円(2050円×100日)
■入院中雑貨・・・・・・・15万円(1500円×100日)
■入通院交通費・・・・・・1万5000円(必要なバス・電車代など)
■衣料損害費・・・・・・・2万円(購入時の時価)
■後遺障害慰謝料・・・・・180万円
■後遺障害診断書作成料・・1万500円
■逸失利益・・・・・・・・829万2690円
基礎収入700万円×0.09×13.163
(定年である67歳までの22年間のライプニッツ係数)
=829万2690円
合計:1,278万9,690円
後遺障害の等級認定基準は交通事故との「因果関係」と「後遺障害となる立証資料」のみで決定します。つまり、『後遺症が、どの級のどの号の要件に当てはまっているか』などを書面から判断することになり、後遺障害診断書等の書面に等級の基準や要件に沿わない症状が書かれていても認定はされません。
「事故との因果関係」の説明は1番難解な部分ですので、医師による「交通事故によるもの」という診断書だけでは不十分なケースが考えられます。
自賠責の調査事務所は色々な角度から因果性を見て判断してくため、後遺傷害等級の認定を受けるには医師との協力が欠かせないとお考えください。
保険会社から「症状固定しましょう。」といった提案が来ることはよくあるケースで、特に疑問も持たずに同意してしまうことがありますが、後遺障害等級の認定には症状固定を一つの境にしていますので、まだ症状が安定しない時期に決めてしまうのは危険です。
症状固定と認められる前に相手側の保険会社の提案に同意してしまうと、治療費が打ち切られる可能性が高いので注意が必要です。
レントゲン検査やMRI、CTスキャンなどの画像で異常な箇所があれば認められれば証明できますが、この画像所見がないと”後遺障害である証明”にはなりません。特にむちうちなどの神経に損害がある場合は画像に映らないことがありますので「ジャクソンテスト」や「スパーリングテスト」などの検査を実施したい旨を医師に相談されるのが良いでしょう。
後遺障害等級13級に限って言えば、むちうちかどうかは問題にはなりませんが、「失ったもの」「用を廃したもの」の判断が難しいので、後遺障害等級の認定のため、面倒でも細かく意思疎通を行う必要があります。
医師は「後遺障害診断書作成のプロ」ではありませんので、どのような内容を書けば「最高の後遺障害診断書になるのか」がわからない可能性もあります。「こう書いて欲しいんですけど・・・」というような提案をしていくのが良いかと思われます。
後遺障害等級13級の説明にも登場しましたが、診断の微妙な判断で13級が12級になったり、10級に引きあがる可能性があります。交通事故の案件を多く扱う弁護士であれば、後遺障害等級の認定問題に常に取り組んでいますので、後遺障害の等級級数があがる可能性も高く、結果的に慰謝料も増額する可能性があります。
交通事故を得意とする弁護士であれば、後遺障害診断書の書き方、提出する検査画像、実施すべき検査など、豊富な認定経験をもとに保険会社と戦う戦略も立てられます。自分自信で保険会社と交渉する場合よりも、適切な後遺障害等級認定を受けられる確実性はかなり高まるといえます。
弁護士に依頼した時点で、慰謝料の算定額は自賠責保険から弁護士基準での算定になります。つまり、最大で1000万円以上の慰謝料増額が見込めるわけです(下記表参照)。裁判所・弁護士基準は任意保険基準よりも高額となっていますので、弁護士に依頼することで慰謝料の金額が上がる可能性が高くなります。
【後遺障害等級別の損害賠償額の違い】
等級 |
自賠責基準 (2020年3月31日までに発生した事故) |
任意保険基準(推定) |
弁護士基準 |
1,150万円 (1,100万円) |
1,600万円程度 |
2,800万円 |
|
998万円 (958万円) |
1,300万円程度 |
2,370万円 |
|
861万円 (829万円) |
1,100万円程度 |
1,990万円 |
|
737万円 (712万円) |
900万円程度 |
1,670万円 |
|
618万円 (599万円) |
750万円程度 |
1,400万円 |
|
512万円 (498万円) |
600万円程度 |
1,180万円 |
|
419万円 (409万円) |
500万円程度 |
1,000万円 |
|
331万円 (324万円) |
400万円程度 |
830万円 |
|
249万円 (245万円) |
300万円程度 |
690万円 |
|
190万円 (187万円) |
200万円程度 |
550万円 |
|
136万円 (135万円) |
150万円程度 |
420万円 |
|
94万円 (93万円) |
100万円程度 |
290万円 |
|
57万円 |
60万円程度 |
180万円 |
|
32万円 |
40万円程度 |
110万円 |
入院や通院することになれば、病院で治療をしなければならず、何かと不便な生活を強いられる可能性があります。そんな状態で保険会社との交渉や必要書類の準備を強いられた場合治療に集中することは困難ですし、治るものも治らないということも考えられます。
その点、弁護士に依頼していただければご自身は治療に集中することができますし、保険会社との面倒な交渉は全て任せることが可能です。
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